RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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48.禁じるべきコトバ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 金髪の少女マウナと歩夢は互いにじっと見つめ合う。

 

 

「貴女、何処から来たの?」

 

 

 立ち入りが禁止されている筈のこの場所に何故マウナがいるのか?それが気になった歩夢は尋ねるが彼女は答えない。じっとこちらを見てくるマウナに、歩夢は一歩だけ近付く。すると彼女はびくりと身体を震わせて身を少し引いた。

 

 

「あ、ごめんね?怖がらせるつもりは無いの」

 

 

 マウナを怖がらせてしまったと感じた歩夢は出した足を引く。そんな歩夢のことを、マウナはただ見つめるだけで何も喋らない。

 

 彼女は内心、この星の生命体に見つかってしまったことによる恐怖と焦りでいっぱいであった。脱出ポッドがここに不時着しそのカモフラージュを行っていた際に、偶然高尾山に来ていた若者達に見つかりそうになったので急いで隠れたマウナ。その時うっかり大切な物をポッドの中に置きっぱなしにしてしまったのだ。どうにかしてそれを取り戻したく様子を伺っていたところを歩夢に見つかってしまったのだ。どうするべきか必死に思考し、目を伏せる。

 

 

「大丈夫……?」

 

 

 そんなマウナを心配そうに見る歩夢。誤ってここに入ってしまい、どうしたら良いのか分からなくてなっているのだろうかと彼女は思っていた。とりあえず誰かに知らせるべきかと考えた時、背後から足跡が聴こえて来る。

 

 

「歩夢ちゃん!」

「紗季さん……」

 

 

 やって来たのはXio隊員の紗季。歩夢のことを追ってここまで来たのだ。

 

 

「もう、急に走り出すからびっくりしたわよ」

「す、すいません」

「まあ良いわ。それはそうと……」

 

 

 紗季はマウナに目を向ける。マウナはまた、その身体を震わせた。

 

 

「ここら辺は立ち入り禁止になってるの。危険だから外まで───」

 

 

 案内するわ。そう言おうとした時マウナは右掌を紗季に向け、そこから金色の光弾を放った。

 

 

「嘘、ぐあっ!?」

「きゃっ!?」

 

 

 咄嗟に腕をクロスして防いだ紗季だが、身体は大きく後方に飛ばされて地面に叩き付けられた。

 

 

「紗季さん!?」

 

 

 驚き、倒れた紗季に近寄ろうとした歩夢。しかしそれよりも先にマウナが彼女に接近し、背後から羽交い締めにして来た。

 

 

「こっちに来て!!」

「い、嫌!?離して!?」

 

 

 歩夢のことをしっかりと拘束したまま、マウナはポッドがある方にへと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ?」

「どうかしました天地さん?」

「いや、今なんか聴こえた様な……」

「どーせ気の所為じゃろ。突っ立てないで、そこにあるやつを持って来い」

「へいへい」

 

 

 シャマラに指示に従って置いてある箱を手に取り彼のところに持って行こうとする。ポッドの中には食料や、その他にもいくつかの物が置いてあった。特に気になったのは金色の幾何学模様の様な物が描かれた小さな白い箱。博士は今からそれを詳しく調べようとしているのだ。

 

 しかしその時、木々から歩夢を人質にしたマウナが勢い良く飛び出して来た。

 

 

「動くな!?」

「ッ、歩夢!?」

「な、何っすか!?」

「うおお!?」

「動いたら、この子が怪我するよ!!」

 

 

 突然のことに全員が構え、護衛のUNVER隊員達はマウナに銃口を向けているが、それを涼風が下げさせた。彼女を刺激して歩夢が傷付く様なことにしない為だ。

 そんな中、翔琉はマウナに向かって怒りを込めた眼光を放っていた。

 

 

「てめぇ……歩夢を離せゴラ…!」

「あ、貴方達が変なことしなければこの子には何もしない。大人しく私の言うことを聞いて」

 

 

 目の前の女を今すぐ殴り飛ばしてしまいたいが、歩夢に怪我をさせる訳にはいかずその衝動を堪える。

 

 

「みんな!」

「紗季さん!」

「ごめんね、私が油断したばかりに……!」

 

 

 吹っ飛ばされていた紗季が翔琉達の元に来た。どうやら先程の一撃で怪我をしたらしく、右肩を押さえている。

 

 

「そこの貴女」

「え、あたしっすか……!?」

「そう。ポッドの中に小さな箱があったでしょ?それを持って来て」

 

 

 歩夢を人質にされている以上逆らう訳にもいかず、陽花はマウナの言うことに従って、あの箱を手に取り彼女の元へと持って行く。

 

 

「こ、これっすよね?渡すから、その子を解放するっす!」

「渡すのが先!そしたらこの子はちゃんと返すわ」

 

 

 睨み合うマウナと陽花。一方翔琉は、いつでもマウナに飛び掛かれる様に構えている。先に折れたのは陽花の方で、箱を彼女にへと差し出した。マウナはそれを素早く取った後、ジリジリと後退してUNVERの面々との距離を開く。そして箱に力を込めると幾何学模様が輝き、複雑な工程で箱は開いて中から1体のスパークドールズが現れた。

 

 

「何!?」

「スパークドールズじゃと!?」

 

 

 スパークドールズが現れたことにより皆驚き、UNVER隊員達は思わず銃を構えてしまう。そんな彼らをマウナは警戒しながらまた退がっていき……。

 

 

「…………ごめんなさい」

「えっ…?きゃっ!?」

 

 

 歩夢を軽く前に押すと同時に金色の光を紗季へと放ち、マウナは背を向けて走り出した。

 

 

「歩夢!!」

「新城野さん!!」

 

 

 翔琉は素早く動いて歩夢を受け止める。一方涼風は咄嗟に紗季の前に出て彼女を守る様に腕を開いたが、その光は涼風をすり抜けて紗季に当たる。

 

 

「くっ!?…………って、あれ?」

「紗季さん!大丈夫っすか!?」

「う、うん、何ともない。それどころか……」

 

 

 肩の痛みが消え、怪我が治っているのが分かった。紗季と彼女に駆け寄った陽花、涼風が困惑している中、UNVERの隊員達は逃げるマウナに向けて銃を発砲していた。人質を取り、攻撃と思われる行動をし、スパークドールズまで持っている異星人に、彼らは容赦無く弾丸を放っていく。そしてその内の一発が、彼女の左脇腹辺りを背後から貫いた。

 

 

「あ゛ッ……!?」

 

 

 短く悲鳴を上げるマウナ。でもここで立ち止まる訳にはいかず、彼女は歯を食い縛りながら全力で走っていく。

 

 

「歩夢、ここに居ろ」

 

 

 彼女を捕まえる為に、翔琉は走り出そうとした。だがその腕を歩夢は思わず掴んでしまい彼を止めた。

 

 

「ッ……歩夢?」

「えっ……あ……ご、ごめん……」

 

 

 嫌だ、行って欲しくない。そんな想いが溢れ出てしまったのだろう。掴んだしまった手をゆっくりと離そうとする歩夢。しかしその手は、途中で開くのをやめる。

 

 

「行ったら、危ないよ?翔琉君もここに居よう?」

「俺は大丈夫だって。アイツとっ捕まえて歩夢に手ぇ出したこと後悔させてやっからよ」

 

 

 そう言ってにっかりと笑った後、翔琉は歩夢の手を外してマウナを追って走って行ってしまった。何度目になるか分からない彼の背の見送り。手を伸ばしても届くことは無い。それが彼女の心を、酷く締め付けるのであった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ある程度走り、追手が来ないことを確認してからマウナは立ち止まって膝を付いた。そして手から金色の光を放ち、撃たれた脇腹の傷を治す。この光には治療効果があるのだ。

 

 

「はあ……はあ……」

 

 

 このスパークドールズを取り戻す為とはいえ、この星の生命体を傷付けてしまい、更に怖がらせてしまった。本当は彼らと敵対するのを彼女は望んでおらず、軽率な自信の行動を深く後悔している。

 

 

「どうしよう……うッ……!」

 

 

 痛みの抜け切れてない脇腹を押さえて気落ちしているマウナ。するとそこへ……。

 

 

「かけっこは終わりか?」

 

 

 指を鳴らしながら、翔琉がマウナに向けて歩いて来ていた。驚き振り向いた彼女は、フラフラしながらも立ち上がり彼を警戒する。

 

 

「貴方は……」

「よくもまあ、俺の幼馴染怖がらせてくれたなァ……タダじゃ済まさんぞ?」

 

 

 一歩前に出る翔琉。そんな彼にマウナは「待って!」と叫んでその足を止めさせた。

 

 

「んだよ?」

「貴方、この星の生命体なの……?」

「はぁ?何言ってんだお前は。どー見ても純度1000%の地球人だろうが」

「でも……貴方からこの星には無い筈の力を感じるわ」

 

 

 この星に無い力……間違いなくウルトラマンの力のことだろう。

 

 

「あー、色々訳ありなんだよ……てか、ンなこったどーでもいい。てめぇの正体やら目的やら、洗いざらいゲロってもらうから覚悟決めろよゴラ」

 

 

 マウナに迫っていく翔琉。彼女はその敵意に満ちた瞳に恐怖を感じ、後ろに少し退がる。その時また撃たれた脇腹に痛みが走り、彼女は思わず膝を付いた。

 

 

「ううっ……!?ぐぅ……」

「……無理すんな。大人しく捕まれば、治療して事情聞いて、その後一発引っ叩くだけで許してやる」

 

 

 苦痛の表情を浮かべてる彼女を見て、翔琉も流石に今は手荒な真似をしたくは無いと思ったのだろう。まあ、歩夢を人質にしたことはムカつくのでケジメはしっかり着けさせるつもりではあるが。マウナに近付いて手を伸ばす翔琉。これを拒否するべきではないと彼女も判断し、自身の手を伸ばし掴んだ。

 

 

「お前、名前は?」

「マウナ……惑星ゴールドのマウナ……───」

「そうかい。俺は地球の天地 翔琉だ……って、おい!?」

 

 

 限界が来たのか、マウナは気を失い前のめりに倒れる。それを受け止めた後、翔琉は涼風達に連絡をするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 オペレーションベースX。そこにあるXioメディカルにマウナは連れられた。彼女は今、医療スタッフの治療を受けてベッドで寝ている。彼女が自身の力で治癒していたこともあってか、命に別状は無い。

 

 彼女が乗って来た脱出ポッドは基地の外に置かれている。あの後改めて調べたが兵器などの類いは搭載されていなかった。シャマラ博士曰くゴールド星人は進んだ文明と科学力を持っており、侵略などという野蛮な行為をするとは考えられないらしい。どうやらただこの星に逃げて来て、あのスパークドールズを取り戻したいが為に強硬手段に出たのだろう。

 

 そしてそのスパークドールズが今はラボで陽花が保管をしている。勝手に調べて彼女と敵対する様なことになるのを避ける為だ。ファーストコンタクトは良いものでは無かったが、セカンドコンタクトでは友好な関係を築きたいのだ。

 

 紗季と歩夢も念の為に検査を受けた。紗季の怪我はマウナの放った光によって完治しており、歩夢の方も何も怪我は無かった。

 

 治療が終わり眠っているマウナ。その部屋の外にある長椅子に翔琉は歩夢と並んで座っており、彼は携帯で通話をしていた。相手は愛である。

 

 

「基地の医療施設で一応診て貰ったけど、俺も歩夢も怪我は無いよ」

《そっかー、なら良かったぁ。高尾山で銃声が鳴ったってニュース速報が流れて来たから心配したよー》

「わりぃわりぃ、ハプニングはちょっとあってな。俺らは撃たれてないから安心しろ」

《俺らはってことは誰か撃たれちゃったの!?》

「あー……まあ、怪我人はいるけど死人は出てないぞ」

 

 

 どうやら向こうにいる同好会メンバーが愛の言葉に驚いたのか、ざわざわと騒がしくなる。

 

 

《ねえ、愛さん達もそっちに行って良いかな?やっぱり歩夢も翔琉のことも心配だし》

「まあ、俺は大丈夫だがぁ……」

 

 

 チラリと横目で歩夢を見る。自分は心配いらないが、人質に取られるという目にあった彼女は精神的に大きく疲弊してるかも知れない。なら、同好会の皆が側に居てくれた方がきっと心強く安心出来るだろう。

 

 

「分かった。隊長には俺の方から話通しとくよ」

《うん、お願い!まあ、もう向かってるんだけどね!》

 

 

 そんな会話をしてまた少し話した後通話を終了して歩夢の方を向く。

 

 

「同好会のみんな、こっち来るってさ」

「みんなが?」

「ああ。歩夢のこと心配してるんだよ」

「そっか……迷惑掛けちゃったね………」

 

 

 申し訳無さそうに目を伏せる歩夢。

 

 

「迷惑だなんてみんな思ってねえよ」

 

 

 同好会のみんなは心優しく、歩夢のことを迷惑だなんて微塵も思ってないだろう。翔琉はその肩を軽く叩いて気にするなと言うが、彼女の心はとてもモヤモヤしてい。

 

 

「ねえ、翔琉君。どうしてさっきはあの子を追いかけて行っちゃったの……?」

「どうしてってほら、俺Xioだし」

 

 

 ウルトラマンだから、とは言えないのでXioだからと言う翔琉。

 

 

「でも、翔琉君前に言ってたよ?自分は危険なことはしないって。なのに翔琉君、毎回怪獣が出たりしたら走って行くよね?どうしてなの?なんでそんな危ないことしに行くの?」

「いや、それは……」

 

 

 危ないことはしないと言ってくれた筈なのに、彼はいつも危険な場所へと自ら突っ込んでいく。それが歩夢にはどうしても許容出来なかった。翔琉の手を握り彼女は詰め寄る。

 

 そして翔琉はそれにどう答えるべきか考えるが、最適と思えるものが浮かばない。ウルトラマンであることを話せば彼女はより不安になるだろうし、かと言って他に良い言い訳も思い付かない。歩夢の握る力が少し強くなる。半端な理由では彼女は決して許してくれないだろう。彼女をどう納得させれば良いか……。思考を働かせていたその時、医務室の扉が勢い良く開いた。そしてそこからマウナが廊下に飛び出して来る。

 

 

「おま、どうしたんだよ?」

「………来る……アイツが……!?」

 

 

 窓から空を見る彼女。その目は恐怖と怒り、様々な感情がぐちゃぐちゃに混ざり合っている様だ。

 

 

「来るって……何が……?」

「どうしたの!?」

 

 

 そこに紗季と陽花、そして沙優が来る。

 翔琉達の方を向き、マウナは震える唇を開いて答えた。

 

 

「ガーゴルゴン……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 東京上空、そいつはそこに大きな影を作っていた。二又の尻尾を震わせ、両肩より伸びる二つの蛇が牙を剥き、強靭な二本の角を持つ。蛇の魔獣と云うべきその怪獣は、轟音を立てて大地に降り立った。

 

 

 咆哮が街に響く。そして両肩の蛇から稲妻を放って建物を破壊し始めた。突然現れた怪獣に街を歩いていた多くの市民はパニックとなり逃げ惑う。崩れ落ちる瓦礫が人々を襲い傷付ける。それを見て、怪獣は面白がるかの様に喉を鳴らした。

 

 

 悪虐非道、残忍酷薄、冷酷無惨、封豕長蛇。

 この怪物こそ、惑星ゴールドを滅ぼし、マウナの宇宙船を破壊して乗っていた彼女の兄と仲間達を殺した魔獣ガーゴルゴンなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基地内に警報が鳴り響く。ガーゴルゴンの出現を知らせているのだ。

 

 

「これって……!?」

「ミキリ、ミハネ!」

《怪獣が出たよー!》

《基地に向かってるよー!》

 

 

 外を見ると、こちらに向かって進撃して来るガーゴルゴンの姿が視認出来た。

 

 

「何だよあの怪獣!?」

「ガーゴルゴン……私の星を滅ぼした怪物……」

「貴女の星……惑星ゴールドを!?」

 

 

 奴を見ながらマウナは頷いた。高度な文明を持つ惑星ゴールドを滅ぼしたという事は、ガーゴルゴンは相当強力な怪獣であるだろう。青い稲妻を放って進行方向にある物を破壊しながら進むガーゴルゴン。それを見たマウナは沙優達の方を向き、一歩前に出る。

 

 

「お願い、ルディアンを返して!?あれが有れば、私はアイツと戦える!」

「ルディアンって、このスパークドールズのことっすか?」

 

 

 念の為に持って来ていたスパークドールズを彼女に見せる。

 

 

「うん。それに、ガーゴルゴンはそのルディアンにあるゴールド星のエネルギーを狙っているの。だから、私がルディアンに乗って離れれば、ここは安全になるわ」

 

 

 こう言えばきっと簡単に返してくれる筈。彼女はそう思いルディアンにへと手を伸ばす。しかし、その手を翔琉が掴んで止めた。

 

 

「待てよ。あの怪獣、お前の星滅ぼしたんだろ?そんな奴に勝てんのかよ?」

「ッ……それは……」

 

 

 ハッキリ言って勝てる気はしない。母星でガーゴルゴンの強さ恐ろしさは嫌という程味わっている。それにルディアンは本来兄が扱う物であり、自分では完璧に使い熟せない。勝機はほぼ無いと言って等しいだろう。

 

 

「でも、やらなきゃ……それに、アイツらは兄さんの仇だから!!」

「あ、ちょっ!?」

 

 

 翔琉の手を振り払い、陽花からルディアンを奪い取った後、彼女は外へ向けて全力で走り出した。

 

 

「ま、待つっす!?」

「リュウジ、イヅル、ハヤテ!3人はマスケッティで出動!あの怪獣、ガーゴルゴンの進行を食い止めて!紗季!貴女は警察や消防と協力して近隣の避難を!」

「了解!」

《了解!!!》

 

 

 沙優の指示を受けて動き出すXio隊員達。そして翔琉もマウナのことを追い掛けようとしたが……

 

 

「ダメ!!」

「うお!?あ、歩夢……!?」

「行っちゃダメ翔琉君!!」

 

 

 背中から歩夢が抱き着いて来てそれを止めた。ここで止めないと彼はまた危険な戦場へ飛び出すだろう。何としてでも、彼をそこへ行かせたくないのだ。その力とても強くて少し痛く、あの優しい歩夢が出しているとは思えないくらいだ。

 

 

「絶対に離さない!!行って欲しくない!!」

「お、おいおい……!」

「もう危ないところに行かないで!?一緒に逃げよう!?お願いだから!?」

「いや大丈夫だって!何も危ないことしないから!」

「だったら私も一緒に行く!!良いよね!?」

「あ、それは……」

 

 

 そんなことは出来ない。言葉に詰まる彼を見て、歩夢はやはり危険な場所に行こうとしていること。そして彼が嘘を吐いていることを感じた。

 

 

「やっぱり……ずっと嘘吐いてたんだね……」

「歩夢……」

「何で……?どうして?何でそんなことするの!?私嫌だよ!!もう我慢出来ないよ!!」

 

 

 様々な想いが胸から溢れ出し止められない。自分の大切な人が嘘吐き、知らない所で傷付いているのが耐えらなかった。そして……。

 

 

 

 

 

「こんなの……翔琉君じゃ無いよ!!」

 

 

 

 

 

 一瞬、時が止まった様に感じた。絶対に言ってはいけないことを、今の翔琉を否定する様なことを言ってしまった。そのことに気付きハッとする歩夢。余りにも酷い台詞……止められない不安と恐怖が、それを言わせてしまったのだ。そのショックからか抱き着いていた腕の力が少しずつ抜けていく。

 

 

「………ごめんな」

 

 

 表情は見えないが、そう呟いた後に翔琉は歩夢の手を解き走っていく。彼を傷付けてしまった……そう感じた彼女は膝から崩れ落ちる。鳴り渡る警報も、隊員達に指示を飛ばす沙優の声も、自分を心配して寄り添って来た陽花の声も、今の彼女には響かなかった……────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 基地の外に出て、ガーゴルゴンまであと数百メートル程の地点に立ったマウナは右手に持ったルディアンのスパークドールズを見る。ガーゴルゴンは非常に強い。そんな相手に自分は勝てるのだろうかと不安が押し寄せた。

 

 

「違う、勝つんだ……絶対に……!」

 

 

 何が何でも勝ち、仇を討つ。そう胸に誓い、ルディアンを天にへと翳そうとする。

 

 

「だから待てって」

 

 

 が、その時背後から声を掛けられた。彼女を追って走って来た翔琉だ。

 

 

「翔琉……」

「俺にもやらせろよ。ちょっとイライラすることあったからストレス発散にな」

 

 

 首を鳴らしながらマウナに並ぶ。そして「苛立つこと?」とマウナは彼に聞いて来た。

 

 

「ああ、実はよ────」

 

 

 彼は今自分が何故苛立っているのかを話してくれた。それを聞いたマウナは意外そうな顔をした後、軽く笑った。

 

 

「何だよ?」

「ううん、何でも無い。……手伝ってくれる?」

「応よ。……やってやる」

 

 

 翔琉はエクスデバイザーを手に取りスイッチを押し、マウナもルディアンを構える。そして2人はそれらを空にへと突き上げた。青と金の猛烈な光が解放され、神秘の存在が大地に降臨する。

 

 

 

《X UNITED》

 

 

 

 ウルトラマンエックスと、メカ守護獣ルディアン。2体が暴れるガーゴルゴンの前に立ち塞がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ギロン

別名:大悪獣

身長:85m

重量:1万1千t

出典:映画「ガメラ対大悪獣ギロン」

 

 惑星テラに生息する怪獣。包丁に手足が生えた様な、地球の生物ではあり得ない姿をしている。意外にも戦闘能力は高く、頭部の刃はどんな物も切り裂く凶器であり、包丁である鎬の部分には手裏剣が付いていてそれを飛ばして攻撃。跳躍力も凄く、更には足の裏からはジェット噴射を行うことが出来て空も飛べる。見た目こそ奇妙だが、その力は強力で危険な怪獣である。

 地球に飛来してエックスと戦う。インパクトある見た目で翔琉を驚かせた。戦っている最中、ニセメビウスとニセツルギが乱入し混戦となる。最期はニセメビウスによってエックスへと投げ飛ばされるが、彼の放つゼノニウムカノンで爆散しスパークドールズとなった。

 包丁に手足の生えたデザインと一度見たら忘れられない怪獣ナンバー1と言っても過言では無いくらい強烈な見た目をしており、しかも本編では宇宙ギャオスを殺しガメラも苦戦させた強豪怪獣。平成ガメラに登場するレギオンのモチーフではと言われていたが、これはミーティングの際に対戦怪獣をどうするかの話題で「ギロンという訳にはいかない」と名前が出ただけ。ノベライズ版「小さな勇者たち〜ガメラ〜」では巻貝の一種がギャオス細胞を取り込んで誕生したGギロンが登場しており、映画版の方にもギロンを知ってる人が見れば思わずニヤリとしてしまう演出がある。因みに本作での重量は他怪獣と合わせる為に増加させている。

 

 

 

・ジャシュライン

別名:宇宙三面魔像

身長:60m

重量:6万t

出典:ウルトラマンメビウス 37話「父の背中」

 

 メビウスとヒカリに挑戦するべく宇宙からやって来たストリートファイター。誰にも負けたことの無い強豪で、その名はヒカリも知っていた。一つの身体に3人の人格があり、上から長男、次男、三男となっている。長男は腕の盾を変形させたブーメランで戦い、次男は素早い格闘戦を、三男は念力とバリアーを得意とする。それぞれの頭部のランプを光らせて放つ必殺技のゴールジャシュラーで相手を黄金像に変換し、勝利の証としてそのままコレクションにしてしまう。

 高い戦闘力でメビウスと未来、ヒカリとステラを追い詰め、一度はヒカリ達を黄金像にしてしまった。しかし彼らからナイトブレスを受け取ったメビウス達はメビウスブレイブとなってジャシュラインを圧倒。全てのランプが破壊されてヒカリ達も元に戻った。最期は地球の核を破壊する為に地底に潜ろうとしたがヒカリのホットロードシュートを受けて妨害され、メビウスのブレードオーバーロードで真っ二つとなり敗れた。

 メビライブ世界に存在していた宇宙人。メビライブ本編にジャシュラインが登場してなかったので今回登場を果たした。作者の蒼人氏曰く、本当はジャシュラインは出したかったらしい。宇宙人ではあるのだが、「ウルトラマンギンガ」に登場した際は怪獣と呼ばれていた。宇宙三面魔像という肩書きだがそういうタイプの宇宙人なのか、石像が意思を持った存在なのかについても詳細は明かされていないので、後者のタイプであれば怪獣と呼ばれていたのも納得がいく。

 

 





ガーゴルゴン襲来。
原作同様、強敵となるであろう怪獣に、エックスとルディアンはどう挑むのか?

そして不安の爆発してしまった歩夢。それを受けた翔琉は何を思ったのか……?

次回をお楽しみに……。

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