RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
とても4話目とは思えないタイトルですが、さっそくどうぞ。
Xio作戦司令室。そこで隊員達は昨日の怪獣デマーガと光の巨人ウルトラマンとの戦いをモニターで観ていた。
「ウルトラマン……。噂では聞いていたけど、まさかこの地球にも居たなんてね」
Xio日本支部の隊長である女性・
これまで出会った宇宙人から、ウルトラマンという存在は何度か耳にして来た。M78星雲・光の国と呼ばれる星の出身で、宇宙警備隊という組織を結成し全宇宙の平和を守り続けている存在であると。それをこの目で目撃する日が来るとは思っていなかったので、彼女はとても驚いていた。
「ザムザ、貴方はこのウルトラマンについてどう思う?」
沙優に問われた大柄な男、Xioの副隊長であるザムザ・ヘラクレスは、ジッとウルトラマンを見つめる。
「このウルトラマン、恐らく、戦闘に関しては、素人。そして、この日、初めて、ウルトラマンになった、かと」
「素人?でも、怪獣は倒してましたよ?」
「そうそう。しかも、スパークドールズに変えるっていう俺達じゃ絶対出来無い事やりやがったし」
ザムザの言葉に疑問を感じたのは隊員である
「このウルトラマンは最初、まるで自分の変化に戸惑っているみたいな動きをして怪獣に圧されていた。後半は戦えていたけど、その動きも何処かぎこちなさが残っているから。ですよね、副隊長?」
隊員の1人である
「いやぁー凄い……凄いッス!!」
キーボードを高速で打ってウルトラマンを解析しながら、ヨレヨレの白衣を着たあまり手入れされていない黒髪の女性・
「この光線には対象をデータ化した後圧縮し、スパークドールズに変えています…!光線に含まれている成分は地球上には存在しない未知の物…!それに肉体も明らかに未知なる物で構成されている……!やばい、これはやばいッス!!あ、涎が……」
滴る涎を拭き取る陽花。それを見てイヅルとハヤテが若干引いてる。
「このウルトラマンのデータをもっと解析出来れば、サイバー怪獣の実体化の実現も……!?」
「落ち着いて下さい水瀬さん」
溜め息を吐きながらそう言うのは
「やっぱり、ウルトラマンはこの世界にも居たんだ……!」
憧れの目でウルトラマンを見つめているのは
「あの日見たのは間違いじゃなかったんだ!」
「待て待て、お前がスパークインパクトの時に見たのと同じとは限らんだろ?」
「それは……そうかもだけど……でも、この世界にもウルトラマンが居るってちゃんと証明出来た!それだけでも十分ですよ!」
「やれやれ……何を言ってるんだか。まだコイツが味方かどうかも判別出来てないというのに……。そもそも、スパークインパクトのだって真実かどうか……」
Xioのラボチームのリーダーである小太りの中年男、シャマラ・シャマー博士が呆れ気味に溜め息を吐き汗を拭く。
スパークインパクトの際、東京で光の巨人を見たと証言する者が確かに居た。それだけで無く海外などの他の地域でも、白猿が現れ救ってくれた、巨大な亀が子ども達を守った、魔神像が動いた、琉球の守神が目覚めた、などの目撃情報があった。しかし、それは全て証言だけであって映像や画像などでの記録は一切残っていない。あの時、世界規模で電波障害が発生しており、カメラや携帯などの電子機器は使用不能になっていたのだ。また、事件のショックから幻覚を見る様になった人も多くおり、これらの証言もその一端ではないかと思われて来ていた。
「ウルトラマンって大きいねー」
「そうだねー」
「ミキリ達もこれくらい大きくなれるかなー?」
「ミハネ達ならこれくらい大きくなれるよー!」
皆がウルトラマンに付いて考察や意見を述べている中、オペレーターである
そんな時、巨大生物の出現を報じるサイレンが室内に鳴り響いた。
「原宿に巨大生命体出現したよー」
「タイプはA、映像をぉ……って、えーっ!?」
「嘘でしょー!?」
ミキリとミハネは驚いて声を上げる。
「どうかしたの!?」
「こ、これを見て!」
ミキリが映像を出す。そこに映されていたのは漆黒の巨人。黒いマントをはためかせたその姿は威風堂々としており、深き闇を纏っていた。
「な…!?」
「あれは!?」
「ば、ばばばばば、ばば、馬鹿なああああ!?」
ザムザとリュウジ、シャマラ博士も驚き、博士に至っては尻餅をつく程だ。そしてザムザは、モニターに映されたその暗黒の支配者の名を呟いた……。
「エンペラ星人……だと……!?」
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エンペラ星人が降臨する少し前。
スクールアイドル同好会のメンバーは原宿駅に到着していた。これからみんなで翔琉の服を買いに行く事にいつの間にか決定していたらしく、目的の店へと歩いて行く。
眉を顰めながら仕方なく付いて行く翔琉。時間も時間な事からか、帰宅する人が多く見られた。
「翔琉君、どうかした?」
周囲を見回しながら歩いていると歩夢が声を掛けてきた。
「いや、昨日あんな事があったのに、案外普通だなって」
彼の言う通り街の様子は、別の場所とはいえ怪獣が現れたという割に何時もと変わらない日常的なものだった。尤も、記憶喪失の彼が何時もと変わらないなんて言うのはおかしいだろうが。
「まあ、日本じゃ怪獣なんてそんなに珍しい事でもないからね」
「そうなのか?」
「うん。ていうか、今日先生が説明してたよ。ちゃんと起きて聞かなきゃダメだよ?」
「…………ごもっともで」
バツの悪そうに目を逸らした彼を見て歩夢は笑う。
そこにかすみが近付いて来た。
「翔琉先輩、歩夢先輩!何話してたんですかー?」
「かすみが可愛いなぁって話してたんだよ」
「ええっ!?そ、そんなぁ〜!もう、先輩ったらぁ〜!」
「嘘だ」
「ええーーっ!?先輩酷いですよぉー!?」
嘆くかすみ、それを見てケラケラと翔琉は笑う。
「先輩ほんとに性格変わったんですねぇ……」
「みんな言うだが、そんなになのか?」
「そうですよ。前はそんな風にかすみんのこと揶揄ってきたりしませんでしたもん」
「この前までの君なら、普通に怪獣の話してたってかすみちゃんに言ってるよ」
「そうなのか……」と呟いてから手を顎に当てる。
元々の自分。それは聞けば聞く程、今の自分とはかけ離れているものとなっており、全く想像がつかない。記憶喪失とはそういうものなのか?もしや、自分は本当は天地 翔琉ではないのか?
そんな考えが浮かんでいた時、背後から凄まじい爆音が鳴り響いた。
「何だ!?」
翔琉を始め全員が振り返るとその先に、漆黒の巨人が佇んでいた。怪獣……というよりは巨大な宇宙人の様だ。全身真っ黒で、羽織るマントも纏う鎧も黒い。威風堂々たるその姿は、まさに暗黒の皇帝と呼ぶに相応しい。異様なまでの威圧感を持ったその存在に、この場にいた誰もが息を飲んだ。
「宇宙人……!?」
「またぁ!?」
「と、とにかく逃げましょう!?」
せつ菜が先導し、全員逃げ始める。のだが……。
「あれ?翔琉君!?」
ほんの一瞬目を離した隙に、翔琉の姿が見えなくなっていた。歩夢に続いて気付いた他のメンバー達も周りを見回すが逃げ惑う人々ばかりで彼は何処にもいない。
「え、ちょ、先輩何処に行ったんですかぁ!?」
「何処にもいない……!?」
慌てふためくかすみと璃奈。そして歩夢も顔が真っ青になっている。
「探さないと!?」
「でも、このままだと危険よ!」
「果林さんの言う通りです……先輩の事は心配ですけど、私達も早く逃げないと!」
「で、でも!?」
果林としずくにそう言われるが歩夢は翔琉を探す為に逃げる訳にはいかない。
「もしかしたら翔琉君、人混みの所為で逸れちゃったのかも……」
「だったら、かけるんもアタシらのこと探してるかも!とにかく今は逃げよう!?」
「いくよ、歩夢ちゃん…!」
エマと愛、彼方の言葉に後ろ髪を引かれる思いになりながらも、翔琉がもう逃げていて後で合流出来る事を願いながら走り出すのであった……。
一方、彼女達から離れた翔琉はビルの裏路地に居た。そして出現した漆黒の巨人=エンペラ星人を見上げる。
「こちとらまだ変身して間も無いってのに………上等だコラ…!」
変身アイテム=エクスデバイザーを取り出してその上部を押す。
《X UNITED》
「はああああああッ!!」
X状の光を放つエクスデバイザーを上に突き上げると更に強く輝いてそれが彼を包み、その姿を光の超人にへと変化させた。ウルトラマンエックスの登場である。
閃光を放ち切り揉み回転しながらエンペラ星人の前に着地。そしてエックスは奴にへと構えた。
「宇宙人ってやつか……何者だ?」
エックスの問いにエンペラ星人は答えず、左手に黒い闇の炎を纏ってそれをエックスへと放った。
「うお!?」
横に跳んで躱すエックス。炎は彼の背後にあった建物に直撃し、それを木っ端微塵に吹き飛ばす事になった。
「あッ!?てめえ……よくも!」
拳を握り締めながらエンペラ星人に突っ込んでいく。エックスは接近して素早くパンチをキックを繰り出しすが、それらは全て躱され受け止められ無効化される事になる。
更にカウンターの蹴りを喰らい、派手に吹き飛ばされてしまった。
「ぐおおお!?」
地面に叩きつけられたエックス。奴の蹴りの威力は昨日のデマーガの攻撃とは比にならない程痛烈である。
「ぐぅ……コイツ、強い……!?」
たった一発でかなりのダメージを受けた。この敵は自分よりも遥かに強いという事を、瞬時に理解させれた。コイツに勝てる可能性は低いだろうが、逃げ出す訳にはいかない。もし逃げれば、この街にいる歩夢達に危険が迫るのは間違い無いからだ。
蹴りを受けた箇所を抑えながらフラフラと立ち上がるエックス。そして再びエンペラ星人に構えた。
「二戦目からこのレベルとか……さてはお前、RPGとかやった事ない奴かよ?」
挑発する様に軽口を叩く。だがやはりエンペラ星人が答える事は無い。
「シカトとか……舐めるなよ!」
再度エンペラ星人に接近。痛みに耐えながら先程よりも苛烈に攻撃を繰り出していく。しかしそれらも全て捌かれてしまう。全く動かずに、どんな攻撃も容易く無効化されてしまう始末に、エックスは奥歯を噛み締める。
このまま続けてもまともに触れる事すら叶わない。そう考えたエックスは後方に跳んでエンペラ星人との距離を開ける。そして両腕を大きく振り被り、必殺の構えに入った。
「ザナディウム光線!!」
腕をクロスして放たれた熱光線はエンペラ星人に直撃。これで一気に片を付けるつもりなのだ。
しかし…………。
「な……!?くっ……!」
エンペラ星人は胸に光線を受けても全く動ずる事無く立っている。表情は読めないが、まるで余裕とばかりに首を回す。
「ふざ……けんな!!」
力を込め、凄まじい熱量の光線を放った。何としても奴を倒す為に、エックスは出せる力を振り絞る。そうして光線を放っていると、胸の青いタイマーが赤く点滅して鳴り出した。それはまるで彼に対して危険を警告している様だ。
だがエックスは光線を止める事無く、より力を込めていく。
「うおおおおおおおおお!!!」
全身全霊の攻撃。…………しかしエンペラ星人は、左腕を振ってそれを打ち消してしまった。
「嘘だろ……!?うっ…!?」
驚愕するエックス。光線の照射によりエネルギーを大量に消耗した彼はふらついて膝を着いた。胸のタイマーはより激しく点滅し鳴っている。
肩で息をするエックスを見下すかの様な仕草をした後、エンペラ星人は右腕に闇を溜めていく。
「不味ッ……」
やられてしまう……。そう思ったエックスはどうにかしなければと立ち上がろうとするが、それよりも早く闇が放たれた。
「があああああああああッ!!??」
闇はエックスの胸を貫き、悲痛な絶叫が辺りに響き渡る。そして彼はゆっくり倒れながら、光となって消滅した……。
エックス敗北。そしてスパークインパクトについても少しだけ触れた4話となりました。
エンペラ星人ですが、この個体は怪獣カプセルで召喚されたもので本来のエンペラ星人よりは弱体化してますが、それでも大抵のウルトラマンが独りで勝てる相手ではありませんご。
果たして彼はそんなエンペラ星人に勝てるのか?
次回もまたお楽しみに。
感想、質問、高評価、その他、是非お待ちしてるんご。