RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
大変遅くなりました!!!!
「んっ……美味いなこの饅頭」
「でしょー!穂むらの名物、ほむまんだよ!」
あの後、翔琉達は穂乃果とμ'sのメンバーに連れて来られて彼女の家に来ていた。というのも、あそこで大声を出した所為で周りの人達に気付かれてしまいちょっとしたパニック状態になった為、何とか抜け出してここまで来たのだ。穂乃果の家は穂むらという和菓子屋を営んでおり、出された和菓子は絶品で翔琉達は舌鼓を打っていた。
「それにしても、まさかあそこで虹ヶ咲のスクールアイドルに出会えるなんて思ってなかったよ〜」
「私達も、μ'sに会えるなんて思ってませんでした」
「そうだ!改めて自己紹介するね!私は高坂 穂乃果!2年生だよ!」
元気いっぱいな笑顔を見せて来たのはμ'sの発起人でありリーダーでもある高坂 穂乃果。
「南 ことりです。よろしくね」
「園田 海未です。私もことりも、穂乃果と同じ2年生です」
「俺や歩夢、せつ菜と同じか。よろしくな」
甘い声の持ち主であることりと、大和撫子という言葉の似合う礼儀正しい海未。2人が自己紹介をした後、1人の少女が元気良く立ち上がった。
「凛は星空 凛だよ!よろしくにゃー!こっちはかよちん!」
「こ、小泉 花陽です……!」
猫の様な語尾が特徴的な凛。花陽という少女から緊張しているが伝わってくる。
「西木野 真姫よ。……よろしく」
「あー!真姫ちゃん恥ずかしがってるにゃー!」
「なっ!?そんなんじゃないわよ!?」
真姫に戯れつく凛とそれを見て微笑む花陽。そのやり取りから彼女達の仲がとても良好だというのが分かった。
「にっこにっこにー!あなたのハートににっこにっこにー!笑顔届ける矢澤にこにこー!にこにーって覚えてラブニコっ!」
「………」
「………」
「こ、これがあのにこにーポーズ……!!」
「凄い……!」
「可愛いねぇー!」
にこの自己紹介に翔琉、歩夢が固まる。アイドルらしい可愛い自己紹介だが、いきなり目の前でやられれば無理もないだろう。一方、せつ菜、しずく、エマの3人は元々にこを知っていたこともあり感嘆の声を上げていた。
「どうかしたにこ?」
「え、えっとぉ……」
「いや、インパクトやべぇなって」
「そりゃあ、アイドルは第一印象大事だもの!しっかりとファンの記憶に残る様にしないとね!」
「へー、1年なのによく考えてんだなぁ」
「いや、にこは3年生よ!!」
小柄な体型だったので1年生かと思っていたが3年生だった。頬を膨らませるにこに翔琉は手を合わせて謝る。
「私は絢瀬 絵里。3年生で音ノ木坂の生徒会長もしてるわ。そしてこっちが……」
「んー……」
金髪碧眼のクウォーター、絵里。彼女が最後の1人の紹介をしようとしたが、その少女はじっと翔琉のことを見つめていた。
「な、何すっか……?」
「うーん……ちょっと君のこと、占っていいかな?」
「占い?」
うんと言ってから少女はタロットカードを取り出した。
「うちの占いは、当たるって評判なんよ?それに何だか君からは不思議な感じがするんよねぇ」
「そう、なのか?」
「そう。あ、うちは東條 希。よろしくね」
カードをシャッフルする。
「さあ、貴方のことをまた教えて」
柔かに笑う希に、翔琉は改めて自分のことを話す。名前、年齢、生年月日。記憶の無い自分に語れることは大したものではないが……。彼の話を聞いた希は山札を分け、カードをめくっていった。
「貴方は今、何か悩みを抱えている。そしてそれを誰にも言えていない……そうやろ?」
「悩みって、本当?」
「あー……当たってんなぁ……」
彼の今の悩み。それは作曲が上手くいかないことだ。何度も何度も同好会の為に良い曲を作ろうとしているのだが、どうもピンと来るものが出来ないでいる。何かが足りてない、そんな気がしてならいのだ。
そのことを、彼はここで皆に話した。
「今日もずっと音楽室にいましたが、とても迷ってたんですね……力になれずすいません……」
「ごめんね、翔琉君にだけ負担を掛けちゃって……」
「いやいや気にすんなって。これは俺のやるべきことなんだからさ」
「でも、相談くらいはして欲しかったですよ先輩」
「そーだよ!君だけが悩んで辛いのは、私達も悲しくなっちゃうよ……?」
「うっ……ごめん」
虹学メンバーのやり取りを見て微笑ましく思うμ'sのメンバー達。彼女達が心から彼を想い、彼も彼女達のことを本気で大切に想っているが伝わってくるからだ。μ'sや、以前共に歌ったAqoursにも負けない絆が、みんなの間にはあるのだろう。
「なあ、μ'sは誰が作曲してるんだ?」
翔琉がテーブルに少し身を乗り出してそう聞いて来た。それに対して真姫が「私だけど」と応えながら手を挙げる。すると彼は素早く真姫の前まで移動してその手を掴んだ。
「えっ、ちょ、ちょっと!?」
「頼む!作曲のコツを教えてくれ!」
「え、ええ!?」
μ'sはトップクラスのスクールアイドル。その作曲を担当している彼女なら、きっと何かヒントをくれると彼は思ったのだ。突然手を握られたことに驚き赤面する真姫だが、翔琉は気にせず迫っていく。
「翔琉君落ち着いて!?」
「は、破廉恥ですよ!?」
「え、あっ、すまねぇ、つい……」
歩夢と海未に止められて手を離す。彼自身作曲が上手くいかず焦っていての行動なのだろう。
「まあ、良いけど……。貴方、何の為に作曲してるの?」
「何のって、そりゃあ同好会の仲間の為だよ」
「それだけ?」
「へ?」
「本当に、それだけなの?」
じっと見つめてくる真姫。彼は同好会のみんなの為に良い曲を作りたいと思っているのでそれ以上も以下も無い。そしてそれを間違っているとも思ってないのだが……。
「それだけじゃ、きっと貴方が望む曲は作れないと思うわ」
「どういうことだよ、それ?」
「そこから先は自分で探すことね。そうでなきゃ意味が無いもの」
真姫は悪戯っぽく翔琉に笑う。それを見て、穂乃果と凛がポカンとしていた。
「真姫ちゃんが初対面の人にアドバイスしてる……!?」
「あの真姫ちゃんが……!?意外にゃ……!?」
「ちょっとそれどういう意味よ!?」
顔を赤くして2人に真姫は吠えた。一方で翔琉は顎に手を当てて考え込む。自分が望んでいるのは同好会のみんなにとって良い曲を作ること。それが間違っているのだろうか?どれだけ考えも、納得いく答えが今出てくることは無かった。
それから翔琉達はμ'sと連絡先を交換してから穂むらを後にした。その際せつ菜がμ'sの皆のサインをねだり、にこと花陽が彼女のサインを求めるという一幕があった。そんなことをしている時も翔琉はずっと考え込んでおり、彼のことを歩夢が心配を込めた瞳で見つめているのだった。
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明里は原宿にあるレディースブランドを扱っている服屋に来店していた。実は週末に翔琉と遊びに行く約束をしており、その時の為の服を選んでいるのだ。
深く悩みながら彼女は服を見る。何度も試着し、その度に店員は可愛い、綺麗、似合っていると褒めてくれるのだが明里は満足していない。せっかくの彼とのデートなのだから、いつもより、そして誰よりも可愛くしなければならないと考えていた。
「んー、なんか違うなぁ……。別のお店行こ」
試着室の鏡で見た自分。薄いピンクのワンピースを来た自分は可愛いのは間違いないのだろうが、まだ納得は出来ない。この店の目ぼしい服は粗方試したので、次は別の店で探してみようと思い、試着した服を脱いで自分の服を着る。そしてカーテンを開けて試着室を出ると……。
「やあ」
「死んで」
彼女の前に姿を見せたのはカタラ。にっこりと笑いながら現れたが、明里は一言罵倒した後その横を通り過ぎて去っていく。
「こらこら、服はちゃんと片付けないと」
明里が試着室に置きっぱなしにした洋服を拾い、それを店員に渡してその際ウインク。中性的で美しい顔立ちのカタラからそんなことをされた女性店員は思わず赤面してしまい、それを置いてカタラは明里を追った。
「そんなに邪険にしないでよぉ。泣いちゃうよ?」
「泣け。死ね」
「明里ちゃん、ボクに対してそれしか言わないよね?悲しいなぁー」
台詞とは異なり表情はヘラヘラとしており、それが明里を苛立たせる。コイツさえいなければ楽しい日になっていたというのに、本当に腹立たしい。
「そういえば、最近はスパークドールズもカプセルも使ってないみたいじゃないか。ファウストも死んだ……いや、捨てちゃったけど、これからは何もしないの?ウルトラマンは倒さないのかい?」
ここ最近は何もしていない明里に質問をぶつける。
「それはアンタもでしょ。何もしてないのに、いかにも自分だけ頑張ってますみたいな言い方するとか気持ち悪い」
「ボクだって頑張ってるんだよ?いろいろと忙しいし」
「忙しいならこっちに来ないでよ。本当気分悪くなるんだから」
「明里ちゃんで癒されに来てるんだよ」
「キモ。死ね」
早歩きでカタラから離れていき裏路地に入る。一応協力関係ではあるが、この男だか女だか分からない奴は心から気に食わない。一層のこと殺してしまうのも悪くないと彼女は考えていた。逃れようとする明里のことをカタラはやれやれとムカつく顔をしながら追いかけて来る。
「もうすぐさ、ボクの仲間達がこの地球に来るんだ。だから明里ちゃんにそれを教えようと思って」
「なら協力関係は終わり?殺して良いよね」
「いやいや、それは今後も続けていきたいなぁ。明里ちゃんにとっても悪くはない話でしょ?」
「アンタがいるだけで最悪なんですけど」
人気の無い路地の奥まで来たのでここで殺してしまおうかと思い、カバンに入れていたスパークドールズに手を掛ける。その時、甲高い奇声と共に、4人の異星人が彼女達の前に現れた……。
「キヒヒッ、こんな所に来ちゃ危ないよ、お嬢ちゃん達?」
「そうそう。怖ーい人がいるからなァァ」
「まあ、尤も俺様達は人間じゃ無いがなッ!」
「クククッ、その通り!」
ゲラゲラと笑うのはクカラッチ星、フック星人、レボール星人、マーキンド星人。彼らは明里達を捕らえて売り飛ばそうと考えているらしくジリジリと迫って来る。
「どっちも上玉だ……これは高く売れそうだぜ!」
「うっざ」
「やれやれ、困ったものだね。こういう人達は」
一歩前に出たカタラ。その身体から少しずつ闇が溢れ出していく……。
「待って」
「ん、何だい?」
「せっかくだし、コイツにやらせようか」
「コイツ?」
彼女の言葉の後に、闇の塊が2人と異星人達の間に現れる。そしてその闇より形を作られたのは、人型の不気味な異形の存在。漆黒の鎧を纏った身体、胸部と肩部には不穏に輝く赤い球体、そして同じく血の様に赤い目。天を貫く鋭い角。
ソレを前にした異星人達は、まるで光の届くことの無い深淵を覗いている様な恐怖を全身に感じた。先程までの軽薄な笑いはもう出て来ない。目前の圧倒的な存在に、彼らは指一本動かせず、視線も逸らせないでいた。今すぐ逃げなければ、死の確率が跳ね上がっていくだけだというのに。
「フフッ……フフフッ……アハハハハッ!」
カタラの笑い声が響く。それを聞いて正気に戻った彼らは震える脚を動かして踵を返し逃げ出す。急がなければ死ぬ、誰よりも速く逃げなければ。
だが、それを判断するには余りにも遅過ぎた───
「ひっ……!?や、やめ──ぎぃやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!??」
「助け──がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!???」
「ま、待っ──ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!???」
「そんな!?──あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」
鳴り渡る絶叫。引き千切る音、裂ける音、潰れる音、砕ける音。様々な音が裏路地で反響し、やがて止む。後にはもう、何も残っていない。
「フフフッ、そうか……
漆黒の異形を、カタラは楽しそうに見る。
「じゃ、私買い物の続きあるから」
明里が手を叩くと異形は消えた。そして彼女はカタラを置いて何事も無かったかの様にその場を去る。歩いていく彼女背中をカタラを見つめている。
「いやー、本当に……あの子は面白いなぁ……」
深い深い闇の色。混じり合い、奪った全て。
きっと誰にも気付かれない。
次回、キミの音を聴かせて
感想、質問、高評価、ここすき、その他、是非是非お待ちしてるんご!!