RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
先日、私も参加させて頂いてたコラボ作品「ウルトラのキセキ〜One More Sunshine Story〜」が完結を迎えました。
非常に素晴らしい作品に参加出来たこと改めて嬉しく思い、企画者であるがじゃまる様には心より感謝しています。
参加作品の中で唯一完結してないこの作品ですが、これから頑張っていくので是非応援よろしくお願いします。
世間では新ライダーリバイスが始まったり、ウルトラマンティガが配信解禁になったりと特撮が大盛り上がり。その勢いに便乗していきたいと思ってます。
さて今回の話ですが、一風変わったものとなってます。
60話、〇〇〇編……どうぞお楽しみ下さい。
いつもと変わらない朝。
いつもと変わらない空。
いつもと変わらない街。
その風景を眺めながら、私は歩く。今日も夏真っ盛りであり、強い日差しが降り注いでいた。けど時折髪を揺らしてくれる風は涼しく、決して不快な日では無い。
今日もまた、何かときめきに出逢えそうな気がして心が躍り、思わず笑ってしまう。
「どうかしたの?」
すると隣りを歩いている幼馴染が声を掛けて来た。
「んー、今日も良い日だなぁって思って」
「ふふっ、相変わらずだね」
私の言葉に幼馴染は笑顔を見せてくれる。幼い頃からずっと一緒だった彼女。私がどんなことを思っているのか全部理解してくれてるみたいだ。
「そうだ! 今日同好会の練習が終わったらみんなでクレープ食べに行こうよ!」
「もしかして、駅前に新しく出来たお店の?」
「うん!」
「良いよ。じゃあ、みんなにも伝えないとね」
スマホを出してみんなにメッセージを送る。するとすぐに返事が返って来た。「いいね!」、「賛成!」、「行きます!」、「楽しみ!」、「了解!」などなど、全員賛成してくれた。
「みんな来てくれるね」
「今から楽しみだなぁー」
「じゃあ、いっぱい練習してお腹空かせないとね」
「そうだね。だったら───」
笑い掛けてくれる彼女の手を私は握る。
「へっ?」
「学校までダッシュだぁー!」
「ちょ、ちょっとぉ!?」
その手を引きながら、私は彼女と共に走った。楽しみを待ち切れない。そんな気持ちが私の背中を押している様に感じて足が自然と動き出すんだ。
「ほら!急ごう歩夢!」
「もう、わかったよ侑ちゃん」
今日もときめきを求めて私の、高咲 侑の一日が始まった!
虹ヶ咲学園。東京のお台場にあるここが私達の通っている高校だ。そして学園のスクールアイドル同好会に、私も歩夢も所属している。と言ってもアイドルをしてるのは歩夢で、私は彼女や他のみんなのサポートをする裏方なんだけどね。
キラキラして最高にときめくスクールアイドルを応援するのが、私のやり甲斐になっている。
今は部室で、今後のライブについて話し合おうとしている。この前スクールアイドルフェスティバルという大きなイベントを大成功させた私達。次はもっとたくさんの人にスクールアイドルの魅力を届けることが出来るライブをしたい。みんなにも、たくさんのときめきを感じてもらいたいんだ。
「それにしてもこの前のライブ、最高だったね!」
「うん。みんなと繋がれて嬉しかった」
愛ちゃんと璃奈ちゃんがそう話していた。それからみんなも口々にこの前のライブの感想を話し始めた。みんなが輝いてたあの日の光景は、私の中にも強く残っている。
「そうだ! 写真部の子達からみんなのライブ写真送って貰ってるから見ようよ!」
私はスマホを出す為にカバンの中に手を入れた。あれ……?
「んっ? これ、何だろう……?」
カバンの中にあったのは見た事の無い変な機械。画面は付いているけどスマホにしては大きい。何かのおもちゃだろうか?そういえば小さい頃見たことのあるヒーロー物にこんなアイテムがあった様な……。というか、そもそも何でこんなの私が持ってるんだろう?
「ねえ、これ何だか分かる?」
歩夢に聞いてみた。でもまあ、知ってる訳がないか……。
「何言ってるの?ずっと持ってたじゃない」
「えっ?」
彼女からそう言われたけど、覚えは全然無い。こんなの見たの初めてだ。
「そうだよ、ゆうゆがXioに入った時から持ってたじゃん」
「じ、じお?」
初めて聞く単語に戸惑う。ジオって何?
私同好会意外に部活やってないし、バイトとかもしてない筈なんだけど……。何が何だか分かってない私のことを、みんなは不思議そうな瞳で見ている。
「侑先輩、何かおかしいですよ? どうかしたんですか?」
「コラかすみさん、そんなこと言わないの」
「けど、確かに何だか変ねぇ……。疲れてるのかしら?」
「あ、もしかして!」
せつ菜ちゃんが何か閃いた様に手を叩く。
「スクールアイドルフェスティバルについて考えてて、余り眠れてないとかですかね?」
「へっ? あー……確かにそうかも。すっごく楽しかったし、まだ余韻が抜けないっていうか……」
「余韻、ですか?」
「うん」
そう言うとみんなの顔がキョトンとする。え、私何か変なこと言ったかな……?
すると歩夢が心配そうに私を見て来て───
「何言ってるの侑ちゃん? スクールアイドルフェスティバルは秋だからまだ開催してないよ」
「………えっ?」
彼女の言っていることが一瞬理解出来なかった。
そんな筈は無い。だって私は……私達は間違い無くスクールアイドルフェスティバルを開催した筈……!
「この前のライブの時に出ようって決めたんじゃない」
「ゆうゆ、もしかして忘れちゃった?」
ライブの時にというのもおかしい。私がスクールアイドルフェスティバルを開催したいって思ったのはみんなで夏合宿をした時だから。
何かおかしい、何か変。
でも、私以外はそんなこと感じていないみたいだ。
「もしかして、待ち切れなくて夢見ちゃったとかぁ〜?」
「夢の中でライブって、まるで彼方ちゃんみたいだね!」
彼方さんとエマさんがそう言う。いつもならそれに対して笑ったり出来るんだけど、今はそんな余裕は無い。襲って来るとてつもない違和感が、私を支配しようとしている様で何だか気味が悪かった。
「違う……だって、私達は───」
スクールアイドルフェスティバルをやり遂げた筈。そう言おうとした時、身体の力がどんどん抜けていく感じがした。
「侑ちゃん?」
「あ……れ………?」
私はそのままテーブルに伏してしまう。力が入らない。瞼が重い。段々意識が遠退いていく……。
これ……何なんだろう……?
自分に何が起こっているのか、私には少しも解らなかった……─────
─────………んっ?
「おはよう、翔琉君」
「あ……おはよ、歩夢」
目を覚ますとそこは部室だった。俺はテーブルから身体を起こす。
「おはようって言っても、もうお昼だけどね」
「マジかよ」
時計を見ると確かに正午はとっくに過ぎていた。でも妙だな……俺、いつの間に部室に?
昨日は確かこの前のライブの動画と写真を整理して璃奈に送った後、少し作曲をしてから寝た筈……。そこまでは覚えているだが……。
「どうかしたのかけるん?」
「ん? いや、何か朝の記憶が無くてよ」
「え、先輩もしかしてまた記憶喪失になったんですかぁ!?」
驚くかすみ。ていうかまたとか言うなよ。
でもまあ、記憶が無いのは確かだ。今朝から今迄の記憶が抜け落ちてる……。一体何故だ?
考えるが、答えは出ない。
「大丈夫なの翔琉?」
「まあ、気分は悪くないし大丈夫っしょ」
「なら良いけど……」
周りが少し心配そうな顔してるけど大したことは無いだろう。身体も普通に動くしな。
「では話し合いを続けましょう」
せつ菜がそう促した。
俺が眠ってる間何の話してたんだろ?
「先日のスクールアイドルフェスティバル、大好評でした! それで多くの生徒から是非二回目をとの声が上がっています!」
…………は?
「大盛り上がりだったもんねぇ〜。遥ちゃんもまたやりたいって言ってたよ」
「愛さんもやりたい! 今度はもっと美味しいもんじゃを用意するよ!」
「次回はよりハイレベルな演劇を取り入れれたらと思います。せつ菜さん、かすみさん、手伝ってくれますか?」
「もちろんですとも! 今度も燃える様なステージにしましょう!」
「良いけど、今度はかすみん可愛いヒロインにしてよね?」
「私も、もっとたくさんの人と繋がりたい」
「そうだね! 私も次はもっともっとポカポカした気持ちになりたいな!」
「次も最高にセクシーで情熱的なステージを魅せなくちゃね」
「フフッ、今から次のスクールアイドルフェスティバルが楽しみだね翔琉君!」
俺はみんなの言っていることの意味が分からなかった。
「お、おい、待てよ」
「どうかした?」
「いや、先日のスクールアイドルフェスティバルって、どういうことだよ?」
「どうもこうも、虹学と東雲学院、藤黄学園のスクールアイドルと一緒に開催したじゃない。もしかして寝惚けてるのかしら?」
東雲……? 藤黄……?
果林からそう言われたが全く心当たりが無い。確かにスクールアイドルを調べていた時この2つの学校の名は見たが、関わったことなど無い筈だ。
それにスクールアイドルフェスティバルを開催した?そんな筈が無い。だって、開催されるのは秋だ。今はまだ夏なのだから有り得ないし、そもそもそんな記憶俺には無い。
みんなが俺抜きで開催した? それは無い。彼女達は決してそんなことはしない。
俺が忘れている? それも変だ。というか時期的にも今スクールアイドルフェスティバルが開催されるなんておかしい。
「歩夢」
「へっ? ちょ、翔琉君!?」
彼女の顔に自分の顔を近付けてじっと見る。もしかしたら、ここにいるみんなが異星人の化けた偽物って可能性もあるから。だが彼女から怪しい気配は感じない。それから愛、かすみ、果林、せつ菜、璃奈、しずく、彼方、エマと順に見てみたが、全員紛れもなく本物だ。
少しだけ違和感は感じたが間違い無いだろう。
「何がどうなってやがる……?」
明らかにおかしいのだが、それを認識してるのは俺だけ。自分だけが取り残されている様な奇妙な感覚に吐き気がしそうだ。
とりあえずこれを沙優さん達に伝えなきゃ……あれ?
「デバイザーが、無い……!?」
ポケットやカバンの中を見たのだが、エクスデバイザーが何処にも無かった。まさか、奪われたのか……!?
「なあ、俺のデバイザー見てないか!?」
「デバイザー?何それ?」
「ほら、Xioに連絡する時とかに使ってたやつだよ!」
ウルトラマンに変身する為の物、とは言えないからそう言う。実際彼女達の前で何度か使ったことあるし伝わるだろう。そう思っていたが……。
「じお?」
「何ですかそれ?」
「は、はぁ?」
全員初耳所か、Xioというものを今知ったと言わんばかりの反応をしている。俺がXioに所属していることは周知の事の筈だったのに。
一体どうして……?
「ほら、この写真見て」
俺が混乱していると、歩夢が1枚の写真を差し出した。そこには笑顔で写っている同好会のみんなと、他十数名のスクールアイドルと思わしき少女達。そして同じく、満面の笑みを浮かべた
「っ……!?」
いや、何だ今の?
ここに写ってるのは俺……? でも、そうでないとおかしい……。違う、そうだとするとおかしいんだ。
けど……いや……そんな筈は……。
頭の中でノイズが走る。そして身体がゆっくり沈んでいく。
「翔琉君?」
「何だ……これ………?」
異変が起きているのは解る。けど、それが何なのかが解らない。
感じた事の無い感覚を味わいながら、
「
と言っても、長い道の先は見えないが……。
その中には全て、同好会のみんなが映っている。そして彼女達を支えているであろう者の姿も。
けど、それは
おかしな映像がいくつも浮かんでは消えてまた浮かぶ。数で言えば女の子の方が多い。しかし男の子の姿もある。誰もが彼女達から明るい笑顔を向けられていた。
ふと気付く。
でもそれを認識出来た筈なのに、何も出来無いまま
目の前に扉が現れた。
先程までの道と同じく真っ黒な部屋の中心には、白い机がぽつんと一つ。そして、そこで1人の
「
【一つの歴史が生まれる時、同時に無限のifが生まれると言ったら、アナタは信じますか?】
どういうことだろうと
【例えばA、B、Cの三つの選択肢があり、その中でAを選んだ時、それとは別にBを選んだ世界、Cを選んだ世界、更に何も選ばなかった世界や、全て選んだ世界も同時に生まれるということです。そうやって世界は無限の可能性を広げていくのです。でも誰も、それを認知することは出来無い】
「
そんな
【この世界は複雑なのです。一つの正史が生まれた時、全く同じ
「
【世界は無限に分かれた。そして、有り得ない筈のモノまで混じり、混沌たる異聞がいくつも生まれた。有り得ない恐怖、有り得ない闘争、有り得ない破壊、有り得ない希望、有り得ない絶望、有り得ない結末。それは受け入れられ、拒絶されながらも有り続け、終わりを齎す。そこに生きる者達にとって恐ろしいデウス・エクス・マキナです。そうは思いませんか?】
【
「
自分の名前を口から出す。
「
自分の名前に
おかしい……おかしい……! 自分の中に、誰かがいる……? いや、自分に何かが重なっている。侵食とは違う。けど、絶対に良くないことが自分に起こっているのだけは理解出来た。
手を伸ばす。どんどん、どんどん、何かが遠ざかっていく。それは決して逃しちゃいけないモノ。だから
【まずは正史を一つ、異聞を一つ】
「
【誰、と聞かれても答えを持ち合わせてないのですよ。そうですね……ただ、これの名前だけは決まりました】
掌には先程まで捏ねていた粘土が、球体になった状態で乗っていた。
【魔デウス。それがこれの名前です】
魔デウス……それが
【胡蝶の夢という逸話があります。それはまるで今の
───胡蝶の妄執とでも呼びましょうか】