RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
いろいろあって執筆が遅れ、更にとある事による意欲の低下もあり一ヶ月以上待たせることになってしまい申し訳ありません……。
とある事については後書きにて話させて頂きます。
今回から新たな展開。
遂にあの兵器が完成することに……。
早速本編をどうぞ。
「ふぅ……」
狭いコックピット。そこに翔琉は座っていた。左右の操縦桿を軽く握り、足はペダルの上に添えてある。幾つものスイッチや計測器の備えられたその中で、彼は目の前のモニターを見ながら溜め息を吐く。
《聞こえるか、天地隊員?》
被っているヘルメットを通じて届く気に喰わない声。堂馬参謀のものだ。翔琉は舌打ちしたいのを我慢してそれに応答した。
「しっかり届いてるっすよ」
《なら良い。忘れるなよ? 今から貴様にやってもらう事は、我々にとってとても重要なパフォーマンスであるというのを》
「だったら自分達でやってくれませんかねぇ? こんな高校生に任せないでさ。職務放棄か?」
皮肉たっぷりでそう言うが、堂馬は鼻を鳴らすだけ。
《こちらで確認出来る限りシステムは全て正常だ。いけるな?》
「問題ゼロ。オールグリーンってやつ。てか、いけなくてもいけって言うでしょアンタは」
今さら自分が何を言おうが無駄だと理解してる翔琉は溜め息を再度吐いた。「わかってるじゃないか」と言ってくる堂馬への苛立ちも募っていく。状況はとにかく最悪で全部投げ出したい気分だ。
でも、それをする訳にもいかない。彼はぐっと右手でレバーを握り締める。
「やるしかねぇかぁ……」
軽く首を回した後、翔琉は眼前のモニターに目線を向けた。
「Cleared for take off。対怪獣特殊空挺機甲零号機ウルトロイドゼロ、出撃。………名前長いんだよこれ」
レバーを押してウルトロイドゼロを起動。人類の叡智によって誕生した戦闘ロボットは、翔琉の手で動き出した。
何故彼がこんな物に搭乗しているのか。その理由は話を遡ることになる────
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オペレーションベースX内の会議室で堂馬参謀によって集められたUNVERの重役達。その中のはXio隊長の沙優や副隊長のザムザ、そしてリュウジの姿もある。
堂馬が手元のスイッチを押すとモニターにあるものが映される。それを見て、UNVER日本支部長である北森達と沙優達は驚愕した。
「これは……!?」
「これこそ我々が開発した人類を守る究極兵器、対怪獣特殊空挺機甲零号機。通称ウルトロイドゼロだ」
かつてこの地球に僅かな時間ではあったが出現したウルトラマンゼロに酷似したロボット。それが格納庫に停泊しているのがモニターに大きく映されていた。ウルトラマンの姿をしたロボットに誰もが驚きを隠せないでいる。
「こんな物いつの間に?」
「先日現れたキングジョーを鹵獲、流用し、更にXioが保有していた過去に現れたウルトラマンのデータを基にして完成させました」
「まさか……」
「やってくれたわね……」
力説する堂馬に眉を顰める沙優。
以前、堂馬はXioのラボにあったウルトラマン達のサイバーカードと複数のスパークドールズを無断で持ち出したことがある。その件は堂馬が借用書を偽造したことにより有耶無耶になってしまったのだが、それらのデータを解析してこのロボットを造り出したのだろう。
「このウルトロイドゼロにはキングジョーに搭載されていたペダニウムエンジンを動力とし、装甲には超金属のペダニウム宇宙合金が使われています。武装は頭部より放つ中距離多目的高エネルギーカッター・マグネリュームスラッシャー、額からの対怪獣高出力メーザー砲のマグネリュームメーザー、腕部には高周波近接攻撃ブレード・マグネリュームブレード、4連装35mm多砲身回転機関砲・マグネリュームガトリング。それら以外にも多くの攻撃兵器を保有し、対怪獣高エネルギー防御システムのマグネリュームシールドというバリアにより防御面も抜かり無く、高い馬力と機動力を持ちます! 人造ウルトラマンと呼べるこの兵器、その力はウルトラマンに匹敵、いやそれ以上! これが人類を守護する最強の力なのです!」
高揚しているのが見て取れる堂馬。彼は更に言葉を続けていく。
「そしてこのウルトロイドゼロには、最強の攻撃兵器が備えられています。それがこちら!」
画面が移り変わり、映されたのは海に浮かぶ孤島と大きな円筒状の機械。中央には「D4」と記されている。
円筒の上部が点滅し起動したかと思うと、それから凄まじい量のエネルギーが放出し爆破。轟音と煙が収まった時、孤島は周囲の空間を巻き込んで跡形も無く消滅してしまった。
余りの威力に、目撃した者達は唖然としていた。
「これこそが異次元潰滅兵器・Different Dimension Deadly Destroyer ……D4です! そしてこれをウルトロイドゼロに搭載し、最強の破壊光線・D4レイとして放ちます! これさえ有れば、最早人類が怪獣や宇宙からの侵略者に恐怖し怯えることは無い! ウルトラマンの力に媚び諂う必要も無い!」
「待って下さい」
沙優が手を挙げる。
「これだけの威力、余りにも危険過ぎます。まさかこれを市街地で使用するつもりですか?」
「問題無い。D4レイはアンダーコントロールだ」
「ならそのエビデンスを見せて下さい」
「残念ながら最重要機密でね。見たければ手続きを行った上でまた来てくれ」
不敵に笑いながらそう言う堂馬。声を荒げたりすることこそ無かったが沙優もザムザもリュウジも、彼のその返答に不信感と怒りを覚えていた。
「この様な物を開発するという報告は聞いてなかったが……?」
北森支部長が口を開く。
「ええ。何せ慎重な計画でしたから。もしこの事が外に漏れて、ウルトロイドゼロが異星人に奪われるなんてことになってしまえばとてつもない損害が出ていたでしょう。それを防ぐ為にも私の直属の者達以外には機密とさせて頂きました」
「なるほど……」
「地球平和の為に仕方なかったことなのです。ご理解頂きたい」
地球平和の為という彼の言葉に嘘は無いのだろう。
北森支部長は堂馬参謀がまだ何の肩書きも持たない職員だった時代から彼のことを知っている。野心のあり強引な所もあるが、それも全て人類の為。タカ派な言動故に一部からは煙たがられたり非情な人物と思われたりもするが、人々の平和を守るべく粉骨砕身してきた男なのだ。
「明日、報道関係にこのウルトロイドゼロ完成を発表し、5日後に各人を交えて起動実験を行います。その許可を北森支部長から頂きたい」
「……良いだろう、許可する。それと一つ疑問がある」
「何でしょうか?」
「このロボット、誰が操縦するんだ?」
ウルトロイドゼロのテストパイロットを誰が行うのかを北森支部長が尋ねる。これだけの力なのだから生半可な者では務まらないだろう。彼の質問を受けて堂馬参謀は口角を上げた。
「問題ありません、適任者がいますので。入れ」
堂馬参謀がそう言うと扉が開き、ある者が入室して来た。
その人物を見て、沙優達Xioのメンバーは目を見開く。
「か、翔琉君!?」
入室したのは翔琉だ。頭を掻きながら、彼は堂馬参謀の隣りまで歩いていった。
「紹介しましょう。ウルトロイドゼロのテストパイロットを務める、Xioの天地隊員です」
「どーも」
「待って下さい!!」
沙優とザムザ、そしてリュウジが勢い良く立ち上がる。
「彼をテストパイロットにするなんて、そんなことは聞いていません! 一体どういうことですか!?」
「聞いてない? それはそうだろう。今言ったのだからな」
「事前の連絡も、隊長の許可も無くXio隊員を勝手にそんな危険な役をさせるなんて非常識ではないでしょうか?」
「彼は、まだ、高校生です。どう、考えても、おかしい」
「彼をテストパイロットにすることを、即刻取り消して下さい!」
大反対する3人。しかし、そんな反論など堂馬参謀は聞く気が無い様だ。
「Xioは所詮UNVER傘下の組織であり、私は貴様らの上官なのだ。一々許可など求める必要は無い」
「しかし!」
「それに許可なら、彼から貰っている。なあ?」
そう言って翔琉に目線を向ける。彼は溜め息を吐きながらも頷いた。堂馬参謀の言う通りということだ。
「そんな、何で……!?」
「そういうことだ。なに、ただのテストパイロットなのだから心配することは無い」
まともな物のテストパイロットだったらこんなにも反対はしないだろう。彼がやりたいと言うのならそれを尊重するのが一番なのだから。しかし、こんな危険の塊であろう兵器に搭乗させるなんてテストだろうが認められない。堂馬参謀の安全だと言う言葉を、沙優達は信じられないでいた。
「……天地隊員。本当に良いのかね?」
北森支部長が翔琉に聞く。
「ええ、良いですよ」
「な!? 翔琉君、貴方本気!?」
「すいません、沙優さん。でも俺なら大丈夫っすから」
そう言って沙優に対して翔琉は笑い掛けた。彼の表情に何かを感じた彼女は、もうそれ以上何も言うことが出来無いのであった……。
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基地での会議が終わり、翔琉はXioの司令室に来ていた。
彼がウルトロイドゼロのテストパイロットになると聞いたメンバー達が驚き集まっている。
「翔琉!? あの馬鹿みたいな兵器のパイロットやるとかお前正気か!?」
「危険ですので今すぐ辞退すべきです」
「あたしもそう思うっす! あんなの絶対やばいっすよ!」
「僕も考え直すべきだと思うよ」
「お兄ちゃん危ないよー!」
「お兄ちゃん怪我するよー!」
みんなが翔琉にテストパイロットをやるべきでは無いと説得するが、彼は手を振って笑いながら大丈夫だと言う。
「ほら、堂馬とかいうおっさんもただのテストだって言ってるし、そんな危ないことにはならないっすよ」
「あんな男の言うことなど信用できんわ!! お前、実験台にされとるだけだぞ!?」
「そうだよ! 堂馬参謀、絶対ろくでも無いこと考えてるって!」
翔琉の意思は硬い様で、テストパイロットを降りる気は無いらしい。そんな彼に沙優は何かあると感じていた。まだ短い付き合いではあるが、その胸の内を少しだけなら理解する事が出来る。
「翔琉君、ちょっといい?」
「え、はい」
彼女は翔琉を司令室から連れ出す。その際ザムザにアイコンタクトを送った。そして翔琉のことを自室へと招き入れる。
「座って」
「うっす」
室内のソファーに腰を下ろす翔琉。少ししてから2人分のコーヒーを持って沙優は彼の前に座った。
「どうぞ」
「ありがとうございます」
「………ここなら誰かに話を聞かれる心配も無い。外にはザムザが立っているわ。さ、何があったのか話してくれる?」
「さっすが沙優さん。全部お見通しって感じっすか?」
「貴方が分かりやすいのよ」
笑う彼女を見て頭を掻く翔琉。それから彼は何故こんな事になったのかを話し始めた……。
部活を終え、いつもの帰り道を歩夢と共に歩いていた時、あの男は数人の部下を伴い現れた。
「天地 翔琉で間違いないな?」
「そうだけど……アンタら誰?」
「私は堂馬 亥耶麻。UNVER警務局所属の参謀だ。以後、よろしく」
「参謀ねぇ……」
笑顔を向けて来る堂馬参謀。
何となく、本当に何となくなのだが、この堂馬という男からは嫌な予感がしていた。歩夢もそうなのか、翔琉の制服の裾を軽く握っている。
「君に少し話がある。悪いが時間を貰おう」
「今デート中なんだ、今度アポ取ってからにしてくれないっすか?」
「そう言うな、すぐに終わる。何ならデート代をくれてやろうか?」
「いらないっす。金にそこまで困ってないんで。アンタらが回れ右してどっか行ってくれればそれで満足っすよ」
軽口の飛ばし合い。堂馬参謀は不敵に笑っているが、後ろ部下達からはピリピリとした空気が飛ばされている。下手なことを言ったら彼らから鉄拳が飛んで来そうな気配であり、それを歩夢も感じているのか裾を握る手が強くなった。
そんな彼女を安心させる為に、翔琉は自分の手を彼女の手に重ねた。
「大の大人が、大勢で高校生囲って恥ずかしくないんっすか?」
「仕事だからな。致し方ない」
「UNVERってそんな仕事までしてんのかよ。かなりイカれてるな」
「貴様……! 黙って聞いていれば舐めた口を!!」
1人の部下が怒号を発して前に出て来る。それを堂馬参謀は手で制した。
「落ち着け」
「し、しかし!?」
「どれだけふざけた態度を取ろうが構わん。所詮子どもだからな。まあ、それも過ぎるとどんなしっぺ返しを貰うか分からんがな」
「おー、怖ッ。子ども脅すなんて碌でもねえなぁ。夜道には気を付けよ」
「良い心掛けだ。だが、気を付けるのが君だけではなぁ……」
堂馬参謀の視線が歩夢に向けられる。翔琉が従わない場合は、彼女に危害を加えるつもりなのだろう。いや、彼女だけでなく彼の周りにいる人達全てに狙いを定めている。そう感じた翔琉は堂馬参謀に対して鋭い眼光を飛ばした。
「俺以外に手ぇ出すんじゃねえぞ……?」
「君の態度次第だ」
2人の視線がぶつかり火花を散らす。
先に折れたのは翔琉だった。
「分かった分かった、分かりましたよ。話でも何でも聞いてやる。ただし、歩夢を家まで送った後な」
「良いだろう。逃げるなよ?」
「逃げるかよ」
翔琉は歩夢の手を引いて自宅方面に歩き出す。彼女が帰る途中で奴らに何かされない様にする為だ。
「翔琉君……」
「心配すんな。終わったら連絡すっから」
「うん……」
不安な彼女の心を落ち着かせる為に手を優しくぎゅっと握る。その心の内は、堂馬参謀達に対する憤りで燃え上がっているのだった。
「とまあ、こんな感じで……話に戻ったらあのヘンテコなロボットのパイロットやれって言われて、嫌々了承したってやつっす」
ウルトロイドゼロのテストパイロットにさせられた経緯を翔琉から聞かされ、沙優は頭を抱えた。
「そんなことがあったなんて……ごめんなさい」
「いやいや、沙優さんが謝る必要無いっすよ! 悪いのあの堂馬とか言うクソ野郎ですし」
「一般人を人質に取る様な真似をして命令を強要するなんてUNVERに務める者のすることじゃ無いわ。それに、こうなったのは私の思慮が足りなかった所為であるから」
謝罪する沙優であるが、翔琉自身は気にしていない。彼女やXioのメンバーに落ち度は無く、どう考えても悪いのは堂馬参謀だ。
「多分だけど、堂馬参謀は貴方の正体に気付いてる」
「まあ、そうっすよね……」
どうやって辿り着いたかは分からないが、堂馬参謀は翔琉がウルトラマンエックスであることに気付いている可能性がある。だから彼をこんな危険な任に着かせたのだろう。あの男は彼を本当の意味でテスト・実験台として扱うつもりなのである。
「一応聞かれても否定はしますよ。証拠みたいなの出されたらヤバいかもですけど」
「そうね……。そうなったら致し方無いわ。多分、彼も世間に公表することは無いとは思う。ウルトラマンを相当目の敵にしてたし、利用するだけ利用して……って考えでしょうね。そんなことは勿論させないけど」
「あははっ、頼りにしてるっすよ」
彼と彼の身の回りに居る人々、そして彼の生活を守らなければ。地球の為に戦ってくれている翔琉を道具扱いなど絶対にさせないと沙優は軽く拳を握った。
「あ、そうだ」
「何かしら?」
「一つ頼みがあるんすっけど……いいっすか?」
翔琉の頼み。それは彼女も予想していなかった事であった───
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そんなこんな、様々なことがあり翔琉は今ウルトロイドゼロを動かしている。基本的な操縦は足下のペダルや握ってる操縦桿で行うが、更にこのウルトロイドゼロには特殊な操作法がある。操縦者の脳波をヘルメットに備えられた特殊な装置が読み取り、パイロットの思考により人間に近い細かな動きやダイナミックな動きなども可能なのだ。これにより様々な状況に対して柔軟に対応することが出来る。翔琉が短期間で問題無く操縦出来る様になったのもこのシステムがあるお陰でもある。
「こんなシステムあんのなら、俺じゃなくても良かったじゃん」
《戦闘慣れしている者が良かったからな》
「はて……何のことやら……?」
戦闘慣れ……やはり彼がエックスとして戦って来たことを知っているのだろう。彼のデータを、直接取ろうという考えなのかもしれない。
《翔琉君……》
「おう、何だ?」
堂馬参謀のいる司令室には彼とその部下の他に沙優、ザムザ、紗季、涼風、そして虹学のスクールアイドル同好会の9人がいた。翔琉が沙優に頼んだことというのは、起動実験の場に彼女達を同席させられないかということ。
今回彼がやらされることは危険度が高く、歩夢にはもう知られているので隠したまま何かあったら不安にさせてしまうだろうと考え、敢えてみんなに全部伝えてこの場に連れて来ることにしたのだ。堂馬参謀の手の者が狙ってくる可能性もあった為、こうすることでXioの仲間達に守って貰えるというメリットもある。
因みにだが翔琉の自宅付近にはリュウジが居り、彼の母である優里香の護衛の為張り込んでいる。
《大丈夫なんですよね、先輩!?》
《私、凄く不安です……》
《私も……》
「心配すんな。すぐ終わらせて帰って来っから」
特に不安そうな1年生組に笑いながら声を掛ける。
《翔琉君、無茶しないでね?》
《危なくなったらすぐに戻って来なさいよ?》
《何なら、彼方ちゃんが変わろうか?》
「大丈夫だよ先輩方」
少々過保護な3年生達。
《最初はロボットのパイロットなんて羨ましいと思いましたが、現実だとそんなこと言ってられませんね……》
《かけるん、気を付けてね?》
《絶対、無事に帰って来てね?》
「わかってるって、約束だ。せつ菜もあんま気にすんなよ」
2年生達もいつもの活気が身を潜めている。
せつ菜はこの話を聞いた時、代わって欲しいと思っていた。しかしこれは危険を伴うことであり、そんなことを考えた自身の軽薄さを悔いていた。
《無駄話は終わったかね?》
彼女達と話していたところに堂馬参謀の声が割って入る。
「アンタと話すより100極倍有意義だったよ」
《これよりテストを開始する。ウルトロイドゼロの素晴らしさを、世界中に見せ付けるのだ》
「シカトすんなよ、クソが」
悪態を吐きながらレバーを握り直す。今回の試験ではターゲットとなるドローンを撃ち落としたり、飛行してその性能を見せたりといったもの。早急に終わらせて彼女達の所に帰ろう。
翔琉がそう思った時、警告音が鳴り響いた。
「何だ?」
驚きながらも即座に横のモニターを見る。そこには地図が表示され、6つ赤いポイントが点滅していた。
《翔琉君、怪獣が現れたわ!》
「やっぱりっすか……!」
《全部で6体、しかも全てがこちらに……というより恐らくウルトロイドゼロに向かって急速進行してます……!》
最悪の事態に顔を歪ませる翔琉。
《そこに居たら危険よ! 今すぐ戻って来て!》
《いや、それはならん》
沙優の戻って来いと言う指示に水を刺したのは堂馬参謀だ。
《天地隊員、ウルトロイドゼロで怪獣を殲滅したまえ》
《なっ……!?堂馬参謀、何を言ってるんですか!?》
戦いに行けという堂馬参謀の言葉に司令室にいる全員が驚き、翔琉も眉を顰める。
《ウルトロイドゼロの力を世界に知らしめる良い機会じゃないか》
《貴方は何を言ってるんですか!?》
《そんな危険なこと、させられる訳無いでしょ!!》
《そうだよ!!》
《翔琉さんのこと殺す気ですか!?》
《先輩に危ないことさせないで下さい!!》
沙優達も虹学の仲間達も堂馬参謀に対して猛抗議しており、司令室の凄まじい喧騒がコックピットの翔琉に届いていた。彼にそんな危険なことをさせない為に彼女達は全力で噛み付くが、堂馬参謀はその言葉など聞くつもりは無いらしい。
《黙れ!! これは命令だ!!》
彼女達を恫喝する堂馬参謀。
《やりたまえ、天地隊員》
「………」
《───彼女達に秘密をバラされたくはないだろ?》
翔琉だけに聴こえる様に声を抑えてそう言う。彼の言う秘密とは、翔琉がウルトラマンエックスであるということだろう。やはり堂馬参謀は知っていた様だ。
《さあ、行きたまえ》
「チッ……わっかりましたよ」
《か、翔琉君!?》
《何言ってるのかけるん!?》
「どうせ何言ったって聞かねえんだろそこ頭でっかちは。後であーだこーだと文句言われんのも面倒くせぇし、サクッと終わらせて堂々と帰って来てやんよ」
幾つかのスイッチを切り換えてテストモードから戦闘モードに移行し、レバーを握り締めペダルを踏む翔琉。まだ歩夢達に正体を知られる訳にいかないし、怪獣達の狙いがウルトロイドゼロとならば急いで此処からコレを離れさせて歩夢達や集まってる人達の安全を確保しなければならない。
戻るにしても確実にその間にいざこざして時間を食うだろうから、どの道戻るという選択肢は選べない。だったら、戦って怪獣達を倒すしか無いのだ。
余熱を放出後、ウルトロイドゼロは空へと飛び上がった。戦っても被害の少ない場所に移動する為である。
「みんな、心配すんな」
司令室にいる仲間達に向かって翔琉は言葉を掛けた。
「俺は必ず、帰って来る……!」
絶対に破れない約束を結び、翔琉は悪魔の兵器で怪獣達に立ち向かうのであった────
「フフッ、楽しそうなことになって来た」
空飛ぶウルトロイドゼロを、楽しそうな目で見る者が居た。カタラである。奴の右手には幾つかの怪獣カプセルが握られており、左手には2つのスパークドールズが握られている。
「あの玩具、使えるかもね」
細く笑んだ後、カタラは煙の様に姿を消す。
この戦いがあの王を呼び醒すことになるなど、この時誰も予測していなかった……────
怪獣に立ち向かう翔琉の乗るウルトロイドゼロ!
その圧倒的な力で怪獣を次々と撃破していく!
だがそこに現れるカタラ。何かを企んでいる様だが……?
激化し混沌としていく戦いの中、最強の力は目醒めさせてはならない王を覚醒させる……!
次回、王ノ咆哮
今、世界が震撼する───
先日、このサイトで執筆している剛奈という方からこの作品の話が盗作されるという被害を受けました。内容をコピペし、一部分を僅かに変えて投稿されてました。それだけでなく展開等も似通ったものが多数あり、更にこの方は私以外の作者様の作品も盗作して、それをまるで自分で考えたかの様な発言と共に投稿していました。
何度か注意や該当話を削除する様に感想等で声を掛けましたが全て無視してメッセージは削除されました。他の方や運営による対応を受けるまで謝罪も何も一切ありませんでした。作品が削除されようやく謝罪しに来られましたが、その内容も本当に反省しているのか疑わしいものでした。
盗作行為はやってはならない行為です。
こういった作品は自分で考えて作っていくからこそ意味のあり愛される作品となります。この様なことが二度と無い様心から願います。