RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
遅くなりすいませんでした!!!
目を開いた時、そこは真っ暗な世界だった。何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。完全なる闇の世界。右に左にと顔を向けるが、自分が今目を閉じているんじゃないかと思える程であり、前に進んでいるということだけが何となく分かる以外、自分自身の姿も見えず感じれない程の闇だった。
そこを只々歩いている。立ち止まろうにも足は勝手に動き、身体は前に進んでいく。
どれだけ進んだだろうか?
目の前にぼんやりとした弱い光が現れて形を作っていった。それは人型となり、こちらを見つめている様だ。そして更にその背後でこれまた
それは、自分がいつも変身している姿のシルエットに瓜二つであった。
─────
その名を呟く。だが自分が出した声もこの闇の世界では聞こえて来無い。
次の瞬間大きな光が霧散して、跡形も無く闇の中に消えた。驚いていると、その前の光の形も崩壊を始める。
止めなければ……。そう思い光に手を伸ばし走ろうとするのだが身体は動かない。いや、そもそも今の自分に本当に身体が在るのか?
奇妙な感覚が急に湧き出す。在るのか無いのか分からない胸の中で不確かなモノが渦巻く。
そして光は、ドロドロと崩壊し消えた。
残されたのは、在る筈の無いモノ────
目が覚めると、久々に見る天井が翔琉を迎えた。オペレーションX内の医務室の物だ。
数秒天井を見つめた後記憶を整理する。ウルトロイドゼロであのゴジラから逃げている最中、突然嫌な予感を感じ振り返ると、鮮烈な閃光と猛烈な衝撃を受け……。
「生きてる……か」
恐らくあれはゴジラの放った熱線なのだろう。死んでも可笑しく無い一撃。よくまあ生きていたものだと自分で自分に関心する。そんなことを考えていると扉が開いた。
「あ、翔琉君!?」
「目が覚めたのね、良かった……」
入って来たのは沙優と紗季。
「一先ず命に別状は無し。外傷は回復済。骨は折れてたりヒビが入ってたりしたけど、多分これもすぐ治るでしょうね」
「相変わらずとんでもな回復力っすね、俺」
「それが無かったら今頃死んでたわよ。その回復力と、貴方の咄嗟の判断力に感謝ね」
「咄嗟の?」
「覚えてないの?」
沙優から咄嗟の判断力と聞いて首を傾げる。
実はあの時、翔琉は反転してD4レイを放ちゴジラの放射熱線にぶつけ、その威力を減少させていたのだ。それにより直撃を避けられ、こうして無事生きてるという訳である。彼はそのことを覚えておらず、反射的にそれを行ったらしい。正に生死を分けた行動。気付くのが、D 4レイを撃つのがあと一瞬遅かったら……考えるだけでも恐ろしい。
山中に墜落していたウルトロイドゼロをマスケッティγで飛んで来たリュウジが発見し、UNVERの隊員達を呼んで彼の救助とウルトロイドゼロの回収を行ったのだ。
そしてゴジラはというと熱線を放った後、尾を返して海に戻っていったとのこと。
「あの最悪の兵器も、翔琉君の命を守ってくれたという点では感謝しないと……。尤も、アレさえなければこんな事態そもそも起こらなかったんだけどね」
「確かに」
「それと、みんなにも感謝しないとね」
右を見ると歩夢と愛、璃奈、彼方がベッドに寄り掛かって眠っており、次に左を見るとかすみ、果林、エマ、せつ菜、しずくが寄り掛かっていた。翔琉が眠っていた間、彼女達はずっと側に居てくれたのだ。
自分のことを想ってくれた彼女達の気持ちに胸が少し熱くなり、表情が柔かになる。
「それで翔琉君、貴方に話があるの」
沙優は真剣な表情で翔琉のことを見つめてきた。
「今回の件で貴方が危険な目に遭ったのはUNVERの、そして私達の責任。そのことをまず深くお詫びするわ。本当にごめんなさい」
「いや大丈夫っすよ。こうして生きてるんですし」
「そういう訳にはいないわ。守るべき子どもを、こんな目に遭わせたなんて大人として失格よ……。それで、翔琉君はこれからもXioに、UNVERに所属し続けようと思う?」
堂馬参謀の暴走により翔琉の身を危険に晒してしまったのは自分達の責任であり、そんな組織にいることを彼は嫌に感じてないかと沙優は聞いて来たのだ。今後この様な事は起こさせないと誓っているとはいえ、絶対に無いとは限らない。またいつか、UNVERが彼を命の危機に立たせてしまう様な事件の発生するかも知れない。彼が望むのであればXioを脱隊させ、普通の生活を送れる様にするつもりだ。エックスとして戦う事になったとしても勿論サポートはするし、そもそも出来る限り変身はさせずXioだけで全て対処していくつもりでいる。
これ以上、彼に傷付いてほしく無いと彼女達は心から思っていた。
「うーん……」
少し考える翔琉。
それから悪戯っぽく笑って彼女達の方を見た。
「続けます。ここで辞めるとか、何か中途半端で嫌だし」
「でも、良いの……?」
「あのおっさんは兎も角、俺Xioのみんなことは信頼してるし大好きっすから」
彼自身、これまで共に戦ってくれたXioの仲間達のことは心から信頼しており、同好会の皆と同様大切な人達であると考えている。そんな彼女達が心から謝罪しているのなら、それを受け入れてこれからも共に戦っていくつもりなのだ。
「俺はみんなと一緒に、大切なもん守っていくっすよ。その為にウルトラマンやってるんっすから」
「翔琉君……」
「ありがとう、翔琉君」
「いえいえ。ほら、みんな起きろ」
翔琉は眠っている皆の身体を揺すり起こそうとする。一番初めに歩夢が覚醒し、目を覚ましていた彼に驚き声を上げた。それに釣られ、他の者達も目覚めていく。
「翔琉君!」
「翔琉!」
「翔琉先輩!」
「よう、おはようさん」
「かけるん、怪我は大丈夫なの!?」
「ああ、もう平気だ。心配させたみたいでごめんな?」
彼が無事であると分かり彼女達はホッとして胸を撫で下ろす。
「あ、そういえばあのロボットってどうなったんすか?」
「あー、それなんだけどね……」
沙優はウルトロイドゼロが、そして堂馬参謀がどうなったのかを語り始めるのだった。
-------------------------------------------
「何故……何故なんだ……?」
自室にて、堂馬参謀は譫言の様に呟いていた。
ゴジラが去り、ウルトロイドゼロが回収された後、彼と沙優は北森支部長のもとに呼ばれた。そして彼から、ウルトロイドゼロの解体と、D4レイの破棄、これらの製造の永久凍結を告げられることになる。
当然堂馬参謀は激しく抗議した。これは必要な力だ。これを失っては地球を守ることが出来なくなる。だからウルトロイドゼロは残さなければならないと。
しかし、北森支部長がそれを受け入れることは無かった。
堂馬参謀はそのことに驚きより激しく抗議する。だが北森支部長が首を縦に振ることは無く、彼に対してこの件の責任の追及を始めた。
この世界では、ゴジラなど特定の怪獣を刺激し呼び覚ます様な兵器、エネルギーの開発、使用は禁止させれている。今回、堂馬参謀はその様な危険性は無いと報告をしていたが、実際は多くの地球怪獣、宇宙怪獣を呼び寄せゴジラの怒りを買うことになった。更に無茶な指示により翔琉に怪我をさせたことに対しても責任を取って貰わなければならない。多くの失態をしてしまい追い詰められる堂馬参謀であったが、それでも彼の想いは変わらなかった。
地球は我々の手で守らなければならない。これはその為の力だ。ウルトラマンなんかに頼っている現状では、いつ最悪の事態になるか分からない。ウルトロイドゼロは必要だと、
必死になって北森支部長に訴え掛ける。
傲慢で身勝手な彼の考えに、沙優はブチギレそうになるのを拳を握りながら必死で抑えていた。
どれだけ言っても理解してくれない北森支部長。堂馬参謀は遂にあのことを彼へと暴露する。
天地 翔琉は、ウルトラマンであると。
しかし北森支部長から返って来たのは予想してない言葉だった。
『それが、どうかしたかね?』
彼もまた、翔琉の秘密を知っていたのだ。そしてその上で翔琉をXioに所属させていた。
信じられなかった。何せこれは、UNVERがウルトラマンという不確定な要素を持つ存在を認め、地球防衛を任せている事に他ならないからだ。
その事実に衝撃を受け放心する堂馬参謀。北森支部長が処分が決定するまで自室で待機せよと告げ、続けて言葉を掛けて来たが彼には届いてなかった……。
「何故なんだ……!?」
遣る瀬無い気持ちを拳に込めてテーブルに叩き付ける。
地球は人類の手で守るべきなのだ。あの様な存在に任せるなど絶対に間違えている。何故それを北森支部長は理解してくれないのか?
こんな事では、人類は衰退していき強い力により滅ぼされてしまうだろう。そうならない為にも、ウルトロイドゼロの様な圧倒的な力が抑止力として必要なのだ。なのに何故それが理解されないのか、彼には分からなかった。
「地球を守るのは我々人類だ……。なのに、何故北森支部長はそれを理解しない!?」
本来、ウルトロイドゼロならゴジラだって倒せた筈なのだ。Xioの連中が撤退など余計なことを言わなければゴジラという最大級の脅威を排除出来たというのに……。
このままウルトロイドゼロが解体され、D4レイも無くなってしまったら、人類は脅威に対する対抗手段を失ってしまうことになるのだと彼は嘆いている。
奥歯を噛み締める堂馬参謀。地球と人類の為を思い尽力しているというのに、何故こうも自分の思想を理解出来無い者が多いのか?
今の彼にはXioも、強く信頼して来たUNVERも、全て愚かに思えて仕方がなかった。
「大変だねー、君」
突如声を掛けられて振り返る。そこに居たのは美しい顔をした、男性か女性か分からない人物。部屋は施錠されており、キーを使う中から開けない限り侵入は不可能で、更に外には彼が勝手に外に出ない様にする為の見張りがいる。なのに侵入することが出来るというのは、この者が明らかに普通の人間では無いことを物語っていた。
「貴様、何者だ? どうやってここに……?」
「そんなことはどうでもいいでしょ。あのロボット、作ったの君だよね?」
「……ウルトロイドゼロのことか? だったら何だというのだ? まさか貴様は異星人で、ウルトロイドゼロを奪うつもりか!!」
堂馬参謀は構えるがその人物は首を振る。
「違う違う。……アレは君が、地球を守る為に作った力。そうだよね?」
「ッ………そうだ。この星を、人類を守る為……怪獣や侵略者を殲滅する為の力だ。なのに、何故誰もそれを理解しない……!?」
悔しそうに拳を握り締める堂馬参謀。それを見ていたその人物は笑った。
「何がおかしい……?」
「理解してもらえないなら、理解させたらいいんじゃないかな」
「何だと?」
「君が証明するんだよ。あのロボットが必要だということをね。方法は簡単さ」
いつの間にか堂馬参謀の背後に立ち、耳元に口を近付ける。
「ゴジラを倒せばいい」
「ッ!? ゴ、ゴジラを、私がか!?」
予想外の提案に驚く。しかし、ウルトロイドゼロならばゴジラを倒すことは不可能では無い。そう信じている堂馬参謀の口角は少しずつ上がっていく。
「そうだ……そうだな……! 私がウルトロイドゼロを使い、ゴジラを殺せばいいのだ! そうすれば誰も認めざるを得ない! ウルトロイドゼロが、私が、この星を守る為に必要な力であるということを!!」
叫ぶ堂馬参謀。それを楽しそうに見ていた人物は指を鳴らす。すると周囲の景色が揺らぎ変わる。
堂馬参謀が居た場所。そこはウルトロイドゼロの目の前だった。
引き寄せられる様に、狂気の笑みを浮かべながら堂馬参謀はウルトロイドゼロに向かっていく。彼を移動させた人物=カタラはその背を楽しそうに見つめている。
カタラが暇潰しに呼び出したキングジョーのボディを流用し、Xioや翔琉達から横領したスパークドールズの怪獣、超獣、そして目の敵にしてるウルトラマンのサイバーカードの力を利用して製造されたウルトロイドゼロ。何処までも地球外の力の寄せ集めでしか無い物を地球の希望と呼ぶ、どうしようもない愚か者を……────
-----------------------------------------------
「やっほー、翔琉」
「お、母さんじゃん」
沙優と紗季が指令室に戻っていって暫くした後、翔琉の病室に母である優里香がやって来た。同好会の皆は彼女に挨拶をする。
「こんにちは、みんな。着替え、持って来たわよ」
「サンキュー」
「それにしても、こんな美少女達に囲まれてるなんて、貴方も罪作りな男ねぇ」
そう言って笑う優里香。そんなんじゃないのにと翔琉は思うが、歩夢達は満更でも無さそうだ。
「翔琉、貴方Xio続ける?」
この様なことがあったのだから、Xioを辞めたいと思ってないか優里香は尋ねて来た。しかし、翔琉の答えは既に決まっている。
「もちろん。まあ、みんな辞めろって言うかも知んないけど、俺は続けるさ。同好会もXioも全力で……は疲れるから上手い具合にやってくよ」
良い笑顔でそう言う翔琉。それを聞いて歩夢、愛、かすみ、果林も笑みを浮かべた。
「翔琉君らしいね」
「うん! かけるんはそうでないと!」
「そうね」
「でも、かすみんのことは全力で応援して下さいよ?」
他の者達は少し心配そうな表情であったが、彼の屈託の無い笑顔と4人の言葉を受けてきっと翔琉なら大丈夫だろうという思いになって来た。そして優里香も、優しい微笑みを彼らに向けている。
「そう。なら、頑張ってね」
「おう」
ぐっと拳を向ける。その時、大きな音が外から響いて来た。
「な、何!?」
「一体何が!?」
窓から外を見る彼女達。病院から遠く離れた場所から煙が上がっているのが見えた。
一体何があったのか……?
そう考えていた時、スマホに入って来た情報を見たせつ菜が驚きの声を上げる。
「た、大変です!?」
「どうしたんですか、せつ菜先輩!?」
「こ、これを見て下さい!?」
スマホの画面を見せて来るせつ菜。
そこに書かれていた情報とは、ウルトロイドゼロが出動したというものだった。
「このロボット、壊すんじゃなかったんですかぁ!?」
「沙優さんもそう言ってた筈だけど、一体何で……!?」
何が何だか分からなくて混乱してる同好会のメンバー達。翔琉は急いでエクスデバイザーを取り、沙優に連絡を入れる。
「沙優さん、何でウルトロイドゼロが!?」
《堂馬参謀よ……》
「えっ?」
《堂馬参謀が、ウルトロイドゼロを奪って無断出撃したの》
「はあぁ!?」
まさかの事態に驚く翔琉。軟禁状態であると聞いていた筈の彼がどうやってそんなことを成したのか。方法は分からないが、とにかくヤバい状況なのは間違い無い。
「俺もそっちに!」
《ダメよ、まだ怪我だって全快じゃないでしょ》
「でも!?」
《ここは私達に任せて。大丈夫、もう紗季達がマスケッティで向かっているわ。だからすぐにでも止めて───》
《大変だよー!!》
《大変だよー!!》
デバイザーの向こうからミキリとミハネの声が響く。その内容は恐るべきものであった………。
《ゴジラが出たよ!!!!》
《なッ……!? 嘘でしょ!?》
居ても立っても居られなくなった翔琉は通信を切ってベッドから降り、部屋を出ようとする。それに同好会のみんなは驚き彼を止めた。
「ちょ、先輩何してるんですか!?」
「悪いなみんな、俺行かなきゃなんねぇんだ」
「行くって、まさかあそこに!?」
「危ないよ、翔琉君!?」
彼がこれからもXioを続けていくことを納得したとはいえ、流石にこんな状態で出す訳にはいかない。何とかしてみんなは止めようとするが翔琉は彼女達を掻き分けてドアに向かっていく。
そんな彼の前に、優里香が立った。
「母さん……」
「………」
見つめ合う2人。その様子を見て同好会のみんなは一歩後ろに下がった。何か2人の間で、言葉に出来無い様な想いのやり取りが成されている様に感じたからだ。
暫く見つめ合った後、優里香は彼に笑顔を向けた。
「行ってらっしゃい」
「ああ、行ってきます。あ、晩飯はオムライスでよろしく」
そう言って翔琉は優里香の横を通り抜け、病室から出て行くのであった。
「い、良いんですか、送り出して……?」
しずくが不安そうに聞くが優里香は優しい笑みで「ええ」と言いって頷く。
「あの子なら大丈夫よ。だって……」
「だって?」
「………私の子なんだから」
--------------------------------------------
堂馬参謀はウルトロイドゼロを使い、人類の為にゴジラを誘き寄せ抹殺するべく進んでいく。
そのウルトロイドゼロに反応し、ゴジラは怒りの咆哮と共にまた上陸した。
そしてその混沌とした状況から人々を守る為に、翔琉は包帯を取って捨てエクスデバイザーでウルトラマンエックスに変身し飛び立つ。
《X UNITED》
それぞれの想いが、多くのものを巻き込みながら衝突するのであった─────
人類を守りたいという思いがどんどん歪んでいく堂馬参謀。
彼はウルトラマンダイナの権藤参謀、ウルトラマンギンガSの神山長官、ウルトラマンZのユウキ・マイ、これらのキャラクターを基にし、より過激なキャラにしています。果たして彼の乗るウルトロイドゼロは怒りと共に再び現れたゴジラを倒せるのか……?
次回、三体により大決戦。是非お楽しみに。
感想、高評価、質問、ここすき、その他、是非是非お待ちしています!