RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
遅くなりすいません!
短めですがどうぞ!
「まさかこんな事になろうとは……!?」
虹学校舎の壁に張り付き、窓からスクールアイドル同好会の部室を覗き込みながらソレは呟いた。その背には大きな光線銃が背負われている。この銃から出るビームは、命中させた者の肉体と精神の時を逆行させて幼児にする事が出来るのだ。
この異星人の目的は幼児化したスクールアイドルを母星へと持ち帰る事。こいつはスクールアイドルが大好きで幼児が大好き、なのでスクールアイドルを幼児化して拐おうと考えたのだ。
変態である。
その最初のターゲットとしてこの学校を選び、そして目論見通り虹学のスクールアイドル達に光線を当てて幼児化することが出来た。そのまま拐えば良かったのだがこいつは幼児となった彼女達に暫く見惚れてしまっていた。
変態である。
そんなことをしていると部室に翔琉と明里が現れ、更にXioの隊員まで来てしまって手が出せなくなり、今はこうやって隠れて気を伺っているという状態だ。
どうやって彼女達を連れ去るか思考するが他者が居ては非常にやり辛い。相手がXioの隊員となれば尚更だ。奴は困り果てて頭を抱える。
一先ずはチャンスを待とう。そう思い奴は一旦窓から離れるのであった─────
「ねーねー、かける君のママー」
「なーに、歩夢ちゃん?」
正座している優里香の膝に座っている歩夢が彼女に声を掛けた。
「かける君はどこにいるのー?」
「あの子なら今おつかいに行ってくれてるの。もう少ししたらこっちに来ると思うわ」
「ほんと!? じゃあ、帰ってきたらかける君と遊ぶー!」
にこにこと笑い両手を挙げる歩夢。身体も記憶も幼くなった彼女だが、幼馴染である翔琉のことはちゃんと憶えている様だ。楽しそうに優里香と話している彼女に愛としずく、せつ菜、かすみが近付いて来る。
「かける君ってだれー?」
「お友だちー?」
「かける君はね、あゆむの大好きなお友だちなの! 大きくなったら結婚するの!」
そう言って少し照れながらにっこりと笑う歩夢に、彼女達は「いいなー!」と口々に言う。幼くてもそこは女子、こういう恋愛の話題は好きなのだろう。キャッキャッと楽しく会話する彼女達を見て優里香は微笑んだ。
「あらあら、やっぱり女の子はおませさんねぇ」
「翔琉君と歩夢ちゃんって、そんな約束してたんですねー」
彼方を膝枕して寝かしている明里が呟いた。
「ええ。と言っても、当の本人は憶えてないみたいなのよねぇ」
「記憶喪失ですもんねー。こんな可愛い子との約束を忘れるなんて罪な男だなー」
「本当ねぇ」
彼方の頭を撫でる彼女のその顔が、ほんの少しだけ寂しそうに優里香には見えた。
「もしかして貴女………」
じっと明里を見つめる。彼女がちょっと戸惑っていると、優里香はにっこりと笑う。
「なるほど、貴女もなのね」
「へっ?」
「私は昔から知ってる歩夢ちゃんをほんのちょっとだけ贔屓してるけど、貴女のことも応援してるわ!」
「え、あ、いや……」
翔琉のことが好きだということをあっさりと看破されてしまい赤面。可愛らしい反応を見せる明里を見て優里香は改めて、何やかんや自分の息子はモテるんだなと実感し嬉しく思えた。
「せっかくだから聞かせてくれない? 貴女と翔琉の出会いとか何処が好きなのかとか!」
興奮しながら聞いて来る優里香。照れて頬を掻く明里は悪い気などしておらず、こんな母親もいるんだなと思い心が少し暖かくなるのであった。
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《X UNITED》
「オラァァ!!」
即座にエックスとなって、ダークメフィストの放った魔弾を腕を振り打ち消し構える。
ダークファウストに似ておりこちらを攻撃して来た存在。感じられる闇の力からしても間違い無く敵だろう。もしかしたら同好会のメンバーが幼児化している件も、コイツが犯人なのかも知れない。
「テメェ、何が目的だ?」
「目的……それハお前を殺スこトだ」
「チッ、そういうタイプかよ。あとお前も何か面倒臭ぇ喋り方だなァ」
ヤツの発している言葉は日本語なのだがノイズが混じっている様に聞こえるので非常に分かり難い。しかしファウストの時の様にその意味は脳内に伝わって来るという気持ちの悪いものなのだ。
苛立っているエックスを嘲笑う様に鼻を鳴らすメフィスト。それに対してまた舌打ちをした後彼は駆け出した。突き出される拳。メフィストはそれを左腕で防ぎ、仕返しとばかりに拳を放った。
それから2人の攻防が始まる。殴り、防ぎ、蹴り、躱し、また殴り、どちらも攻めの手を緩めることは無い。蒼雷を纏ったエックスの拳と、黒闇を纏ったメフィストの拳がぶつかり合って空気を振るわせる。エネルギーの余波が、地面を抉り木々を傷付けた。
「この……!」
一度距離を開き、稲妻の迸る手刀を振るう。しかしメフィストは右手に鉤爪・メフィストクローを出現させ、それを受け止めてしまう。
「何──ぐあっ!?」
一瞬動きを止めたエックスの腹部を蹴りが叩き込まれた。
数歩退がったエックスに、メフィストは更に爪を突き出し火花を散らせた。その威力を受けて彼は後方に吹っ飛び木に叩き付けられる。
「クソが……!」
「死ぬガ良イ」
「断る……っての!」
跳ねる様に突っ込み、メフィストに連続でパンチを仕掛けていく。しかしメフィストはそれすらも防御、回避し、逆に一瞬の隙を突いて爪が彼の腹部を裂いた。
奴の力は、ファウスト以上である。
「がッ!?」
怯んだエックスを続けてメフィストクローによる連続突きが襲う。後退しながらどうにか防ごうとするが、苛烈な攻撃は彼を追い詰め苦しめていった。
肩に、腹部に、胸に、爪による攻撃が入り彼の身体を傷付けていく。そして大きく振り上げた一撃が、エックスのことをまた吹き飛ばしてしまった。
「ぐああああ!?」
地面を転がるエックス。そして倒れている彼にトドメとなる一撃を放つ為に、メフィストは爪に暗黒のエネルギーを蓄積させていく。
「こいつ……!」
「終ワりだ……地獄に落ちロ」
突き出されたメフィストクローより放たれたハイパーメフィストショット。闇の光線は一直線に向かい、爆発を起こす。
煙が舞い、それが晴れた後には何も残されていない。どうやらエックスは逃げてしまった様だ。
「あーあ。逃げられたみたいだね」
メフィストの背後に現れたのはカタラだ。微笑みながら近付いて来て、メフィストの肩に手を置いた。
「何故俺二、奴を襲ワせた……?」
「そろそろ彼が何なのか、はっきりさせなきゃねって思って」
手を払い除けて聞いて来たメフィストにカタラはそう答えた。翔琉のことを襲ったのはカタラからの指示によるもの。
空を見ながら、カタラは言葉を続けていく。
「最初はウルトラマンに憑依されその力だけを手にし、本人の意識を眠らせている存在かと思っていた。でも何かおかしいんだよね、あの子。記憶が無いから問い正そうにも意味無いし、刺激でも与えたら何か分かるかなって思ったんだ。まあ、残念ながら何も分からなかったんだけどね」
「あはは」と笑うカタラ。メフィストはカタラの企みなどどうでもいいのか背を向けて去っていった。
「自分で聞いといて酷いなぁ。まあ、良いか。どうせ君はただの人形だしね」
「ねえ、何か大きな音したよね……?」
「うん、何だろう?」
どうやら先程の爆音が耳に入った生徒達がこちらに向かって来ている様だ。これ以上ここに居たら見つかってしまうだろう。
カタラはゆっくりと、笑いながら消えていく。翔琉にはどんな秘密が隠されているのか。その答えを楽しみにしながらカタラもこの場から去るのであった────
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「くっそ……!?」
何とかメフィストから逃げる事に成功した翔琉は痛む胸を押さえながら校舎内を歩いていた。メフィストに敗北したという事に苛立ちを感じ、彼は奥歯を噛み締める。もし逃げるのが後一歩遅かったら……奴に命を取られていたかも知れないと思うと悔しさと怒りが込み上げて来た。
「一体何なんだよアレは……?」
突如襲って来たダークメフィスト。恐らくダークファウストと同類なのだろうが詳しい事は分からない。そもそもファウストだって結局何だったのか分かってないので仕方のない事だ。
とりあえず一旦部室に戻ろうと考え、翔琉は歩いていく……。
「どうする……? どうすれば……!?」
同好会のメンバーを幼児化させた異星人は肩を落としながら校内を歩いてるいた。子どもにしたスクールアイドル達を拐うつもりがこんな事になってしまい、どうするか思い付かず途方に暮れているのだ。
部室に突っ込んでも自分ではXioの隊員にやられてしまう可能性がある。それくらいに彼の戦闘能力は低い。
どうすればいいのか思い付かず、フラフラしながら彼は歩く……。
「だっ!?」
「うぎゃっ!?」
「痛ッ……すまん、うっかりしてた……───」
「いえいえ、こちらこそ……───」
「「は?」」
前をちゃんと見てなかった2人は衝突。そして顔を上げて互いに見合う事になる。
翔琉と異星人=ダダは予想外の鉢合わせをすることになるのだった────
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