RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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大変遅くなってしまいました……!!
待たせてしまった方、本当に申し訳ございません……!!

約1年半ぶりとなる最新話、楽しんで頂ければ幸いです。


72.膨ラム煩悶

 

 

 

 

 

 

 

 

 暴れるツルギデマーガ。奴が振るった右腕の刃によりビルが一棟、スパっと斬られた。斬られた部分が地に落ち、轟音と土煙を立てる。

 

 咆哮を放つツルギデマーガへ、駆け付けた3機のスカイマスケッティが攻撃を放つ。一糸乱れぬ隊列からの光子砲、散開し多方面からのミサイル。次々と攻め立てていくがツルギデマーガには通用しておらず、奴は血走った目をギラつかせながら火炎を放った。スカイマスケッティ3機は急上昇してそれを回避する。

 

 

「くっ!? これ本当にあのデマーガかよ!?」

「とんでもなく強化されてやがる……!」

「とにかく攻撃を続けるわよ! その内きっと、勝機が見えて来る筈!」

 

《CYBER BAKISIMU LOAD》

 

 

 紗季はサイバーバキシムのカードを読み込ませる。そして燃え盛る三角錐型のエネルギーミサイルをツルギデマーガへと放った。

 

 

「喰らいなさい! バキシムホーンミサイル!」

 

 

 ミサイルは回転しながら更に加速してツルギデマーガに真っ直ぐ進む。直撃すれば、大きなダメージを与えられるであろうと誰もが信じていた。

 ………しかし。

 

 

 

 

「はぁ!?」

「嘘でしょ!?」

「まじか……!?」

 

 

 ツルギデマーガは右腕の刃を振るいミサイルを斬り裂いて爆散、消滅させてしまった。こうも容易く無効化されてしまったことに、Xioの面々は驚きを隠せない。そこへツルギデマーガは、火炎弾を連射。そしてその内の一発が、紗季の乗るマスケッティγの右翼部に直撃した。

 

 

「きゃあっ!?」

「紗季ッ!?」

 

 

 コックピット内で火花が散る。機体は制御不能となり、大きく揺れ黒煙を吐きながら堕ちていく。

 このままでは地面に激突して機体は大破し、搭乗している紗季の命も無いだろう。最早どんな抵抗も意味を成さない。彼女は覚悟を決めて瞳を閉じた。

 

 

 

 しかし覚悟していた衝撃は来ず、揺れも収まり、代わって感じられたのは暖かな光。目線を上げるとその先にあったのは彼女達の頼もしき味方である巨人の姿。

 

 

「翔琉君!!」

 

 

 間一髪、エックスに変身した翔琉がスカイマスケッティγをキャッチして紗季を救ったのだ。

 彼はマスケッティを地面に優しく置き、手から波導を出して機体に着いていた火を消火する。これで機体が爆発する様な事は起きない。

 

 

「ありがとう、翔琉君!」

 

 

 礼を言う紗季に頷いた後、エックスはツルギデマーガに目線を移した。ツルギデマーガも彼に眼光を飛ばし吼える。

 

 

「デマーガか……これでやり合うの何度目だよオイ」

 

 

 拳を握り構えるエックス。互いに睨み合いながら、ジリジリと間合いを詰めていく。そしてエックスは大地を蹴ってツルギデマーガへと突っ込んでいった。ツルギデマーガは迎え撃つ為に火炎弾を放つが、エックスは跳躍してそれを躱してそのまま懐に入りパンチを放つ。突き出された拳が、奴の胸部に直撃。

 

 

「オラぁ!」

 

 

 更にラッシュを叩き込む。拳を何度も打ち付け、ツルギデマーガにダメージを与えるつもりなのだ。そしてフィニッシュとなるストレートが叩き込まれ、エネルギーがスパーク。彼はこれで吹っ飛ばしてやろうと考えた。

 

 しかし、ツルギデマーガには一切通用して無いのか、奴は微動だにしない。

 

 

「なっ……!? があッ!?」

 

 

 振るわれた右腕により跳ね飛ばされてしまったエックス。地面を転がるが起き上がり、再度構える。そこへツルギデマーガは熔鉄光線を放った。光線はエックスの胸部に炸裂し、彼は苦痛の叫びと共に吹き飛ばされてまた地を転がされる。

 痛みに耐えながら、どうにか彼は立ち上がるが……。

 

 

「ぐぅ……ッ!? な、何だ……?」

 

 

 不可解な感覚が身体中を這う。フラつき、まともに立つのが難しくなった。ツルギデマーガはそんな彼に向かって突進し、右の刃を振るった。

 

 

「がああああああッ!?」

 

 

 剣が身体を斬り裂く。と同時に、壮絶な衝撃がエックスを襲った。

 身体が切り刻まれぐちゃぐちゃになり、精神を掻き混ぜられ磨り潰され、肉体と魂を無理矢理引き剥がされ焼き尽くされる様な度し難い猛烈な痛み。自身に何が起こっているのか理解出来ず、ただ斬られただけでは有り得ない筈の激痛が彼のことを苦しめていた。

 

 

「ぐ、あああ……!? 何……だ、これ……!?」

 

 

 膝を付いてしまうエックス。混乱している彼に、ツルギデマーガの剣が再度襲い掛かる。

 

 

「がはッ!?」

 

 

 斬られた箇所から光が血の様に噴き出した。そして更なる激痛が全身を迸る。ただ斬られただけでは有り得ない痛み。

 毒か、何かの超能力なのか?

 そんなことを考える隙すら、今のエックスには無かった。

 

 

「翔琉ううううう!!」

「この野郎おお!!」

 

 

 ハヤテのα機とイヅルのβ機がエックスを助ける為に、ツルギデマーガの足下を撃った。火花と土煙が奴の足下で舞い上がり僅かながら後退させる。

 

 

《翔琉君、今のうちに逃げなさい!!》

《翔琉さん!!》

 

 

 紗季と陽花の叫ぶ声が頭の中で反響するが激痛は彼の思考能力を著しく低下させており、言葉の意味を理解出来ない。フラフラするエックスに、再びツルギデマーガが突進。

 

 

「ぐあっ!?」

 

 

 タックルを受けた彼は大きく吹き飛んでビルを押し潰しながら倒れた。胸のカラータイマーが激しくなり、彼の危機を警告するが、今のエックスにはそれすらも耳に入れる余裕が無い状態だ。

 

 ツルギデマーガが、エックスに鋭い眼光を向けて顎を開く。口内から火炎と黒い稲妻が漏れ、それが倒れている彼に目掛けて解放された。放たれた熔鉄光線は直撃し、エックスの肉体は弾け飛んで消滅するのであった……。

 

 

 

 

 

「ううっ……!?」

 

 

 瓦礫が散らばっているアスファルトの上に転がる翔琉。身体はボロボロであり、口から血が滴っている。

 苦しみ呻きながら胸を胸を抑える。強烈な痛みは今だに彼の肉体を支配しており立ち上がることが出来ない。

 

 一歩、一歩、ツルギデマーガがこちらへと近付いて来ており、その瞳は確実に翔琉を補足していた。

 腕の剣が振り上げられ、彼を刻もうとする────

 

 

 

 

 ─────が、その刃が下される事は無かった。飛び込んで来た何かが、ツルギデマーガを吹き飛ばしたのだ。翔琉を寸前で助けた正体は……。

 

 

「ゴモラ……!?」

 

 

 Xioのメンバーによって召喚されたサイバーゴモラだ。サイバーゴモラは吼えた後、再びツルギデマーガへと突進していく。対するツルギデマーガも、突撃された事への仕返しとばかりに刃を振り翳して突っ込んだ。

 

 ぶつかり合う2体の怪獣。翔琉は痛みに耐えながらそれを見つめていた。するとそこに、リュウジが駆け寄って来た。

 

 

「翔琉!」

「リュウジ、さん……!」

「全く無茶して!」

 

 

 リュウジに肩を貸されて逃げていく翔琉。その背後でサイバーゴモラとツルギデマーガは戦っていた。

 

 鎬を削る刃と爪。エネルギーを纏った爪をサイバーゴモラが突き出し、それをツルギデマーガが刃をクロスして受け止める。ツルギデマーガはそれを広げて斬撃を飛ばした。斬り裂かれたサイバーゴモラは火花を散らして後退。

 

 身体を震わせ、咆哮してからサイバーゴモラは踏み出し尾を叩き付ける。その一撃はツルギデマーガの頭部に炸裂し少しだけ怯ませた。奴は再度刃を振るう。サイバーゴモラは爪で防ごうとしたが、威力に耐えられず吹っ飛んでしまった。そして更に倒れた所へ、口より熔鉄光線を放つ。

 

 

「ッ……クソ……!」

 

 

 サイバーゴモラの悲鳴を背に受け、己の不甲斐無さを噛み締めながら翔琉はリュウジに連れられてその場を後にするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 虹ヶ咲学園の普通科二年生の教室。そこに明里はいた。スマホを使い、リアルタイムで起きているサイバーゴモラvsツルギデマーガの戦いをジュースを飲みながら見ている。

 

 

《これはこれはこれは。デマーガとは、久しいじゃないか》

「使ったのほんの少し前じゃん。おじさんみたいな事言わないで」

 

 

 背後に立つルギエルに対して気怠そうに言い放つ。

 

 

「………さっきの黒い雷、あれって何?」

《さあ? 少なくともメフィストでは無いねぇ》

「じゃあアイツ?」

 

 

 彼女の言うアイツとはカタラのことだ。確かに奴ならば怪獣を強化するなど難しい事ではないだろう。

 

 

《可能性はあるが、アレから感じられたのはもっと別のモノの様だったけどねぇ》

「別のって何よ?」

《ふむ……強いて云うなら……》

 

 

 手を顎に当てて考え込むルギエル。そして彼は呟く。

 スマホ画面内では、熔鉄光線を受けたサイバーゴモラが吹き飛ばされてビルを押し潰しながら倒れていた。

 

 

《虚無、かな》

「は? 何それ?」

《何だろうねぇ。残念ながら私には分かりかねるよ》

「あーあ、本当使えない」

 

 

 明里はルギエルに向かってジュースの空き缶を投げた。缶は奴の胸に当たり弾かれ床に転がる。

 

 

「もういいや。Xioも負けたみたいだし」

 

 

 スマホを見るとサイバーゴモラは消失し、ツルギデマーガは地面を掘って去ってしまっていた。もうやる事も何も無い。退屈した様に溜め息を吐くと、教室外からコツコツと足音が聴こえて来て────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三船 栞子は校舎内を見回っていた。数分前にここから離れた場所で怪獣が出現したという情報を知り、まだ学内に残っている生徒は居ないかを確認していたのだ。怪獣の出現箇所は離れてはいるが、念の為にと思っての行動である。

 

 

「おや?」

 

 

 栞子は足を止め、教室の扉を開いて中に入る。

 

 

「声が聞こえたと思ったのですが……」

 

 

 誰かの声が聞こえたと思い中に入ってみたのだが、室内には誰も居なかった。コロコロと転がる空き缶があるだけだ。栞子はそれを拾った。

 

 

「全く、ポイ捨てとは感心しませんね」

 

 

 どうもこの学園にはルールを守れない者が少なくからず居る様だ。はぁ……と彼女は溜め息を吐く。

 

 教室を出て、外にあった缶用のゴミ箱に空き缶を入れ、その後手に持っていたとある資料に彼女は目を通す。それはスクールアイドル同好会に関する資料であった。

 

 

「スクールアイドル……」

 

 

 資料を握る手に力が籠り、紙が軽くくしゃくしゃになる。

 

 

「そんなもの、認める訳にはいきません」

 

 

 彼女達の情報を見つめるその瞳には、執念とも呼べる様な強い想いが込められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 オペレーションXの作戦司令室。隊長である沙優のデスクの前に翔琉は立たされていた。彼の表情はかなり気不味そうだ。

 

 

「さて……何か弁明はある、()()()()?」

 

 

 沙優の命令に従わず翔琉はエックスに変身してツルギデマーガに戦いを挑み、結果負けた。その事を彼女から咎められたていた。

 

 

「私はツルギデマーガの解析が終わるまで変身して戦わない様にと命令した筈よ?」

「いや、けど俺が行かなかったら紗季さんが……!?」

「紗季を助けた事は感謝するわ。でも、その後の戦った事で下手したら貴方自身が死んでたのかも知れないのよ」

「それは! そうっ……かもだけど……」

 

 

 言い返せず言葉を詰まらせる翔琉。彼女の言う通り、一歩間違えればあの時命を落としていたかも知れないのは確かだ。

 とはいえ紗季や人々を守る為に必死に戦ったのにそう言われてしまうのは何処か腑に落ちない。

 

 

「貴方の力は私達にとって必要だしとても頼りにしてる。けれど、貴方が命の危機に瀕してまで戦うのは誰も望んでない。それに、上官の命令を無視して危険を犯すだなんて以ての外よ」

「っ……」

「命令違反の罰として10日間の謹慎を言い渡します。それとその間、これも預からせて貰うわね」

 

 

 そう言ってエクスデバイザーを翔琉に見せた。反論しようにも返す言葉が見つからない。只々従い、基地を後にするしかなかった。

 

 

 

 

 

 翔琉が基地から出た後、沙優は大きくい息を吐いて肩を落とす。

 

 

「少し言い過ぎなのでは?」

「そうですよ。翔琉君は、私のことを助ける為に戦ってくれたんですし……」

 

 

 イヅルと紗季がそう言う。彼が必死に戦ってくれていることは沙優も十分理解している。しかし今回の件を見逃す訳にはいかなかった。

 

 

「みんなの言う通りね」

「だったら……!」

「これを見て」

 

 

 彼女がデスクに置いた複数枚の紙。紗季達はそれを手に取って見る。

 

 

「これは?」

「あの戦いの後に検査した、翔琉の検査結果じゃ。ハッキリ言って普通じゃない」

 

 

 シャマラ博士の言う通り、診断書には体温、血圧、骨密度、心拍数、その他様々な数値や肉体のデータが記載されているが、そのどれもが無茶苦茶なものであった。

 

 

「普通の人間なら、というか普通の生物なら有り得ない結果。更に10分後に再度測定したら大きく違う結果が出た。余りの差に機器の故障すら疑ったわい」

 

 

 「そして……」と博士は続ける。

 

 

「これが今から30分前、最初の検査から約1時間後に出た結果だ」

「ん? これは……普通?」

「そうだ。一般的な男子高校生と何ら変わりない数値だ」

 

 

 だったら問題無いのではとイヅルやハヤテ、紗季は思うが、沙優やリュウジは眉を顰めていた。

 

 

「これだけの異常な結果を出しながら僅かな時間で普通と言える状態に戻り、今も問題無く動けている……」

「以前、エンペラ星人に敗れた時やゴジラにより倒れた時もこんな結果は出なかった。恐らくだがダークサンダーエナジーによる影響と考えていいだろう」

 

 

 突如地球に降り注いだダークサンダーエナジー。発生する条件や詳しい事はまだ解明出来ていないが翔琉の、ウルトラマンエックスにとっての天敵である事は間違いないだろう。

 

 

「ダークサンダーエナジーで強化された怪獣と翔琉君を戦わせる訳にはいかない。もしまた戦えば、彼の身体に今度はどんな影響が出るか分からないから」

 

 

 心苦しいが厳しい言葉を言い、デバイザーを取り上げてでも止めなければ彼は再び戦い危機に陥るのは間違いない。翔琉の事を思うからこその行動だったのだ。

 

 

「涼風、学校での翔琉君のことはお願い」

「分かりました」

「リュウジ、翔琉君の警護をお願い。貴方なら彼に勘付かれずに見守れるでしょ?」

「はい、任せて下さい」

 

 

 2人に翔琉の事を任せる沙優。

 そしてシャマラ博士、陽花にダークサンダーエナジーの解析、ミキリとミハネにツルギデマーガの探索、紗季、イヅル、ハヤテにツルギデマーガに備えての待機を命じた。

 

 何か状況が大きく変わろうとしている。そんな奇妙な気配が、誰の胸の中にも少なからず浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 夕暮れの道を、翔琉は肩を落としながら歩いていた。

 ツルギデマーガに呆気なく敗北し、命令無視して行動した事で沙優に窘められ、エクスデバイザーを没収されて更には謹慎まで言い渡されてしまった。

 

 

「はぁ……」

 

 

 生徒会再選挙で同好会の危機だと云うのにこんな事にまでなって泣きっ面に蜂とは正にこれだろう。大きな溜め息が出てしまう。

 

 これからどうしたものか……。頭を掻きながら増えた悩みをどうするかと考えていると、背後から声を掛けられた。

 

 

「翔琉さん!」

「ッ、せつ菜?」

 

 

 振り向くとそこにいたのは、眼鏡を掛け髪を結んだ中川 菜々としての姿をしているせつ菜であった。

 

 

 

 

 

 

 






ダークサンダーエナジー、翔琉に起こる異変、生徒会長再選挙、色々ありましたがもう少し続きそうです。次回もお楽しみに。

これからどうにか再開していき、エタらない様に頑張っていきますので応援して頂ければ幸いです。

それではまた次回。
感想、高評価、質問、その他、是非是非お待ちしています。

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