RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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またまたお待たせしました........!!


73.ソレゾレの意趣

 

 

 

 

 

 

 

 

 夕陽が照らす帰路を翔琉とせつ菜……いや、菜々の2人は歩いていた。

 

 

「まさか、せつ菜が生徒会長だったとはなぁ。いや、今は菜々って呼んだ方がいいか?」

「呼び易い方で大丈夫ですよ」

「なら、今は菜々だな」

 

 

 彼の言葉に菜々は微笑む。

 

 

「私の家は厳しくてアニメや漫画、それにスクールアイドル活動なんかは認められてないんです」

「そっか。それで、偽名使ってスクールアイドルやってるんだな」

「はい」

 

 

 彼女は「それに……」と言葉を紡ぎ。

 

 

「こうやってみんなに内緒にしてるのも、何だか変身ヒーローみたいでカッコいいかなって思えてるんです!」

 

 

 ドヤ顔でそう言う彼女に翔琉は笑ってしまう。彼女は所謂特撮ヒーローなんかも大好きなので実にらしい回答だ。

 

 

「まあ、何となく分かるな」

「えっ?」

「いや、何でもない」

 

 菜々の頭にポンッと手を置く。彼女は照れて笑った。

 

「翔琉さん、何かあったんですか?」

「へ?」

「いえ、何となく元気が無い様に見えましたので」

「あー……分かり易かったかぁ……」

 

 彼女の前では隠しているつもりであったが、バレバレだった様だ。少し困って頬を掻く。

 

「いや、何と言うかやらかしてしまってさ。俺はそうすることが一番だって思ってやったんどけど、ダメだったみたいで……。それで沙優さん……Xioの隊長から怒られて、暫く謹慎してろって言われちまった」

 

 笑って言ってるが何処となく辛そうだと菜々は感じた。

 

「理解はしてるさ、俺の行動が軽率だったって。でもやっぱ、不満みたいなのも腹の底に少しあってさ……。そんでちょっとウジウジしてたって訳だ。情けねぇよなぁ」

 

 

 紗季を助け、怪獣を倒す為に命令を無視して変身した翔琉。紛れも無い善意からの行動であったが結果は半分成功で半分失敗。否、なす術もなく敗れたことを考えれば失敗の比率の方が多いかも知れない。けれど紗季を助ける為に動いたのだからそこは認められてもいいのではないかと云う思いが彼の中に少なからずあり、それが気分を落とさせていた。

 

 

「少しだけ分かります、その気持ち」

「えっ?」

「私もそうでしたから……」

 

 

 菜々は語り始める。元々同好会は彼女とかすみ、しずく、エマ、彼方の5人で活動していた。大好きなスクールアイドル活動は順調に進んでいくと思われたが、皆やりたい事やなりたいスクールアイドル像がバラバラであり、次第に合わなくなってギクシャクし始める。彼女はどうにか纏めようとするが上手くいかず、自分の大好きを突き通そうとした結果他のメンバー達のやりたい事を抑圧しているのではと気付いてしまった。

 

 アドバイスするも導けず、最終的に活動を続けていく事は不可能だと感じて彼女は同好会から離れた。彼女が抜けた後、偶然にもしずく、彼方、エマもそれぞれの理由から同好会に来れなくなり、結果かすみだけが残ることになってしまう。

 

 

「大好きを突き通せば、たくさんの人と想いを繋ぐことが出来る。そう思っていたけど、実際は私の我儘で同好会にヒビを入れてしまいました……。今の翔琉さんと似てますね」

「そう、だったか」

「でも、そんな状況を救ってくれたも翔琉さんだったんですよ」

 

 

 優しく微笑んで彼女はそう言った。

 自分が同好会を崩壊させたと思い酷く後悔していた時、現れたのが翔琉だった。彼はかすみと共に仲間を集め、同好会を立て直してみせた。そして菜々=せつ菜のことも、快く受け入れてくれた。

 

 

「翔琉さんが居てくれたから、私は今またこうしてスクールアイドルを続けることが出来てます。貴方は私を救ってくれたヒーローなんです」

「ヒーローって、そんな柄じゃねぇって……」

 

 

 少し赤面してる彼の顔を見てまた彼女は笑う。

 

「フフッ。だから落ち込まないで下さい。翔琉さんの優しさは、きっとXioの皆さんにも伝わってますよ」

「…………ありがとな」

 

 彼女の言葉で心が少し軽くなった翔琉。これから彼女の再選挙だって控えているのだ。いつまでも落ち込んではいられない。

 

「よし、引き摺るのはもう終わりだ! 菜々の選挙もあるし、何時迄もウジウジしてらんねぇ!」

 

 パンッ!と両手で頬を叩き気合を入れる。そんな彼を見て菜々は優しく微笑んでお礼を言った。

 

 

「ありがとうございます、翔琉さん。皆さんの為にも必ず、この選挙に勝ってみせます!」

 

 栞子はスクールアイドル同好会を廃部にすると言っていた。せっかく再始動して楽しく活動出来てる同好会を守る為にも、今回の再選挙で負ける訳にはいかない。決意を込めて、菜々は拳をグッと握る。それを見て翔琉も拳を出した。

 

 

「力を合わせて頑張ってくか!」

「はい!」

 

 

 クロスタッチする2人。それぞれの想いを胸に、彼らは前へ進んで行くことを誓うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ─────18年前。

 

 

 

 

 

「おーい!」

 

 手を振りながら小走りする女性。その後ろから男性が慌てながら追って来る。彼女らの向かう先にいるのはカフェのテラス席に座っている1組の男女だった。

 

「ごめんなさい、待たせちゃったかしら?」

「いいえ、私達も今さっき来たばかりよ」

 

 走って来た女性・天地 優里香に対して上原 美優子が答えた。彼女の前には夫である上原 蓮二が座っており頷く。そして優里香を追っていた彼女の夫・天地 大翔が追い付いて来た。

 

「優里香、急に走り出さないでくれ」

「あ、ごめんなさい。美優子を見つけたからつい」

 

 笑う優里香。

 

「大翔さんの言う通りよ? もう貴女だけの身体じゃないんだから」

 

 そう言うと美優子は優里香の腹を撫でる。彼女には今、新たな命が宿っていたのだ。

 

「そんなこと言って、美優子だって同じでしょ?」

 

 優里香の言う通り、美優子の中にも小さな命があった。

 偶然にも、2人は同時期に妊娠をしていたのだ。産婦人科医曰く、出産予定日は同日になるかも知れないとのこと。

 

 

「お隣りに住んでる人がまさか同じ日に妊娠が分かって、しかも産まれるのも同じ日になるかも知れないなんて運命的ねぇ」

「本当よねぇ。仲の良い幼馴染になれるかしら?」

「もちろんよ! しかも私が男の子で美優子が女の子。将来的に結婚したりして!」

「それ良いわね!」

 

 

 盛り上がる2人を見て男性陣は気が早いなと苦笑いする。

 

 

「それじゃあ、行きましょうか?」

「そうね」

 

 

 今日は産まれてくる子達の為にベビーグッズを買いに行く予定なのだ。立ち上がり専門店へと向かって歩いていく4人。これから産まれてくる子達のことを思い、彼女達の心は踊っていた。

 

 

 他愛の無い会話をしながら足を進める。公園内の道を通っていた時少し前の方にボールが転がり、それを追いかけて来た5、6歳くらいの女の子が足を絡ませて転倒してしまった。優里香と美優子は、すぐさま小走りで女の子の元へと向かう。

 

 

「大丈夫?」

 

 

 彼女達がそう問い掛けると、少女は少し顔を顰めさせながらも立ち上がりパッと笑顔になった。

 

 

「うん! 平気だよ!」

 

 

 強くそう言う少女。見た所ケガはしてない様だ。

 転がって行ってたボールを大翔が拾って少女に届ける。

 

 

「はい、ボールだ」

「ありがとう!」

「泣かないなんて偉いぞ」

 

 

 蓮二の言葉に対して少女はボールを受け取りながら「うん!」と強く答えた。

 

 

「泣かないよ! だって私、お姉ちゃんになるんだもん!」

「あら、そうなのね」

 

 

 優里香に対してまた「うん!」と頷いた時、少女の名を呼ぶ声が聞こえて来た。

 

 

「さっちゃーん!」

「あ、ママ、パパ!」

 

 

 少女が振り向いた先にいたのは彼女の両親。母親のお腹は大きく膨らんでおり、近いうちに新たな命が誕生するのだろうと分かる。

 優里香達にまた「ありがとう!」と元気よくお礼を言った後、少女は両親の元へと小走り向かっていく。

 

 

「バイバーイ!」

 

 

 一度振り返り、手を振る少女。振り返しながら天真爛漫なその姿を見て、これから産まれてくる自分達の子もあんな風に元気に育って欲しいと4人は思った。

 少女を見送った後4人は再び歩き出していく。優里香も美優子も、自分の子達との未来を想いながら優しく腹部を撫で、大翔と蓮二は彼女達のことを必ず守って行こうと互いに目を合わせて頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 談笑しながら歩む彼女達。その様子を、空の上からカタラが見下ろしていた─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 虹ヶ咲学園の廊下を歩いていた菜々は一度足を止めて息を吐く。三船 栞子の宣言から数日、今日は公開討論の日であり、2人が生徒会長を目指す上で何を成していくのかを放送し全校生徒へ示す為のもの。

 自分が何をしたいのかは決まっている。そしてそれを伝える為の文も、仲間達と共に考えた。これはきっとみんなの心に届く筈だ。

 

 

「大丈夫……。私ならちゃんと出来る」

 

 

 この再選挙で負けたら同好会は廃部となってしまう。そうはさせない為にも、討論会で全校生徒に自分が生徒会長としてやっていけるという所を見せなければならない。

 少しある不安を呑み込み一歩進む。そんな時、背後から声を掛けられた。

 

 

「菜々」

「ッ、翔琉さん?」

 

 

 振り返った先にいたのは翔琉。

 

 

「なんか気になってさ。余計な心配だったか?」

「いえ、そんなことないですよ」

 

 優しくそう言うと彼は「そっか」と笑った。今朝部室で、昼休みにはみんなで討論会を聴いて応援しようと話していたが、彼は居ても立っても居られなくなったのだろう。

 

 この数日間、同好会のメンバーは彼女を助けたい一心から再選挙に向けて多くの準備をして来た。部室で話してた際は、文武両道で完璧過ぎる三船 栞子に対抗する為アニメのBlu-rayやラノベ、フィギュアを使って祭壇を作ろうなんて案も出てた。そんな仲間達のおかげで彼女の緊張は少し解れており、そこに改めて翔琉が来てくれた事でよりリラックスすることが出来た。

 

 

「ありがとうございます、元気を貰えましたよ。この討論会、私の想いをみんなに伝え切ってみせます!」

 

 

 グッと突き出される拳。そこには迷い無き意志が込められている。それに対して翔琉も拳を出して合わせた。

 

 

「ああ。菜々ならやれる。思いっ切り行って来い!」

「はい!!」

 

 向かって行く菜々の背を見送る翔琉。

 そんな翔琉を、窓の外から見つめる小鳥が1羽いた。変身生命体であるXio隊員・轟 リュウジが変身したものだ。沙優に頼まれて隠れながら彼のことを見守っていたリュウジ。そんな彼の脳内に声が響く。

 

 

《リュウジ、翔琉の、様子は、どうだ?》

 

 

 グレゴール人にしてXio副隊長のザムザ・ヘラクレスからのテレパシーだ。

 

 

「今の所、変わった様子はありません。学生らしく青春を謳歌してます。もっとも、少々大変そうですが」

《そうか……。苦労を、掛けるな》

「確かに事情があるとはいえ、仲間を偵察するなんて余り良い気分じゃない。けど、本当に苦労してるのはきっと翔琉の方です。仲間にこうやって見張られるなんて、嫌でしょう」

 

 

 仲間である翔琉にこんな事をしてしまっている状況を、彼らを始めXioのメンバーは快く思ってはいない。だがこうしなければならないのも事実。故に一刻も早く彼を解放し、普段通りの生活に戻してあげたいと思っていた。

 

 

《……昔、私の、友が、ウルトラマンと、闘った、ことがある》

「え?」

《彼は、言っていた。「あのウルトラマンの、強さの秘密は、仲間だ」、と。私は、その意味を、探し、この星に、辿り、着いて、そして、隊長と、出会った。お前と、少し、似てる、な》

「副隊長もそうだったんですね……」

 

 

 リュウジも過去にとある理由から母星を追放されてしまった友人達がいた。偶然にも別宇宙で再会出来た時、彼らは放浪の旅の末に辿り着いた地球という星の素晴らしさと、そこで暮らして行く思いを固めるきっかけをくれたウルトラマンについて語ってくれた。

 そのウルトラマンには頼れる仲間達がおり、自分達も地球でたくさんの友と出会うことが出来たと。

 彼らが語る地球に興味を抱いたリュウジは宇宙を旅し、そして宇宙であるミッションを遂行していた現Xio隊長の神山 沙優と出会う事になった。

 

 ザムザもリュウジも、地球とウルトラマン、そして地球で暮らしウルトラマンを助けてくれる地球人の仲間という存在に惹かれてこの星に来たのだ。

 

 

「俺は友が語ってくれたウルトラマンと同じ力を持ち、大切な仲間である翔琉のことを助けたい。彼の力になりたいです」

《それは俺も……いや、俺達も、同じだ》

 

 

 Xioの皆が翔琉のことを大切な仲間だと思っており、彼の力になりたいと心から願っている。きっと何があろうとも、変わらず彼の味方であり続けるだろう。

 

 

《ダークサンダーエナジーや、翔琉のこと、こちらでも、調査を、続ける。そっちは、頼んだぞ》

「了解です」

 

 

 食堂へと歩き出してく翔琉を追って、リュウジ(小鳥)は羽ばたいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 地底奥深くの、更に深い深いその先。そこには大きな世界が広がっていた。ホロウ・アースと呼ばれるこの超巨大な空間領域は怪獣の様な巨大な生物達にとっての楽園ともいえる場所。多くの怪獣にとっての故郷でもある。そして人類でこの世界を知る者はほんの一握りだけであり、別の星や宇宙から来る存在達でも知る者は数少ない。

 

 

 

 その場所で、ツルギデマーガは暴れていた。周囲に火球を撒き散らして地と森を焼く。後から後から湧き上がる怒りを吐き出す様に吼える。そんなツルギデマーガに、複数のスカルクローラーが襲い掛かっていった。ここは奴らの縄張りだったのだ。

 

 

 

 大きな顎を開き、鋭い牙を向け飛び掛かる1体のスカルクローラー。それに気付いたツルギデマーガは腕を振るい斬り捨てた。更に向かってくるスカルクローラーの群れを斬り裂き、焼き払い、尾で叩き、噛み砕き、踏み潰す。本来のデマーガならこの数のスカルクローラーに掛かれば難なく餌とされてしまうが、このダークサンダーエナジーで強化されたツルギデマーガはそうはいかない。逆にスカルクローラーの死体の山が無惨にも積み上げられていく。

 

 

 

 これ以上、手を出すべきでは無いと判断した残りのスカルクローラー達は反転して逃げ出す。まだ怒りの治らないツルギデマーガは逃げるスカルクローラー達に熔鉄光線を吐いて数体を焼き殺した後、その赤黒く濁った瞳を天に向けた。その先にある地上。そこで再び暴れて全てを破壊し尽くすつもりだ。

 

 

 

 大きく吼えてから地上へと続く道を目指して進み出したツルギデマーガ。それを見つめる1人の女性。

 コブラを連想させる衣装を纏い、手に鞭を持つその女はツルギデマーガを見て口角を上げた後、踵を返す。

 

 

 

「この星の全てを、我らの手に」

 

 

 

 そう言うと女は闇に包まれ消えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 闇の雷を受けて変質したデマーガは地上を目指す。終わる事無き憎悪と、消える事無き無の恐怖に狂いながら─────

 

 

 

 

 

 

 





久しぶりの虹Xいかがだったでしょうか?
次回、この作品と言えばのとある告知が出来たら良いなと考えております。

感想、高評価、質問、その他、是非是非お待ちしています。
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