RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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コラボ回6話目です。
今回から内容が翔琉寄りになっていきますが、コラボさせて頂いてる2作品をしっかり立てつつ、上手くやれればと考えています。

動き出すカタラ。それが齎す結末は何か?
ご期待下さい。





80.カタラの友誼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー………最悪」

 

 

 明里はカタラに連れられて、オペレーションベースXの付近にある森林に居た。

 何故自分がわざわざこんな所に来なくてはならないのか?

 それを考えると凄まじくイライラする。あんな奴の頼みなんか聞くんじゃ無かったと、今更ながら後悔していた。

 

 

《おやおやおや。そろそろ時間じゃないのかい?》

「うっさい。何で私があんな奴の言う通りにやらなきゃなんない訳?」

《まあまあまあ、一応約束だろぉ?》

「チッ…………ほんと最悪」

 

 

 明里は4つのスパークドールズを目の前に置く。それから懐より、1つのカプセルを取り出した。

 

 

「こんなのさっさと終わらせて帰るから」

 

 

 カプセルをスパークドールズ達に向け、彼女はその起動スイッチを押す。

 

 

《ウルトラマンベリアル……!!》

 

 

 光の生まれでありながら、強さを求める余り悪の道に堕ちたウルトラマン。圧倒的な闇の力を持ち、黒き王として畏れられる存在。最狂最悪の戦士・ウルトラマンベリアルの力が、カプセルから解放されてスパークドールズ達に注がれる。そしてそれはスパークドールズを2つずつ融合させ、2体のベリアル合成獣を生み出した。

 

 ゴモラとレッドキングが融合したスカルゴモラ。

 

 ゼットンとベムスターが融合したベムゼード。

 

 2体は雄叫びを上げ、オペレーションベースXに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「涼風、全職員に避難通告! ミキリは基地防衛システムの作動、ミハネはバリアーの展開! 急いで!!」

 

 

 沙優からの指示を受けて3人は即座に動く。そして陽花は早急に怪獣の解析を開始。

 

 

「どちらも以前現れたゼッパンドンの様に2体以上の怪獣やロボットを融合させた合成怪獣っす! 片方はゼットンとベムスター、もう片方はレッドキングと……ゴモラ!?」

 

 

 自身にとって大切な友と言って過言でないゴモラ。その同種の力を持つ合成怪獣に驚く陽花。

 

 

「スカルゴモラとベムゼード。よろしくね」

 

 

 カタラがモニターを指差してそれぞれの怪獣の名を告げる。二大怪獣は叫び、防衛システムに対抗。スカルゴモラは角からスカル振動波を放ち、ベムゼードは目からのテラービームで砲台を破壊していった。

 

 

「一応言っておくと、1人で勝てる様な相手じゃないよ」

 

 

 リヒトと一眞に視線を向けながらそう言う。暗に2人で行け、と言っているのだろう。どう考えても何か企んでいるのは間違いないが、強力な力で周囲を破壊しながら進んでくる2体を止めるには奴の言う通り2人で向かうしか無い。

 

 

「待てよ……」

「俺らの事、忘れてんじゃねえ……!」

 

 

 ハヤテとイヅルがジオブラスターを向けて再びカタラの前に立つ。強い衝撃波で吹き飛ばされた痛みはまだあるが、倒れている訳にはいかない。リュウジ、そしてザムザも立ち上がってカタラを睨んでいた。

 

 

「しつこいなぁ。なら、この子達と遊んでてよ」

 

 

 カタラが指を鳴らすと、複数体の鳥型怪獣が突然現れた。

 

 

「な、何だコイツら!?」

「ヒナバッサー! ライバッサーの幼体っす!」

「この!」

 

 

 稲妻怪鳥ライバッサーの幼体であるヒナバッサーである。奴らは翼を羽撃かせ鳴きながら、Xioメンバーへと襲い掛かっていった。鋭い嘴や鉤爪での攻撃。更に身体には電撃を纏っているので非常に厄介である。オマケに大暴れされる事で周囲の機器にも被害が及び、司令室内は大混乱となっていた。

 

 皆が必死に戦うのを、カタラは面白そうに笑っていた。

 

 

「アハハハッ。因みにその子達、普通より強くなってるから、みんな頑張ってね」

「ざけんなァァ!」

 

 

 翔琉がまたカタラへと殴り掛かっていく。しかしカタラはそれを手で受け止めてしまい………。

 

 

 

「じゃ、行こうか」

「は?」

 

 

 そう言って翔琉と共に、煙の様に消えてしまった。

 

 

「翔琉さん!?」

 

 

 忽然と姿を消した彼らに驚くが、暴れるヒナバッサーがそれを気にする余裕を与えない。更に基地外で暴れるスカルゴモラとベムゼードの攻撃による揺れが襲い、より混乱を与えていく。

 

 1体のヒナバッサーをリヒトが蹴り飛ばし、ギンガスパークよりウルトラマンギンガのスパークドールズを出現させてそれを握った。

 

 

「一眞、ここは任せる! 俺はアイツらを!」

「はい! お願いします!」

 

 

 オーブカリバーでヒナバッサーの爪を受け止めながら応える。リヒトはギンガのスパークドールズにあるライブサインをギンガスパークの先端でリード。そして輝きに包まれながら基地の外へ飛び出した。

 

 

《ウルトライブ! ウルトラマンギンガ!》

 

 

 リヒトはギンガと一体化(ライブ)し、2体の怪獣の前に降り立つ。それを見た奴らは咆哮し、ギンガへと駆け出した。対抗してギンガも走り、勢いを付けてスカルゴモラにキックを打ち込んで少し後退させて、その角を掴んで押さえ付ける。そこへベムゼードが光線を放ってきた。

 

 

「くっ!」

 

 

 一旦スカルゴモラから離れて光線を回避。そしてベムゼードに向けてギンガファイヤーボールを放った。しかし………。

 

 

「何ッ!?」

 

 

 複数の火炎弾は、ベムゼードの左手に吸収されてしまう。驚くギンガ。ベムゼードは更に、その吸収した火炎弾を増幅して右手から撃ち返した。強力になった火炎弾はギンガに命中し、彼の身体を吹き飛ばす。

 

 

「ぐあああああっ!?」

 

 

 吹っ飛ばされ倒れてしまったギンガに、スカルゴモラが接近。強烈な蹴りが、彼を転がしてしまう。

 

 カタラの言っていた通り、1人で勝てる程この怪獣達は甘くは無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「遅くなりました!」

「しずくちゃん!」

 

 

 優里香に通され、天地家のリビングにしずくが飛び込んで来る。中には既に翔琉を除く同好会のメンバーが揃っていた。

 

 翔琉達の帰りを待っていたかすみと璃奈だが彼は一向に帰って来ず、そんなどころかニュースで宇宙人達にウルトラマン達が敗北したこと、更にはXio基地周辺に怪獣が現れたことが報道され、何か危険な目に遭っているのではないかと不安が押し寄せてきた。

 その後すぐに歩夢が来て、何度も連絡しているが返事が無いことを教えられ、他のメンバー達も不安と心配から次々とここに集まった。

 

 今テレビには2体の怪獣に苦戦するエックスではないウルトラマンの映像が流されている。怪獣達は強く防衛システムも次々と破壊されており、彼女達の不安を加速させるには十分であった。

 

 

「翔琉君、大丈夫かなぁ……?」

 

 

 エマが呟く。これまでも彼が危険の渦中に飛び込むことはよくあった。心配はしたが、最後には必ず笑顔でみんなの所に帰って来てくれる。ボロボロになることもあったが彼は決してみんなの想いを裏切ったりはしないでいた。しかし今回は、これまでに無い嫌な予感が全員の胸に湧いており、不安を拭えないでいる。

 

 

「せ、先輩ならきっと大丈夫ですよ! きっと……」

「そ、そうだよね! かけるんなら、絶対大丈夫だよね……」

 

 

 かすみと愛がそう言うが、どちらも言葉尻が弱くなっていく。消せない不安が彼女達の心を蝕む。

 

 

「大丈夫よ」

 

 

 皆が不安に駆られてテレビを観ている所へ、優里香がお菓子の入れられた皿を持って来た。皿をテーブルの上に置いて「食べて」と彼女達に声を掛ける。

 

 

「あの子は今までも危険な目に遭って、それでもちゃんと乗り越えてみんなの所に帰って来てるわ。だから大丈夫。信じましょう」

 

 

 同好会メンバーに微笑む優里香。

 

 

「信じて待つ。これしか私達には出来ないわね……」

「果林ちゃんの言う通りだねぇ……。彼方ちゃん達じゃ、どうしようも無いし……」

 

 

 今は彼が無事であることを信じ願う事しか出来ない。不甲斐無いと感じ、それが彼女達の肩に重くのしかかる。

 

 

「翔琉君……」

「大丈夫」

 

 

 歩夢の肩に、優里香が手を置く。その手が少し震えていることに彼女は気付いた。気丈に振る舞っても、母親として心配なのだ。それでも優里香は不安に駆られている彼女達の心をこれ以上苦しくしない為に優しい笑みを向けている。そしてテレビの中で懸命に戦っているウルトラマンの姿を見つめた。

 

 

「信じて想いましょう。翔琉を…………そして、ウルトラマン達を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 剣が再び淡い光を帯びる。集う想いは少しずつ、ソレに力を与え始めていた─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 消えたカタラと翔琉は、次の瞬間にはXioラボに居た。突然のことで驚いてる彼のことをカタラは軽く放り投げ、翔琉は床に叩き付けられてしまった。

 

 

「がッ!?」

「うーん、えっとぉー」

 

 

 ラボ内に保管されているスパークドールズと怪獣カプセルを吟味す様に見る。そしてそれらに手を伸ばそうとする。

 

 

「させるか……!────ぐあ!?」

 

 

 翔琉はそれを止めよう立ち上がって向かうが、カタラが衝撃波を放って翔琉のことを吹っ飛ばしてしまった。それによってぶつかってしまった棚から、専用の保管カプセルに入った幾つかのスパークドールズが床に散らばってしまう。

 

 

「お、あったあった」

 

 

 散らばった物の中から探してた物を見つけたのか、カタラはそれらを拾った。保管カプセルは塵となり、スパークドールズを手に収める。もう片方の手にも2つのスパークドールズが雑に掴まれていた。

 

 

「ツインテールにアストロモンス。そしてこのエレキングにバキシム。後はぁ……」

 

 

 カタラが目を向けたのは陽花のデスクの上にあるスパークドールズ。ゴモラである。それを手に取り、にっこりと笑った。

 

 

「ゴモラ」

「そいつらを……返せ……!」

 

 

 再度立ち上がりカタラを睨む。ここまで良い様にされて、彼の怒りは頂点に達している。

 

 

「ごめんごめん、そんなに怒らないで。君が襲って来るから仕方なく、ね」

「ふざけんなああああああ!!」

 

 

 手を前に突き出し念動力を発動。カタラの命を奪うつもりで、本気でその力を翔琉は使った。

 しかしカタラは人差し指を前に出し、放たれた念動力を打ち消してしまう。容易く自分の力を無効化されて衝撃を受けている翔琉のことをカタラは笑う。

 

 

「残念だったね。君の力じゃボクには勝てない」

 

 

 そしてカタラの姿が変わる。赤と黒の不気味な体色、紫の瞳。頭部に2本の角、両腕に鋭い鰭、両肩には天を突く角が生えている。これこそがカタラの真の姿。レイブラッド星人カタラだ。

 妖艶な美しい先程までの姿とは一変。余りにも不気味で恐ろしい姿に翔琉も思わず息を呑んでしまう。

 

 

「レイブラッド星人。Xioの宇宙人達に聞くといいよ。多分、怖くて震え上がると思うからさ」

 

 

 身構え、エクスデバイザーを取り出した翔琉。変身して叩き潰してやろうと考えたが、カタラが手を出すとデバイザーが吸い寄せられる様にその手に収まってしまった。

 

 

「なッ……!?」

「ごめんね、今はエックスになって欲しくないかな」

 

 

 「さて……」とカタラは言葉を続ける。

 

 

「君はさ、自分が何者なのか知りたいよね」

「何だと?」

「何で記憶が無いのか、何でウルトラマンエックスになれるのか、君は一体何者なのか。ボクはその答えを全部知ってるんだ」

 

 

 笑うカタラ。

 

 

「だからそれを全部教えてあげる。大丈夫、痛みも無ければ死んだりもしないから」

「訳わかんねぇこと言ってんじゃ──!?」

 

 

 カタラは翔琉の前に瞬時に移動。そして右手を彼の胸に当てる。手から波動の様な物が放たれて翔琉の身体を駆け巡る。翔琉の意識は淀んでいき、そのまま闇の中に堕ちていった。

 

 

 

「フフフッ」

 

 

 瞳から光が消え、脱力したまま立っている翔琉を見てカタラは笑い、その頬を撫でた。

 

 

「せっかくだし、ちょっとこの身体を使わせてもらおうかな」

 

 

 ゴモラのスパークドールズに闇の力を流し込み、それを翔琉の中に入れる。彼ら闇に包まれて、基地の外へと出たそれは肥大化しゴモラを出現させた。より凶悪で、より凶暴。強化された角、爪、牙、尾を手にしたそのゴモラは天と地を砕く咆哮を放つ。

 

 

「頑張ってね、EXゴモラ(翔琉君)

 

 

 そう呟いた後、カタラの姿は霧散して消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ハアッ!」

 

 

 1体のヒナバッサーをオーブカリバーで斬る。

 残りは3体。急いで討伐し、苦戦してるギンガを助けに行かなければと一眞は焦っていた。

 

 その焦りが油断を生む。もう1体いたヒナバッサーが、稲妻を纏いながら一眞の背後から飛び掛かってきた。

 

 

「しまっ……!?」

 

 

 嘴が一眞に迫る───

 

 

「「させるかぁ!!」」

 

 

 しかしそのヒナバッサーに、イヅルとハヤテが突っ込み押さえ付けた。2人とも傷だらけだが、身を挺して一眞のことを助けようとしている。

 そして他のヒナバッサー達にも、Xioのメンバー達がボロボロになりながら立ち向かっていた。

 

 

「一眞君! ここは俺達が何とかする!」

「貴方はリヒトさんの援護を!」

 

 

 リュウジと涼風の叫びに頷いた後、一眞はオーブカリバーのサークルを回転させてから天に突き出す。光と共に飛び出し、彼はオーブオリジンへと変身。

 

 膝を付いているギンガに迫るスカルゴモラとベムゼードの前に着地すると同時に土のエレメントを解放。大地に剣を突き刺してオーブグランドカリバーを放ち二大怪獣に奇襲を仕掛けて後退させた。

 

 

「大丈夫ですか、リヒトさん!?」

「ああ、何とかな……くっそ、情けねぇ……」

「そんなこと無いですよ。さあ、やりますよ」

 

 

 構える2人。

 そこに、凄まじい咆哮が響いた。振り返った先にいたのは古代怪獣ゴモラに似た特徴を持ちながら、それらをより凶悪にした様な荒々しい怪獣。その怪獣は吼えながらギンガとエックスに突進していく。

 

 

「新手だと!?」

 

 

 見た目から想像出来ないスピードでの強力な突撃は2人のウルトラマンに炸裂して容易く吹っ飛ばしてしまった。両者は地面に叩きつけられてしまい、そこへ更にスカルゴモラとベムゼードも襲って来る。テラービームやスカル振動波による攻撃が、ウルトラマン達を更に追い詰めた。

 

 

「ぐああああ!?」

「があああああッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、アレはゴモラ!?」

 

 

 モニターで新たに現れたゴモラに酷似した怪獣を見た陽花はすぐにジオデバイザーを取り出して怪獣の解析を開始。

 

 

「やっぱり……しかも、アタシのゴモラを……!」

 

 

 自分の友であるゴモラを無理矢理実体化させ暴走させていると理解し怒りを感じる陽花。更に解析していき、衝撃の事実を知る。

 

 

「そ、そんな……!?」

 

 

 あのゴモラの中には別の生命反応があった。そしてそれは、翔琉のものであるとデバイザーは示していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほう……やるではないか」

 

 

 とある空間。そこからグア軍団の三軍神はオペレーションベースXでのカタラの活躍を見ていた。

 先の戦いで軍団を呼べなかった事を指摘され、自身が動くことの許可を求められた時はギナとジュダがブチ切れそうになったのをモルドが宥める様な状況にもなったが、結果として面白い事になっているのはモルドとしては十分であった。

 

 スカルゴモラ、ベムゼード、そしてEXゴモラ。3体の怪獣の猛攻がギンガ、オーブを苦しめているのを三軍神は満足気に見ている。

 

 

「あのレイブラッド星人の同族……」

「それすら配下に置くとは、流石は兄上です」

 

 

 かつて数万年に渡って宇宙を支配していた存在。グア軍団や暗黒宇宙大皇帝と呼ばれるエンペラ星人と並び、様々な者達から恐れられていたのがレイブラッド星人。カタラはその同族であり、強力な力を持っている。それを支配下に置いているモルドに尊敬の眼差しをギナは向けていた。

 

 

「そうかギナ、お前は知らないんだな」

「何を、でしょうか?」

 

 

 ギナがモルドに聞くと、彼は「クククッ……」と笑う。

 

 

「奴はだな─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何だよ……これは……!?」

 

 

 気が付いた翔琉の眼前に広がる光景。崩れ、燃える街。悲鳴が響き渡り、地も天も、全てが地獄と化した世界。まるでこの世の終わりと思える光景の中心……。そこで光と闇がぶつかり合っていた。

 

 

 「まさかこれって、スパークインパクト……!」

 

 

 スパークインパクト。

 それは世界規模で発生した大災害。宇宙より飛来した謎の何かが東京に落ち、そこを起点に世界中に拡散していった稲妻の様な発光の影響により地球の各地にあったスパークドールズや怪獣カプセルが実体化。怪獣達は暴走し、凄まじい被害を齎した……というのが事件の概要だ。

 東京に落ちて来たモノの正体は不明。明確な原因は18年後の現在でも判明しておらず、更にスパークインパクトによる影響か電子機器の多くが使用出来ない状態になった事もあり、記録に関しても曖昧な部分が多い。

 

 謎の多い事件であるスパークインパクト。翔琉は何故か今、それが起こった時に来ていた。

 

 どうしてこうなったのか考えようとした時、紫電がビルに炸裂して轟音を鳴らした。瓦礫が落ちていき、そして地に落ちる。

 

 

「あ……あなたああああああああ!!!??」

「ダメ!?」

 

 

 響く女性の声。その方向に視線を向けた翔琉は驚く。何故ならその女性は、自分の母親である天地 優里香だったからだ。

 そして叫ぶ彼女を抱き締めて押さえているのは幼馴染である歩夢の母の優美子。歩夢の父・蓮二もおり、優里香のことを羽交締めにしている。彼女が叫んでいるのは大翔という名前。翔琉の父の名である。

 

 まさか……と思いながら翔琉は先程瓦礫が落ちた方向に目を向けると、そこには広がった血溜まりとその中で伸び切っている腕が見えた。状況から見てそれは大翔のもの、そしてそれは大翔が死亡した事を明確に突き付けていた。

 

 

「クソ……!?」

 

 

 父の死、そして慟哭する母を見せ付けられた翔琉。彼は母の元へと走ろうとするが、何故か足は進まない。全力で走っているのだが、その場から全く進むことはなかった。

 

 

「なッ、どうなってんだよ!?」

 

 

 余りにも意味が解らない状況に怒り、困惑。すると更なる轟音が響く。見上げた先にはぶつかり合う闇と光があり、そしてその光は自身がよく知っている存在であることに気が付いた。ウルトラマンエックスである。

 

 スパークインパクトの発生場所、父の死、エックスと謎の闇との戦い。余りにも突然なことが起き過ぎて理解が追い付かない中、エックスは身体を虹色に輝かせながら、眼前の闇に突っ込んでいった。

 光と闇が混じり合い、凄まじい轟音が響き渡る。そして一度一つになったソレらは一気に弾けて、世界中を駆け巡ることになった。そしてそれによって発生した衝撃波は付近にあった物や、優里香達を吹き飛ばしてしまう。

 

 

「母さん!!!」

 

 

 翔琉は手を伸ばして叫ぶが動くことは出来ない。優里香は翔琉の近くまで飛ばされてしまった。彼女は腹部を守る様にしており、それを見て翔琉は気付く。この時既に、自分が母の中にいたことを。

 

 

「母さん!? 母さん!!」

 

 

 苦しそうに唸る優里香。必死に彼女を呼ぶが声は届いてないのかまるで反応が無い。焦る翔琉。するとそこへ、淡い光が降って来て彼女に……正確には彼女の腹部に吸い込まれる様に入っていった。

 

 

「嘘だろ……これって……!?」

「そうだよ」

 

 

 翔琉の背後から、カタラがゆったりと歩きながら迫って来て彼の肩に手を置く。

 

 

「翔琉君はこの時、ウルトラマンエックスと一つになったんだ」

 

 

 笑いながらそう伝えるカタラ。翔琉はその事実に衝撃を受けて、優里香の姿を見つめることしか出来ない。

 

 

 場面が変わる。次に翔琉が見せられたのはより腹部が大きくなり、病室のベッドにいる優里香とその横で椅子に座っている美優子と蓮二。美優子は優里香の手を握っている。

 

 

「大丈夫よ、優里香。貴女ならきっと元気な子を産めるわ」

「ええ。というか、それは貴女もでしょ美優子」

 

 

 お互い予定日が迫っている。優里香は男の子を、美優子は女の子を授かっていた。互いを励まし合い、彼女達は迫るその日を期待と不安を抱えながら待っていた。

 

 

 そして────

 

 

 

 

 

 

「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」

「嗚呼…………嗚呼……………」

 

 

 響く力強い産声。泣いてる我が子を、優里香は受け取り抱き締める。この子はこれから、この激動の世界を生きて行かなければならない。でもきっと大丈夫。どんな未来が待っていても、この子なら乗り越えていける筈だ。

 

 

「翔琉……」

 

 

 涙を流しながら、その名前を呼び優しく抱き締めた。

 

 

「いやー、感動の瞬間だね」

 

 

 拍手をしながらカタラはそう言った。隣りに居る……というより居させられてる翔琉は何故カタラがこんな光景を自分に見せているのか理解出来ず、舐めた様な言動に苛立ちを感じていた。

 

 

「お前、どういうつもりだ……?」

 

 

 怒気を込めて聞く。カタラは相変わらず笑顔を崩すことなく赤ん坊の翔琉を抱き締めている優里香のことを見ていた。

 

 

「言ったでしょ? 君の事を教えてあげるって」

「だからわざわざ産まれた日から見せてくれるってか? ふざけてんじゃねぇぞクソが!」

「アハハハッ。じゃあ、少し早回しで“あの日”まで行こうか」

 

 

 世界が加速。

 同じ時に産まれた歩夢との出会い。優しい母に育てられ、父が居なく生活は大変なこともあったが、優美子と蓮二、父方と母方の両祖父母や親戚達の助けもあって彼は優しい子へと成長していった。

 保育園、小学校、中学校、そして高校。歩夢やその他の友人達、様々な人達に恵まれながら翔琉は日々を過ごしている。そしてスクールアイドルと出逢い、彼は彼女達を応援する為に奔走した。メンバーを集め、廃部の危機を阻止し、部長として仲間達の夢をサポートする。その日々は、彼にとってとても充実したもので幸福を感じていた。

 

 

 そしてあの日が来る。

 

 

 

 

 みんなの練習を、スマホのカメラで撮影していた翔琉。

 

 

「うん、みんな良い感じだよ!」

 

 

 にっこりと笑ってサムズアップ。それを見て彼女達も笑った。すると次の瞬間、彼は少し痙攣して動きを止める。虚ろになっていく瞳。それが淡い水色の光を放ったかと思うと瞼は落ち、翔琉は倒れてしまった。

 

 皆が驚き彼に近付き声を掛ける。それでも反応は無く、急いで担架を持ってきてそれに翔琉を乗せ、保健室へと運んでいった。彼女達全員が心配し、特に歩夢はかなり焦っているのがよく分かる。

 

 自分が記憶を失った瞬間。それを見せられた翔琉は、カタラの方を向き睨み付けた。

 

 

「何がしたいんだテメェは……!?」

「この日何があったか? 君は解るかな?」

「俺が記憶喪失になった。原因は知らん。そんでデマーガが出て、俺はウルトラマンエックスに変身した。その理由も知らん。何にせよ、俺の戦いが始まった日だ」

 

 

 彼がそう言うとカタラは笑う。

 

 

「何がおかしい……?」

「フフフッ、それはそうかもだけど、もっと大事なことがあったからね」

 

 

 大事なこと、という言葉に疑問を懐く翔琉。そしてそれを解消する答えを、カタラは口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この日はね、天地 翔琉君とウルトラマンエックスが死んだ日なんだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






次回「何者でも無いキミ」


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