「・・・・・よ。・・・・・さよ。もう朝よ。アスト!」
ママの声で僕は飛び起きた。
「珍しいね。この時間まで寝てたのは。楽しみ過ぎてなかなか寝付けなかった?」
「ちゃんと寝たよ。本当だよ!」
「ま、そういうことにしとくね!さ!朝ごはん出来てるから早く着替えてらっしゃい!」
「はーい・・・」
いつもなら、ちゃんと起きれるのになぁ。何だろう。不思議な、そして長い夢を見た気がする。
僕はアスト。今日で15歳になる。そして、僕のポケモントレーナーとしての旅立ちの日だ。本当にこの日が楽しみだった。小さい時からずっと。
「チャモ!チャッチャモ!」
「おはよう!アチャモ!」
この子は、僕の相棒になる、アチャモ。僕が5歳の時から一緒に暮らしている家族だ。本来なら、ポケモントレーナーとなる人は最初に1体、パートナーとなるポケモンをもらえるのだが、僕は、トレーナーを志した時からこの子と一緒に旅をすると決めていた。だから、最初のポケモンを貰わないことにした。旅立つことになった時にはアチャモも喜んでくれた。
「にぃ、おはよー!いよいよ旅立ちやね!」
「サク、おはよう。旅立ちの前にまずは朝御飯!腹が減ってはなんとやら、でしょ?」
サクは、僕の1つ下の妹だ。僕より活発、むしろうるさいくらいだ。年相応といえば年相応かな。
「さ!アストも来たし、食べましょう!」
いつもと変わらない朝。でも、特別な朝。しばらくはこうして家族3人で食卓を囲むことは無い。そう思うと少し寂しくなるなあ。
他愛もない話をしながら、あっという間に食事が終わり、旅立ちの仕度を整える。これから大冒険が始まるんだと思うと、いてもたってもいられない。
「さ!いってらっしゃい!頑張るんだよ!きつかったら、いつでも帰っておいで!」
「にぃ、立派なトレーナーになって!応援してる!」
「ママ、サク、ありがとう!じゃあ、行ってきます!」
手を振り、故郷に、家族に別れを告げる。アストは、まだ見ぬポケモンに出会うために、立派なトレーナーになるために、旅立ちの喜び、楽しみを噛み締めながら歩きだした。
「アチャモ!僕たち、旅してるんだ!まだ実感湧かないなあ。さっきからワクワクしっぱなしだよ!良い旅にしよう!」
「チャモ!」 アチャモも楽しそうに返事した!
そんなアストとアチャモを木陰から覗く者がいた。
「"ゆりかご"を捨てた者達・・・。今度こそ"巨人"の目覚めは止めなければ。君が"繋ぎ手"にならないようにするのが私の使命・・・。」
そう呟くと、林の奥へ去った。
* * * * * * * * * * *
ポケットモンスター。縮めて、ポケモン。この世界に暮らす、不思議な、不思議な生き物。森に、山に、海に、空に、街に、その種類は100、200、300、いや、それ以上かもしれない。そしてこの少年。アサツユタウンのアスト。15歳の誕生日である今日、一緒に暮らしていたアチャモと共にポケモントレーナーとしての修行の旅に出たのだった!
彼には、幾多の出会いと、別れ、まだ見ぬ天地での冒険が待っているのだ!
アストにとって、未知数の旅が今、始まった・・・!