「さっきから黙って聞いてりゃあ何ですか、お偉いさん方だけで話を進めた挙げ句、クソ悪魔の分際で何処ぞの暑苦しい元テニスプレーヤーみたいな事をくっちゃべって、結末は皆して悪魔陣営に落ち延びですかい。どっかの三流演劇とかでも見た事ないんですけど。バカなの?死ぬの?」
入って来るなり罵詈雑言を浴びせて来る銀髪…いや、白髪と言った方が良いか?…の神父、確か俺に襲い掛かったはぐれ悪魔祓いの連中の中にいたな…ちっ徹底的にボコしておくべきだったか。
「どっかのくぎゅうボイスのピンク髪ツンデレ魔法使いと紫髪色ボケお姫様の感動の再会的な展開から建築される死亡フラグ、みたいな展開で話進めないでくれませんかねぇ。俺達は伝説の使い魔として召喚された哀れな異世界人かっつーの、おっぱい大好きな平賀さんちの才人君かっつーの!」
「フリード…今回の計画に貴方達はぐれ悪魔祓いを巻き込んで御免なさい…今すぐに私達の下から去ると良いわ。計画を首謀した私達はともかく、貴方達ならまだ言い訳が効くわ、『あの堕天使共に騙された、強制されたんだ』とでも言えばね」
「んな事はこれっぽっちも聞きたきゃねぇんだよこのクソビッチ共!」
そんな暴言にも嫌な顔1つせず…むしろ何処か申し訳無さそうな顔で…巻き込んだ事を謝罪するれーちゃんだったが、フリードというそのはぐれ悪魔祓いは、そんなの知るかと言わんばかりの態度だった…お前…!
「他の連中は知ったこっちゃねぇが、こちとらそんな計画なんざどうだって良いし、巻き込まれたとも思っちゃあいねぇ!ただこんな理不尽でクソッタレな世界をぐっちゃぐっちゃにしてやりたかったから、俺はこの計画に加わったんだ!はぐれ悪魔共を誰よりもバッサリして来た俺じゃなくて、あんな神器しか能のねぇ甘ちゃんがチヤホヤされ、挙げ句俺もそいつも謂れのねぇ理由でおん出されるそんな世界になぁ!それが出来ないとありゃあ、なぁ?そういやぁクソビッチなレイナーレ様、アンタ確かクソ悪魔になったんだっけ?なら…」
ま、まさか…!
「悪魔には天誅を下すべしってねぇ!」
「危ない、れーちゃん!」
「い、いっちゃん!?」
「(ザッ!)!」
「(ドガァッ!)がはっ!」
「いっちゃん、大丈夫!?」
フリードの台詞に不穏な物を感じた俺は即座にれーちゃんを庇う様に動き、予感通りにれーちゃんに飛びかかったヤツに、鉄球回転で強化した右腕でカウンターパンチをぶち込んでやった。
その際にフリードの光の剣が掠めたが…く、掠っただけでこの激痛かよ…悪魔の天敵というのは伊達じゃあないみたいだな…!
「れーちゃんに手ぇ出すんじゃねぇよこのイカレ神父!革命者気取りは1人でやっていろ、地獄でな!」
「テメェさっきから邪魔しやがって!挙げ句クソビッチを庇うとかアレですか、白馬の騎士気取りですかこのクソ悪魔が!」
「愛する人を護る事の、悪魔が神父の妨害をする事の何が悪い?それにやる気か、俺のパンチ一発でぶっ飛ぶような、驚きの弱さのテメェ如きが?」
「言ってくれたな…決めた、テメェは俺が嬲り殺しにしてやる。テメェが愛する人とかぬかした、後ろのクソビッチを絶望に追い込んでやる程になぁ!」
怒号と共に飛びかかって来たフリード、それに合わせ、
「オラァ(ゴッ!)!」
「ぐ!?(ギュルルル!)がぁぁぁぁ!」
鉄球をぶち込む…放たれる波紋で内蔵にダメージを与えつつ、延々と回転し続ける様にした物を。
「がばぁ…な、何なんだよそのボールは!」
効果は覿面の様で、口から血を吐いていたが、まだ立ち上がる…何つータフさだ。
しかも何故かニヤリとした表情…まだやる気か、良いぜ…徹底的にやってやる!
「だが」
「っ!いっちゃん、気を付けて!」
何故か口を膨らますフリード、そしてそれに気付いて俺に警告するれーちゃん…まだ隠し玉があったのか!?
「喰らいやがれ(ブゥゥゥゥ!)!」
「なっ!オラァ(ビュォォォ!)!」
血を吹き出しただと!?
咄嗟に鉄球を投げて空中で制止、吹き出された血を、回転力でその方向を逸らして被るのを防いだが、
「鉄球が溶けているだと!?」
「おいコラふざけんじゃねぇよ初見で当たらないとかどういう訳?てかさっきからその鉄球何なの、アレですか超高速回転とか変化球とか、そんな物ですかい汚ねぇな流石悪魔汚ねぇ」
俺が扱う鉄球は、純度の高めな鋼で出来ている、それを容易に溶かすとなれば、あの吹き出した血に混じる胃酸が原因ではない筈…まさか、あの血が強酸なのか!?
だが普通の人間の血は弱アルカリ性、それが極端に酸性化すれば生きていられない、ならば…フリードの野郎も神器を持っているという事か…血の成分を変える能力を持った、神器を!
そうだとしたら…神器を使って奇襲するお前が言うな!
「れーちゃん、アイツの神器、どんな物なんだ?」
「!あの鉄球を溶かした血だけでそこに行きつくなんて、凄い、いっちゃん…そうそう、フリードの神器は
「ネタバレすんなやクソビッチ(ブゥゥゥゥ!)!」
「そうか、ありがとう…だったら(ビュォォォ!)」
「んな!?何でこっち来るんだ!?」
「テメェの力でくたばりな!」
鉄球を投げつつ、その回転力で成分変化したフリードの血を巻き込みながら突っ込んでいく。
その様子に驚きつつ、避けようとするが…逃がすか!
「タスク(バァン!)!」
「うわ、ちょ!今度は拳銃かよ、本格的に汚ねぇなテメェ!」
「テメェにその言葉、そっくりそのまま返すぜ!」
フリードが飛び退きそうな所を予測し、爪弾の連射で潰す。
そして、
「あぐっ!(ジュゥゥゥゥゥゥ…)がぁぁぁぁぁぁ!」
「あばよ、革命家気取りさん」
鉄球、及びそれに巻き込まれた血の強酸をまともに喰らい、フリードは倒れた。
…れーちゃんを守りたいが為に必死だったが、今更ながら冷静に考えれば、コイツの不自然過ぎるハイテンション…壮絶な過去があったに違いない。
恐らくさっきぶちまけた程、現在の世界に憎しみに近い不満を持っていた事と無関係じゃあない筈だ。
だとしたら…やり過ぎたか?
「が…はぁ…俺は結局、下っ端で始まって終わる人生だったのかよ…教会で良い様にこき使われた挙げ句に追い出され、グリゴリに拾われたかと思ったら今までと変わらない毎日…俺だって、俺だって幸せになる資格が、のし上がる資格があった筈なのに…!」
…まだ息は、意識はあるみたいだ、フリードは今までの事に関して恨み言を口にしていた…被害妄想の可能性もあるし、言い分を全て信用するつもりは無いが、コイツだって被害者だったのだろうな…なら、放ってはおけねぇな!
「なら…お前も付いて来るか?終わりたくないなら、のし上がりたいなら、まだ道はある。尤も、お前が嫌う悪魔としてだが、な」
「…アンタさっきから何なんすか?熱血度満載な台詞を吐いたり、愛する人の為とかいってムキになったり…今度はさっきまでドンパチしていた俺に、あんなボロクソに叫びまくった俺に「付いて来るか」だって?アンタ本当に悪魔なんですか神でも信仰してんじゃね?」
「れっきとした悪魔だ…尤も悪魔歴は2日だが」
「は…はは…負けた…どうあがいてもアンタに勝てないって…今分かった…分かりましたよ…俺もアンタに…付いて行くぜ…悪魔としてか…やってやろうじゃねぇか…!」
こうして、この街で起ころうとしていた事件は、終息を迎えた…フリード以外のはぐれ悪魔祓い達も、グリゴリに無事帰還したしな。