ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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15話_俺、決意を新たにしました

「あ゛ー、疲れた」

「見るからにそんな感じだね、痣も日に日に増えているし」

「佳奈の、指導への熱の入り様が良く分かるな」

「お疲れっす、イッセー君」

 

訓練を始めてから4日が経ち、今俺達は屋敷に併設されている露天風呂で汗を流していた…本気でこれ旅館みたいだな。

思えばあれからずっと、佳奈や小猫ちゃんと拳をぶつけ合ったり、基礎トレーニングに明け暮れたりと、木場達に労われている通りの厳しい物ではあったが、お蔭で日に日に強くなっているという実感がある…最初は、佳奈はおろか小猫ちゃんにすら歯が立たなかったが、日を追うごとに食らいつけるようになり、そして今日、小猫ちゃん相手にクリーンヒットをぶち込めた。

佳奈も「イッセーは飲み込みが早いから指導のし甲斐があるぜ!」とノリノリだったしな…痣を矢鱈と増やす羽目になったが。

…といっても、俺を労っているこいつらも俺と同等、いやそれ以上に厳しい訓練に励んでいた。

木場はフリードの指導の傍ら、試作した魔剣『爪刃』の性能アップに四苦八苦していたし、その木場から指導を受けていたフリードは生傷だらけ、そして部長の『滅びの魔力』に似た現象…本人は『虚無』と付けていたな…を生み出した塔也は、時折その制御に失敗してはアーシアの世話になっていた。

…フリードといえば、

 

「そうだフリード、木場から貰った『アレ』の調子はどうだ」

「ああ、木場ちゃんが作ってくだすった『アレ』ですな。あれスゲー俺にマッチしているぜ!ありがとうな木場ちゃん、イッセー君!」

「そういってくれると製作者冥利に尽きるよ。ありがとう」

 

順調な様だな…1週間という短い間ながら、着実にレベルアップしている…凄いな、本当に。

 

------------

 

「ふっ!はぁっ!」

 

深夜、ふと目を覚ました俺は、外で型の確認をしていた。

 

「ハィィィィィ!」

 

溜を最大限に解き放つ震脚からの正拳突き…今のは良い線行っていたな、佳奈に一撃でノされたのが大分前の出来事の様に思える。

…さて、これ位にするかと屋敷に戻ろうとすると、

 

「テラスから光…?」

 

テラスの場所から光が漏れていたのが見えた…まだ誰か起きているのか?ひょっとして俺みたいに自主トレしていたりしてな。

そう好奇心を擽られて向かってみると、

 

「部長?起きていたんですか?」

「イッセー、貴方も?」

 

そこには眼鏡を掛け、本を読んでいた赤いネグリジェ姿の部長の姿があった…漏れていた光はスタンドの光だったんだな。

あの本は…パッと見た感じ兵法書とか、レーティングゲームの戦術書とかみたいだな。

 

「隣、良いですか?」

「良いわ。こんな時間にも訓練していたの?」

「はい。ふと目が覚めましてね。部長は、戦術でも練っているんですか?」

「ええ、そうよ。といっても、教科書通りではライザーには勝てないでしょうけど」

「でも身に着けるに越した事は無いですよ」

 

孫子という兵法書にも、己を知り、敵を知ればどんな戦も危なげなく進められるとある、どうやって進めて行くかを知れば作戦も立てやすい。

…それにしても、深夜にまで戦術を練っているとは、部長はこのゲームに本気で挑もうとしている、それ程までにあの焼き鳥野郎との結婚が嫌なのか、或いは…

 

「部長、1つ良いですか?」

「何かしら?」

「部長は何故、この結婚に猛反対しているんですか?確かにあの焼き鳥野郎はいけ好かない奴、俺が部長の立場だったら即座にお断りです。でもこの結婚にはグレモリー家、とりわけ魔王様の思いが絡んでいると聞きました。俺も悪魔陣営の現状は知っています、転生悪魔が増えて来たと言っても、はぐれ悪魔を生み出す危険がある以上は、やはり純血悪魔の存在は欠かせません。部長もその事は理解している筈ですけど…」

 

俺の正論に少し黙りこくりながらも、部長は、

 

「私はね、リアス・『グレモリー』なの。冥界の誰も、私を『リアス』として見てくれないわ。何処に行っても、私はグレモリー家の者として、魔王であるお兄様の親族として見られていたの。グレモリー家の次期当主、魔王サーゼクス・ルシファーの妹…勿論それは誇りよ。けれど、私と共に歩む人には…『リアス』として見て欲しい、私を1人の女性『リアス・グレモリー』として接して欲しい…それだけよ」

 

想いを口にした…その気持ち、凄く分かる。

俺もれーちゃんと最初に会った時は、『れーちゃん』としてではなく『天使様』として見ていたし、初めの頃は変わらなかった…けれど段々と『れーちゃん』という1人の女の子として見る様になって…そして恋をした…だから『天使様』から『堕天使』になっても、この想いは変わらなかった。

れーちゃんも、同じだと思う、同じく俺を『いっちゃん』という1人の男子として見ていると思う…同じでなければ、今こうして一緒に、部長の眷属をやっていない。

だから…!

 

「ちっぽけな夢だけど、それでも小さい頃からの夢だったの…ごめんなさい、こんな夢の為に…貴方達を戦いに巻き込んで…」

「部長…俺が、俺達が部長を守って見せます!俺達が、『リアス』部長の願いを成し遂げますよ!グレモリー家が何だ!魔王様が何だ!悪魔情勢が何だ!あんなゴミクズに『リアス』部長の想いを踏みにじられてたまるかってんだ!」

「!」

 

何か言おうとしていた部長を遮り、俺は想いのままにぶちまけた…あんなゴミクズの焼き鳥野郎に、リアス部長は渡さねぇ!

 

「…ありがとう、イッセー。お蔭で踏ん切りがついたわ。明日も早いから、しっかり休んでね」

 

俺の言葉に何か憑き物が落ちたかの様に晴れ晴れした表情をした部長は、そう言って本を抱えてテラスを去った…迷いが吹っ切れたみたいで良かったぜ。

 

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「な、何だ今の!?」

「向こうの方からじゃあねぇか!?」

「…向こうは確か、朱乃先輩達が魔力訓練している場所…!」

 

部長の想いを聞き、決意を新たにして翌朝の訓練を迎えた俺だったが、其処に水を差す様な轟音が聞こえて来た…小猫ちゃんの言葉が本当なら…まさか、れーちゃんに何かが…!

 

「っ!?れーちゃん!?」

「朱乃先輩!?」

「…一体何を!?」

 

俺達3人が急いで向かうと、其処には何かの攻撃によって膝を付いているれーちゃんと、そのれーちゃんに向けて憤怒の表情で右手を向ける朱乃先輩が…あ、朱乃先輩がやったのか…!

 

「れーちゃん!しっかりして!」

「…あ、いっちゃん…ごめん、ちょっとヘマしちゃったみたい」

「朱乃先輩!何してんすか!」

「…落ち着いて下さい!」

「離して下さい!」

 

大分酷い怪我だ…恐らく雷撃を浴びたのか、あちこちに火傷が出来、そこから湯気が出ている…一体、一体れーちゃんが何をしたって言うんだ…!

と、俺が朱乃さんに憤りを覚えていると、

 

「…態度が気に食わないから雷撃?図星刺されたからお得意の技?随分と都合の良い思考をしているんだね、バラキエル様の娘」

「なっ…!まだ言いますか!」

「落ち着けっつってるでしょ!レイネルも煽るな…って、え?」

「…レイネル先輩、何故それを!?」

「…小猫ちゃんは知っていたんだ。ならいっちゃんと佳奈にも教えるわ。彼女は…朱乃さんは、堕天使の最高幹部、バラキエル様の娘よ!」

 

れーちゃんが告げた真実、それは俺達をびっくりさせるには充分だった。

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