Side 美月
イッセー兄さんが爪弾の地雷を設置した森林の中に潜入してから程無く、敵の気配がしたっす。
「美月ちゃん、来たみたいだよ」
「そうみたいっすね。数はどの位っすか?」
「ざっと4人って所だね」
4人すか…地雷は10個、これ位なら十分っすが、逆に多すぎて入って来ないかも知れないっす…そしたら、
「祐斗兄さん、入り口で少しドンパチして、直ぐに森の中に逃げる…ってどうっすか?」
「孫子の『半ば進みし半ば退くは誘い也』だね。よし、それで行こう」
孫子…確か昔、軍師として大いに活躍し、その名が3大勢力にも知れ渡った人間っすね。
「行くよ、爪刃!」
「光の槍を(ビュゥン!)喰らえっす!」
「なっ!上から!?」
「木に紛れていたのか!」
「こ、これは光力!?」
「堕天使崩れがいたなんて…」
「崩れとは随分と言ってくれるっすね…まあ事実っすけど」
「人数的に不利か…逃げるよ、美月ちゃん!」
「はいっす、祐斗兄さん!」
「逃がすか!」
「シーリス待って!」
「置いて行かないで!」
引っ掛かったっす!
私達が直ぐに退却したと見るや、シーリスと呼ばれたデカい剣を持った戦士風の女が追撃を仕掛け、その後ろから残りの3人も追いかける構図…ものの見事に作戦成功っすね!
「喰らえ!(ビュオン!)」
「うわっち!」
「おっと!」
途中、シーリスが振り回す大剣から衝撃波が出て襲い掛かって来たっすが、何とか避け、
「!?これは!(ドバァン!)がぁっ!」
「シーリス!?」
地雷が発動、シーリスはその直前に何か来ると直感して離れようとしたっすがもう遅く、片足を根こそぎ破壊されたっす。
「貴様ら…最初からこれが狙いか!」
「そうっす。ものの見事に引っ掛かってくれたっすね」
「うちのエース謹製の地雷さ」
作戦が成功して思わず口が滑っちゃったっすが、
『ライザー・フェニックス様の『女王』、リタイア』
「ユーベルーナ様が!?」
「体育館の周囲を警戒していた筈…何でこんな早くに!?」
「こうもあっさりやられる筈が…!」
「だとしたらイッセー兄さん達っすね。これ」
「そうだね」
「あ…あの時ライザー様を侮辱した青二才か…!」
私達にとっては吉報が、相手にとっては凶報が続いたっす…重要ポジションである女王をあっさりノすとは、流石イッセー兄さんっす。
「何時までもびっくりしている暇なんて無いっすよ!」
「隙ありだよ!(ビュン!)」
「うわ!」
「きゃぁ!」
動揺している所に追撃を加え、それを避けるメイド服姿の2人でしたが…そっちは…地雷の残りっすよ。
「うっ!?」
「あぐ!?」
『ライザー・フェニックス様の『兵士』2名、リタイア』
「く…まだトラップはあるのか…」
「はい次っす!」
「喰らわないわよ!」
「な、バカ!」
「ぎぃ!?」
『ライザー・フェニックス様の『兵士』1名、リタイア』
学習能力無いんすかね…これまで二桁位の公式のレーティング・ゲームをやって、敗北はたった2敗、それも全て八百長による物だと聞いたっすけど、十中八九あの焼き鳥の回復能力によるゴリ押しなんじゃないっすかねぇ…まあそれは良いとして、最後の1人っす!
「トドメだよ!」
「くっ!(ガキィン)っ…刃を伸ばせるのか…!」
「今だよ美月ちゃん!」
「はいっす!」
「なっしまっ(ドズゥ!)がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
『ライザー・フェニックス様の『騎士』1名、リタイア』
これで撃破は合計5人、早くも人数差は無くなったっすね。
「さて、救援に向かおうか…その前にどうやって脱出しよう」
「翼で飛べば良いんじゃないっすか?」
「あ、そうだったね」
祐斗兄さん、アンタ天然っすか?…そう呆れつつも空に脱出すると、
『ライザー・フェニックス様の『戦車』1名、『兵士』3名、リタイア』
体育館を包む様に降り注いだ雷とその轟音と、グレイフィアさんからの撃破情報、
「うふふ、撃破」
「相変わらず朱乃姉さん怖いっす…」
「そ、そうだね」
そして朱乃姉さんのSッ気満載の笑顔を私達は見聞きしたっす…マジ怖いっす!
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Side 小猫
部長からの指示で体育館の裏口に辿り着いた私達3人…でしたが、
「先回りされたみてぇだな、こりゃあ」
「ありゃりゃ、のんびりし過ぎちゃった?まあ道なき道を歩いて来たんだし許してちょんまげ」
「そうですね…数は4人位でしょうか…」
「…イッセーもそうだけど凄いな、そんな事細かに気配を察知出来るなんて…4人か、頭数的に不利だな」
この場においてもふざけているフリード先輩は置いて、佳奈先輩と状況を把握すると…既に体育館は相手方に占拠されている様で、その防衛に当たっているのは…気配からしてざっと4人ですね。
人数的にもそうですが、この場にいる私達全員、種類こそ違えど駒1個、客観的にみて力量不足は否めません。
ですが、それは最初から分かっていた事、それを補う為にこの1週間、佳奈先輩やイッセー先輩と訓練に励んで来て、体術やフィジカル面でレベルアップして来ました。
それを忘れなければ…勝機はあります!
…そうだ、
「恐らくは向こうも私達の存在に気付いている筈…いっそ大胆に出向いて挑発しませんか?」
「イイね!そしたらイッセー君みたく徹底的に侮辱的な発言しちゃおーぜ!」
「お前の血しぶき芸も大概だったがな…まあ良いぜ、乗った!」
フリード先輩と佳奈先輩の了解もあり、私達は裏口に入りかけた足を反転、横にある正規の入り口から踏み入り、
「出て来なさい…駄メンズ好きのバカ女の皆さん」
「腐った焼き鳥にも股開くクソビッチは(ピー)でも洗って出直してきんしゃい!」
「出て来いや!あーぱー
…フリード先輩、これ以上に無い位汚らわしい罵倒をありがとうございます、佳奈先輩は無理矢理中の人ネタに走らないで下さい。
「誰が駄メンズ好きのバカ女ですって!?」
「ライザー様を腐った焼き鳥って言うな!」
「誰がクソビッチよ、誰が!」
「腐っているのはそっちです!この白髪コンビにオトコオンナ!」
!…誰が、白髪ですって?
「…私があのバカ中華女をノしてきます、先輩方は他の3人を」
「わーお、小猫ちゃんプッツンしちゃってるぅ!」
「アタシがやりたかったんだけどなぁ、オトコオンナとかぬかしやがって…まあ良いや、頼むぜ」
佳奈先輩が何か言っていますが構いません、ノして来て、私の髪は銀髪だと思い知らせます。
「ライザー様の戦車、
「ライザー様の兵士、ミラよ」
「同じく兵士のイルでぇーす!」
「同じくネルでぇーす!」
「リアス部長の戦車、塔城小猫です」
「リアス部長の騎士、フリード・セルゼンだ!」
「リアス姉さんの兵士、脇澤佳奈だ」
私の相手は戦車でしたか…これは潰し甲斐があります。
「ホワチャー!」
…貴方はブルース・リーですか?そう心の中で突っ込みつつ、雪蘭の飛び蹴りを、
「なっ!」
回転させる様にいなし、
「…てい(ドゴォ!)」
「きゃぁ!」
佳奈先輩から指導を受けた鉄山靠で体勢を崩し、
「…ぶっ飛べ!」
「なっ(ごすぅ!)きゃぁぁぁ!」
「…私の髪は銀髪です、白髪ではありません」
ストレートパンチを腹にぶち込むと呆気なく吹っ飛びました…最後に訂正も忘れません。
さて他の2人は…どうやら向こうも圧倒しているみたいですね。
「やぁ!ハイィィィィィ!」
「くっ!(パァン!)がっ!」
「アンタ前線に立つより、後方でオペレーターしている方が向いているんじゃねぇ…のっ!」
「きゃぁぁぁ!」
佳奈先輩は、ミラと呼ばれた和服少女から棒をぶんどって、それをまるで使い慣れた武器の様に振り回して痛めつけ、最後はホームランしました。
…最後の台詞は某ハンティングゲームでの中の人ネタですね、相手方の。
「うわ、チェーンソーが!?」
「何で溶けるの、この液体、いったい何!?」
「くそうwくそうw」
「「キィィィィィィ!(ドカドガァン!)きゃぁぁぁぁぁ!」」
「くそうwくそうw」
フリード先輩はイル・ネルと呼ばれた…一纏めにしたのは双子みたいだからです…2人のスポーツマンっぽい服装の少女のチェーンソーを、持っていた刀から射出された赤い液体で溶解させ、挑発に乗って飛びかかって来た所をダブルラリアットしました…その挑発、それも中の人ネタですよね、相手方の。
ちなみにフリード先輩が持っていた刀ですが、刀身には刃先から根元に至るまで両断する様に溝が、さらにそこから刃側に何本も枝分かれしている様に彫られていて、更に何故か柄の利き手で握る部分にも刃が付いているという変わった姿をしていました…簡単に言えば、Blood+の主人公である小夜が使っている刀を、より現実の刀に近づけた感じでしょうか。
その刀の柄にある刃からフリード先輩の血液を流し込み、それが刃の溝を伝う構造になっている様です…使い方までそっくりですね。
勿論この刀は一般的な物では無く、イッセー先輩の構想を元に祐斗先輩が作った物だそうです…色々な意味で凄いです、イッセー先輩が味方に付いてくれて、本当に良かったです。
さて、後はトドメを、
『皆、聞こえる?』
「…部長、どうしました?」
「どうした?」
「あいあい、何ですかい?」
『体育館を朱乃の魔法で破壊して、一網打尽にするわ』
「良いのか?もう中にいる奴倒しちまったぞ?まだリタイアにはなっていねぇけど」
『朱乃の雷の威力を見せ付けて、相手への威嚇に使うわ。そこで躊躇して固まっている所にイッセー達が襲撃を仕掛けるって寸法よ』
「わかりました」
「あいよ!」
「アイアイサー!」
仕留めようとした所に部長からの連絡です…まあこちらの人数が不足している以上、拠点防衛をする余裕は無いですね。
その指示に従い脱出を図ります…その間に、相手の眷属がリタイアしたというアナウンスが続々とやって来ました、体育館内の眷属は皆まだ消えていない以上、外にいる先輩達がやってくれたみたいです。
凄いですね…っ!
『ライザー・フェニックス様の『戦車』1名、『兵士』3名、リタイア』
私達が脱出してから数秒後、朱乃先輩の雷が体育館を包み込み、アナウンスを聞いた後に晴れたそこは、まっ黒な瓦礫しか残っていませんでした…朱乃先輩、相変わらず凄過ぎです。