ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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21話_私、特攻しました

Side 塔也

主リアスによる、自らの敵本陣急襲。

通信機越しに皆が反対するのと同じく、私もアーシアも反対であった。

 

「部長さん、危険すぎます!今押している状況なのに、自ら突っ込むなんて正気の沙汰じゃありません!」

「主リアスよ、貴殿がこのゲームにおいてどれだけ重要なポジションにいるか分かっておられるのか!リタイアすれば負け、主の未来が決まってしまうのだぞ!あんな下種な輩に嫁がなければならない、そんな未来が!」

「分かっているわ!だけど、いや、だからこそ私は行くわ!此処まで優位に立っている以上、相手は私自ら本陣に突っ込むなんて予想はしていないし、気付いた所で狙える程の人員は残っていない。そこを突く。それに…私が、私の力でライザーを倒さなければならないの!皆をグレモリー家のゴタゴタに巻き込んでしまったこの責任に、私自信がケリを付けなければならないの!」

 

しかしながら、主リアスの決心は固かった。

こうなってしまっては我らの制止を押しのけてでも行きかねない、ならばせめて皆にも来る様伝えてはどうかと提案しても駄目だった…仕方ない、こうなれば…!

 

「来たわよ、ライザー!」

「まさか君自身が乗り込んでくるとは、どうやらこの婚儀の重大性を分かってくれた様だな?」

「馬鹿を言わないで…その逆よ。私がこの手で貴方を倒し、自ら婚約破棄を掴んで見せるわ!」

「ふん、フェニックスの血を持った俺に勝てるとでも?」

「勝って見せるわ!幾ら不死身のフェニックスでも心を折ってしまえば「ヒートアップしている所済まないが、待たれよ主リアス」塔也!?」

「何だ貴様?」

「我が名は式波塔也、主リアスの兵士だ。ライザー・フェニックス殿、主リアスの前に私と一勝負して頂きたい」

「はっ!一介の兵士如きが俺と勝負だと?笑わせるな!」

「塔也、これは私の問題よ、邪魔をs」

「まあまあ落ち着かれよ主リアス。ライザー殿が申された通り、一介の兵士たる私が主リアスより優れた能力を有している等ありえん。そんな私が勝てる相手であったならば、主リアスなら事も無げに倒せるであろう。もし私がライザー殿を討ち取ったとしても、そういう事で溜飲を下されよ」

「貴様、兵士の癖に俺を倒すとはふざけた事を!」

「それに、どうも私はライザー殿を見ると…何やら心底から湧き上がる怒りを抑える事が出来ぬ、私とライザー殿にそれ程因縁があるとは思えぬのだが…何と言えば良いか、そうだな、例えば前世の因縁がこの場で蘇ったとしか」

「ぜ、前世…ですか?」

 

正直に申せば、今この場でも怒りに震えている、形相も険しい物になっているに違いない…アーシアは若干の怯えを見せながら疑問を投げ掛けているし、主リアスもどう対処したら良いかといった表情で、先程の熱さも何処えやらである。

私も何故ライザー殿に此処まで怒り狂わなければならないのかが疑問だ…幾ら初めて会った時の下種振りが目に余ったとしてもだ。

先程戯れに口から出た『前世の因縁』という言葉が、本格的に現実味を帯びて来た…案外ライザー殿の前世に、私の前世の親友を殺され、私の前世が敵を討とうとして返り討ちに会った…そんな因縁でもあったのではないか?

まあ、そんなありそうにない与太話を持ち出してまでこの怒りの原因を探る必要もあるまい…大事なのは、目の前の下種を討ち取るまで!

 

「では行くぞ!」

「覚悟は良いな…この雑魚が!」

 

私は闇の魔力と光力を、ライザー殿は炎を、其々両手から展開し、突っ込んだ…今更だが、敵本陣に入ったが故に兵士である私の昇格が可能になり、実際にそれを何時の間にか行ったのだろうか…何時もより魔力が集まる感じが強い上に、身体も身軽に、そして力強く感じる…これなら、行ける!

 

「喰らえ!(ヒュゴォ!)」

「滅殺!(ギャォン!)」

「なっ!小癪な!」

「どうした、雑魚である私に覚悟させるのでは無かったのか?」

 

ライザー殿が放った炎、それは私を飲み込むに余りある巨大さとパワーだったが、私の『虚無』には何ら関係が無い…闇の魔力と光力がぶつかり合う事による干渉で出来た白色の光は、炎を文字通り『消した』。

 

「一回消した位で良い気になるな!(ゴォ!)」

「でいや!(ギャォン!)」

 

先程よりも更なるパワーを感じる炎がこちらに向かって来るも、白色の光は先程と同じく消した。

 

「くっ…なら!(ドドドドドドドドドド!)」

「ちぃ!(ガオン!)ならば!(ガオン!)」

 

一撃を大きくしても届かないと気付いたライザー殿は、今度は炎を乱射して来た…流石にこの量を『虚無』で消すにはまだ素早さが足りない、そう思い立ち、私は片手で魔力と光力を作り、それを振りかざして消し飛ばす事にした。

先程までは別々の手で魔力と光力を生成していたのを、一緒に生成する…こうすればより早く、より多く虚無を作り出せる。

だが無論、一緒に生成する際の扱いは繊細でなければならない…これを怠ると思わぬ場面で干渉が発生し、私に襲い掛かる、正に諸刃の剣だ。

…くっ流石にこれまで何度となくレーティング・ゲームを経験し、勝ってきたライザー殿だ、炎の弾幕が凄まじい…今は捌けているが、逆に言えば攻め込めない状態、どうすれば…(バチィ!)なっ、しまっ…!

 

「がっ!」

「塔也!?」

「塔也さん!?」

「ふん…どうやらその白い光、まだまだ使いこなせていなかった様だな、鴉崩れよ」

 

焦りが出てしまい虚無を暴発、その反動を食らってしまい、脇腹に激痛が走る…流石に付け焼刃でどうにかなる程甘くなかったか…!

だが…!

 

「闇と光、魔力と聖なる力、相反する力同士をぶつけ合う事による干渉を逆手にとった消滅の力…面白い発想だが、アイデアも現実に出来なかったら単なる戯言!そんな物で俺を倒せると思い上がるな!」

「確かにな…だがそんな戯言も、私にとっては宝なのでな!」

 

私はまだ戦える、私の力を示すチャンスはある…脇腹のダメージは想像以上で、動ける時間はそう長くないが…それだけで十分だ!

 

「はぁ!(タッ!)」

「なっ!?(ゴォ!)馬鹿かお前、自ら炎に突っ込むなど!」

「勝てないなら一太刀浴びせ、バトンを繋ぐまで!」

 

ライザー殿が炎を放つのも構わず、その炎が直撃して私が燃え上がるのも気にせず飛びかかり、

 

「せぃ!」

「は!あんな大口を叩いたかと思ったら単なる飛び蹴りか!ましてやその遅さでこの俺に一太刀浴びせられるか!」

 

ドロップキックを放つも、難なくガードされる…が、

 

「ぐぁ!?」

「掛かったな、アホが!(ドズドズゥ!)稲妻十字空裂刃(サンダークロススプリットアタック)!」

 

それを両脚で強引に抉じ開け、×字を描く様に、光力を込めた両手のチョップをぶち込んだ。

稲妻十字空裂刃。

堕天使時代の私が考案した、格上のはぐれ悪魔相手に、確実に光力を叩きこむ方法…その完成型だ。

これを使って、光力が届かなかった例は今まで一度として無い…尤も、その間に敵の反撃も食らってしまうが、こうでもしないと倒せなかった場面は幾らでもあり、今では私の、絶望的な状況において頼れる技となっている。

そしてそれによって叩きこまれた光力は、悪魔にとって最大の天敵だ…上級悪魔であっても下級堕天使の光力が時として致命傷にすらなりうるのだからその脅威が分かるだろう…そしてそれは不死身らしいライザー殿にとっても例外では無く、

 

「ぎゃぁぁぁ!?目が、目がぁぁぁぁ!?俺の目が、回復しないだとぉぉぉぉぉ!?」

 

どうやら眼球に突き刺さったらしい…それを食らったライザー殿は両目を抑えながら悶え苦しみ続けていた…ぐ、が、先程までは感じなかった炎の熱さ、そして全身に負った火傷の痛みが、今になって…!

 

「部長!」

「イッセー!?」

「イッセーさん!塔也さんが、塔也さんが!」

 

が、はぁ…来てくれたか、一誠…!

 

「一誠…私は確かにバトンを繋いだぞ…!」

「塔也…ああ、分かった!後は任せろ!」

「頼んだ…ぞ…!」

 

一誠の頼もしい言葉を最後に、私の意識は途絶えた。

 

『リアス・グレモリー様の『兵士』1名、リタイア』

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