「部長…俺にやらせて下さい」
「イッセー…?」
「イッセーさん?」
部長が自ら出撃した理由をれーちゃん経由で聞いた俺、このまま放って置いたら部長が自ら止めを刺すと言いかねない、ならばと先手を打つ事にした。
…確かにこれは部長、引いてはグレモリー家とフェニックス家の魔王様も交えた問題、部外者である俺が関わって良い問題じゃないのは分かっている。
そして、そのケリを自分でつけなければならないという決意であんな暴挙に出た部長の気持ちも痛い程分かる…あの日あの場所で、部長の夢を聞いた俺には痛い程に。
だけど、
「俺は、兵藤一誠は、一度は未来を失った存在です。れーちゃんとのゴタゴタに目を背けた事で刺されて、一度は未来を失いました。だけど…だけどその失ったはずの未来は、部長の手が繋げてくれた!部長が俺を悪魔として転生させてくれた事で、失われた筈の俺の未来は再び繋がったんです!」
あの日もし、部長が俺達を発見してくれなかったら、部長が俺を転生させようと思ってくれなかったら…今こうして俺はレーティング・ゲームに参加していなかった。
佳奈や美月、塔也やフリード、そしてアーシアと知り合わなかった。
部長や朱乃さん、木場に小猫ちゃんと仲良くなる事も無かった。
そして…れーちゃんは深い悲しみから一生逃れられなくなったかも知れない。
「俺はまた、未来に向かって歩く事を許されたんです!悪魔として、未来を歩ける様になったんです!だから…だから今度は!俺が部長の未来を繋ぐ!部長の…1人の女性、リアス・グレモリーの夢の道を繋ぐ!俺が、俺がこの手で、繋ぐ番なんです!」
「!…イッセー…」
グレモリー家やフェニックス家、魔王様の都合など関係ない。
俺は…俺はただ、部長の未来の為に…あの焼き鳥野郎を叩き潰す!
そう思った俺は、一縷の迷いも無く、
「俺には部長の様な滅びの力は無い。朱乃さん達程の魔力も無い。木場の様な綺麗な剣術でもない。小猫ちゃん程のパワーも無い。れーちゃん達の様な光力も無い。アーシアの様に傷を治す術も無い。フリードの様な体質も無い。佳奈の様な格闘術にも程遠い。だけど…だけど俺は、あの焼き鳥野郎を叩き潰します!」
こめかみに、銃の様なポーズを取った右手の人差指を突きつけ、
「俺にはそれを成せる術があります…!」
『!こ…これは!来るぞ、相棒の、新たなる力の目覚めが!』
そして、
「タスク…Act3!」
俺の側にいたタスクの…手が鋏の様な形状をしたロボットの姿から、鍵爪の様な手と足が生えた形状のロボットに変形したのを尻目に、
「イッセー!?」
「イッセーさん!一体何を!?」
爪弾を放った…自分に向けて。
その爪弾は即座に弾痕に変わり、狙った先にいた俺を取り込んで行き、
「がはぁ…あぁ…やっと、やっと目が治ったぞ!あの鴉崩れめ、手間を掛けさせてくれr(ガシィ!)なっ、貴様!?」
「イッセー、何時の間にそこに!?」
「そいつは(ズボォ!)良かったなぁ!」
弾痕が焼き鳥野郎の直ぐ近くまで移動し、奴の目が回復したのに合わせて俺がその弾痕から『身を乗り出す様に生えて』、奴を羽交い絞めにし、再び弾痕に『潜り込んだ』…全て、全て俺の意志で成された事だ。
俺の…俺のタスクの、新たなる力、Act3。
説明書なんて無いけど理解した…その力は俺自身を弾痕の中に潜り込ませ、自由自在に移動できる『弾痕操縦』。
そしてこの俺が潜り込む弾痕は、Act2での性質も受け継いでいるが故に…入り込んで来た『俺以外の』存在を根こそぎ破壊する。
故に、
「(ズガガガガガ!)ぎゃぁぁぁぁぁ!?」
この焼き鳥野郎が取り込まれる瞬間、こいつの全身を根こそぎ破壊する!
しかしながらこいつは、不死身の力を有するフェニックス家、破壊されても直ぐに身体が復活するのではと普通は思うだろうが…
「(ズガガガガガ!)がぁぁぁぁ!?な、何故がばぁ!回復してもげばぁ!俺の身体がズタズタにぃぃぃ!?」
この弾痕は…異物を一切認めない…在り続けるなら、無くなるまで、破壊するまでだ。
「どうだゴミクズ!自分の身体が再生と破壊を延々と繰り返す、その感想は!?」
「(ズガガガガガ!)ぐぁぁぁぁぁ!?止めてくれぇぇぇぇぇ!」
止める訳が無いだろう…お前が
「(ズガガガガガ!)ぎぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁ…た、助け…」
「助かりたいなら…さっさと白旗を上げるんだな」
「(ズガガガ…)…も、もう…許し…」
『ライザー・フェニックス様の
ふぅ、終わったか…塔也、お前のバトンは確かにゴールまで繋いだぜ。
それに…部長の夢の道もな。
「終わりました、部長」
「…凄い…これが、イッセーの力…」
「イッセーさん…格好良かったです…」
------------
「やったね兵藤君!あのライザー・フェニックスを圧倒するなんて!」
「あのゴミクズの癖してしぶとい野郎を叩き潰すとは流石イッセー君!俺達に出来ないk」
「だから言わせねぇよフリード!けどまぁ、本当に凄いなイッセーは。アタシがボコしていた奴と同じとは思えねぇぜ」
「…本当にチートです」
「凄いっす、イッセー兄さん!今回のMVPはイッセー兄さんで決まりっすね!」
「あらあら、おいしい所全て奪われちゃいましたね」
「凄いよいっちゃん!凄く恰好良かったよ!」
「あはは…れーちゃん当たってるよ、何か柔らかいのが」
「うん、当てているからね」
「それ何てテンプレ!?…なら楽しんじゃおうかな?」
「きゃーw」
俺達の勝利を、部長の夢が繋がった事を知らせるグレイフィアさんのアナウンスが鳴り響いてから程無く、他の眷属達が続々集まり、俺に激励のメッセージをくれた…れーちゃんに至っては抱き付いて胸を当てるというテンプレまでやった…柔らかかったなぁ。
「…」
「イッセーさん…」
ただ…俺と焼き鳥野郎との戦いを間近で見ていた部長とアーシアの様子が何かおかしかった…なんというか、さっきから何処かぼーっとした様子というか、何かもじもじしているというか…顔も少し赤くなっていないか?
…どうした物か。
「イッセー…ありがとうね。貴方のお蔭で、私は…」
「部長、言ったでしょう。部長は俺の未来を繋いでくれた、だから今度は俺が部長の未来を繋ぐんだ、と。それに俺は部長の兵士、これぐらいどうって事無いですよ」
「…うん、こういう事よね、この気持ちって」
「へ?部長、どうしたんですか?」
「イッセー」
「はい、どうし…」
思案していた俺に寄って来た部長は俺に礼を言って来た…それに対する俺の答えは変わらなかったが、突然部長は何かを決心したかの様な独り言を言って、
「(チュッ!)ん…」
「んぅ!?」
「「「「「「へ?」」」」」」
「「ぶ、部長!?」」
こ、これって…ま、まさか…
「ファーストキス…レイネルという彼女がいる貴方なら、この意味が分かるわよね?これが…私の気持ちよ、イッセー」
「え…」
えぇぇぇぇぇぇ!?
え、ちょ、マジっすか!?
部長が、部長が俺の事を…!?
いやいや、お、俺にはれーちゃんという最愛の彼女が…
「部長さんだけずるいです(チュッ!)ん!」
「うわっ!?」
「あ…アーシア!?」
「…思わぬライバル登場ね…」
アーシアお前もかぁぁぁぁぁ!
いやだから、2人の気持ちは嬉しくない訳無いんだけど、俺にはれーちゃんという将来を決めた人がいてだな…
「レイネルにアーシア、貴女達には負けないわよ!」
「わ、私だって負けません!」
「いっちゃん!わ、私がいっちゃんの彼女だよね、ね!?」
「あ、ああ、そうだ!だから泣かないでくれ、れーちゃん!」
「なんだこのカオス」
「…私達、ゲームに勝ったんすよね?」
「…嫌らしいです」
「あはは…」
「わーお、イッツ昼メロ的展開?」
「あらあらモテモテですわね、うちの頼れる兵士様は」
…誰か止めてくれ。