ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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27話_あいつらが、おかしくなりました

「それじゃ頼むぜ、エレン」

「ヒヒィン!」

 

あれ以来何処かおかしい木場とフリードの様子は気になるが、今は現状で出来る事をするまで…そう思い、俺は使い魔であるエレンを連れて草原…部長達と合宿をしたあの屋敷が建っている山の中にある草原だ…に来ていた。

此処みたいなだだっ広い草原に来たのは、天馬であるエレンを乗りこなす為…いわば、エレンと俺のコンビネーションの訓練だ。

尤もエレンは知能の高い天馬である上、俺の実力を認めて使い魔になってくれた存在、一般的な馬術の様な手綱によるコントロール方法を身に着ける、という訳では無く、実際に普通の馬に取り付けられる様な轡も手綱も付いていない、騎乗の為の鐙付きの鞍が取り付けられているだけだ…付けるとエレンにとっても俺にとっても障害だからな。

此処で行うコンビネーション訓練…それはもっと実戦的な事だ。

 

「行くぞ、エレン!」

「ヒヒィィィィン!」

 

訓練開始を告げる俺の指示と同時に、俺を乗せているエレンは走り出した…行くぜ!

 

「しゅっ!(ビュン!)せいっ!(バァン!)」

 

まずは鐙に引っ掛けた両脚でバランスを取りつつ、爪による斬撃と銃撃を、標的…他より背が高くなっている雑草だ…に向けて放つ。

 

「オラァ!(ギュルルルルルル!)」

『Explosion!』

「タスク・キャノン!(ドォン!)」

 

次は鉄球を標的に向けて投げつつ、結構離れた所に生えている木に向けて倍化した爪弾で砲撃する…全部狙い通り、今まで鍛えて来た俺の技は、流鏑馬みたいな状況でも通用するな。

 

「次行くか。旋回だ、エレン!」

「ヒヒィン!(ザザァ!)」

 

俺の指示に合わせ、後ろ足を軸に方向転換しようとするエレン…って、結構バランス取りにくいなこれは…!

エレンが何をしたかと言うと、後ろ足でブレーキを掛けつつ右に90度向きを変えた…ブレーキを掛ける部分なら兎も角(スライディングストップと呼ばれる、馬術における規定演技にもなっている)、方向転換は所謂サイドターンで向きを変えるという、普通の馬では考えられない挙動だった…踏んばらないと確実に振り落される…!

 

「っ!(ビュン!)そこ!」

 

エレンから振り落とされまいと抵抗しつつも、横目で捉えた標的に向けて爪の斬撃を振り下ろす…今のは良い感じか?

 

「次はジャンプと、180度ターンだ!」

「ヒヒィン!」

 

体勢を立て直しつつ新たな指示に応えるエレンはそのまま加速、大きなジャンプをし、着地と同時に前足を軸に反転する…これまた普通の馬なら確実に怪我する挙動、俺もそれに振り落されまいと両脚に力を入れつつ、

 

『Explosion!』

「もう一発(ドォン!)タスク・キャノンだ!」

 

倍化した爪弾による砲撃を、横目で捉えていた、少し遠くにある木に向けて発射し、命中した。

 

「ふぅ…お疲れ、エレン。大分無茶な動きをしたみたいだが、痛い所は無いか?」

「ヒヒィン!」

「はは…びっくりだぜ、普通の馬なら出来そうに無い事を平然とやり、それでいて何の異常も無いとか」

『伊達に伝説の馬のDNAを受け継いでいないという事だろうな』

 

さっきから無理な挙動をしたエレンを気づかうも、当のエレンは何ともないと言わんばかりのドヤ顔(馬にこの表現は合っているか?)で返した…ドライグの言う通り、天馬のDNAは伊達じゃないんだろうな…こりゃあ最高の使い魔と巡り合えたか?

 

------------

 

「さあ頑張るわよ皆!イッセー、特に期待しているからね!」

「はい!鉄球で鍛えた腕見せますよ!」

「ファイトだよ、いっちゃん!」

「頑張ってください、イッセーさん!」

「アタシも全力で付いて行くからな!」

「私も援護致す、主よ」

「やるっすよ、皆さん!」

「…頑張ります!」

「うふふ、日ごろの鍛錬の成果を見せますわ」

 

若干の懸念を抱きながらも何時も通りの日常を過ごしていた俺達オカルト研究部、今日は部活対抗の球技大会に参加、準備運動をしながら勝利への執念を燃やしていた。

俺や部長もそうだが、何故皆して勝利への執念を燃やしているのかと言うと…各競技の優勝者には学食のフリーパスが貰えるからだ。

一定期間、ランチが無料になるこのフリーパス…狙わない手は無い!

球技の経験はそれ程では無いが、俺は鉄球を何時も扱う関係で球の扱いには自信があるし、それを差し引いても悪魔の身体能力は伊達じゃない…勝算はある!

…ちなみにさっきの円陣の中に塔也みたいな喋りをする奴がいたが、教師である塔也本人は勿論入っていない…じゃあ誰かと言うと、佳奈の使い魔となったウンディーネのシグナー…脇澤(わきざわ)時雨(しぐれ)だ。

人の様な風貌のシグナー、学校関係者でも無いのに佳奈の側に侍らせるのは不自然だ、という事で佳奈の双子の妹として、先日転入する事になったのだ…流石に悪魔が重役を務めているだけはある、物凄いフットワークだ。

閑話休題、球技大会の方だが、

 

「ストラーイク!バッター、アウト!」

「…先輩、ナイスピッチングです」

「は、速い…それに加速している…?」

 

野球では、鉄球回転を応用したジャイロボールとスライダー、ドロップカーブによる俺の奪三振ショーが繰り広げられ、

 

「リアス…まさか貴方と此処で戦う事になるとは思いませんでしたよ」

「同感ね、ソーナ…さあ、決着を付けましょうか!」

「望む所です!」

 

テニスでは部長が順調に勝ち上がり、決勝戦で生徒会のシトリー会長と壮絶なラリー合戦を見せた。

が、

 

「覚悟ぉ!」

「祐斗!」

 

ドッチボールでの出来事だった。

 

「木場?おい木場?」

「ウオラァ!」

「ぐぁっ!?」

「お、おいフリード?」

 

此処最近何処か呆けた様子の木場、今日もそれは変わりなく、自分を標的にボールが投げられても動こうとせず、寸での所でフリードに助けられてもそれは変わらなかった。

それよりもおかしいのは、そのフリードだった。

 

「パス!」

「寄越しやがれ!」

「うわぁ!?」

 

相手の顔面を狙いすましたかの様な鋭いシュート、パスしようとした相手のボールを強奪紛いにカット…ルール違反すれすれのラフプレーが目立った。

フリーダムさはアイツの持ち味みたいな物だが…今日はそれが、鬱屈を払うかの様に怒りに満ちていた。

結局ドッチボールは優勝、野球やテニスを合わせた三冠を獲得するに至ったが…

 

------------

 

「祐斗(パシィン!)これで覚めたかしら?フリードも頭を冷やしなさい」

 

案の定、そんな2人を部長は咎めた。

だが普段のあいつら…特に木場なら丸く収まる所が、

 

「話はこれで全てですか、部長?球技大会の練習で疲れが溜まっているので休みたいのですが」

「何で俺呼ばれてるんすか?俺平常通りっすよ?」

 

…やっぱりおかしい、まさかとは思うが…

 

「おい…お前らどうしたんだ、最近おかしいぞ?」

「兵藤君には関係ないよ」

「さっきから言ってるっしょイッセー君、俺は平常通りだって」

「何処がだ。最近のお前らのおかしさと言ったら…お前ら本当に俺達の知っているお前らなのか!?って位だぞ?」

「こりゃまた大げさな、だから俺は常に何時も通りだって。まあでも、其処まで疑うんだったら言わせて貰いましょうかい…

 

思い出したんだよ、俺…達の事をな」

「ついでに、僕の本来の目的をね」

 

目的…まさかお前ら…!

 

「「聖剣を叩き潰す事…!」」

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