ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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※教会組へのアンチ要素が入っています。嫌いな方はご容赦を。


28話_俺、幼馴染達に喧嘩売りました

あの言葉…やっぱりフリードは聖剣計画の被験者で、木場共々聖剣計画による復讐心を目覚めさせちまったって訳か、あのイリナとの写真の所為で…

当たって欲しくなかった予測だが、一方で、この予測でしかあのフリードの破綻振りは説明できない…聖剣計画における人道から悉く外れた扱い…あれがフリードの性格を歪めて行ったとしか。

…兎も角、昔の重大なトラウマを思い出した以上、あの2人は絶対に止まらないだろう…聖剣に対する復讐心を満たす、その日まで。

止められないなら、せめて…む!?

この…俺達悪魔が苦手とする気配…俺の家からか!?

 

「れーちゃん!アーシア!」

「うん!いっちゃん!」

「は、はい!」

 

何やら良からぬ事が起こっていないかという不安を覚えながらも、れーちゃんとアーシアと共に家に大急ぎで向かう…中からはあの『聖なる物』以外の不穏な気配はしない、か…って、あれ、この微かに聞こえて来る声…

 

「やっほ、イッセー君!久しぶり!」

「イリナ!?」

「イリナって…いっちゃんの幼馴染の?外国に行ったっていう?」

 

そこにはれーちゃんの言う通り、今は外国にいる筈の幼馴染がいた。

 

------------

 

「随分と前に外国に行ったきりだったが…まさか日本に帰っていたとはな」

「うん。日本に用事があってね。ところで隣の人は?」

「俺の彼女」

「初めまして、いっちゃんの彼女のレイネルよ。宜しくね、紫藤イリナさん?」

「か、彼女!?ていうかいっちゃんって!?」

 

…俺が彼女持ちになったらおかしいか?

離れ離れになってからもう10年、彼女の1人位作っても何ら変な事はないぜ?

…等と冗談交じりに幼馴染との再会を懐かしんでいるが、イリナ…ともう1人、さっきから俺達を睨んでいる、緑のメッシュが入った青髪の少女から感じられる『聖なる物』の気配…間違いない、彼女たちは教会陣営の者、それも悪魔祓いだな。

そして俺を睨んでいる少女…あの抑える気すら無い敵意は、確実に俺達が悪魔だと、倒すべき敵だと気付いている、そんな目だ。

 

「ところでイリナ、さっきから俺達…教会の敵である俺達『悪魔』を睨みつけているそっちの子は?」

「!…気付いていたんだ。彼女はゼノヴィア、私と一緒に教会から来た悪魔祓いの子だよ」

「ゼノヴィアだ、宜しく頼む。さっきもイリナが言っていたが、とある用事でこの街に来た。その件で明日、駒王学園に行く事になっている…君達悪魔と交渉する為に」

「そんな殺気振りまいておきながら…交渉、ねぇ。碌な物じゃ無さそうだな」

「そう思って貰って結構。兎も角、詳しい事は明日にでも話す」

「ごめんねイッセー君、彼女融通が利かない所があって」

「良いって事よ。それだけ神様を想う気持ちが強いって事だろう?…想い過ぎて周りが見えていないとも言えるだろうがな」

「あはは…それじゃ、またねイッセー君。また明日ね」

「おう」

 

…明日か、木場やフリードの事もあるし、穏便には行かなさそうだな…交渉も、その後にあるイリナ達の言う『用事』も。

 

------------

 

「先日、カトリック教会ヴァチカン及びプロテスタント側、正教会側にて保管、管理されていた聖剣『エクスカリバー』が奪われました」

 

エクスカリバーって確か、今でいうイギリスで活躍した英雄、アーサー王が持っていたとされる、持っている者に勝利を約束すると言われる聖剣…!

けど確か、エクスカリバー自体は3大勢力の大戦の折、粉々に砕け散って、その破片を基に7つの聖剣を作ったって、前にれーちゃんが言っていた様な…て事はだ。

 

「7つに分けられたエクスカリバーを分けて其々の教会で管理していた内の何本かが奪い去られ、その奪還の為にお前らが残った何本かを帯剣して、この悪魔が管理する地へ、『要求の為に』やってきました…って所か?並の人間が聖剣に対抗するには聖剣しか無いし、昨日も感じた『聖なる物』の気配…聖剣なら納得出来るからな」

「!…随分な推理力だな。其処まで的中させているなら話は早い。奪われたのは其々の教会で管理していた2本の内の1本…ちなみに残りの1本は行方知れずだ。その盗んだ犯人は…この街に潜伏している。そういう事だ」

「!?…おいおいマジかよ」

 

イリナ達が持っている物ですら少し離れている所でも察知出来る程の気配…3本集まればその強さは相当な筈、部長からもそういった気配察知が得意だと評価されている俺が察知出来ないなんて…!

 

「それで、盗んだ存在は?」

「奪ったのはグリゴリの幹部、コカビエルだ」

「!?コカビエルさ…コカビエルが…!」

「ま…マジっすか…!」

「何という事だ…この街を戦地にする気か…!」

「チッ…当たって欲しくなかった心当たりが当たったぜ…!」

 

盗んだ存在の名を聞き、戦慄を覚えたれーちゃん達元堕天使…あのコカビエルが…なんて事だ…!

 

「堕天使の幹部に、教会の重要な物が奪われ、この悪魔の地に潜伏している…失態どころでは無いわね。けど確かにそれなら納得ね…上の悪魔は聖剣に興味はないそうだから」

 

ゼノヴィアからの報告を聞き、渋い顔を浮かべる部長…確かに、堕天使の最高幹部が敵陣営から奪い取った聖剣を手に、敵である悪魔の地に潜伏したとなれば、単なる不法侵入どころでは無く…がん細胞の如く暴れ回られかねない。

そしてそれが元で3大勢力が再び戦争になれば…それこそコカビエルの思うつぼだ。

 

「それで…教会の悪魔祓いたる貴方達は何の為に私達悪魔に接触したのかしら?」

「私達の依頼…いや注文を伝える為だ。この件に関して…私達とコカビエル、及びその協力者との戦いに一切手を出すな、という注文をね」

 

!?おいおい、碌な物じゃねぇだろうとは思っていたが…この街が、街の住人が巻き込まれても、一切関わるなって事か…!

 

「…随分な物言いね。私達が堕天使と手を組むのを危惧していると言いたげね」

「上は悪魔と堕天使を信用していない。教会側から聖剣が無くなれば、悪魔とて堕天使と同等に利益がある。もしコカビエルと手を組んでいるとあらば、私達はお前達を消滅させる…例え魔王の妹であろうとな…上司からの伝言だ」

 

…尤もだが、随分と舐めた口聞いてくれるじゃねぇか…しかも部長が魔王ルシファー様の妹だと知った上で…!

 

「…私の身の上を知っているという事は、貴方達も相当上に通じているという訳ね。ならば言わせて貰うけど…私は堕天使とは手を組まない!グレモリーの名に懸けて、魔王の顔に泥を塗ったりはしないわ!」

 

!…流石部長、我を忘れず、きっぱりと言い切った!

 

「それを聞けて安心したよ。さっきの注文もあるが、コカビエルがこの街に潜伏している事、エクスカリバーを3本所持している事…その情報を渡さないと私達が教会に恨まれるからね、魔王の妹ならば尚の事だ」

「そう…ところで、貴方達だけかしら?」

「ああ。カトリックからは私、プロテスタントからはイリナ…正教会は派遣を保留した。私とイリナがやられたとしても、最後の1本は死守するつもりだろう」

 

おいおい、そうだとしたら…

 

「たった2人、エクスカリバーも2本しかない状態で、エクスカリバーを3本所持したあのコカビエルを倒すとでも?無謀よ」

「それは承知の上、死んでも構わないわ」

「私もイリナと同意見だが、正直に言えば、まだ死にたくはないな」

 

やっぱり自爆特攻かよ…!

 

「死ぬ覚悟でこの街に?相変わらずね、貴方達の常軌を逸した信仰心は」

「我々の信仰を馬鹿にしないでちょうだい、リアス・グレモリー」

「そうだな。それに堕天使に利用される位ならエクスカリバーを全て破壊しても構わないと上層部も言っている。私達の役目は少なくともエクスカリバーを堕天使の手から離す事だ。その為なら私達は死んでも良い」

 

神の為、神の為か…それが真っ当な方向であった事…果たしてどれ位あっただろうな…!

 

「さて、そろそろおいとまさせて貰おう、行こう、イリナ」

「そう。お茶は頂かなくていいのかしら?」

「いや、良い」

「…相変わらずね、ゼノヴィア。御免なさいね、それじゃあ」

 

そう言って帰ろうとした2人だった…が、

 

「…兵藤一誠の家で会った時、まさかとは思ったが『魔女』アーシア・アルジェントか?それに其処の男…『殺人鬼』フリード・セルゼンまで…まさか、この地で出会うとは」

「あ、あの…」

「随分と懐かしいニックネームを出してくれますねぇ教会の狗が」

「貴方が一時期噂になっていた『魔女』こと元『聖女』さん?悪魔や堕天使をも癒す力を持っていたそうね?」

 

ブツン!…頭の中でそんな音が聞こえた。

 

「追放されて何処かに流れていたって聞いたけど…仕方ないわね、悪魔や堕天使すら治しちゃう力なんて」

「…タスク(バァン!)」

「!?」

「い、イッセー…君?」

 

…アーシアを『魔女』か…成る程な…!

 

「お前達教会の事は良く分かった…今の言葉でよーく分かったぜ…約70年前のナチスの過ちを認めないクズだらけだって事がなぁ!」

「なっ!?貴様!」

「イッセー君!?」

「『汝、隣人を愛せよ』『敵を憎むな』…悪魔である俺ですら知っている、聖書の有名な一文だ。シンプルだが、お前らが盲信している神が言いたい事をズバリ体現していると俺は思っている。何故アーシアが怪我している悪魔を治したか分かるか?…それは敵である悪魔をもただ単に助けたいという想い…オスカー・シンドラーや杉原千畝がユダヤ人を助けた時に抱いた想い…神の想いに従ったまでだ!それを行った事で、一発で『魔女』扱い…ナチスが第二次世界大戦中にユダヤ人、及びレジスタンスに対してやってきた事と1つも変わらないなぁ!」

「イッセー君!今すぐ撤回して!」

「貴様!悪魔の分際で神を語るな!」

「はっ誰が聞くか…まだあったな。そんな神の意志の下で、お前ら信者は何をして来た?イスラム教徒が占領した聖地を奪還するという名目で十字軍を結成したは良いが、最初の遠征以後は、中東の諸国への言い掛かりで宣戦布告、挙げ句同士討ちもした…魔女狩りと称して、碌な証拠を揃えもせずに無関係の人を次々と虐殺した…神の意志をでっち上げて絶対的な独裁政治を敷いて、私服を肥やした…神の想いは本物だとしても、その下は碌な物じゃねぇなぁ!これじゃ聖剣もあっさり盗まれるなぁ!」

「!…貴様、表に出ろ!」

「今の言葉…力ずくでも撤回して貰うから!」

「上等だ!グラウンドで待っていろ、必ずテメェらの過ちを叩きなおしてやる!」

 

さて…余りの展開について行けない様子の部長達は…置いといて良いか、直ぐに来るだろう…良し、行きますか…って、

 

「待ってよ」

「ちょいと待ちなイッセー君」

「何だ、木場にフリード?」

「僕達も付き合わせて貰うよ?」

「俺達も混ぜろよ?」

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