「久々に着るけど、何か着心地悪いな~。やっぱし悪魔に教会の水は合わない的な?」
「まあ仕方ない、情報が少ない今、取れるだけの策は講じないとな」
「そうだね。相手は聖剣を狙っている、教会の者だと認識させれば襲い掛かる可能性が上がるのも道理って物かな」
「私が同行している以上嘘は言っていないしな」
あの後、改めてシトリー先輩達にイリナの保護を頼んだ俺達、その後、ゼノヴィアから受けた「コカビエル、及び協力者は、聖職者を狙って襲っている様だ」というアドバイスを元に、神父風の変装をして捜索を行う事にした…現役の聖職者で、聖剣を所持しているゼノヴィアも同行させて。
さっきはああ怒鳴り散らしたが、それでも天使陣営も被害者として関わっている一件だ、俺達悪魔だけで解決となって面白いかと言われればそんな訳が無い、後で難癖を付けて来るだろう…結果として戦争に繋がりかねない、あらぬ疑いを掛けられるかも分からない。
…だったらイリナを保護している事や、今こうしてゼノヴィアを同行させている時点でアウトだろうって言われそうだが、エクスカリバーを持っていない状態で、堕天使の最高幹部が潜入している、悪魔陣営の真っただ中、そんな状況下で天使陣営が確実に『一枚噛む』方法は他にあるか?…無いだろう、後で難癖付けられても、過去の汚職を盾にしてしまえば向こうは黙るしかないしな。
「さてゼノヴィア…奪われたエクスカリバーの能力ってどんな物か、分かるか?」
「ああ。まずは
「聖剣版『騎士』駒って訳ですかい」
「大まかな説明を聞くと、そうだね」
「次に
「何処ぞやのホラー映画じゃないすかそれ、聖剣とか嘘こけですな」
「確かに、魔法使いが使った方が良さそうな能力だな。最後に
「…剣及び使い手を透明にさせる能力だ」
「っ!下がれ皆!(ガキィン!)やっぱりか…誰だ!」
「聖剣の気配を辿って見れば…まさか聖剣使いが悪魔と共闘していたとはな」
「お前…コカビエルの協力者か!?」
ゼノヴィアの説明中、突如聞こえて来た第三者の声に、咄嗟に声のした方に爪の斬撃を繰り出すと、何か刀剣の様な物を弾いた音がした…もしかして今聞こえて来た透明の聖剣の力か!?
「如何にもそうだが?」
「っ!?この声…まさかテメェ…!」
「「「バルパー・ガリレイ!?」」」
俺の疑問に素直に答えたその声に声を荒げ、その正体を言い当てる俺以外の3人…まさかコイツが聖剣計画の首謀者なのか!?だがフリードの話なら…!
「何故…何故貴様が生きている…!貴様は既に教会を追われ、そして悪魔祓いによって処断された筈の身…それが何故…今此処に…!」
「あの時は死に掛けたな。あの場に偶然コカビエルが通りすがらなければ今の私は無かっただろう…」
正体を看破されたバルパー・ガリレイはその正体を現す…空気しか無い筈の空間から浮き上がる様に現れたそいつは、眼鏡を掛けた初老の神父という出で立ちで、恐らく先程の能力からして透明の聖剣を構えていた。
その姿に驚きを強めるゼノヴィアは疑問をぶつけ、バルパーもまた応じる…話を纏めると、まさかずっと前からコカビエルは聖剣を狙っていたのか…!?
「しかし透明の聖剣を以てしても見破られるとは、人数もあって分が悪いな…此処は引かせて貰おう」
「待ちやがれ!」
俺の戦慄を他所に撤退をしようとするバルパーを追いかけようとするも、
「(バァン!)眩しい!」
「ちぃ!俺みたいな手ぇ使いやがって!」
フラッシュグレネードによる目くらましを食らってしまい、怯んだ隙に遠くまで逃げられた…行かせるか!
「3人はバルパーを追ってくれ!俺は一旦部長に連絡を入れる!」
「はいな!」
「了解!」
「分かったよ、兵藤君!」
「もしもし、部長!」
『どうしたの、イッセー?』
「コカビエルの協力者を見つけました…聖剣計画の首謀者、バルパー・ガリレイが生きていて、今回の事に一枚噛んでいました。盗まれた聖剣を使っていたので間違いありません」
『!まさか、生きていたとはね…それで、そのバルパー・ガリレイは?』
「木場とフリード、それにゼノヴィアに追わせました。俺もエレンに乗って後を追う予定です。何か異変が起こったら連絡下さい」
『分かったわ!』
「さて…行くぞエレン!」
「ヒヒィィィィィィン!」
既にスタンバイしていたエレンに跨り、木場達の後を追いかける。
その途上、俺は腰のホルスターから鉄球を取り出し、ウォームアップを始める…ぶっつけ本番でどうなるか分からないが、こうでもしないと勝てる相手じゃあ無いからな、コカビエルは…!
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Side 祐斗
「済まないコカビエル、予定を変更せざるを得なくなった」
「まあ良い、あの学校を狙おうと考えていたのはあくまで魔王共に見せつける為…何処でも問題なく行える」
僕達にとっては因縁の敵、バルパー・ガリレイを追いかけて何処かの公園にまで来ると其処には、5対もの黒い羽を広げた堕天使がいた…あれが、あれがコカビエル…!
「さてバルパー…統合までにどれ位掛かる?」
「5分あれば充分だ」
「統合…?まさか!?」
「察しの通りだ、聖剣使いよ…この3本のエクスカリバーを統合させる…本当なら貴様らが持って来たと思われるエクスカリバーを奪い取り、それをもつぎ込む積りだったが…あの悪魔が余計な事をしてくれた様だな」
「そしてその光によってこの街を滅ぼす程の力を有する術式を発動させる…貴様らはそれまでコイツと遊んでいろ」
エクスカリバーを統合させて、それでこの街を滅ぼすだって…!そんな事させるか!
そう決意して飛びかかろうとするも、先読みしていたかの様にコカビエルが呼び出した存在に阻まれてしまう。
その存在は…!
「こ、これは…!」
「頭が3つ…まさか!」
「流石に堕天使の最高幹部って訳ですかい…!」
狼を思わせるフォルムながら、その巨大さは体高だけで僕達をゆうに越し、3つの首と6つの真紅の目…間違いない、地獄の番犬の異名を持つ魔物、ケルベロスだ…しかも3体も…!
「さあやれ、ケルベロス達よ!」
『グォォォォォォォォォォォ!』
「来るぞ!」
「分かってらぁ!」
「うん!」
飛びかかって来るケルベロスに立ち向かう僕達…ケルベロスの実力は相当な物、僕達の実力では苦戦を強いられるだろう、けど…!
その時、
「お前ら其処から離れろ!」
「「「!(バッ!)」」」
「喰らいやがれぇぇぇぇ!(ヒュォォォォン!)」
『ガァァァァァァァァァ!』
「なっ!ぐぁ!?」
「コカビエル!?」
「ふぅ…どうやら間一髪セーフって所か?」
後ろから響き渡った兵藤君の声に従って、3人揃って飛び退いた後に見た光景…それは、僕達がいた場所を通過し、ケルベロスを3体纏めて、背後のコカビエルごと突き飛ばした、エメラルドグリーンの人、いや、人型の異形と言うべき存在…デッサン人形とも言うべき図体に所々ピンクダイヤモンドの様な珠を散りばめ、耳にあたる部分には円盤状の突起を生やした存在…そんな存在が、両手を突き出して突進する姿だった。
「ボール・ブレイカー…これが俺の、俺達の技術の、1つの完成型だ!」