「うー…まだ変な感じがする…」
「その…御免、れーちゃん…初めてだったから、ちょっと加減が分からなくてさ」
「い、いや、その、いっちゃんは悪くないよ、優しくしてくれたし…ただその、いっちゃんの…私には大き過ぎて…」
「朱乃さんにオーダー、渋いお茶を淹れられるだけ淹れて!」
「部室から出ちゃダメかな…?」
「男手がいの1番に出たら駄目だろう」
「…嫌らしいです、帰って良いですか?」
「何か口の中が粘々して…く、口から砂糖が出て来たっす!」
「美月、ベタなネタに走るんじゃ…アタシの口からも砂糖が!」
「主もどうし…私もだ…」
「…口がベタベタしてきたので、お茶でうがいして来ますわ」
「は、はわわ…」
「この前桐生も言っていたが、流石イッセーだな…」
「羨ましいわ、レイネル…」
「あ、はは…方々から聞いていたけど、凄い熱愛振りだね…私も口から砂糖が出て来たよ」
「お、お兄様!?」
あのプールでの暴走、そしてれーちゃんとの初夜の次の日の放課後、れーちゃんの体調を気遣っていると、突如俺達オカルト研究部員以外の声が…え、部長、今何て?
「やあ、リアス。それに眷属の皆」
その声に顔を向けると其処には、真紅の(男にしては)長髪、部長を男っぽくしたらあんな感じだと言わんばかりの端正な顔立ち、黒のスーツが良く似合う、塔也にも引けを取らないがっしりとした体格の美男子がいた…まさかこの方が!?
「初めましてな人もいるから自己紹介するよ、リアスの兄で、現魔王の1人、サーゼクス・ルシファーだ。宜しくね」
『ま、魔王様!?』
こ、この方が、部長の兄にして魔王のルシファー様…!
「マジで!?マジで今、『生』魔王様が目の前にいるの!?」
「フリード…生ビールみたいな感じで言うのは失礼だよ…」
「はは、良いさ、今回は公式な場じゃ無いんだ、そうして砕けた感じで接して貰えると助かるよ」
「あざーっす。しっかし服じゃなくて髪が赤と来ましたか」
「幻想を抱いて溺死しろ…どうだい、似ている?」
「おぉぉぉ、そっくりでさぁ!じゃあ次はカオスガンダムのパイロットで」
「お前も馬鹿をやれよ、馬鹿をさ…これはどうだい?」
「うぉぉ、これもそっくりだ!じゃあ次は」
「魔王様で遊ぶなぁぁぁぁぁ!」
「へぶぁ!?」
全くこいつは…!
「それで、お兄様はどうして此処に?」
「何を言っているんだ。授業参観が近いそうじゃないか?我が妹が勉学に励む姿を間近で見ない訳には行かないじゃないか!」
「…グレイフィアね、お兄様に授業参観の日程を教えたのは」
…この『行かなくて何が兄だ』と言わんばかりの魔王様の態度、そしてその態度に何処かげんなりした様子の部長…もしかしなくても、魔王様って…シスコンなのか!?
案外、人…いや、悪魔か、見かけや肩書きに寄らない物だな。
「それもあるんだけど、本題は、3大勢力の会談が近々、此処で行う予定でね、その下見に来たんだよ」
「…この街で起こったコカビエルの1件が関連している、という事ですか?」
「流石はリアスだ。堕天使陣営の最高幹部が、天使陣営から聖剣を盗み取り、悪魔陣営が管理している土地に不法侵入した…この際だから改めて和平を結ぼうじゃないかって事になってね」
…確かに、アザゼルさんも言っていたが、コカビエルの一件は3大勢力全てを巻き込んだ異常事態だ、対策が遅れれば火種が発火しかねない…戦争の火種が。
アザゼルさんがこの街に来ていたのも、その為なのかも知れない。
…それにしても切り替えが早いな、流石は魔王様、公私はしっかりと分けているという訳か。
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「なあドライグ…思えば、俺が悪魔に転生してから、色々な事があったな」
『相棒?どうしたんだ急に?…まあ確かに、修行とはぐれ悪魔狩り、そしてバンド活動に精を出していた人間時代とは大きく変わったと言えるな』
悪魔になってから僅か2ヶ月近く…振り返ってみるとその間に、数々の出来事があった。
れーちゃんと再会した時に人間として殺され、悪魔になって…教会を追放されたアーシアを確保して…佳奈と美月、塔也とフリードがいた教会に殴り込んで…部長の婚約を巡って焼き鳥野郎とドンパチして…朱乃さんの過去を知ってれーちゃんが叱咤激励して…エレンを使い魔にして…そして先日はコカビエルとドンパチした。
俺の周囲だけじゃない、俺自身も色々あった…ドライグ曰く、俺の能力の1つであるタスクが完成の域に達し『全盛期の俺ですら抵抗できない力』と怯え混じりに説明されて…人間時代にはまともに扱う事すら出来なかった鉄球回転の技術が、その完成形であるボール・ブレイカーを生み出すまでに磨かれて…れーちゃんとの関係も、昨夜とうとう初めてを共にした。
まだまだ色んな課題はある…部長やアーシア、ゼノヴィアとの関係…コカビエルとの一件で出会った『白龍皇』の存在…3大勢力のこれから…そして『赤龍帝』としての、悪魔としての、れーちゃんの彼氏としての、俺の在り方。
その課題も、今後増えて行くかも分からない…ドラゴンの力はあらゆる物を惹きつける…厄介事が降りかかって来るのも、考えられる。
それでも俺は、悪魔としての、赤龍帝としての運命を受け入れ…前を突き進む!
そう、決意したその時…!
「な…何だこの…今まで感じた事が無い位に強大な力は…!」
『こ…これは!まさか…アイツが…この近くに…!』
「知っているのか、ドライグ…この強大な力を持つ存在を!」
『ああ…知っているどころの問題じゃない…この力は全盛期の俺でも勝てなかった存在…今の相棒…あの俺ですら抵抗できない領域にまでタスクを進化させた相棒ですら敵わない存在…!』
「我、オーフィス」
「『!?』」
突如、俺がいた河川敷で聞こえた、第三者の…恐らく少女の…声。
その声に振り向くと…其処には小猫ちゃんや美月よりも幼そうな少女がいた。
黒のロングヘアー、可愛らしいが無表情な顔立ち、ゴスロリチックな服装だが胸元は開いていて、バツ印のテープが両方の胸に張られているという異様な服装だ…が、俺には分かる…あの強大な力は、この子から発せられている事が…!
そして、この子が名乗った名前…
「ドライグ…オーフィスって、あのオーフィス…だよな。間違いなく」
『ああ…『無限の体現者』だとか『無限の龍神』とか言われている、あのオーフィスだ…この力からして間違いは無い…!』
そんな無限の龍神様が、何故俺の所に…?
「ドライグ、久しい。それと…初めまして。名は?」
「あ、ああ。初めまして。兵藤一誠だ。イッセーって呼んでくれ」
『久しぶりだな、オーフィス…それにしても、俺以外の存在に興味を示すとは、珍しいな』
「イッセー…我と同じく『無限』を持つ、存在の名…」
「へ…?一体何を言って…」
『『無限』を持つ存在…まさか…タスクのACT4か!?』
え…タスクACT4って其処まで凄いのか!?
確かにドライグから、全盛期であっても抵抗出来ないとお墨付きは貰ったが、其処までの代物だったなんて…!
と、びっくりしていると、
「…会いたかった(ぽすっ)、イッセー」
「…へ?」
色々言いたい事はあるがまずはこれだけ…何このデジャブ?