「イッセー…」
「いっちゃん…どゆこと?」
「イッセーさん…これは一体…?」
「俺に言われても何が何だか…ドライグ、お前知り合いだろ。どういう事か説明してくれ」
『俺だって分からん!少なくとも俺の知るオーフィスは他の存在への興味はほぼ無いと言って良い筈。増してや相棒は会ってばかりだと言うのに…』
「オーフィスちゃんで良いかしら?好きな食べ物は?」
「好きな食べ物?…我、分からない」
「あら、そうなの…イッセー、ドラゴンってどんな物が好きなのかしら?」
「母さんは順応し過ぎだ!少しは疑問を持ってくれ!」
あの後、突如俺に抱き付いて来たオーフィスを家まで連れて来た…『無限の龍神』を独断で俺の家に連れ込むのは色々問題ありだが、あの場に置いておく訳にも行かないからな。
しかしドライグの話が本当なら、あの場で抱き付いたり俺の家に来る事を2つ返事で了承したりする筈が無い…そもそも知らない人にホイホイ付いて行くのはどうなのだろうか、世界最強クラスのドラゴン故に襲われても返り討ちに出来そうだが、見た目が異様な服装のロリなだけに杞憂だと突っ込まれそうな程心配になる。
もしかして、あの場で言っていた『無限』…ドライグがそれに比類すると言っていたタスクACT4と、それを俺が発現させた事と関係が…?
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『さて、相棒の何が、突如現れて抱き付く程の興味を持たせたのだ、オーフィス?』
「答えられるだけ答えてくれ。俺も悪魔陣営に身を寄せている身、保護するにしても事は慎重に運びたいからな」
「了解」
俺達の要望に快諾したオーフィスは、そのまま淡々とした口調で話し始めた…
遥か昔…俺達人間や、天使や堕天使、悪魔といった人外陣営、ドライグたちドラゴンもいなかった昔、『次元の狭間』と呼ばれる『世界』と『世界』の『何も存在しない隙間』に住んでいた事。
或る日、同じく其処に住まう『
それから長い年月を経た現在、次元の狭間に戻り静寂を得たいという想いを持ち…つまりホームシックにかかったって事か、その為の障害になるグレートレッドを排除する為にテロ組織『
ところが最近、自分と同じ『無限』の気配を感じ取った事で何とも言えぬ想いと興味を抱き、それを理解すべく禍の団を独断で脱退した事。
そして…探し出した末に、『無限』を持つ存在を…俺を、見つけ出したと言う事。
「おいおい、幾らホームシックになったからって…テロ組織作るとかマジかよ…」
『そしてそれを独断で脱退してまで相棒を探し出すとは…余程執着している様だな』
今までの話や、ドライグからの情報を踏まえると…良くも悪くも自分の欲望に忠実かつ純粋な存在だと言える。
禍の団という名のテロ組織を設立したのは、その悪い点が出てしまった典型例だと言える。
恐らくオーフィスのホームシックにつけ込み、その力を得ようとした連中が口車に乗せて傀儡としてのトップに据えたんだろう…テロリストというのは何時の時代も汚いな…!
だがテロリストの誤算は、ホームシックをも吹き飛ばす様な想いをオーフィスが抱いた事…多分俺が、その想いを抱かせた事、抱かせる様な『無限』の力であるらしいタスクACT4を発現させた事だ。
そして、その想いに俺は何となく心当りがある…それは…
「我、この想い知りたい。我と同じ『無限』を持つイッセーへの、この想いの正体を」
「なあオーフィス、それについていくつか質問して良いか?」
「構わない」
「じゃあまずは1つ目。その想いを抱いてから、何か変化は無いか?例えば身体の何処かがおかしいとか」
「時折、胸の辺りがドクドクと言う様になったり、暖かくなったりした」
「2つ目。その胸のあたりの異変は、俺と出会った事で治まったか?」
「否、むしろ若干ながら激しくなった…そういえば、顔も少し熱い」
「3つ目。俺に抱き付いた時、どんな感じだった?」
「胸の異変が激しくなった、しかし…平静を得られた。『安らぐ』という事だと思う」
「最後だ。禍の団を抜けだした今も、グレートレッドを倒す事、次元の狭間に帰る事を望んでいr」
「どうでも良い。今は、この想いの正体を知りたい。この想いを…満たしたい」
…ビンゴだな、これは。
俺も幼少期、れーちゃんに対して抱いたから分かる、これは、
「オーフィス、お前が抱いている想いの正体を教える、良く聞いてくれ…お前は俺に『恋』をしている。お前は俺に恋心を抱いているんだ。恋は知っているか?」
「知っている、然しながら感じた事は無い…これが、これが恋…」
『…何となく想像していたが、まさかあのオーフィスが…しかも次元の狭間もグレートレッドもどうでも良いときっぱり言う位の激しい想いだとはな』
「…」
オーフィスの、俺への想いを認識し、俺にもたれかかる彼女を見つめながら、俺はある決心をした。
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翌朝、授業開始から1時間も前の駒王学園旧校舎、その一室である部長の私室…今更だが、俺と、俺の家に居候しているれーちゃんとアーシア以外は此処を(人間界での)住居としている。
「「「失礼します」」」
「失礼」
「あら?イッセーにレイネルにアーシア?オカ研は朝練やって…その子は?」
「我、オーフィス」
「!?お、オーフィスって…あの!?」
「はい、恐らく部長の思った通りの、あのオーフィスです。昨晩突然俺の元に現れ、くっついてきたのでどうしようかと思い…まずは部長、そして魔王様に連絡して対応をと思い、今、来ました」
「そ…そう、分かったわ、お兄様には私から伝えて置くわ」
「それと…ゼノヴィアを呼んで頂いても良いですか?俺達6人に関する、大事な話がありますので」
「私達6人?まさか…良いわ。ゼノヴィア」
「どうした、部長…って、イッセー?それにレイネルにアーシアに…後は誰だ?何故こんな朝から?」
「イッセーから大事な話があるそうよ…私達6人に関する。イッセー、後はお願いね」
「はい」
俺を含めて6人揃った…始めよう。
「皆は、俺がれーちゃんの事が好きだという事は、俺にとってれーちゃんは誰よりも大事な存在だという事は、もう知っていると思います。その事は、その想いは今でも変わりありません」
そう、それは今でも変わらない、変わらないが…
「ですが一方で、部長やアーシア、ゼノヴィアを、そして昨日知り合ったばかりのオーフィスを、俺はどう想っているのか、俺の事が好きだと言ってくれた皆を、俺はどう想っているのか…正直分かりませんでした」
「イッセー…?」
勿論、大切な存在だとは想っている、が、それはあくまで主として、仕える主を共にする仲間として、としか想っておらず、3人から告白された時も、それに揺るぎは無かったと思っていた…筈だった。
だが、本当にそうなのかと思う出来事が立て続けに起こった。
幾ら不死で且つ生命への安全が保証されているレーティング・ゲームの場とは言え、焼き鳥野郎をタスクACT3によって出来た弾痕に引きずり込み、無限に破壊し続けるスクラッパー地獄を味あわせた。
部長に対して見下した様な態度を取り、アーシアを『魔女』だと罵ったゼノヴィアとイリナを、タスクで威嚇発砲した挙げ句、ナチスドイツの所業等を挙げて罵詈雑言を浴びせた後、決闘で瞬殺して、持っていた聖剣を破壊した。
得物を失っても尚、調査を続行しようとするゼノヴィアとイリナを、悪魔の身でありながら「神の、教会の意志に反する」と言って諭した。
そして…神の不在を知ったゼノヴィアの悲しみに満ちた顔を見て「殺されても良い」と捉えられそうな言葉を言い、彼女の「胸を貸してくれ」という頼みを快諾した。
…最近まではその事も「主を、仲間を大切に想っているなら当然だ」と、考えていた、考えようとしていた。
今思えばそれは、認めたくなかったのかも知れない…3人の事もまた、女性として好きになった事を、恋心を抱いた事を。
認める事、それすなわちれーちゃんへの、れーちゃんを想う気持ちへの裏切りだと思っていたから。
そんな俺に、俺の想いに転機をもたらしたのは、多分昨日現れたオーフィスだろう。
自分と同じ『無限』を体現した俺へ、自分の様な存在である俺へ恋心を抱き、禍の団を抜け出して探し出したオーフィス、恋心の「こ」の字も知らなかった彼女に、その想いの意味を教えて行くうちに…俺もまた、3人への想いを、3人への本当の想いを確認できた…いや、訂正、4人だ、オーフィスと語り明かす内に、彼女へもまた、だ。
焼き鳥野郎の事を「クズ野郎」と罵った分際だが、最低野郎の発想だと自覚しているが…認めよう、れーちゃんの他にも、4人の女性を好きになった事を。
「けれど今になって、ようやく分かりました…部長、いや、リアス…アーシア…ゼノヴィア…そしてオーフィス…れーちゃんを彼女に持っている俺がとんでも無い事を言います…好きです、女性として、大好きです」
「「「「「…!」」」」」
こんな馬鹿げた最低な事、フリードのお膳立て(?)が無かったら死刑だな。
「今更だけど…私も好きよ、イッセー…1人の男性として!」
「あ…ありがとうございます、イッセーさん…!」
「良かった…!本当に良かった…!」
「…ダブルピース」
「いっちゃんは優しくて一生懸命だから、きっとそう言うと思ったよ。でも1番は私、でしょ?なら良いよ!」
!…ありがとう、ありがとう…っ!
「突撃隣の朝ごはーん!」
「イッセー君、よく決心したね!」
「リアス、それにアーシアさんにゼノヴィアさん、おめでとうございますわ」
「…今回は特別ですよ」
「よっ、モテモテっすねイッセー兄さん!」
「よっしゃ、祝砲だ!」
「主、手伝おう」
「…無限の龍神が混じっている事には誰も突っ込まないのか?」
…お前ら、
「何時から見ていた?」
「『ゼノヴィアを呼んで頂いても良いですか』辺り?」
「殆ど最初からじゃねぇかお前!」
「まあまあ細けぇこたぁ良いんですよ、今は新しいカップル誕生を全速前進で祝福DA!木場ちゃん、皆、景気よく行くぜヒャッハー!」
「誰か止めてくれコイツ…」
…まあ、今回ばかりはコイツのトラブルメーカー振りに「ある意味で」感謝だな。