ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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40話_俺達、吸血鬼と出会いました、ら…

旧校舎のとある一室、『KEEP OUT!』と書かれた如何にもな黄色いテープが幾重にも貼られ、恐らくは封印を施すであろう刻印まで刻まれた扉がまず出迎えた…何と言うか、此処まであからさまな程の厳重さ…成る程、俺が気付かない筈だ。

 

「リアス、此処まで厳重な封印が施される眷属って、どんな奴なんです?」

「もしかして近寄るのも憚れるほどの危険人物だとか…?」

「こ、怖いですイッセーさん…」

「誰が襲い掛かろうと、デュランダルで成敗してくれる」

「一応、私達の仲間だからな、ゼノヴィア」

「ひゃはは、血が騒ぐぜ。俺の聖魔剣で出来た血がな!」

「気ぃ引き締めねぇとな、どれくらいの力量なのか…」

「ちょっと足震えて来たっす…」

 

俺の質問を起点に、色々な意見が飛び交う俺らその人物を知らないメンバーに、リアスは、

 

「いえ、其処までいう程危険じゃないわ。この封印だって深夜には解けて旧校舎内なら探索して良いんだけど…所謂引き籠りで、一日中、此処に住んでいるのよ」

「ヒッキーですかい」

「契約取りとかどうすんだよ、そんな状態で」

「それは心配ありませんわ、契約者の中には対面を避ける方もおられますので、その担当をしているのですわ、結構評判が良いのですよ…それが眷属の中でも一番の稼ぎ頭となっているが故、無理に出て来る様にとも言えず困っているのですわ」

「ああ、パソコンっすか?ヒッキーには必需品っすからね」

 

返答をした…深夜に解けるという事は、悪魔がそれ程力を発揮出来ない昼間ではリアス達の手に負えない程の危険性があるという事でもある、でもそれ以上にヒッキーと来たか…その事にゼノヴィアや塔也が顔をしかめ、フリードや佳奈、美月が口々に批判を展開した…まあ外での仕事がメインだったが故、仕方ないな。

さて、何が出るか…

 

「さあ、扉を開けるわ」

「ひぃぃぃぃぃぃ!?」

 

っ!な、何だ!?

リアスが扉に手を掛けた次の瞬間(多分、少しは開いたか?)少女の物らしい叫び声が強烈に響き渡った…余程外が嫌いか?

 

「ごきげんよう、元気そうで何よりだわ」

「な、何事ですかぁぁぁぁ!?」

「…重症だな、これ」

 

リアスが声を掛けると即座にまた叫び声を上げる…その状態に、俺はそう呟くしかなかった。

 

「リアス、彼女は一体?」

「イッセー…まあ女の子に見えるのは仕方ないけど、『彼』は男の子よ」

 

…は?

 

「えっと部長?冗談ですよね…?」

「か、彼女が、ですか?」

「嘘っすよね…?」

「部長、ジョークは笑える奴にしてくれや」

「この子はギャスパー・ヴラディ。私の僧侶で、趣味は女装よ」

 

…mjdsk?

 

「…つまり、男の娘って訳ですか、リアス?」

「ええ、そうよ…でも、文章にしないと判別が付かないわよ、イッセー」

「おお、メタいメタい」

「…一先ず、入るわよ」

 

何時も通りのテンションなフリードを放って、リアスの指示に従ってギャスパーの部屋に入る…と、其処は可愛らしい装飾が施され、可愛いぬいぐるみとかが並んだ、閉め切られたカーテンによって日中なのにうす暗い以外は少女の部屋その物である。

そしてその部屋の主であるギャスパーもまた、アーシア以上に小柄で、さらさらな金髪、真紅の眼、雪の様な白さの肌が特徴的な、完全に『女子』だった…リアスから男子だと説明されても、まだ信じられないな。

だが、良く見ると人とは違った特徴も見受けられる…まずは所謂『エルフ耳』と呼ばれる尖った耳、次に口から隠しきれていない犬歯…最早『牙』と言っても差支えない代物だ、そして…

 

「棺桶…何でこんな物が?」

 

そう、部屋の中央にでんと置かれた、棺桶があった…ご丁寧に黒っぽい色合いである、まさか…

 

「想像の通りよ、イッセー…この子は吸血鬼と人間のハーフなの」

「…いるとは聞いていましたが、まさか此処までイメージ通りなんて…」

 

だがそれなら部屋が薄暗い理由も分かる、吸血鬼は日光が天敵だからな。

…さて、と。

 

「初めましてだな、ギャスパー。俺の名は兵藤一誠、イッセーって呼んでk」

「ひ、ひぃぃぃぃやぁぁぁぁ!?」

 

っ!?な、何だ!?

俺がゆっくりと歩み寄りながら自己紹介をすると突然、ギャスパーの周囲の物体が色を無くし…いや、物体だけじゃない、何故か周囲の『空間』すらも色を無くして、そしてそれは広がって…ってこっちに向かって来る!?

 

「皆、危な…って、あれ?」

 

危険を感じ、背後の皆にそれを伝えようとすると…其処にはぴたりと動かない皆の姿が…な、なんだこれ?

 

「れーちゃん?リアス?アーシア?ゼノヴィア?皆?おーい?」

 

声を掛けても何の反応も無い…ど、どういう事だよ、これ…

 

「な、ななな…何で動けるんですかぁ!?」

「ぎゃ、ギャスパー?お前は、何とも無いのか?」

 

ギャスパーの慌てた様な声に振り向くと、どうやらコイツだけは何とも無い様だ…いや、訂正だ、何故か俺を見て驚いた様な表情を見せている…その表情は何処か、信じられない物を見ている様な…おい、失礼だろ。

いや、待てよ…今コイツ「何で動ける」と言わなかったか?そしてあのモノクロの広がり…あれはギャスパーを起点とした物…もしかしてコイツの能力による現象か、全て?

 

「ギャスパー、こりゃあ一体どういう事d」

「ひぃぃぃぃ!?ぶ、ぶたないでぇぇぇ!」

 

…な、何でそうなる。

これは相当だな、余程トラウマになる様な出来事が過去にあったのか…とりあえず、落ち着かせないと。

 

「いや、殴らないからな、一先ず落ち着こうか、はい深呼吸!ヒッヒッフー」

「そ、それラマーズ呼吸法ですぅぅぅぅ!」

「良いからやれ!ヒッヒッフー」

「は、はいぃぃぃぃぃぃ!ヒッヒッフー!」

 

…俺が落ち着け。

とはいえ、ギャスパーも何とか落ち着いてくれた様だな。

と、思ったら、

 

「あれ、イッセー?何時の間に其処に?」

「いっちゃん、もしかして瞬間移動!?す、すごーい!」

「テレポートですか!?すごいです、イッセーさん!」

「流石イッセー君!おr」

「いい加減そのネタはしつこいっての!」

 

ギャスパーの『能力』が解除されたのか、普通に動き出し始めた皆…だが、あの止まっていた間の記憶が無いと言わんばかりに、まるで俺がギャスパーの方に瞬間移動した様な口振りをする皆…まさか?

 

「リアス…もしかしてギャスパーって…時を止める力でもあるんですか?」

「…流石ねイッセー、その通りよ。『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』。視界に捉えたあらゆる物の時を止める神器よ」

「…メリー・ナイトメアならぬギャスパー・クロナトグって訳ですか」

「イッセー、メタいわよ」

「でもそれにしても…何で俺だけ動けたんですか?あの場でギャスパーから一番近くにいたのは俺の筈ですけど?」

「イッセーの実力がそれだけ群を抜いている、という事よ。ギャスパーの神器は、使い手よりも明らかに上位の実力者は停止させる事が出来ないの」

「…成る程」

 

見た物全ての時を止める神器か、確かに危険極まりないし、封印を施されても仕方ないが…恐らくコイツが、トラウマ級の過去の原因かも知れないな。

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