ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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42話_俺、ライバルと再会しました

「神器の連続使用は身体に負荷が掛かる。だからまずは体力を付けないとな。という事で、コレだ」

「ふ、古タイヤですかぁぁぁ!?」

 

風呂から上がり夕飯も済ませ、早速訓練に取り掛かろうとしていた俺達は、今言った通り、まずは体力作りから始める事にした。

そこで用意したのは、車用で使われていた古タイヤ…そう、タイヤ引きが今日のメニューだ。

安直な発想だが、それなりにある重さに加え、ゴムならではの摩擦力の高さからその場に留まる力が意外と大きく、それを引きずりながら走るのは下半身にかなりの負荷が掛かる、故に効果的なのだ。

だが、

 

「いや、お前はタイヤに乗ってくれ。俺が引く」

「え!?の、乗るんですかぁぁぁ!?」

 

ずっと引き籠っていた奴にいきなりこれでは厳しい物がある、よって今日はタイヤに乗って貰う。

それだとギャスパーじゃなくて俺のトレーニングになるじゃないか、と言われそうだ…実際にその考えもあるから否定はしない。

だが、

 

「ああ、乗ってくれ…準備は良いか?」

「は、はい!」

「行くぜ…しっかり掴まっていろよ!」

「へ?(ギャギャギャギャ!)う、うわぁぁぁ!?」

 

それが河川敷の砂利道であれば、話は変わって来る。

車で走ると分かると思うが、不揃いの石ころが所狭しと散りばめられた砂利道は、例えゴム製のタイヤであろうとグリップが安定せず、左右に滑ったり、揺さぶられたりする。

それ故、引っ張っている俺には通常よりも思わぬ力が掛かりやすいが、そのタイヤに乗っているギャスパーも、思わぬ挙動に振り落される可能性がある。

故に怪我しない為には全身の筋肉を使って踏んばらなければならず、これによって全身の筋肉が鍛えられるという訳だ。

…これ位なら大丈夫そうか、なら、

 

「次は堤防の法面だ!」

「うわぁぁぁ!?か、傾いていますぅぅぅ!」

 

此処の堤防は、比較的法面(堤防の所謂側面部分だ)の斜度が浅いので、斜面をランニングするのも不可能じゃあ無い。

尤もそれは普通のランニングの話で、タイヤ引きとなると、タイヤが下に落ちないように一定以上のスピードを付けなければならない分、かなりの負荷となる。

だがその分のリターンは期待出来…そしてそれは傾いた状態のまま踏んばらなければならないギャスパーも一緒だ。

さっきの砂利道以上に振り落される可能性が高まり、故に身体を水平に保つように踏んばる事でリターンも高まる、という事だ。

 

「ふ、振り落されるぅぅぅ!」

「頑張れギャスパー!俺も頑張って引っ張るからな!」

 

そして俺はギャスパーを乗せたタイヤを、引っ張り続けた。

 

------------

 

「ふぅ、今日はこれ位にするか…大丈夫か、ギャスパー?」

「はぁ、はぁ…はい、な、何とか大丈夫ですぅ…」

 

ふぅ、やっぱ短期間でそうそう体力は向上しないか…タイヤ引きを始めてから1時間もしない内に大分バテて来た…まあ、ギャスパーは俺以上にへとへとの様子だが。

どの道今日のメニューはこれで終了した方が良いな、無理に続けるとオーバーワークで却って体力的にダメージを負いかねない。

そう考え、古タイヤとロープを回収していると、

 

「やあ、久しぶりというべきかな、俺のライバル…いや、俺の越えるべき目標と言うべきか?」

「!?その声…お前、まさかあの時の?」

 

堤防の上から1人の男が歩いて来た…神器の鎧の姿しか見ていないが、声からして間違い無い、あの時の『白龍皇』だな。

まさか此処で二天龍の因縁でも付ける気か…?そう思い、

 

「ギャスパー…隠れていろ」

「は、はい!」

 

警戒しつつ、ギャスパーを避難させる…が、

 

「警戒しなくても良い、今日は話がしたいだけさ」

「話?…まあ良いや。で、何だ?」

「隣座っても良いかい?」

 

返事を待たずに、俺の右側に座る白龍皇…罠かと勘繰ったが、コイツからは何かしらの謀略めいた様子は感じられない、乗ってやるか。

 

「そういえばあの時名乗っていなかったな。俺は一誠。アンタは?」

「ヴァーリだ」

 

ヴァーリと名乗ったその男、銀色の短髪、青い眼をした美少年と言える顔立ちで、さっきの立っている姿を見るに俺より低めで細見の体躯は、夏に差し掛かろうとしているのに黒のジャケットを、シャツの上から着用していた…暑くないのか?

 

「さっきまでトレーニングしていたみたいだが…まさかこんな場所で、法面まで利用してのタイヤ引きとはね」

「俺自身もそうだが、アイツのトレーニングがメインだ」

「アイツ…其処で避難している吸血鬼かい?」

「ああ、俺の仲間なんだ」

「そういえば君はリアス・グレモリーの眷属だったね…主を共にした仲間という事か」

「!知っていたのか?」

「ああ…相手の情報を一方的に知っているのはフェアじゃないね。俺はアザゼルの直属の部下としてグリゴリに所属している。君の情報も、アザゼルから聞いたのさ」

 

唐突に俺の身の上を喋られて身構えるも、その訳を知り落ち着く…まさかグリゴリに所属していたとはな…ん、待てよ?

グリゴリはアザゼルさんをトップとした堕天使の組織…だとしたらコイツは堕天使という事になる。

だがコイツからは堕天使の気配…アザゼルさんやれーちゃん、朱乃さんや佳奈、美月や塔也の様な気配を感じない。

むしろリアスやシトリー会長の様な気配を…純血悪魔ならではの気配を、薄らながら感じる事が出来る…まさか?

 

「ちょっと待ってくれ。お前からは純血悪魔の気配が感じられる。悪魔と堕天使の両陣営は、今は停戦中で且つ今度和平会談が行われるとは言え、敵対関係なのは変わらない筈だろう?」

「詳しくは話したくないが、俺は純血悪魔と人間のハーフなんだ。その事で昔色々とあってね、それで悪魔の地を出て行って、アザゼルに迎え入れられたのさ」

「そうか…アザゼルさんってそういったしがらみを気にしない人…じゃねぇな、堕天使なのか?」

「恐らくそうだろうね…尤も、神器オタクだからというのもあるだろうけど」

「お、オタク?」

「ああ、筋金入りの研究者気質且つ神器への探求心が深くてね、自分で神器を作り出す程だ」

 

そ、そうだったのか…人も堕天使も、見かけに寄らない物なんだな…あの気さくなオジサンが極度の神器オタクだったとはな。

その探求心がデュエマに向かった結果があの驚異的陣形だとしたら…恐ろしいな。

 

「さて…ちょっと話が過ぎたかな。あの吸血鬼も待っているだろう。此処でお暇させて貰うよ」

「そうか、じゃあな。アザゼルさんに宜しく伝えてくれ。また機会があったらデュエマしましょう、とさ」

「分かった…今は機会じゃないが、何時かは俺とも決着を付けよう」

「!…ああ」

 

去り際に俺に戦意を向けて来たヴァーリ…やっぱ、二天龍の因縁は避けられないのか…?

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