ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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46話_俺、覚醒しました(4)、ら…

全身が、真紅の装甲で覆われる。

全身が、膨大な魔力によって漲って行く。

全身が、時を重ねるごとに力強くなるかの様に感じる。

全身が、ドライグの意志…同じ二天龍の片割れであるアルビオンに勝利して見せるというドライグの意志で満たされたかの様に昂ぶる。

全身が…アイツを…ヴァーリを倒すべしと…疼く…!

 

これが、これが『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』の『禁手(バランス・ブレイカー)』、『赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)』…!

 

「アザゼルさんからの恩を仇で返したばかりじゃなく、自分の力のキーパーソンたる二天龍をもコケにするとは、やってくれるじゃねぇか、ヴァーリ…第2ラウンドの始まりだ!」

「驚いた、まさか他人のプライドの為の怒りで禁手に至るとは…それに今さっきの言葉、本当だろうね?ならば…俺も真の意味での本気を出そう!それが、武人の礼儀という物だろう!」

 

…禁手に至った今で尚、本気じゃない、だと?

面白い、見せて貰おうじゃねぇか、それを…

 

「我、目覚めるは」

<消し飛ぶよ!><消し飛ぶね!>

「覇の理に全てを奪われし、二天龍なり」

<夢が終わる!><幻が始まる!>

「無限を妬み、夢幻を想う」

<全部だ!><そう、全てを捧げろ!>

「ドライグ、ヴァーリが唱えているのは何の呪文だ?」

『あれは覇龍の呪文だ。神器の内に眠る白いの、及び歴代所有者の怨念を解放する事で、一時的にその力を得る事が出来る。俺達を封じた神器にとって禁忌とも呼べる代物だ…相棒、心して掛かれ。全力なら兎も角、手加減しようと思った瞬間、負ける…!』

「面白い…元よりそのつもりだ!」

「我、白き龍の覇道を極め」

「『汝を無垢の極限へと誘おう!』」

『Juggernaut Drive!』

 

呪文を読み終えたその瞬間、ヴァーリの全身は光に包まれ…それが晴れた時、其処には人型の白い龍の姿があった…伝わって来る、今までに感じた事の無い位、強烈な力の奔流が…あれが、あれが『覇龍』…二天龍の力を解放した、ヴァーリの文字通りの『本気』…!

 

「見せてくれよな…世界でもトップクラスの力を有する二天龍の片割れ、アルビオンの力を解き放った『覇龍』の力って奴を!」

「見せて貰おう、無限の龍神をも惹きつけた、あの無限回転を、『兵藤一誠』としての本気の力を!」

 

互いに一言交わした瞬間、互いに飛びかかり、

 

『Boost…BoostBoosBooBoBBBBBBBBBB!』

「タスク…ACT4!」

 

俺は…俺とドライグは、『本気』を出した。

 

「『オラオラオラオラオラオラオラ!』」

『BoostBoostBoostBoostBoostBoost!』

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

『DivideDivideDivideDivideDivide!』

 

互いに神器の力、その最たる能力を駆使しながら、ラッシュの打ち合いをする俺達。

互いに一歩も譲らない…様に見える状況だったが、ふとヴァーリの顔に戦慄の色が見えた。

戦いの最中に恐れと言う名のよそ見とは舐めているのか、と思ったが、その訳は直ぐに分かった…俺の力が、半減の効果で削られる筈の俺の力が、減っていないからだ。

倍化の効果で上がっているからじゃないか、と言われそうだが、その倍化によって力は確かに上がっている…が、『上がっている』だけで『減らない』…つまり『上がり続けている』のだ。

余りに強大な力は半減出来ないのか、或いはタスクACT4の『因果操作』で半減を阻止…コイツを叩き潰すという俺の『意志』にとって障害となる効果を阻止しているのか…どちらでも良い。

これが…これがお前の求めていた、俺の、『兵藤一誠』の力だぁ!

 

「『オラァァァァァァァァァァァ!』」

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

トドメの一撃として放った右ストレートを喰らい、ヴァーリは吹っ飛んでいき…校庭の端っこまで滑って行って、横たわったまま、止まった。

禁手を解かないままその場所へと向かうと、其処にあの人型の白い龍の姿は無く、代わりに銀髪のイケメン…ヴァーリの、左頬がひしゃげ、口から血を流している姿があった…俺の、勝ちだ!

 

「な…何故…だ…」

「…ヴァーリ?」

 

その様子に禁手を解くと、満身創痍の状態に有りながらも声を振り絞るヴァーリの姿が見えた。

 

「…何故…俺を…殺さ…なかった…?あの…力で…俺を…殺す等…容易…だった…筈だ…あの時の…コカビエルの…様に…俺の…身を…滅ぼす…事だって…難しく…なかった…だろう…それなのに…何故…俺を…生かした…?テロ組織に…手を貸し…アザゼルを…裏切り…二天…龍にも…憎まれ…口を…叩いた…俺を…何故…」

 

…何故、か。

 

「言っただろう、お前をぶっ飛ばして、アザゼルさんの前で土下座させてやる、とな。お前を殺したら、それが果たせないだろ?それに…お前、禍の団に手を貸してまでやらなきゃならない事があるんだろう?戦闘狂として高みを目指す以外に、さ」

「!?」

 

図星か…やはりな。

俺のイメージでの話だが、所謂戦闘狂って存在は、自らの力が全く通用しない奴と敵対した時、怯えるどころか逆に闘争心を掻きたてられたり、達観した想いを持ちつつも諦めなかったりする物だ。

だがコイツは、半減の力が通じないと気付いた瞬間、顔に戦慄の色を浮かべたんだ…ヴァーリの力で殆どの手が潰され、反撃手段を模索していたちょっと前の俺みたいに。

多分ヴァーリには『強い奴と戦いたい』という戦闘狂ならではの想いに加え、何か『生きて成さねばならない』という想いを持っている筈だ…俺が『生きて大切な人を守らねばならない』という想いを抱えて戦いに望んでいる様に。

 

「お前には、生きて成さなければならない事がある…そうだろう?だから俺は、あえてお前を殺しはしなかった…何なんだ、それは?」

「…は、はは…参った…参ったな…力は…おろか…器でも…及ばない…か…完敗だ…俺の…完敗だよ…兵藤一誠…」

「…聞き取りにくいな。アーシア」

「はい!イッセーさん」

「口の中だけ治す事は出来るか?」

「え…良いんですか?」

「ああ、良いぜ。仮に逃げる素振りみせたらすぐに抑えつけるからな」

 

怪我したままじゃあ聞く事も叶わないな、そう思った俺はアーシアを呼んで回復させる様頼む。

無論相手は禍の団のメンバー、周囲に三大勢力の首脳がいる事もあって躊躇する素振りを見せるも、俺の勧めに乗ってヴァーリの口の傷を治していく…有難うな、アーシア、これで尋問が出来る。

 

「さて…質問の答えだが…その前に昔話を1つ。俺の本名は…ヴァーリ・ルシファー」

『!?』

 

質問に答え始めたヴァーリから出たその事実に、俺を含め周囲が驚きに満ちた…恐らく事情を知っているアザゼルさんを除いて。

 

「死んだ初代魔王ルシファーの血を引く者だ。だが、以前君にも話したが、俺は悪魔の父と人間の母との間で生まれた混血…白龍皇の光翼はハーフだったが故に手に入った。そう、ルシファーの真の血縁者にして、白龍皇でもある俺が生まれたという事だ」

「なん…だと…」

「そんな…嘘よ…」

「事実だ。そんな身の上だからか、『人間との混ざり物』と見下されたり、『白龍皇を宿した化け物』と恐れられたり…それ故に家族からは虐待された末に捨てられ、行きついた先がアザゼル率いる堕天使陣営だった。そしてその一連の行為を糞親父に命令し、面白がったのが…世間ではサーゼクス・ルシファーらと共に『超越者』として恐れられる、あの糞ジジィ、リゼヴィム・ヴァン・ルシファー…!」

「り、リゼヴィム・ヴァン・ルシファーだと!?」

「あの『超越者』が、そんな事を!?」

「ああ…そして俺は誓ったんだ。俺を『ヴァーリ・ルシファー』として見て来なかった連中に、俺という存在を見せ付ける事を…あの糞ジジィを凌駕する程の力を得て、何時かは倒して見せると…!」

「…そうか。お前も、生きとし生ける者の悪意に振り回されてきたって事か…」

 

アザゼルさんを裏切ったのも、禍の団に手を貸したのも、俺に勝負を挑んだのも、全ては高みを目指すが故、高みに上り、報復を果たすが故…か。

 

「だが…君との戦いで、俺は俺の過ちに気付けた。今の俺があるのもアザゼルを始めとした堕天使陣営のお蔭…少なくとも俺1人では今の俺は無かった。それを忘れ、力無き、罪無き者を叩き潰す連中に手を貸してまで得ようとする力など、偽りでしかないと分かった」

「そうか…なら…」

「三大勢力の首脳達よ!テロ組織『禍の団』メンバーである俺、ヴァーリ・ルシファーは今、兵藤一誠に降伏する!」

 

…へ?

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