ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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54話_俺、修行を開始しました

「もう此処まで悪魔文字をマスターするとは…若様は覚えが早いですね。此方としても教え甲斐があると言う物です」

「はい、ありがとうございます。今後、嫌と言う程使って行く事になるでしょうし」

「それでも凄いです、イッセー兄様。たった1日で大半の悪魔文字を覚えるなんて」

「そうなのか、ミリキャス?…あ、すいません。水の御代わりお願いします」

「はい、かしこまりました」

「あの…暑くないですか?」

「そりゃあ凄く暑い、まるでサウナだ。ただでさえこの冥界も人間界と変わらない気候だと言うのに、コレだからな。あ、やっぱり気になるか?」

「い、いえ!これもアザゼル様から伝えられた修行なんですよね?」

「ああ、そうだが…何回も言ったが、気になるなら遠慮なく言って良いんだぞ?流石にこんな見た目だ、見ているだけで汗が噴き出す位に暑苦しいのは分かっている。威圧感たっぷりだって言う事もな」

『酷いな相棒。そうだと分かっていて禁手を維持しながら悪魔社会に関する勉強を受けているのは相棒じゃないか』

「仕方ないだろ、ドライグ。上級悪魔、しかも魔王様から『重要犯罪人保護観察官』の任を授かった以上、ヴェネラナさん達からの折角の提案を無碍にする訳には行かないし、かと言って今は禍の団が何しでかすか分かったもんじゃあ無い状況、少しでも鍛えて置くに越した事は無いんだ」

 

アザゼルさんから今後の修行方針を聞いた翌日、俺はミリキャスと共に、悪魔社会に関する授業を受けていた…『赤龍帝の鎧』を身に纏って。

 

一応重要だからもう一度言う…『赤龍帝の鎧』を身に纏って、だ。

 

こんな見た目から何から可笑しい姿で授業を受けていた理由は、まあ今言った通りだ。

上級悪魔、しかも魔王様から授かった任務がある以上、そういった知識を覚える必要はあるが故、ヴェネラナさんの提案を受け、この夏休みは授業を受ける必要がある。

しかしながら同時に禍の団という脅威の対処もそうだが、更に俺も夏休み明けから若手悪魔同士のレーティング・ゲームに参加する事になっている。

戦闘面でも今の段階から大いにレベルアップしなければならない…最たるものは禁手の維持、赤龍帝の鎧の維持だ。

 

この夏休みは、悪魔社会で生きる上で必要な知識を叩きこむ事、禁手の維持・管理能力を最大限に鍛える事、この2つが現状最も求められるんだ。

 

だが、その2つを達成出来る位の時間がある程、向こうはのんびりしていない筈。

今は元首領であるオーフィスの離脱や、旧魔王派の構成員を大量に失った事もあって立て直しを強いられているだろうが、一度あの様な表立った活動をした以上、刃を収める筈が無い…そう遠くない内に、次の一手を打って来るだろう。

それに間に合わせつつ、俺がこの夏休みで取り組むべき2つの課題をクリアするには…並行して行うのがベストだ。

その結果、今に至るという事だが…流石にこんな姿で授業を受けるのは、周囲に多大な迷惑を掛ける(え、籠手で覆われた手でペン握れるのかって?天性の器用さを舐めるなよ)。

この暑い時期に暑苦しく、そして威圧的な見た目的にもそうだが、鎧を纏っている俺自身も無茶苦茶暑い、今言った様にサウナにいる位の物だ、故に汗も止まらない為、汗臭さも気になるだろう。

更にその滝の様な汗をかく俺は、熱中症や脱水症状に気を付けなければならない。

こまめな水分補給をしなければならず、それは授業の場から離れられない俺の代わりに、水を運んでくるお手伝いさんの足労を強いる事になる。

 

俺が今、『修行』と称してやっている事は、周囲に多大な迷惑を掛ける事なんだ。

前以て許可を取っていると言っても、向こうが迷惑を被っているのは確かなんだ。

故に、俺は『成長』という名の『結果』を残さないといけない…それも、周囲が期待している以上の『結果』を。

 

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「ふぅ、修行の後のシャワーは気持ちいいな。綺麗さっぱりって感じだ」

 

禁手が強制解除された事による疲労と、それまでの間晒されて来たサウナの如き熱気でクタクタな身体に、温めのシャワーが心地よく感じる。

今日は朝8時に発現し、夕方5時に強制解除されたから、9時間か…修業はまだ始まったばかりだが、まだまだヴァーリの限界である一ヶ月は遠いな。

授業の方は悪魔文字の大半をマスター出来たが、あくまで文字の修得はスタートでしか無い、なるべく早くマスターして、悪魔陣営の歴史や法規の学習というスタート地点に立たないとな。

焦って無茶をしでかしては元も子も無いが、じっくりと腰を据えて、と悠長に言える様な状況でも無い。

明日は今日以上に禁手の維持時間を増やさないとな。

 

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「大戦の後、悪魔社会は…」

「成る程…あ、すいませんが水の御代わりをお願いします」

「はい、かしこまりました」

 

あれから数日が経過し、禁手をほぼ1日まで維持出来る様になり、ヴァーリやアザゼルさんから「順調過ぎる位に伸びているな」と太鼓判を押された…まあ色んな意味でグレモリー家の皆に迷惑を掛けているのだからこれ位成長出来ないとな。

…それにしても今日はやけに暑いな、まあ赤龍帝の鎧を纏うと暑く感じるのは当然だが、それにしても暑い、空調がおかしくなったのか?

 

「すいません、水の御代わりをお願いします」

「はい、かしこまりました…大丈夫ですか?何時もより水を飲むペースが早く感じられますが」

「確かに今日は、最近では一番暑いですからね」

「暑い…ですか?はい、水の御代わりをどうぞ」

「ありがとうございまs(ガチャン!)あ、あれ?」

 

あら、うっかり手を滑らせちまったな、折角入れてくれたのに…

 

「すいません、うっかりしていました。今拾いますn(ガクッ!)うおっ!?」

 

や、、やばい…!暑すぎて水分補給が追い付かないか…!

 

「だ、大丈夫ですか!?」

「す、すいません…入れてもらって直ぐにあれですが…水…下さい…」

「は、はい!」

 

此処に来て、無茶が祟ったか…!

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