俺が熱中症でぶっ倒れ、小猫ちゃんがオーバーワークによって倒れたあの日から更に数日が経ち、俺は何とか禁手『赤龍帝の鎧』を丸1日維持出来る様になり、今はその状態での戦闘訓練を行っている段階だ…無論、美猴との武術の訓練も兼ねて。
その武術訓練でも、アザゼルさんが言っていた通り今の俺が持つ技術(タスクによる、爪弾と鉄球回転だな)の可能性をより広めてくれる要素に満ちていた…やればやる程、それが分かって来る、中国武術の歴史は深いな。
そんなある日の事、
「兵藤様、少しお時間を頂いても宜しいでしょうか?」
「どうしました、グレイフィアさん?」
「兵藤様、及び眷属の皆様を訪ねて、お客様がいらしております」
「分かりました、直ぐに向かいます。まあ、そういう事だから訓練は一旦切り上げだ。皆、ついて来てくれ」
「うん、分かったよいっちゃん」
「了解した、イッセー」
「分かりました、イッセーさん」
「了解だ、主イッセー」
「了解です、イッセーさん」
「はい、一誠様!」
「来客か…いったいどこの奴だろうなぁ」
「れっつごー」
さて…来客か、何処の家からだろうな…まず考えられるのは、あの会合の時に一緒になったサイラオーグかシトリー会長、シーグヴァイラかディオドラだな…ゼファードルの野郎は無いな、俺の事を成りあがりと嫌悪していたし。
特にシトリー会長の所には元もいるし、GRIDの全体練習と称して来る可能性は高いな。
他にあるとすれば…そうだ、まだ俺がリアスの『兵士』だった時にあったリアスの婚約騒動、その時にレーティング・ゲームで対決した焼き鳥野郎、アイツのいるフェニックス家だ。
あのレーティング・ゲームは非公式とはいえ両家の公認の下で行われたが、あの後焼き鳥野郎は先端恐怖症になったって、妹で『僧侶』のレイヴェルが言っていたっけな…もしかしたらその事で一言あるのかも分からないな。
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「一誠様、お久しぶりですわ。この度は上級悪魔への昇格、おめでとうございます」
「久しいな、赤龍帝殿。貴殿の活躍、此方にも届いている」
「流石と言うべきかな、兵藤殿。あの時も凄まじい物を感じたが、一層強くなった様に思える」
「「「…(じとー)」」」
…何と言うか、予想が当たった。
ゲストルームに案内された俺達の目に映ったのは、レイヴェルにカーラマイン、イザベラに…後の3人はレーティング・ゲームでは対峙していなかったが、確かあの焼き鳥の『戦車』である雪蘭に、『兵士』であるイル・ネルの双子だったか?
そしてあの焼き鳥野郎が渋くなった感じの、金髪の壮年男性がいた…もしかしてこの人…
「お初にお目にかかる、兵藤殿…ライザーとレイヴェル達の、父です」
「っ!?という事はフェニックス家の…」
「うむ…フェニックス家の当主でもある…尤も、近いうちに長男であるルヴァルに後を任せるつもりだがな。あのレーティング・ゲームでの君の活躍、見事だった。ライザーは少し我らフェニックスの才を過信し過ぎていたが、それももう無くなるだろう」
…あれ、やり過ぎた事に関して文句言われるかと思ったんだけど?
でもまあ、流石に息子があんな目に会って気分の良い親は普通いない…許して貰えるかは兎も角、謝って置くに越した事は無いな。
「あの節は申し訳ありませんでした…婚約の件をご破算にした挙げ句、貴方のご子息に対してあの様な行為に及んでしまい…レイヴェルから聞きました。先端恐怖症になって引き籠ってしまったと」
「いやいや兵藤殿、頭を上げて頂きたい。婚約破棄の件は私達が同意した事だし、ライザーが引き籠った事も此方の教育に問題があった結果だ…ライザーは、根は優しいのだが、フェニックスの才や、レーティング・ゲームでの戦績もあって最近、傲慢が過ぎていてな…それでいて君が灸を据えてやれば、今度はこの有様だ…何人かの眷属含め、未だに引き籠っている。だがそれも息子の為の良い薬だ」
「…まだ、引き籠っているんですか。やっぱりやり過ぎたかな…」
そして眷属もまた引き籠っているのか…来ていない顔ぶれから考えて、
『女王』ユーベルーナ…黄金回転の爪弾で一撃必殺
『騎士』シーリス…弾痕の地雷で片足もがれた挙げ句、ミッテルトの光の槍で串刺し(木場談)
『僧侶』美南風、『兵士』ニィ、リィ…爪の斬撃でぶった切り
『兵士』シュリヤー、マリオン、ビュレント…弾痕の地雷で一発KO(これも木場談)
『兵士』ミラ…レーティング・ゲーム前に武器の棍棒を真っ二つ(尚、レーティング・ゲームでは佳奈にフルボッコにされたらしい)
…全員俺の爪弾の被害者か…爪弾を2発も食らったカーラマインが此処にいるのは…まあ戦場にて生きると言わんばかりの奴だしな。
此処までトラウマを植え付けてしまった以上責任はとらないとな…フェニックス卿はああ言っているが、流石に主人含め眷属の過半数が再起不能なんて事になったらフェニックス家にとっては大惨事だ。
「フェニックス卿、その件で1つ、提案が…」
「む?一体どんな事だ?」
「まずは…」
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「Wryyyyyyyyyy!俺は不可能を可能にする男だぁぁ!」
「ライザー様、格好いい!!頑張って!!!」
「ファイトォ!!!!」
「夢・想・天・生!」
「ライザー様!しっかり!」
「カーラマイン、ライザー様のために舞い忍びます!」
「…此処まで効果覿面だとは思わなかったな。アイツ、スケベ心が過ぎるだろ」
「私も後でいっちゃんに試してみようかな…プリキュア、ラブリング!ってね」
…某吸血鬼とMSパイロットをごっちゃにした叫び声を上げる焼き鳥野郎、某元気印なアイドルの如く!マークが多用されてそうな口調で応援するイル・ネル姉妹、何時もの中華風の出で立ちでは無くノースリーブの巫女服を着用した雪蘭、何時もの仮面は外してセーラー服に白いベレー帽という格好に変えたイザベラ、某爆乳ハイパーバトルの主人公の出で立ちと化したカーラマイン…提案した俺が言うのもアレだが…なんだこのカオス。
その空気に当てられたかは分からないけど、れーちゃんまで中の人ネタに走らなくて良いからな…れーちゃんのキュアハート姿は見てみたいが。
だがその効果は覿面で、さっきまで引き籠り、挙げ句には俺の姿を見た瞬間『ウワァァァァァ!』と情けない叫び声を出していたのとは打って変わって、闘志むき出しで俺と対峙していて、同じく俺を見るや否や『嫌ァァァァァ!』と叫んでいた眷属達も、焼き鳥野郎の闘志むき出しの姿に立ち直り、主人の姿に見惚れていた。
さて…先のレーティング・ゲームでは叶わなかった1vs1の