ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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60話_俺達、緊迫の現場に潜入しました

大急ぎで小猫ちゃんの後を追うと、

 

「イッセーにヴァーリ、貴方達も小猫を?」

「ああ。何か大急ぎで会場を出て行ったから、気になってさ」

「それに、何処から紛れたか分からない黒猫の先導に従っている様に見えた。もしかしたら…」

「っ!成る程、この場を利用して小猫を…って事かしら」

 

同じく小猫ちゃんを追っていた様子のリアスと合流した。

リアスの懸念…ありえるかも知れない、これは本気で急がないとな。

エレベーターを降りると、会場近くの森に入って行く姿が見えた…まさか、本気で小猫ちゃんを…!?

 

「急ごう。紛れ込まれると探知に時間が掛かる」

「ええ、そうね。小猫は私の眷属、勝手な真似はさせないわ」

「了解だ。アイツ、やはり妹の事が忘れられないという事か…」

 

森に潜入してから数分で、小猫ちゃんを発見した…が、何かを探している様だ、恐らく、彼女を呼び出した存在だろう…隠れていた方が良いかな。

そう判断し、3人揃って木陰に隠れていると、小猫ちゃんが何かを発見した様だ、視線を其処に向ける、と、

 

「にゃはは、久しぶりにゃん、白音」

「黒歌姉様…!」

 

小猫ちゃんの視線の先、木の上には、黒髪ロングの間から猫耳を生やし、グラマラスな体躯を黒い着物で纏い、そしてその背後から尻尾を生やした少女…いや、猫又がいた…小猫ちゃんの言葉が本当なら、あの子が、小猫ちゃんの姉、黒歌…!

 

「会場に紛れ込ませた黒猫1匹如きに此処まで来てくれるなんてお姉ちゃん感動にゃ」

「姉様、どういう事ですか?」

 

黒歌が脇に抱えている黒猫…あれが、美猴が言っていた黒歌の使い魔か…恐らくあれを見て、黒歌の手の者だと気付いた小猫ちゃんが、後を追ったのかも知れない…過去が過去なだけに怒気の含まれた口調をしているが、まだ姉を慕う気持ちはあるのかも知れない…何しろ…

 

「怖い顔しないの。ちょっと野暮用でね…そっちの3人も聞き耳立てているみたいだから直ぐに帰るにゃん」

 

…成る程、仙術に長けていると聞いていたが、やはりこっちの気配は感づいていたか。

そう結論付け、俺とリアス、そしてヴァーリは物陰から出て来た、ら、

 

「ヴァ、ヴァーリ!?な、なんでアンタが此処に…」

「主の同伴命令で此処にいる。久しいな、黒歌。あの時俺の降伏に同行する事を拒否されて以来だな」

「そ、そうね…もう悪魔の下に付くのは我慢がならないのにゃ…」

 

黒歌が、此処で出会うとは思っても見なかったと、知り合いに会ったと言わんばかりの様子でヴァーリと接しているのは、彼女が禍の団に、ヴァーリが率いていたチームにいたからだ。

ヴァーリ達が俺の眷属となって以来、小猫ちゃんへ向ける視線が、知り合いのそれの様だった事が気になり、小猫ちゃんがオーバーワークで倒れた事で見舞いにいったあの日ヴァーリに聞いてみたら、全てを話してくれた。

禍の団の特殊部隊、通称『ヴァーリチーム』…リーダーのヴァーリに美猴、アーサーとルフェイの兄妹、そして黒歌が所属していた、僅か5人だけの少数でありながらも、精鋭揃い故に禍の団でも一大派閥並の発言力を持っていたチームだ。

俺やリアス、シトリー会長等がこうして自らが管理する街を空けてまで冥界に里帰り出来るのは、それでいて人間界において禍の団関連の報告が一切聞かれないのは、代表だったオーフィスの脱退、及びこの一大チームの殆どが悪魔陣営に降伏したという、向こうにすれば信じられない事態の連続で指揮系統が大混乱に陥ったからだとも、戦力面が大きく削がれたからだとも言える。

だがヴァーリチームが悪魔陣営に、というか俺に降伏するという方針を打ち出した中、唯一それに離反したのが黒歌だった…まあ彼女には今言った様に悪魔陣営へのトラウマがある、幾ら信頼する仲間の決断だと言っても従う訳には行かなかっただろう。

そして…

 

「妹を大事に想うお前の事だ…大方、塔城小猫を悪魔陣営から連れ出そうという算段か?」

「流石ヴァーリ、ご明察にゃん。あの時連れて行ってあげられなかったしね」

「この子は私の眷属よ。指一本でも触れさせないわ」

「同感だな、リアス・グレモリー。お前が妹を大事に想う様に、リアス・グレモリーも自らの眷属を大事に想っている…主イッセーとの関係は殊にそうだ。それに塔城小猫は主イッセーとは浅からぬ縁、勝手に離す訳にも行かんな…どうしてもと言うなら、俺を殴り倒してからにしろ」

「主イッセー主イッセーって…随分とご執心の様ね、其処の赤龍帝に…気が変わったわ、白音と一緒にヴァーリ、アンタも連れて帰るのにゃ!」

 

俺が思い起こしていたのを他所にどんどんと話が進んでいるな…小猫ちゃんを連れ帰ろうとした黒歌、その様子にびくついた小猫ちゃんを庇う様に前に出たリアスとヴァーリ、そして黒歌で押し問答が始まった…はぁ、全く!

 

「ヒートアップしている所悪いが(ギュォォォォォォォォォォォォォォン!)、少し冷静にな」

「「「!?」」」

 

魔法陣を使って取り出した愛用のギターとアンプを手に、この場を急停止させるべく掻き鳴らす…何故一触即発の雰囲気の中でこれを取り出したかって?まあ見ていろよ。

 

「紹介が遅くなったな…俺の名は兵藤一誠、現代の赤龍帝にして、ヴァーリ達の主だ。ヴァーリから話は全て聞いたぜ…お前がはぐれ悪魔になったあの事件の、真相もな」

「!?…やっぱり、ヴァーリから聞き出していたのね」

「イッセーどういう事!?あの事件の真相って!?」

「教えて下さい、イッセー先輩!」

「詳しくはヴァーリに、或いは本人に聞いてくれ、俺もヴァーリから又聞きしただけだしな…小猫ちゃんを悪魔陣営に置けないって気持ち、なんとなくだが理解出来るぜ。あんなトラウマがあった現場だ、大事な妹を置いておけないって思うのは何ら不自然じゃないぜ」

「又聞きしたと言いながら、分かった様な口聞くじゃない…でも、それなら話は早いわ。さっさと白音を渡すといいにゃ、ついでにヴァーリも」

「そいつは出来ない相談だな、小猫ちゃんもヴァーリも、俺にとっちゃ大事な存在だ…だが妹を本気で大事に想っているお前に、拳も武器も、使いたくは無いな」

「言っていることがちぐはぐじゃないかにゃ?ぐだぐだ言っていないで、さっさと渡したらどうにゃ?」

「そう急かすな、結論はこれからだ…そういう訳だから俺が使うのは、『コイツ』」

『ちょっと待ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

黒歌と一言二言交わしつつ、ギターを構えようとしたその時だった、背後から、見知った存在の声がしたのは…まさか?

 

「な、何にゃ一体!?」

「…この声、まさか…」

「ひょっとして…」

「主イッセー、音楽とは、音楽が繋いだ絆は偉大だな…」

 

第三者の登場でびっくりした黒歌、一方でリアスも小猫ちゃんもヴァーリも、見当がついた様な顔をし…そして振り向くと、

 

「話は聞かせて貰ったぜイッセー!そういう事なら、俺達も混ぜないと始まらないだろ!」

「俺達GRIDは常に一緒だ!悪魔になろうと、主が違ってもな!だから、1人で始めようとすんなよ!」

「黒歌の事件の真相は少し気になるが、今この場で考えるのは野暮って物だ!今は俺達が出来る事を、俺達皆の手でしようぜ!」

「お前ら…ああ!始めようぜ、俺達GRIDの即興ライブをな!」

 

良太、大輔、そして元…GRIDのメンバーが勢ぞろいしていた…ヴァーリがぼそって言った通り、俺達の絆は確かに強固だな。

離れていても、所属がバラバラでも、こうしていざと言う時に集まり…俺の呼びかけ1つで準備が整う。

さあ、

 

『黒歌、俺達の歌を聞け!』

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