ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

62 / 94
61話_BraveHeart、勇敢なる心

「今から奏でる曲は、俺達GRIDの十八番!」

「そして今のお前にとって、最も聞かせるに相応しい一曲!」

「俺達の全身全霊を以て、この曲をお前の心に届けて見せるぜ!」

「さあ黒歌…心して聞け!」

『BraveHeart!』

 

俺達GRIDが集結し、始まった即興のライブ。

観客は背後にいるリアスとヴァーリと…後は、今日最もこの曲を聞かせたい相手である黒歌と、その妹である小猫ちゃん。

曲名のコールと共に俺のエレキギターから掻き鳴らされる、何度も跳ね上がる低温。

其処から、ストレートに響き渡る高音と共に、元のキーボードからの仄かな明るさを伝えるメロディが、良太のベースからのリズムを強調する様な細やかな音が加わる。

更に、イントロは今から本番…此処から大輔のドシンと圧し掛かる様なドラムも加わり、俺のギターがメインだった曲調は、元のキーボードメインの曲調へと変化する。

仄かだがキラキラという擬音が聞こえて来そうな高音パートを奏でる右手と、明るい曲調を噛みしめるかの様な低音パートを奏でる左手…元はそんな複雑な動きを、正確に、そして情熱的にこなして行く。

それに引っ張られる様に、それを引き立てる様に、俺は抑え目に、然しながら今の想いを乗せる様に、低音を掻き鳴らす。

此処から、大輔の連打から始まる、Aメロ。

端的に言えば「逃げちゃダメだ」「諦めるな」と、某人造人間に搭乗して得体の知れない敵に立ち向かう少年の台詞の様な詩を、元のキーボードや大輔のドラムがメインとなっている曲に乗せて、途中で入るギターメインの部分では低音を激しく掻き鳴らす事でボルテージを上げて、歌う。

次にサビへと向けて、明るさを、励ましをあらわすかの様なBメロ。

「自分にしか出来ない事」「この世界で自分に出来る事」といった、どっかの運勢が相当に悪い仮面騎士の台詞の様な、抱く想いの様な詩を、歌う。

そして、俺のギターから掻き鳴らされた高音と、大輔の激しいドラムを境に、曲はサビに入る。

自分にとっての「叶えたい夢」「守りたい存在」の大切さを、その為に諦めずに立ち向かう気持ちを…自らの「希望」を守る、その大事さを、俺の、俺達の想いを乗せて、歌う。

大輔が力強く叩き鳴らすドラムの旋律に、元が情熱的に奏でるキーボードのメロディに、良太が繊細に掻き鳴らすベースの低温に乗せて、歌う。

小猫ちゃんの、黒歌の心に届ける為に、歌う。

この歌を…この歌が持つ意味を!

 

「く、うぅぅ…歌を、歌を止めるのにゃぁ!」

 

黒歌が何かを叫びながら攻撃を仕掛けようとする…聞く気など無いという事か…だが!

 

「黒歌!黙って主達GRIDの歌を、皆の想いの丈を聞け!」

『Divide!』

 

ヴァーリがそれを、白龍皇の光翼を駆使してまでそれを止めた…やってくれるじゃねぇかヴァーリ。

普通に考えれば逃げられる機会が幾らでもあるが、ヴァーリが何時の間にか展開した結界でそれも出来ない様になっている…良い会場運営だな、本当に…だったらその期待に応えるのが主の、主役であるGRIDのボーカルの役目だ!

そんなヴァーリの頑張りに応えるべく、2番に入った歌に想いを込め続ける。

2番のAメロにある、「何時でも思い通りになるとは限らない」という現実の、世界の厳しさもありながら、「立ち向かう力を、武器を持とう、使いこなそう」という不屈の想いの詩を、歌う。

Bメロにある、「人生の道標なんて無い、自分で作る物だ」という、嘗て日本で活躍した詩人の、その中で最も知られた作品の1つの、その一文の様な、自らの中にある「自由」を書いた詩を、歌う。

Bメロからサビへと繋ぐギターソロを、流れる様に、情熱を前面に出す様に掻き鳴らす。

サビにある、「全力で取り組む事の大切さ」「全力で立ち向かう勇気」を書いた詩を、歌い…そして曲はクライマックスに突入する…!

 

「既に出来上がっちまった道を潰したり、修正したりするのは大変な事だ…完全に無かった事にするのも至難の業だ…だけど、だけどその先は自由に道を敷ける!例え今の道が荒れ果てた荒野に、鬱蒼としたジャングルに、空気すら凍る雪原に、急峻で足場の悪い山々に敷かれていたとしても、其処から爽やかなそよ風が吹く草原へ、のどかな光景が広がる里山へ、賑やかな喧騒が響き渡る都市へと方向転換する事だって不可能じゃない!荒れ果てた方向に道を敷き続ける事は無い!道なき道を歩み続ける事は無い!今は茨の道でも、何時かは平坦な道がやって来る!お前にだって、その時はやって来るんだ!」

「黙れ!私達に何があったか、その後私はどうなったか、どんな道を敷いて来たか、敷かなきゃならなかったか…それをヴァーリから又聞きしただけのアンタが分かった様な口を聞くな!アンタは生き方を示した地図なんか無いって歌うけど、だったら私がどんな地図を書いたって自由でしょ!どんな道だって歩んでやるわ!どんなに苦しい道だって、白音やヴァーリと一緒なら躊躇する事なんて無いわ!」

「その小猫ちゃんとヴァーリは、それを望んでいないって事が分からないのかよ!小猫ちゃんもヴァーリも、お前が平坦な道を歩む事を願っている…お前と平坦な道で合流する事を望んでいる…それが、それが分からないのかよ!お前は、小猫ちゃんの姉だろ!ヴァーリの仲間だろ!」

「っ!」

 

クライマックスへ向けての間奏パートを奏でつつ、俺の想いを、この曲を選んだ意味を、そして小猫ちゃんの、ヴァーリの、皆の想いを、黒歌へと伝える。

そして…曲はクライマックスとも言うべき3番の、サビにある「未来の大切さ」を、「トラウマへの決別」を、「障害へ立ち向かう勇気」を描いた詩を、歌う…!

そして、自らの『BraveHeart-勇敢なる心-』を信ずる大切さを、精一杯に歌い…!

 

「うぅ…うにゃぁぁ…うぁぁぁぁぁ…!」

 

曲が終わった時には…黒歌は力尽きたかの様に、打ちひしがれたかの様に膝を折り、そして…泣きじゃくっていた。




これと第2章でのレイネルのOHANASHIが、一誠とレイネル以外の過去を改変しなかった理由ですが…いかがでしたでしょうか?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。