Side 良太
いよいよこの日がやって来たな…俺達リアス部長の眷属と、元士郎達シトリー会長の眷属との、レーティング・ゲームが…
その開始が間近に迫った事を示す様に、俺達がスタンバイしているグレモリー領の居城地下に現れる魔法陣…どうやら、あれがレーティング・ゲーム専用の異世界へとジャンプさせる魔法陣らしい。
「リアス、一度は勝利したとはいえその立役者たるイッセー君はもういない、心して掛かりなさい」
「グレモリーの者として恥じぬ戦いをしなさい。眷属の皆さんもですよ」
「頑張って下さい、リアス姉様!」
「今回、教えられるだけの事は教えたつもりだ。後はお前達次第、気張っていけよ!」
その出現を見て、部長の両親であるグレモリー卿とヴェネラナ様、ミリキャスにアザゼル先生が応援の言葉を掛けてくれた…イッセー達がいないのはまあ対戦相手だから、という事から既に会場入りしたらしい、全く、幾ら競い合う相手だからって恋人なんだから応援の言葉の1つや2つは無いのか、あのハーレム野郎め、と思いきや、リアス部長がぽつりと「…イッセーが、競い合う立場をおしてメッセージをくれた、頑張らないとね、私の想いの為にも…」と呟いていた辺り、しっかりしているぜ、本当に。
さて、頑張りますか!
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魔法陣でジャンプした先、つまりレーティング・ゲームの舞台となる世界の、俺達の『本陣』はテーブルだらけの場所、周りはファストフードの店が軒を連ねていた…成る程、フードコートか、て事は、だ。
『皆様、この度はグレモリー家、シトリー家のレーティング・ゲームのご観戦にお越しいただき、ありがとうございます。私は今回のレーティング・ゲームの
突如聞こえて来たグレイフィアさんのアナウンスを聞いて確信を持つ…やっぱり、あのデパートか。
『両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣が2階東側、ソーナ様の本陣が1階西側でございます。兵士の方はプロモーションをする際、相手の本陣まで赴いて下さい』
て事は、こっちは脇澤と美月ちゃん、後は塔也先生が1階の西側に行けば強化されるって訳で…逆に向こうは元士郎と仁村がこっちに来ると強化されるって訳か…あっちのキーマンが更に強化されると厄介だな…
『今回のレーティング・ゲームでは両チームに1つずつ、フェニックスの涙が供給されております。尚今回は、フィールドであるデパートを大規模に破壊する行為は禁止と致します』
おいおい、マジかよ…派手な攻撃が得意な奴が多いウチには重いハンディキャップだぜ…
『今回の制限時間は、
さあ始まるぜ、俺達の戦いが…
「マジか…俺や朱乃さんにとっては不利な事極まりないぜ…」
作戦タイムスタートと共に、大輔が苦い顔をする…まあ、物体を爆破させるという神器を持ったお前が一番割を食うルールではあるな。
「困りましたわね、大質量による攻撃をほぼ封じられた様な物ですわ」
その意見に朱乃さんも乗る様に、2人にとっては持ち味を完全に封じられたと言って良い…まあ、やり様は幾らでもあるんだが。
ただ、不利な条件はそれだけじゃあ無い。
「ギャスパー君の眼も効果を望めませんね。店内では隠れ場所が多すぎる。商品もそのままの陳列状態を模しているでしょう、視線を遮る物が溢れています。闇討ちにも有効ですし…困りましたね」
俺の意見を代弁する様に木場が意見を述べる…待て、『そのままの陳列状態』?
そういえば確かレーティング・ゲームの異世界は、モチーフとなった建物の構造を忠実に再現していたって言っていたよな…て事は…!
「いえ祐斗、ギャスパーの眼は最初から使えないわ。こちらに『ギャスパー・ヴラディの神器使用を禁ずる』という規制が入ったの。理由は勿論、まだ完全に使いこなせたとは言えないから。暴走させてゲームの全てが台無しになってしまったら困ると言う判断で、挙げ句にアザゼルが開発した神器の封印眼鏡を装着との事よ…全く、用意が良いわね」
俺の考えを述べるのは後だな、まずは部長達から伝えられる、事前情報に耳を傾けて置く…黒歌さんの件はほったらかしにした挙げ句に対応を誤り続けていた癖して、こっちはちゃっかりしてんなぁ、おい。
まあいい、これで事前情報は以上かな、他にこっちが抱える爆弾的な物は無いし…
「部長、1つ良いですか?」
「何かしら、良太?」
「はい。まずは…」
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Side 大輔
『開始時刻となりました。それでは、ゲームスタート』
グレイフィアさんのアナウンスと共に、俺達の初陣が、本格的に始まった…さあ、行くか!
「指示はさっきの通りよ。フリードと塔也と大輔、祐斗と小猫と良太、朱乃と佳奈と美月の3手に分かれるわ。フリード達は店内から、祐斗達と佳奈達は一緒に立体駐車場からの進行よ。立体駐車場へ行くチームの内、佳奈達は罠を仕掛けながら屋上へ行って其処で待機、場合によっては其処から動いて貰うわ。祐斗達は1階へ回って。ギャスパーは複数の蝙蝠に変化して店内の監視と報告。進行具合を見て私がフリード側のルートを進むわ」
『了解!』
「さて私の可愛い眷属達、イッセーがいなくても渡り合える強さがあると世界に知らしめるわよ!絶対に勝ちに行くわ!」
『はい!』
部長の指示に従い、通信用の宝玉を装着しつつ、俺達は各自の行動に移った。
俺達の指示はこうだ…フリードの神器である『刺客の血』の禁手『死神女王の聖魔血剣』、それを使って数十メートル先に血の球を投げつけ、其処に出来た血溜りを監視カメラ代わりにし、その情報を元に進む。
敵とエンカウントしたらその血溜りから簡易的な罠を作動させつつ戦闘、但し深追いはせず、今まで通りの進撃を続ける。
そして部長から或る『指示』が来たら戦闘をこなしつつ本陣を急襲、フリードが中心となって本部を制圧、抵抗が激しい様なら後退して朱乃さん達が罠を張った立体駐車場に誘い込んで、其処で撃破をする、って流れだ。
正直上手く行くかは分からない、むしろ不安しかない、というか何で俺ん所だけ野郎しかいないんだ…と今更ながら怖気つきつつも先に進んでいると、
「塔也センセ、大ちゃん、敵を発見したぜ。作戦通り、行っちゃおうぜ」
「了解した」
「あいよ」
フリードの指示に従いつつ、血溜りの先の敵に仕掛けようとすると、
『リアス・グレモリー様の『僧侶』1名、リタイア』
なっ!?もうやられたのかよ、ギャスパーか、良太か!?
「こりゃあやられたのはギャー君だねぃ」
「ああ、これは『指示』が直ぐにでも来そうだな」
『皆、ギャスパーがやられたわ…コード403、急いで!』
「うわぁマジかよ、これが戦場か…容赦ねぇな、やっぱ」
フリード達の憶測と、それが正解だと知らしめる部長の『指示』に、恐怖感が増しつつも俺は、俺達はその通りに動き出す、と、
「大輔か!まずは(ブツン!)なっ(ドゴォン!)へぶぁ!?」
「きゃぁ!?」
後方からの何か紐みたいのが切れた音と何かが落下した音に、元士郎と、仁村らしき女子の悲鳴、
『Yeah!GRIDはIsseiの熱気溢れるギターと透き通ったハイトーンボイス、Genshiroの流れる様なキーボードと伸びやかなコーラス、Daisukeの迫力あるドラムだけだと思ったかい?それが違うって事を、今日のレーティング・ゲームの場を借りた俺、Ryotaのソロライブで知らしめてやるぜ!まずは1曲目!『RecklessFire 2011』!』
そしてギターが激しく掻き鳴らされて放たれたBGMと共に、良太のソロライブの開幕を告げる声が響き渡った。