「ん…ふぁ、もう朝か、早いな」
リアスとの婚約を義父さんと義母さん、そして義兄さんに報告してから一夜明け、すっかり馴染んだグレモリー領での俺の部屋の天井を見上げる…今日で冥界への帰省は終わり、この部屋とも、暫くお別れになる。
「すぅ…すぅ…いっちゃん…好きぃ…」
「くぅ…イッセー…愛しているわ…」
「ん…イッセーさん…ずっと…一緒ですよ…」
「くー…イッセー…私の一生を共に…」
「ふにゅ…我…イッセーの側に…」
周りを見回すと、俺の其々の腕を枕代わりにしているれーちゃんとリアス、俺の両脇で抱き枕の様に抱き付くアーシアとゼノヴィア、そして俺の上から抱き付いて胸に顔を埋めるオーフィス…布団こそ掛けられてはいるが、皆揃って全裸だ、勿論俺も。
昨夜は婚姻を正式に結んだリアス、既に初夜を済ませたれーちゃん、それとアーシアとゼノヴィアとオーフィスと共に一夜を明かした…無論、そっち系な意味で。
何度か身体を重ねながらも慣れないのか未だ初々しい反応を見せたれーちゃんと、初めてで緊張し切りだったリアスとアーシア、ゼノヴィア(まあ知っていた。アーシアとゼノヴィアは元聖職者だし、リアスはグレモリー家の令嬢だしな)とオーフィスの姿…余りに可愛かったので夜明け近くまでやっていたな。
本当、こんなに可愛くて綺麗な俺の恋人、いや、俺の将来の妻が5人もいてくれるなんて、少し前の俺なら想像すらしなかった…まあ、れーちゃんを一途に想い続けていた、というのもあるが。
こうして絶世の美女と言える5人もの女性が、俺の事を一途に慕ってくれている…いや、向こうから好意を寄せている黒歌、レイヴェル、ルフェイも入れて8人か。
彼女達の身を、彼女達の想いを守る為、無茶はし過ぎないまでも、より一層頑張らないとな。
王として、直臣として、赤龍帝として、男として…そして、『夫』として。
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「リアス、向こうでも元気でね。イッセー君、妹を宜しく頼むよ」
「はい、お兄様」
「了解です、義兄さん」
冥界の駅にて列車を待つ俺達に、義兄さん達が見送りに来てくれた…今日までの一ヶ月余り、悪魔に転生してから一番濃密だったと言える位、色々とあったな。
義父さんと義母さんに会い、若手の王の皆と会い、会合の場で俺の夢を叫び、皆と修行に明け暮れ、小猫ちゃんの過去を知り、ライザー及び眷属の皆と和解し、そのライザーの妹であるレイヴェルが俺の眷属に入る事となり、小猫ちゃんの姉である黒歌と出会って救い出し、その黒歌もまた俺の眷属に入る事となり、黒歌とレイヴェルとルフェイから好意を向けられている事が判明し、そしてリアスの眷属とシトリー会長の眷属によるレーティング・ゲームでリアス側が圧倒した末、リアスが婚約宣言をして、そして義父さんに義母さん、義兄さんと、グレモリー家の方達をそう呼ぶ事になって…
あ、そうそう、レーティング・ゲームと言えば、他の試合の結果も届いた。
まずはサイラオーグとゼファードル、人数で勝るゼファードルだったが、質で大幅に劣っていたのかサイラオーグ側に圧倒された末に、サイラオーグとの一騎打ちを申し込むも、そのサイラオーグに自らの力が全く通じずボコボコにされたらしく、再起不能になってしまったそうだ…大丈夫か、グラシャラボラス家。
一方のディオドラとシーグヴァイラ、途中まではシーグヴァイラが優勢を保っていたものの、突如王であるディオドラが前線に立ってからは一変、ディオドラ1人による無双乱舞とも言える状態だったらしく、そのままディオドラだけでシーグヴァイラの眷属達を倒していったそうだ…妙だな、ディオドラは前評価では中くらいの総合力しか無かった筈(パワー面では男の王では最低の4位、テクニックやウィザード面では結構な物があったが、その程度だ)、其処までの光景を生み出せるとは思えないが?
まあちょっと気になるが其処は一先ず置いて、小猫ちゃんだが、リアスに提案して、俺の空いている戦車の駒とトレードをする事にした。
黒歌とはずっと離れ離れになっていて、その空いていた時間ずっと誤解していた事による蟠りが小猫ちゃんにはある、それを早く解消する為にも、姉妹揃えて眷属とした方が良いと思ったからな。
当の小猫ちゃんにそれを提案すると「い、良いんですか、イッセー先輩!?」と何時もの無口で大人しい様子も何処へやらな感じで快諾してくれた…その様子を見た黒歌が「まさか姉妹揃って同じ相手に恋するとは予想外にゃ…」と言っていたが…まさか、な…
ま、まあそんな事があった冥界での日々もいよいよ終わり、列車の到着時間も迫っていた、が、
「アーシア?アーシアだね」
其処に突如やって来たディオドラが、アーシアに声を掛けて来る…一体何の用だ?
「あ、あの…?」
「おいディオドラ、アーシアが困っているだろう。そう過剰に詰め寄るな」
「ああ、済まない兵藤君。だけど、彼女にはお礼が言いたくてね」
お礼、だと…この滞在中に会った事が…いやそれは無いか、修行中もずっと俺の側にいてくれたからな。
だったら、何なんだ…?
「この傷、覚えているかい?」
「そ、それは…!まさか、貴方があの時の…」
その俺の疑問は、ディオドラが見せた傷と、それを見たアーシアの反応が氷解させた…まさか…
「僕は貴方に助けられた悪魔だ。やっと会えた、凄く嬉しいよ。これで僕は君にお礼が言える」
コイツが、アーシアが助けたという悪魔だったのか、成る程な…だが、ただ単に礼を言いに来ただけでは無い様だな、あの時、若手悪魔の会合の時の様な邪な気が、今は僅かながら強く感じる。
「アーシア・アルジェント。僕は君が好きだ。君には是非、僕の妻になって貰いたいと「待ちな」何だい、兵藤君?」
随分とまた唐突な求婚だな、しかも知らないだろうとは言え将来の夫である俺がいる前で…そう言いつつアーシアの手を取ろうとしたディオドラの手を掴み上げて、睨みつける。
割り込まれた側のディオドラも負けじと睨んでくるが、此処で睨む筋合いがあるのは…俺だぜ?
「アーシアは俺の将来の妻だ。婚儀の申し込みなら他を当たってくれ」
「何…だと…!?」
俺はディオドラに向けて、真実を告げてやった…これが、新たなる波乱の幕開けなんだと覚悟を決める様に。
次章、ISSEI無双の幕開け。