「皆さん初めまして、今回縁あって1年の英語担当を任ぜられる事となりました、アーサー・ペンドラゴンと申します。教職に就くのは初めてですので、不慣れな点はありますが、どうか宜しくお願いします」
「駒王学園の生徒諸君、宜しくな!俺の名は
「今回、2年の化学を担当する事になった、アザゼルと言います。生徒の皆、宜しく頼むぜ」
駒王学園の2学期の始まりを告げる始業式、檀上では俺の眷属であるアーサーと美猴、そして俺達のサポートとして堕天使陣営から来たアザゼルさんが、新任教師としての挨拶をしていた。
こうして教職員が大幅に増員されるのもそうだが、生徒の方も、2年にはヴァーリにルフェイ、1年にはレイヴェル、3年には黒歌が転校して来るし、ギャスパーも復学、白音ちゃんも本名に戻す事になる為、事情を知らない一般の生徒達は「何のこっちゃ」だよな…え、今更?まあ確かに、塔也は1学期の途中で教職に就いたし、れーちゃんとアーシアと佳奈と美月とフリードはゴールデンウィーク明け、ゼノヴィアに至っては6月半ば頃に転校して来たしな。
だけどこの時は気付いていなかった、俺達が「何のこっちゃ」と突っ込みたくなる事態が起こる事に。
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「初めましてだな、俺の名はヴァーリ・ルシファー。今後とも宜しく頼む」
「皆さん初めまして、ルフェイ・ペンドラゴンと言います!先程の新任式で紹介がありましたアーサー・ペンドラゴン先生の妹です!今後とも宜しくお願いします!」
「初めまして、紫藤イリナです!皆、宜しくね!」
『ゑ?』
ヴァーリとルフェイに続いて入って来たその少女の姿と、自己紹介で名乗ったその名前…其処でびっくりする余り『え』が『ゑ』となった俺達の反応は正常な筈だ。
それが分かるのか、恐らく教室に入る前に紹介があったであろうヴァーリとルフェイは苦笑いするが…その苦笑いする連中の中にゼノヴィアもいた…お前知っていて隠していたな!?
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「ゼノヴィア、イリナが転校して来る事知っていただろ。全く、教えてくれりゃあ良いのに」
「済まないイッセー、イリナから転校して来る事を口止めされてね、本人曰くサプライズらしい」
「えへへ、びっくりしたイッセー君?」
そりゃびっくりだ、まさか天使陣営にいるイリナが此処に唐突に転校して来たとはな…堕天使陣営の長であるアザゼルさんが行くなら天使陣営からも、という事か?
挙げ句にその身からは相変わらず天使が持つ様な気配がする…3大勢力による会談で感じ取ったのは俺の勘違いでも何でもなかったみたいだな、どうやったんだ、一体?
「ところでイリナ、3大勢力による会談の時から気になっていたんだが、お前から天使のそれの様な気配がする。だがお前は元々人間だった筈だ…もしかして、俺達が悪魔に転生した様に、天使陣営にも人間を天使に転生させる様なシステムがあるのか?」
「うん、そうだよ。イッセー君冴えているね。ミカエル様の話だと、セラフの方々が、悪魔や堕天使が用いていた技術を転用して、他の生命を天使に転生させるシステムを作ったそうよ。それが『
「悪魔がチェスなら、天使はトランプか。天使様も面白い事を考えるね。それでイリナの札は何だ?」
「良く聞いてくれたわねゼノヴィア!私はA、ずばり、ミカエル様の配下のエースという光栄な配置を頂いたのよ!これ程までのご期待、応えない訳には行かないわね!」
成る程、
「それはそれとして、ゼノヴィア。プレゼントは放課後に渡すね。場所はオカルト研究部室で良いよね?」
「ああ、楽しみにしているよ。しかし良いのか?確かに今は3大勢力が手を取り合って事に当たり、互いに交流を深めるべき時期だ。だが私はその前に教会を出奔した身だ。デュランダルの持ち出しを黙認してくれたばかりか、其処までしてくれるのは…」
「良いの良いの、ミカエル様からも『これからは仲良くですよ』とのお達しだし、それに信心深かったゼノヴィアを不本意な形で追い出さざるを得なかったお詫びだって言っていたわ」
「そうか…本当に済まないな、既に縁が切れた筈の私に其処まで」
ゼノヴィアに天使陣営からプレゼント?一体どんな物だ?
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「紫藤イリナさん、貴方の来校を歓迎するわ」
「はい、皆さん!初めましての方もいらっしゃいますでしょうが、再びお会いした方も多いですね。紫藤イリナと申します!教会…いえ、天使様の使者として、駒王学園に馳せ参じました!」
放課後のオカルト研究部の部室、此処にリアスとその眷属、シトリー会長とその眷属、俺とその眷属、そしてアザゼルさんが集結し、天使陣営からやって来たイリナを歓迎し、イリナの挨拶に合わせて拍手を送った…まあその際に祈りを捧げて大半の面子が頭痛に襲われたり、ゼノヴィアが出奔する際に一悶着があったのか謝罪し合ったりといったゴタゴタがあったが。
「はい、ゼノヴィア。これがさっき言っていたプレゼントだよ」
「ありがとう、イリナ。これがデュランダルとエクスカリバーを合体させた、私の新しい聖剣か…」
そんなゴタゴタが収まった頃、イリナがゼノヴィアに、鞘に収められている大剣を渡した…これが言っていたプレゼントか…待て、デュランダルとエクスカリバーを合体させた?何時の間にそんな事を?
「ゼノヴィア。どうしたんだ、それ?」
「済まないイッセー、報告が遅れてしまった。私のデュランダルは斬れ味こそ聖剣でも至高の物だが、使い手の言う事を聞かないじゃじゃ馬で、しかも私達悪魔には有害な聖なるオーラがダダ漏れだ。故に普段は亜空間にしまってあるんだが、それだといざと言う時に取り出す手間が掛かる。其処で天使陣営の錬金術師によってエクスカリバーを『鞘』に変えて被せる事で受け皿とし、制御を可能とした上、デュランダルが持つ『他の聖剣に力を与える』特性によって互いが相乗効果を生み出し強力な力を得る事が出来たんだ。名付けてエクス・デュランダル!」
「安直なネーミングだなおい!」
ゼノヴィアのネーミングセンスの無さはともかく、デュランダルとエクスカリバーを合体させる事で、互いが互いを抑えつつ、互いが互いを高め合う、か…凄い発想だ…が、確かエクスカリバーはオリジナルがバラバラになって以後7振りの聖剣に作り直され、更にその内の1振りは行方不明になっていた筈…つまり、教会が持っていた分だけでは不完全じゃないか?
「ゼノヴィア…1振り足りなくて制御に綻びが出る、なんて事は無いのか?」
「其処は心配ご無用だ。アーサーが禍の団に所属していた時、行方不明になっていた最後のエクスカリバー『
『ゑ?』
そんな話一度も聞いていないんだが!?
「アーサー…何でそれを言わなかった?」
「すいません、イッセーさん…まさか我々に帰って来るとは思わず」
長年失われていた聖剣が発見されていたなんざ、結構重大なニュースなんだからちゃんと報告してくれよ…
「まあともかく、これで我がデュランダルは新たなる力を得て、より制御のしやすい物となった。イッセー、これで貴方の外敵を斬り払って見せる!」
「ああ、ありがとうなゼノヴィア」
「勿論だ。私は貴方の嫁だからな」
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放課後に行われたイリナの歓迎会も終わり(ちなみに住居は嘗て住んでいたあの家に決めていたらしい)、家路に着いた俺達は、マンション1階にある俺の家のリビングにて、今度の土曜日に行われる俺達兵藤眷属のレーティング・ゲームに向けてのミーティングを開いた。
「今度の土曜日は俺達兵藤眷属にとって初めてのレーティング・ゲームとなる。個人個人では経験している面子もいるし、命のやり取りと言える戦いを経験して来た面子も多い。だが、今テーブルを囲んでいる俺達11人揃ってでは初めての実戦だ。その記念すべきデビュー戦の相手は、
ディオドラ・アスタロト眷属だ」
丁度良い、あの時アーシアと将来を約束したと宣言しても未練タラタラ、というか邪な気ダダ漏れだったアイツと決着を付ける良い機会だ…まさか恋愛系物語でのお約束的展開を現実でやるとはな。