ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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73話_征龍、降臨

Side ヴァーリ

 

「あ…あんなの見せかけのこけおどしだ!」

「我らが人間くずれ共に負ける訳が無い!」

 

征龍と主イッセーが呼んだその姿、いや、その力の余りの強大さに暫く立ち止まっていた旧魔王派の悪魔達だが、やけくそか或いは己の勘違いと思い込んだのか主イッセーに襲い掛かろうとした、が、

 

「『跪け』」

「な(ガクッ!)がぁぁぁぁぁ!(ドゴォン!)ぐぅぅぅぅぅ!?」

「な、馬鹿な、何故身体が急に!?」

 

主イッセーがそう口にした瞬間、その空中に浮いていた筈の悪魔達は例外なく地面へと急降下し、地面に激突したかと思ったら、片膝をつき、身体を主イッセーの方に向け、頭を深々と下げていた…その姿はまるで主イッセーに平伏しているかの如く、主イッセーの命に従っているかの如く。

無論、主イッセーに襲い掛かり、今正に苦悶の声を上げる奴等にそんな意図がある筈も無い…つまりこれは、主イッセーの力によって成された光景だ。

 

「誇りを失くし、テロリスト共に取り入った旧魔王派の悪魔達よ、『土下座をしろ』」

「な、何を(ググググ!)がぁぁぁぁぁぁ!(ゴン!)あぐぅ!」

「何故(ゴン!)我らが(ゴン!)偽物の魔王共に(ゴン!)頭を下げている!?」

 

その光景は正に、圧倒的という言葉が似合う、戦いの光景だった。

 

「『自害しろ。己が力を以て』」

「な(ググググ!)手が(ドゴォン!)ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

「何故だ(ゴォォォォ…!)何故勝手に事を(ヒュゴォ!)ぐぁぁぁぁぁぁ…!」

「や、止めて(ガシィ!)あぐぅ(ギギギギ…)うぐ、あ、ああああ(ガクッ!)…」

 

いや、戦いとは到底言えない…主イッセーが命令し、旧魔王派の悪魔達がそれに無理矢理従わされる、まさに『支配』の光景だった。

これが、これが主イッセーの圧倒的な力…神の所業とも言うべき力を、覇龍を使った俺ですら全く歯が立たなかったタスクACT4を手にして尚未完成だったと言うのか…!

アルビオンがぽつりと「オーフィスですら及ばない」と言っていたが、それも納得だ…主イッセーから感じる力は、俺がオーフィスから感じた力とは比べ物にならない位に強大だ…!

 

「皆、あの下種悪魔の処断に行くぞ」

「あ、ああ、了解した、主イッセー」

「う、うん、いっちゃん」

「わ、分かりました、イッセーさん」

「わ、分かった、イッセー」

「う、うにゃ、了解なのにゃ、イッセー」

「は…はい、イッセー先輩」

「り、了解しましたわ。イッセー様」

「は、はい、イッセー様」

「り、了解です、イッセーさん」

「お、おう、イッセー」

 

周囲の悪魔達全員が自害を成し遂げたのか倒れ伏したのを確認し、主イッセーは告げた…その威厳に満ちつつも華麗な立ち振る舞いに、皆揃って思わず返答が遅れてしまった。

それを確認するや、

 

「せーの…(バキィ!)フン!」

 

虚空に向けて真っ直ぐに拳を突き出す、と、信じられない光景が目に映った。

 

「な、空間が割れている!?」

「ヴァーリ!それだけではありません!空を見上げて下さい!」

「にゃ、にゃにゃぁ!?(ピキペキポキパキ!)そ、空にひび割れが広がっているのにゃ!?」

「…イッセー先輩、どれだけ凄いんですか」

 

そう…主イッセーが付き出した拳の先にある虚空がまるで強烈な衝撃を受けたガラス窓の様に割れ、そしてそのひびが伝わったのか真っ赤な空にひび割れが伝わり…ガラスが粉々になる様な音と共に割れ、其処から青空が広がって行った…異世界の光景が空以外変わっていない辺り、あの赤い空は何らかの干渉だったようだが、それ『だけ』を見事に打ち破るとは…。

 

「せいっ!(ガシャァァン!)よし」

「今度はぶん殴った所から何か別な所の光景が見えるんだが!?」

「む…其処にいるのは、ディオドラ・アスタロトだな!」

「い…一体何が起こっているんだ、さっきから…!」

 

更にひび割れていた空間に更に拳を突き出すと、その空間『だけ』が砕け散り、其処に出来た『穴』からディオドラ・アスタロトの姿が見えた…更にその後ろには石造りの空間も見える、どうやらディオドラ・アスタロトはあの神殿内に逃げ込んだ様だな。

それを見るや否や『穴』に入って行く主イッセーに続き、俺達も入って行く。

 

「随分と焦った様子だな、ディオドラ・アスタロト。大方、目論見が崩れたという所か」

「ば…馬鹿な!こんな筈では!禍の団は君を何とも思っていなかった筈だ!」

「成る程、件のテロリストグループも所詮は烏合の衆という事か。俺が命じた事にただ従うだけの」

「大体、この空間は結界系神器最強と言われた神滅具『絶霧(ディメンジョン・ロスト)』の所有者が作り出し、禁手『霧の中の理想郷(ディメンジョン・クリエイト)』を用いて設置した装置まで置いた!神滅具では中くらいの力量である赤龍帝の籠手程度で打ち破れる物じゃ無い!」

「結界らしき物を感じ取ったが、成程、神滅具による物だったか。別段強固でも無かったが」

 

絶霧だと…成る程、旧魔王派単独では無い、アイツらも関わっているという事か…トップであるオーフィスや一大派閥だった俺達の離脱による傷も癒え、今日の襲撃に万全を期して臨んだ、という事か…!

だがこの期に及んでまだ主イッセーを危険分子とすら見ていなかったとは…いや、ディオドラ・アスタロトにその情報が来ていなかっただけかも知れないが…そんな主イッセーに圧倒的な力の差を見せ付けられれば、向こうも萎縮してくれそうだな。

 

「こ、こんな話聞いていないぞ、な、何て出鱈目な…だ、だが!僕だってこの時の為にパワーアップしたんだ!オーフィスが作り出した『蛇』、そのコピーで!これが「『地に伏せろ』!」(ズドォン!)あがぁ!?」

「俺の恋人の所有物に手垢を付け、弄り回すとは…覚悟は出来ているな…」

 

こんな状況を認めたくない様子のディオドラ・アスタロトが空元気とも言える様子で突進しようとした瞬間、空気が凍り付いた、気がする…主イッセーの、余りの怒りによって。

…まさか、オーフィスの『蛇』が複製されていたとは、ひょっとしてディオドラ・アスタロトがシーグヴァイラ・アガレスとのレーティング・ゲームで見せたあの独り舞台は『蛇』による物か?ならばあの不条理な場面も説明がつく。

しかし馬鹿な物だ、アーシアの人生をぶち壊しにした(らしい)挙げ句、オーフィスの『蛇』を禍の団総出で、本人の知らぬ所で悪用した…此処まで主イッセーの怒りを買う行動を取るとは、命知らずにも程があるな。

 

「アーシア、『今は眠れ』」

「んう…?(ドサッ!)ん…」

「さて…これより、ディオドラ・アスタロトの処断を始める」

 

アーシアを無理矢理眠らせ、主イッセーはそう告げた…ディオドラ・アスタロトにとっての、正に『生き地獄』を作り出す事を始めると言わんばかりに。

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