ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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78話_私、飛翔しますわ

Side レイヴェル

 

「私はイッセー様の下で自らを磨き上げると、父様や母様、兄様方に誓って眷属となった身。今までの様に、フェニックス家の娘という肩書きは通じませんわ。これからはレーティング・ゲームでも、その他イッセー様の下で必要となる事柄にも積極的に関わって行かなくてはなりません。ですが、どうした物でしょう…」

 

私こと兵藤一誠様の『兵士』、レイヴェル・フェニックスには或る悩みがあります。

悩み、それはイッセー様及び、私を含めた眷属の方々の中で、私はどの様な存在であるか。

ざっくりした言葉で言えば、眷属の中で、私はどの様なポジションなのか、という事ですわ。

失礼を承知で言わせて頂きますが、眷属の方々は生まれや育ちは勿論、その生まれ持った特長が余りにも際立った『個性派』揃いだと断言出来ますわ。

イッセー様の『女王』にして、イッセー様の正妻という位置に立たれているレイネルさんは、天使として生まれながらもイッセー様を慕う余り堕天、紆余曲折の末にイッセー様共々リアス様によって悪魔に転生されたとお聞きし、その慈愛に満ちた物腰は、何故堕天してしまわれたのかが今でも不思議でなりません。

そのレイネル様が転生されるきっかけとなった事件に前後して、彼女と共にこの街にいらした『僧侶』にしてイッセー様の妻の1人、アーシアさんは、嘗ては教会のシスターであり『聖母の微笑』を身に宿した事から『聖女』として崇められていたそうですが、あの憎きディオドラ・アスタロトが仕掛けた罠に嵌ってしまい教会を追放、堕天使陣営へと流れ着いた末にこちらもリアス様によって転生されたそうで、優しくも揺るぎない理念を感じられるそのお姿は、こちらも教会の対応に不可解な点を覚えましたわ、例えそれがディオドラ・アスタロトの策だとしても。

そういえば教会出身者がもう1人、『戦車』にしてこちらもイッセー様の妻の1人、ゼノヴィアさんもそうでしたわ。

元は教会所属の聖剣使いとして各地を転戦されていたゼノヴィアさん、堕天使陣営の最高幹部であるコカビエルが起こした事件の鎮圧の為にこの街へ潜入された際、その強固に過ぎる教会への信仰心もあってイッセー様と対立されていたそうですが、イッセー様の純真なる想いに打たれて和解、リアス様によって転生された後は、言うまでもありませんわね。

さて、イッセー様が今の地位に就かれた過程において外せない方が、私と同じ『兵士』であるヴァーリさんですわね。

旧魔王であるルシファー家で生まれたヴァーリさん、ただ悪魔と人間のハーフという出自、更には宿した神器が原因で酷い虐待を受けていたそうで、幼少期に堕天使陣営に流れ着き、総督であるアザゼル様の下で鍛錬を積んでおられたそうですが、コカビエルの事件に伴う事後処理も兼ねた駒王学園での3大勢力による会談の場で、彼は裏切り、今の悪魔陣営を始めとした多勢力を騒がせているテログループ『禍の団』へ寝返った事を表明しましたわ。

そしてその場でイッセー様と因縁の対決、そう、『赤龍帝の籠手』を宿したイッセー様と、『白龍皇の光翼』を宿したヴァーリさん、二天龍の因縁の争いが勃発してしまいましたが、イッセー様が『イッセー様の力で』その因縁に、そしてヴァーリさんに打ち勝ち、屈服したヴァーリさんが3大勢力へ脅迫紛いの降伏宣言をされた事で晴れてイッセー様は上級悪魔の仲間入りを果たされた、という事ですわ。

そのヴァーリさんが禍の団にてチームを組んでいた美猴先生、アーサー先生とルフェイさんの兄妹、そして黒歌さん。

美猴先生はあの『初代』孫悟空として知られている闘戦勝仏様の末裔にあたる方だそうで、飄々とした佇まいとは裏腹にその実力は確かな物で、イッセー様の武術指導もされている程ですわ。

アーサー先生ですが、その名前を聞くとあの人間界において伝説となっている『アーサー王』を真っ先に思い浮かべますが、そのアーサー王の末裔だそうで、『カリバーン』としてこれまた伝説となっている聖王剣コールブラントを用いた剣術は、あの魔王サーゼクス様の眷属である沖田総司様にも迫る程だと聞いており、正に『名は体を成す』と言えますわ。

そのアーサー先生の妹であるルフェイさんは、こちらもアーサー王伝説において名が刻まれている魔女、モルガン・ル・フェイに倣った名を名乗っていて、その魔術の腕前は大層な物だとアザゼル様が絶賛しておりましたが、彼女もイッセー様をお慕いしている様で油断なりませんわ。

今上げた御三方は、ヴァーリさん降伏の折に同行されましたが、チーム内で唯一これに賛同しなかったのが黒歌さんですわ。

嘗てはSS級はぐれ悪魔として名を馳せた黒歌さんでしたが、妹である白音さんを心底大事に想っていて、はぐれ悪魔となった経緯も当時の主が、黒歌さんを眷属とした時に交わした契約に違反して白音さんを眷属にしようとしたからで、しかもその対応が脅迫その物(従わなければ白音さんを手に掛ける、とまで言われたそうですわ。同族として恥ずかしい限りです)だった事から、白音さんを守る為に殺害したとの事、その時の嫌悪感とでも言いましょうか、それが要因となってヴァーリさんに同行する事を拒否したそうです。

その後、リアス様やイッセー様が眷属の方々を連れて冥界へと帰省され(イッセー様は違いますわね)、特訓を経た後に開かれた魔王様主催のパーティにて、白音さんを引き取ろうと潜入したそうですが、其処でイッセー様達のバンド『GRID』による魂が込められた熱唱に心動かされ、イッセー様に降伏したそうですわ。

そしてその黒歌さんの妹である白音さん、黒歌さんがはぐれとなった事件の後に上層部の方々からの激しいバッシングを受けた事で一時は感情を無くされたそうですが、リアス様が親身になって頂いた事で笑顔を取り戻したとの事ですわ。

ただ、つい最近まで黒歌さんに憎悪にも似た感情を抱かれていたそうですが、それもイッセー様達の仲立ちもあって和解し(尤もまだまだ蟠りがある様で、マンションの同じ一室で共に暮らす私には、何処かぎこちなさを感じますわ)、その優しさと熱い心に心動かされ、つい最近、イッセー様の眷属に移籍しましたわ。

以上の様に生まれや育ち、眷属となった経緯が際立ってバラバラならば、その能力や立ち位置もバラエティに富んでおりますわ。

アーシアさんは、その身に宿す神器『聖母の微笑』によってこれまで我々フェニックス家が作り出していたアイテム『フェニックスの涙』だけしか無かったと言って良い回復の手段を新たに生み出し、RPGにおける『ヒーラー』というレーティング・ゲームには無かったポジションを確立する事になるでしょうし、ゼノヴィアさんやアーサー先生の剣士としての手腕は、その手に持つ強力な聖剣の存在も相まって『アサシン』にも『ソルジャー』にもなりえます。

『アサシン』としての適性なら、天使だったレイネルさんも負けてはおりませんわね。

美猴先生は手に持つ如意棒や筋斗雲、そして己自身の肉体から繰り出す武術の巧さから近~中距離戦では死角はないと言っても差し支えありませんし、ルフェイさんの魔術への才覚は遠距離戦において重大な武器ですわ。

黒歌さん・白音さん姉妹は様々な術式に明るい他、元はニィ・リィと同じ『猫又』である事から、ならではの能力が『ジャマー』としてうってつけです。

ヴァーリさんは神滅具の一角である『白龍皇の光翼』を宿している上、悪魔としての才覚も一級品と言えますから文字通り『何でもできる』と言えるでしょう。

ですが何よりも凄まじい力を誇るのが、我々の主であるイッセー様。

私がまだライザー兄様の眷属だった頃に見せた、縦横無尽に仲間達を蹂躙し、最終的に兄様すら圧倒したその姿。

その原動力となった『イッセー様の力』である『タスク』は、あれから更なる成長を遂げ、ついには神器に宿るドラゴンの魂を解放する禁忌『覇龍』を超え、その全てを自らに取り込んで超絶なる力を発揮する『征龍』へと昇華させましたわ。

さて、話は戻しますが、そんな方々の中で私の『特長』足り得る物、それは何でしょうか?

純粋な近接戦闘では下から数えた方がはやいでしょうし、ライザー兄様の眷属だった頃は『僧侶』であった程の魔力も、ルフェイさんの方が上でしたわね。

やはりフェニックス家の娘、という出自からなる『不死身』でしょうか?

確かに私の心が折れたり、再生が追い付かない程の凄まじい一撃を受けたりさえしなければリタイアしないというのは、レーティング・ゲームにおいてこの上無い力、『ディフェンダー』としてこの上無い力ではありますわ。

ですがレーティング・ゲームは王を取れば勝利のゲーム、兵士である私は、倒す必要性が無ければ無視しても構わない存在、つまり相手にとって倒す必要がある程の事案が無ければ、折角のこの身も無意味な物となってしまいます(ライザー兄様がイッセー様に敗れるまで事実上の無敗だったのは、不死身の兄様が『王』である事、どうしても倒す必要があったからという面もありますし)。

相手が私を、倒す必要があると思い知らせる程の実力を身に着けるにはどうすれば良いか、活かすならば、其処ですわね…

 

「おや?一体なんですの、この雑誌は?」

 

そんな私の目に入った1つの雑誌。

 

「こ、これですわ!早速、特訓の始まりですわ!」

 

これが私の、後の運命を決めたと言っても過言ではありませんわね。

 

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私の行く道を決めたと言って良い、とある雑誌を目にした翌日である今日、

 

「頼もー、ですわ!」

「何奴!?って、貴方たしか…」

「高等部1年のレイヴェル・フェニックスと申しますわ。早速ですが用件を申し上げますわ。私をこの同好会に入会させて下さいまし!」

「えっ!?いや、入ってくれるなら大歓迎だけど、大丈夫なの!?」

「ご安心くださいませ。私、体力と身体の柔軟性、それに頑丈さには自信がありますわ!」

 

私は駒王学園の或るサークルの門を叩きましたわ。

そのサークルの名は、『女子プロレスリング同好会』。

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