ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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7話_俺、シスターを確保しました

「暫く見ない内にボロくなっちまった物だな、この教会。肝試しとか秘密基地には良さげな感じだけどな」

 

れーちゃんと2人、リアス部長…オカルト研究部に入部すると共に「これからは部長って呼んで」と言われたからな…の兵士(ポーン)となった翌日の今、俺は横目に見えた教会に対して、こんなコメントを呟いていた。

この教会は、俺がれーちゃんに会う前…幼馴染の女の子、紫藤(しとう)イリナがまだ日本にいた時、アイツが良くお祈りを捧げていた教会だ。

アイツとはいわば親友みたいな間柄、何時も日が暮れるまで遊んだり、神や天使達の逸話を聞いたりしていたっけな…今どうしているんだろう、手紙だとヨーロッパの何処かの国の聖職になったと両親が言っていたが…

おっと、話が逸れたな。

尤も今、聖職者は既に出払った状態、管理する人がいない以上老朽化は避けられない運命で、こうして経年劣化という名の運命を歩んでいる現状だ。

そこに…そのボロボロになった教会に件のシスター、アーシア・アルジェントが赴任する形でやってくる、れーちゃんはそう証言していた。

その話が本当なら…良く考えられた計画だ。

教会はいわば天使陣営の領域、この街が悪魔の管理下であってもそれは同じな所謂『飛び地』となっている…つまり教会内での出来事に悪魔陣営は介入出来ない、してはならないのだ…関わればそれは天使陣営に対する宣戦布告と同義となるが故に。

今となっては聖職者が撤収し、管理を放棄した以上、その領有権は無いと言って良いのだが、そんな敵対する陣営が喜びそうな情報を、バカ正直に報告する輩もそうそういまい。

だがそんな情報をれーちゃん達、この街に潜伏している堕天使達は入手し、そして同時に神器を持っているアーシア・アルジェントの存在を聞きつけ…そしてあの計画を、グリゴリに無断で実行に移したのだろう。

…まあ1つ見落としていたとすれば、この街が悪魔の管理下にあったという事か。

れーちゃんも言っていたが、この街に堕天使達が入る事、それは不法入国と同じ。

そして既に、俺の殺害という罪を犯した上に、今度はアーシア・アルジェントの神器の強奪を、彼女の殺害…何らかの形で神器を抜き取られた人間は死んでしまうらしい…をも行おうとしている。

つまりは…『無断で他国に押し入って住民を連続で殺害した』…立派な戦争行為だ。

更にそれを上層部に無断で実行した…れーちゃんの話だとグリゴリの幹部たちは、コカビエルという最上級堕天使を筆頭とした一部過激派を除いて、戦争を望んでいないらしく、それに繋がる行為を禁じているらしい…となるとグリゴリに戻れば即刻死刑、悪魔陣営に捕まればトカゲの尻尾切りの如く見放されるに違いない…れーちゃんも、その点もあって悪魔への転生に踏み切ったと言っていたからな。

…ともかくだ、この街で余りにもおぞましい計画を実行に移そうとしていると聞いた以上、黙って見ている訳には行かない。

アーシア・アルジェントが奴らの手に渡る前に、食い止める。

そして(ドテッ)ん…?

 

「はわぅ!」

 

そう決意した俺の目の前で、女の子が何も無い路面でずっこけるというドジっ娘属性全開の展開を繰り広げていた…

見ると彼女はシスター服を着用している…もしやアーシア・アルジェントか?

 

「はぅぅ…何故何も無い所で転んでしまうんでしょうか…これも神から授かった試練なのでしょうか…?」

 

…これが神の試練だとしたら、神は相当な不条理キャラだぞ…某あらゆる危機から助かる方法を授けるじーさん(自称)みたいな…

 

「…大丈夫か、君?」

「あ、はい!ありがとうございます!」

「見た所教会のシスターみたいだけど…どうしてこの街に?」

「はい…実はこの街の教会に赴任する事になっていたのですが、道に迷ってしまって…尋ねても言葉が通じず困っていた所なんです」

 

…今の台詞で断言して良いだろう、彼女がアーシア・アルジェントだ。

ちなみに彼女が、言葉が通じないと困っていた所を、言葉が通じる俺が通った事で一安心しているという今の構図だが、俺は日本語以外まともに喋れない(英語は辛うじて分かるが)。

なら何故こうして普通に喋れているかと言うと、部長曰く悪魔には多言語理解能力…いわば自らの最も理解出来る言語に自動翻訳する能力があるらしく、悪魔の駒による転生悪魔も例外ではない…故に俺には彼女の話す言葉が日本語として聞き取れる、という事だ。

 

「俺は兵藤一誠。君は?」

「アーシア・アルジェントです!」

 

念の為名前を聞いてみたが…間違いなかったな。

 

「アーシア…君がか。実を言うと俺、君を此処に呼び寄せた存在…レイナーレに、君をある場所に連れて来て欲しいって頼まれたんだ」

「れ、レイナーレ様が?」

「ああ、良かったら付いてきてくれないか?」

「はい、宜しくお願いします、イッセーさん!」

 

…少し警戒しようか、幾ら上司の名前を出して来たからって、簡単にホイホイついて来るのはどうかと思うぞ。

ともかくアーシアとの接触、及び確保に成功した俺、このまま真っ直ぐオカ研に連れて行っても良いが…

 

「アーシア、お腹空いていないか?」

「ふぇ?あ、いえ、お構いなk(グゥゥゥ)は、はわわ!」

「遠慮するなよ。こんな朝から教会に向かっているとあれば、碌に朝飯摂っていない筈だ。俺が奢るぜ」

「あ、は、はい…お願いします」

 

彼女を朝食に連れて行く事にする…とは言え何処にするか…牛丼屋…は箸使えるか分からないし…回転寿司屋…は今開いているか分からないし…安直だが、『もす』にするか。

 

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「はぅぅ…ハンバーガー1個まともに買えないなんて…」

「気にするな、文化(カルチャー)の壁って奴だ」

 

近所のもす…もすバーガーに来た俺達だったが、此処でもアーシアが外国出身故に言葉が通じない問題が発生、しかも教会育ちだった事でハンバーガーを見た事が無く、知識も少ない状態だったので中身の判別も写真だけでは不可能という問題も起こった。

仕方ないのでメニューの説明を、俺がする事になり、結果頼んだメニューは…俺と同じライスバーガー(パンの代わりに、マフィン型にご飯を固めた物で、ハンバーグを挟んだメニュー)だった。

 

「ほぇー、お米で挟んでいるんですか。凄いです、流石日本のハンバーガーですね!」

「ああ、郷に入っては郷に従えって諺が日本にはあるんだが、それを地で言っているメニューだよな。ところで食べ方だが…見ていな」

 

見た事が無い以上、食べ方も恐らく知らないと思い、様子が良く見える様にかぶりつく…アーシアが参考にする以上、行儀良く、な。

 

「こんな感じだ」

「は、はい!あむっ…美味しいです!」

 

そんな彼女の微笑ましい食べ方を見ながら、俺達は朝食を済ませた。

 

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「さて…此処だ」

「此処って…学校ですか?」

「ああ、駒王学園…俺が通っている学校なんだ。レイナーレも此処にいる。それじゃあ、ついて来てくれ」

「はい、イッセーさん」

 

それから俺達は学校に到着した…今日はこの件もあって、前以て遅刻する連絡をしてある。

アーシア…絶対に君を死なせはしない!

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