ハイスクールSBR~堕天した花嫁~   作:不知火新夜

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82話_北の主神とX字の悪魔祓い達、来日しました

「ただいま」

「おかえり、皆。そうそう、イッセーにお客さんよ」

「お客さん?」

 

まさかあの車の主は俺に用があって此処に来たのか?

母さんからその話を聞き、リビングへと向かうと其処には、

 

「おう、お帰りイッセー。ほら、じーさんに護衛の諸君、お目当ての奴のお帰りだぜ」

「ほっほっほ、お主が今話題の龍魔神王、兵藤一誠か、凄まじい程の力を感じるぞい。はるばる訪日した甲斐があるという物じゃ」

『お帰りなさいませ、イッセー様!』

 

まるで自分の家の様に寛いでいるアザゼルさんと、何処かラフな格好をしているけど物凄く強大な気配がするおじいさん、そのおじいさんの側で控えるスーツ姿の女性、そして真っ白な司祭服に身を包んだ12人の男女が、俺が入ると同時に出迎えてくれた。

そ、それにしても司祭服の12人はその気配からして教会所属、それもイリナと同じく天使の様だが、そんな存在に様付けで呼ばれるのは、なんか照れるな。

ルフェイやレイヴェルは俺の眷属だし、もう慣れたが。

 

「紹介するぜ、皆。まあ知っている奴もいると思うが、そこのチャラい恰好したじーさんはオーディン。アースガルズの主神、と言えば分かるな?」

「初めましてじゃな、兵藤一誠。お主の凄まじい活躍、見させてもらったぞい。あの襲撃の時の大暴れ振り、あの場にいた儂も絶句したもんじゃい」

 

え、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?

お、オーディンって、アザゼルさんが言う、あのオーディンだよな!?

ま、まさかそんなビッグな方が、態々俺の所に挨拶に来てくれるとか、これは夢か?

でも、あの襲撃の時も、冥界でのパーティ及びリアス達若手悪魔のレーティング・ゲームにも来賓として招かれていたそうだが、会う事かなわなかったから、此処で挨拶出来て良かった。

 

「んで、じーさんの隣に付いているのは、じーさんのお付きのヴァルキリー」

「はい、ロスヴァイセと申します。以後、お見知りおきを」

 

オーディンさんの隣に控えていたスーツ姿の女性、ロスヴァイセさん。

クールな感じの美人で、スタイルも良い、体型だけで言うとリアスに近いかな?

 

「彼氏いない歴=年齢の生娘ヴァルキリーじゃ」

「そ、そ、それは関係ないじゃないですかぁぁぁ!わ、私だって、好きで彼氏が出来なかった訳じゃ無いんですからね!好きで処女な訳じゃなぁぁぁい!」

 

う、嘘だろ…?

こんな美人で、スタイルも抜群で、それで彼氏いない歴=年齢?

世の中分からない物だな…

っておい大輔、後ろで『よし狙うか』と言いたげに拳を握り締めるな。

 

「まあ、ヴァルキリーの業界も厳しくてのぉ。器量良しでも中々芽吹かない者も多く、最近では英雄や勇者の数も減ったもんで、経費削減によって部署も縮小傾向でのぉ、こやつも儂のお付きになるまで職場の隅にいたのじゃよ」

 

え、えぇぇぇぇ…

確かに人間界も此処最近まで世界規模の不況で、此処日本も就職氷河期だとニュースで取り上げていたけど、人外社会も例外じゃ無かったのかよ…

 

「まあ、ロスヴァイセの話はここらで良いじゃろう。後ろで自己紹介したくてうずうずしている者が大勢いるからのぉ。ほれ、お主たちの番じゃ」

「はっ。オーディン様、お気遣いありがとうございます」

 

ロスヴァイセさんの身の上から垣間見える人外社会の世知辛さに関しては一先ず置いて、オーディンさんに促される様に司祭服の集団が、そのリーダー格らしい黒の短髪の男を先頭に、前に出て来る。

 

「お初にお目にかかります、イッセー様。我らは『X-LAWS』。教会に属する悪魔祓いのチームで、現在はミカエル様の御使いを務めております。私の名は、ラキスト・ラッソ。X-LAWSのリーダーを務めている者です」

「え、X-LAWS!?あの『異端』チームが、私の同僚なの!?」

「ミカエル様の御使い、となればそうなるな。しかしミカエル様も思いきった決断をした物だ。あの『異端』チームとして知られたX-LAWSのメンバーを御使いにするとは」

「君が、紫藤イリナか。ミカエル様から話は聞いている。今後は同僚として、宜しく頼む」

 

リーダーであるその男、ラキストの自己紹介と共に、メンバー全員の背から、天使の羽が出現した。

感じた気配はやはり間違いじゃ無かったか、ミカエルさんの御使い、という事は、イリナの同僚という事になるな。

それにしても『異端』て、どういう事して来たんだ?

 

「お前達、イッセー様に自己紹介を」

『はっ!』

「私の隣に控える銀髪の女は、メイデン・ジャンヌ。X-LAWSの副リーダーを務める者です」

「メイデンと申します。イッセー様、本日はお会いになれて嬉しゅう御座います」

 

その疑問は、後で聞いてみるか。

ラキストに促されるまま、他のメンバーが彼の隣に並び立ち、自己紹介を始めた。

まず紹介があったのは、銀髪で赤目の少女、メイデン。

美月より幼い感じだな、こんな子が副リーダーとは、それだけのポテンシャルを秘めている、という事か?

 

「その隣にいる金髪の男は、マルコ・ラッソ。我が息子です」

「マルコと申します。今後とも宜しくお願い致します、イッセー様」

 

次は、金髪で眼鏡を着用した男、マルコ。

結構堅物そうな雰囲気といい、切れ長の眼といい、確かに親子だな。

髪の毛は全然似ていないが。

 

「その隣の大男は、クリス・ブンスター」

「クリス・ブンスターです…宜しくお願いします」

「クリス、もう少し話したらどうだ…申し訳ありません、イッセー様。此奴は口数が少ない物で」

「あ、ああいえ、気にしていないので」

 

その次は、角刈りの大男、クリス。

がたいのよさといい、多くを語らないその姿といい、聖職者と言うより軍人と言った方がしっくり来そうなのは、俺だけじゃ無い筈だ。

 

「その隣にいる、仮面を被った男は、ケビン・メンデル」

「ケビンと申します。この姿に関してはお気になされぬようにして頂けると有難いです。幼い頃に訳ありまして」

 

その次は、仮面にヘルメットの様な帽子、義手になっている両腕という、異様な出で立ちの男、ケビン。

声が少ししゃがれているのもそうだが、幼い頃に何か事故でもあったのかも知れない。

 

「その隣の長髪の男は、ハンス・ライハイト」

「貴方様がイッセー様ですか、成程、聞いていた通り、強大なる雰囲気を感じる…」

 

その次は、長髪の男、ハンス。

自分の番になるや否や、如何にも触れ合いたいという、ヤバい雰囲気を感じるのは俺の気のせいか?

 

「その隣の緑髪の男は、リゼルグ・ダイゼル」

「リゼルグと申します!イッセー様、宜しくお願いします!」

 

元気いいなコイツ、というか男だったのか。

次に紹介されたのは、一見すると性別がどっちなのか分からない緑髪の少年、リゼルグ。

 

「その隣の茶髪の女は、ミイネ・モンゴメリ」

「初めまして、イッセー様。ミイネと申します」

 

次に紹介されたのは、数少ない女性メンバーの1人、ミイネ。

女性らしい、といえばそうだが、他のメンバーが何処か堅そうな雰囲気だったり何処か鋭さを感じたりするのに対し、彼女は何処か柔和そうな雰囲気だな。

 

「その隣のツンツンヘアーの男は、ジョン・デンバット」

「ジョン・デンバットです。イッセー様、今後とも宜しく!」

「ジョン、イッセー様に対して少し無礼だぞ」

「いや、別に気にしていないので」

「はぁ、堅いなマルコ!良いじゃねぇか別に!イッセー様もこう言っているんだからよ!」

 

次に紹介されたのは、金髪をツンツンヘアーにした男、ジョン。

なんか、本当に教会の悪魔祓いなのか、と突っ込みたくなる位に軽いな。

まあ、フリードという前例があるんだし、そういう悪魔祓いも結構いるのかも知れない。

 

「申し訳ありません、イッセー様。ジョンには後で言い聞かせて置きます。その隣のスキンヘッドの男は、ポーフ・グリフィス」

「ポーフ・グリフィスと言います。宜しくお願いします、イッセー様」

 

気のせいだ、ライザーがX-LAWSのそれの様な司祭服に身を包んだ画が浮かんだが気のせいだ。

ポーフと呼ばれたその男、綺麗に剃られたスキンヘッドといい、鋭く吊り上がった眉毛といい、何処かきつそうな雰囲気をかもしだしているな。

 

「その隣の、傷持ちの男は、ラーキ・ディラック」

「ラーキ・ディラックと言います。初めましてイッセー様、お目にかかり光栄に御座います」

 

次に紹介されたのは、顔に古傷を持った男、ラーキ。

冷静沈着で、紳士的な感じだな。

 

「最後に、黒髪の少女は、ナナ・メビウス」

「初めまして、イッセー様!ナナと言います!」

 

最後に紹介されたのは黒髪の、快活そうな少女、ナナ。

 

「今回、我々X-LAWSは、来日されたオーディン様の護衛の為、教会より派遣されました。その折、オーディン様のリクエスト及び、我々の要望もあって、イッセー様、貴方様に挨拶へと伺った次第です。この夜分に、大人数で押しかけた事、お詫び申し上げます」

 

いや、それは構わないけど、

 

「いや、それは別に良いとして、えーと、ラキスト、さん?」

「ラキストとお呼び頂けますか?貴方様から『さん』を付けて頂く資格は持ち合わせておりませんので」

 

な、なんだろう、すげー話しにくいんだが。

 

「なんで、X-LAWSのメンバー皆して俺の事を、名前の様付けで呼んでいるんだ?」

「何を仰られます?貴方様は『新世界の神』となられるべき御方、新しき秩序の代表となられるべき力を持った御方。勢力が異なろうと、その様な御方を敬うは当然の事に御座います」

 

あの『新世界の神』発言、他陣営にも聞こえていたのかよ…

でもまあ俺の、いや俺達の夢である『新世界』、賛同してくれている存在が教会にもいてくれるというのは、嬉しい限りだ。

 

「ラキストが言った通り、爺さんが日本に居る間、俺達3大勢力が護衛に回る事になってさ、天使陣営からは見ての通りX-LAWSが、堕天使陣営からは最高幹部を長とした特命部隊がその任に就く。俺もその件で最近忙しくてさ、此処にいるのも限られるから、その間は、其処にいるバラキエルがお前達の面倒を見る事になった…っておーい、何時まで娘相手にもじもじしてんだお前は」

「あ、アザゼル!私はもじもじなどしては…

あぁすまない、バラキエルだ。宜しく頼む」

 

アザゼルさんの代わりに、バラキエルさんが来るのか、確かれーちゃんから聞いた話だと、朱乃さんのお父さんなんだよな。

で、アザゼルさんに突っ込まれて、慌てて自己紹介したバラキエルさんだけど、実を言うとオーディンさんやX-LAWSのメンバーの自己紹介の最中も朱乃さんといたのだが、何を話したらいいかとお互い手間取っている様子で何処かぎくしゃくした空気が流れていた。

ライザーとのレーティング・ゲームに向けての合宿中、れーちゃんの一喝もあって何とか和解した様だが、まだ蟠りが残っているのかも知れない。

黒歌と白音の関係もそうだが、やはり離れ離れになり、その間一方が敵意を抱いていた10年間という溝は、そう簡単には埋まらないのだろう。

で、話を戻そう。

 

「アザゼルさん、3大勢力から護衛が派遣される、という事は、悪魔陣営からは俺達が就く、という事ですか?此処に来たのも、それが理由なのですか?」

「いや、お前達が選ばれる事は無いだろう。ラキストが言った通り、此処へ来たのはあくまで爺さん達のリクエストだ。お前に逢いたい、そんなリクエストで、な」

「…ゑ?」

 

オーディンさんの護衛任務の話を聞き、その任に就くであろう俺達も覚悟を決めようと決意した俺だったが、アザゼルさんから帰って来た答えは意外な物だった。

その様子をアザゼルさんが目敏く見抜いたのか、更に続けた。

 

「なんか皆して意外そうな顔してんな。確かにお前らはこれまで数々の事件を解決するにあたって、主導的な役割をして来た。殊にイッセーの実力はチートじみていて、本気出せばオーフィスにすら勝てる。だが、どれだけ実力があろうと、お前らの大半はまだ高校生だろう?今までの事件は巻き込まれて仕方なくという面があったが、今回はそれも予測出来る。そんな事態が起こるかも知れないという状況に、態々突っ込ませる奴か、サーゼクスは?若手悪魔の会合でも言っていただろ、お前らはお前らが思う以上に、アイツらにとっては宝なんだ、と。だからこそ大事に、段階を踏んでいって欲しいともな。

 

特にイッセー、お前に至っては、その言葉が比喩でも何でもないんだ」

 

それは分かっている。

れーちゃん達が起こした騒動も、コカビエル達が起こした聖剣事件も、禍の団による襲撃事件の数々も、はっきり言えば俺達は『巻き込まれた』、故に仕方なく、という面もあった。

だけど…とやりきれない想いを抱いていた俺に、アザゼルさんは、

 

「イッセー。お前の強さは、此処にいる皆が、もっと言えば人外勢力の誰もが知っていると言っても過言じゃ無い。お前が成そうとしている夢も知っているし、少なくとも俺や、X-LAWSのメンバー、そしてリアスとその眷属に、お前の眷属、応援する奴も多い。だが、いやだからこそ、お前を大事にしたいんだ。お前はまだまだ高校2年生、高校生の仕事は、とにかく学んで、とにかく遊んで、まあぶっちゃけ言えば『全力で青春しろ!』って事だ。今すぐ夢を叶えようとしなくても良いじゃないか。あと1、2年経ってから一歩を踏み出しても良いじゃないか。お前の夢は、この先叶えようとする機会は幾らでもある。

 

けどな、青春は今、この時しかないんだぞ。目一杯楽しめる時間は、この時限りなんだ」

 

そう、優しくも、はっきりと語りかけてくれた。

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