落語『 三年目』(断裁分離のクライムエッジバージョン)   作:破邪矢

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皆さんどうも破邪矢です

もう落語じゃないです
只のクライムエッジです
でもこれが好きなんです

それでは本編をどうぞ



後日談

祝ちゃんが化けて出てきて数日後

 

「祝ちゃん?そろそろ許してくれないと僕の方も仕事が」

 

「……フンッ 知らない」

 

「祝ちゃ~ん」

 

「あのねぇ切 女の心は時間じゃないの 誠意と態度で変わるの ねッ祝?」

 

「「ねー」」

 

かしこと祝は割とすぐに打ち解けたが 切と祝の関係は依然悪化の一途をたどっていた

 

「何で僕だけ……大体かしこは良いの?仮にも後妻で祝ちゃんからすれば僕が奪われたってことになるのに」

 

「流石にその言い草は……無いわ あんた無いわそれは 切」

 

「かしこちゃんは約束を聞いたうえで守ろうとしたもん 私の事なんて忘れて床屋さんで浮気している誰かさんとは違って」

 

「前から気になってたけど祝の言ってる浮気って 髪を切る事なのね ゴメンねー祝 今度から切には男だけ切らせるから」

 

余談だが今は太陽がさんさんと輝く真昼間だ 理屈は分からないがこの家の中なら24時間自由に祝ちゃんは動き回れるらしい

 

「じゃあ私は仕事に戻るから 二人で話し合ってなさい」

 

「じゃあ僕も仕事に「話聞いてたの切君?」だッだから男の人は僕が「女の怒りを放置して良い事は何も無いわよ」はい すみません」

 

前妻にも後妻にも頭の上がらない切はしょんぼりと座布団に座りなおす

 

「あのね切君」

 

「何祝ちゃん」

 

「私だって今の自分が癇癪を起して騒いでるのは分かってるの」

 

「うん」

 

「だから今から話すことは感情に任せた間違ったことかもしれないけどでもッ「祝ちゃん」」

 

いつになく真剣な目で見つめる切

 

「君は僕を最初に受け入れてくれた人だ それに加えて僕は君の夫 話なら聞くよいくらでも」

 

まぁ死別しちゃったけどねとおどけてみせる切に祝ちゃんの表情が初めてほぐれた

 

「切君がね 再婚した事はそこまで怒ってないの 仕事も家も失ってかしこちゃんに助けられてそういう流れになるのは分かるし かしこちゃんが切君に好意を持っていることも知ってたから」

 

「そうなの?「話の腰折らないで!」はい」

 

「かしこちゃんと結婚して床屋さんになるのは……まぁ 家がそうだったし切君の出来る仕事としてそれがあったから仕方ないとはいえ……結構腹は立つんですけど」

 

「それは誠に申し訳ありませんでした」

 

ならば良いといった顔でうなずく祝ちゃん

 

「2人の子供をつくった事も 独立してひとつ屋根のしたに暮らしてるのも許したって良いの でもね」

 

今度は祝ちゃんが切を真剣に見つめる

 

「かしこちゃんの髪どう思ってる?」

 

「……綺麗だと思ってる」

 

「切りたいって 思う?」

 

「それは」

 

何か言葉を探す切だったが それを待たずに祝ちゃんが喋り出す

 

「始めは呪われたモノ 髪と鋏の持ち主同士の歪な関係 毎日髪を切ってもらう内に ただそれだけだけど それだけでよかった それが全てだった」

 

「けれど呪いは無くなって 鋏も髪も普通になって 毎日は髪も切れなくなった それでも毎日切君は私の髪を梳かして撫でて 愛してくれて」

 

「でもそれすらも出来なくなった 私が死んでその行為はただの思い出になった」

 

「そして切君は床屋さんになって その行為が日常になって おまけに髪が綺麗な奥さんがいて」

 

「ねぇ切君 かしこちゃんの髪を切ってみたいと思う?」

 

長い沈黙が続いた

 

「思ってないよ もうね」

 

「もう?」

 

「……ごめんね祝ちゃん 実は一度かしこの髪を切った事があるんだ」

 

瞳を潤ませていることに気付いた切だが言葉を続ける

 

「結婚して間もない頃軽く整えるよう頼まれてね 店も休みで親父さん達も家にいなかったから僕が切った」

 

「かしこが椅子に座って僕が後ろに立って鋏を握ったとき かしこに祝ちゃんの姿が重なった」

 

「櫛で髪を梳かすときも 剃刀でうなじを剃る時も 祝ちゃんの事を思い出した」

 

「だからかしこには悪いけど「次は出来ない」って断ったんだ そしたらかしこが言ったんだよ

 

『やっぱり祝じゃないとだめなのね アンタは』って 女の人に隠し事は出来ないね」

 

「切君」

 

「乗り換えるなんて僕には無理だよ 手に馴染んだ愛する黒髪 深い色も細やかな触り心地もかすかな香りも……なにより恥ずかしそうに喜ぶ祝ちゃんの笑顔が忘れられない」

 

懐から何かを取り出す切

 

「切君それ」

 

「そう僕たちの鋏 けど絆であり歴史でもある だからね祝ちゃん

 

例えどちらが死のうとも 僕たちの事を知る人がいなくなっても この鋏が朽ちて無くなっても

生きてるうちに上書きされることも ましてや完全に取り上げるなんてきっと誰にもできない

 

「僕にとっての恋人は貴女だけですよ女王様」

 

祝ちゃんは涙をこぼした けれどそれはただの悲しみの涙ではないだろう

 

「ならばこれは命令じゃ 殺人鬼さん」

 

「なんなりとお申し付けくださいませ女王様」

 

「何十年かかろうとも必ず 私の髪を切りに来るのだ 約束じゃぞ」

 

「私が死んだその日のうちに 地獄の底からであろうとも参ります」

 

二人は見つめ合って朗らかに笑った

 

「懐かしいねこの感じ」

 

「祝ちゃん体が……」

 

いつの間にか祝の体が薄く透けていた

 

「またね 切君」

 

そう言い残すとその姿はふっと掻き消えた

 

「終わったみたいね夫婦喧嘩」

 

「うん お陰様で」

 

達観した様子で応える切にもう憂いは無かった

 

 

~翌日~

 

「あ 切君おはよー」

 

「えッ?祝ちゃん?何でいるの?え!」

 

「良く分からないけど私が起きたときにはもう居たわよ」

 

「え~「切君私と一緒が嫌なの」そうじゃないけどさ」

 

(どうして僕はこうもカッコ付かないんだ)

 

二組三人の仲良し夫婦の話はもうしばらく続くようだ




如何だったでしょうか?

イチャラブカップルを修正するには原作の名台詞を使えばよい
ただそれをやると原作を読みふけって書く手が止まる
危険な賭けでした(自分で考えろ自分で)

後は小ネタが2、3あるのでそれを描いたら終わりですかね

最後までお読みくださった皆様ありがとうございました
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