Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
──〝君主は、愛されるより、恐れられよ〟──
帝王学の初歩にある、あまりに有名なマキャベリの言葉
だがこの言葉に比べ、次の言葉はあまり知られていない。
──〝何故なら、愛は憎悪に変わりやすいから〟──
王者としても教育を受けたボクはその言葉を知っていた。
だがその言葉の真の意味を知ったのは、フランスから逃げ出そうとして失敗した、いわゆるヴァレンヌ逃亡事件の後だった。
その結果ボク達は、深く決意した。
どんなことがあっても、この宿命を、彼らの愛と憎悪を受け入れよう、と
たとえ断頭台の露と消えることになろうとも
決して彼らを恨まない
ただ、たったひとつだけ、人生に心残りがあるとすれば
あの日あの時、君を笑って見送れなかった事、かな
【某日、カルデア】
ダ・ヴィンチちゃん
「早速来てもらって悪いね。早速だがマシュ、立香君、フランスで特異点が観測された」
マシュ
「フランスですか? オルレアンに続いて二度目ですね」
ダ・ヴィンチちゃん
「その通りだ。ただ時代が違う。前回は15世紀のジャンヌ・ダルクが活躍していた時代だったが、今度は18世紀末だ」
マシュ
「18世紀末のフランス。ちょうどフランス革命の時代ですね」
ダ・ヴィンチちゃん
「フランス革命。人類史の血塗れた至高の華。
自由、平等、博愛と、壮絶な殺戮の時代。だが観測できたデータは、少し違うものだった」
マシュ
「どういうことですか?」
ダ・ヴィンチちゃん
「データが不十分なので推測に頼るしかないが、何らかの〝事情〟で、1789年を経過してもフランス革命は起こっていない。より正確に言えば、フランス・ブルボン王朝が、大きな〝力〟をもってして、革命の弾圧に成功した世界、といっていいだろう」
マシュ
「フランス革命を、鎮圧できるほどの力、それって・・・」
立香
「〝聖杯〟でしょうか」
ダ・ヴィンチちゃん
「ご明察の通りだ。
おそらくブルボン王朝は何らかの形で聖杯を手にし、その力をもって、旧体制(アンシャンレジーム)の維持に成功したのだろう」
ダ・ヴィンチちゃん
「本来の歴史では、フランス革命後の列強との革命戦争の英雄としてナポレオンが台頭し、ヨーロッパ中に民主主義の理念が広まるきっかけとなった」
マシュ
「では、フランス革命が起こらなければ・・・」
ダ・ヴィンチちゃん
「ヨーロッパの、ひいては世界の歴史は数百年は遅れただろうね」
ダ・ヴィンチちゃん
「前置きが長くなってしまったが、目標はフランス、ブルボン王朝の旧体制(アンシャンレジーム)が保有しているであろう聖杯の奪還だ。
手ごわい敵が予想されるが、こちら側はリソース不足でね。君たち以外には一人しか送ることはできなさそうなんだ。というわけで彼女に来てもらうことにした」
ダ・ヴィンチちゃん
「フランスの危機と言えば、彼女だろう。聖女ジャンヌ・ダルクだ。来てくれたまえ」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・・・・」
ダ・ヴィンチちゃん
「あれ? 私が呼んだのは白い方のジャンヌ・ダルクちゃんだけど・・・」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「うっさいわねー! あいつはイルカと遊んでて忙しいみたいだから、私が来たの!」
ダ・ヴィンチ
「しかし、フランスで人気があるのは聖女の方のジャンヌ・ダルクであって、君の方じゃないんだけど・・・」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「どういこと!? 私じゃあ力不足ってことかしら!?」
ダ・ヴィンチ
「う~ん~
どうしよっか立香君。マスターである君の判断はどう?」
立香
「どうしても同行したいの?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「別に、あの国や国民がどうなっても知ったこっちゃないけど・・・」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・・・・あの王妃には、借りがあるのよ」
マシュ
「ジャンヌさん。まだ、オルレアンでの事※を、気にされているのですか?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・う、うるさいわね! 私でいいでしょ? とっとと行くわよ!」
立香
「わかりました。ジャンヌ・ダルク(オルタ)と同行します」
ダ・ヴィンチちゃん
「立香君がそういうなら、異論はないよ。
では目標は18世紀末のフランス、パリ近郊だ。よろしく頼むね、三人とも」
【レイシスト後】
ジャンヌ・ダルク
「みなさん、遅れて申し訳ありません」
ダ・ヴィンチちゃん
「良いんだよ。代わりに素敵なパーティが組めたからね。イルカはどうだった?」
ジャンヌ・ダルク
「イルカですか? イルカは知りませんが、どういうわけか廊下に海魔がいて、退治に手間取ってしまいまして
出した海魔はきちんと片付けておくように後でジルに言っておかなければ・・・」