Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【ヴェルサイユ宮殿のとある一室】
警察大臣フーシェ
「わざわざこのような場所にご足労いただき、痛み入ります」
王妃マリー・アントワネット(?)
「かまいません。これも公務ですから。それよりも、これで例の計画はうまくいくのかしら?」
警察大臣フーシェ
「はい。〝連中〟は、我々が流した情報に必ず食いつくはずです。
しかしよろしいのでしょうか? かような時期に、大元帥をプロシアに出征させて? 荒事になる可能性もありますが・・・」
王妃マリー・アントワネット(?)
「問題ありません。その場合は、わたくしがでます」
外務大臣タレイラン
「秘密裏にですが、プロシアから講和を求める使者が来ております。シレジアと王室が保有する宝石全てを譲渡するので、遠征を取りやめていただきたいとの事です。御一考していただく価値のある条件だと考えますが・・・」
王妃マリー・アントワネット(?)
「必要ありません。プロシアは必ず完膚なきまで討伐する様に、申し伝えたはずです」
外務大臣タレイラン
「御意」
警察大臣フーシェ
「戦争をするには〝血〟が足りないと、大元帥が申しておりました。パリだけでなく、リヨンか、ウィーンに新たな〝公房〟設置すべきではないでしょうか?」
王妃マリー・アントワネット(?)
「〝血〟は、パリの市民からのみ採取しなさい。他の地域、特にオーストリア国民の血を採取するなど論外です。必要ならわたくしの名において命令してもかまいません」
警察大臣フーシェ
「それでは、市民の怒りを鎮めるために必要な対策を取らせていただいてもよろしいでしょうか?」
王妃マリー・アントワネット(?)
「貴方に一任します。
わたくしは政務がありますのでこれで失礼します」
外務大臣タレイラン
「ふう・・・
〝政務〟か、
どうせあの〝王子〟の元に行かれるのだろうな」
警察大臣フーシェ
「あの〝王子〟の育児も、立派な政務さ。なにしろ王妃にとっては、唯一の正当を示す存在だからな」
外務大臣タレイラン
「うむ。
話は変わるが王妃様のプロシア嫌いは筋金入りだな。今度こそ、プロシアは地図から消えるだろう」
警察大臣フーシェ
「王妃様のパリ市民嫌いもですな。所詮、彼女はオーストリア人というなのでしょう」
外務大臣タレイラン
「しかし、これ以上の血税を課せば、市民が暴動を起こす可能性が高のでは?」
警察大臣フーシェ
「仕方ないですな。ガス抜きのために〝バラの花〟を折るとしますか」
外務大臣タレイラン
「かまわないのかね? アレは〝彼〟に対する切札なのだろう?」
警察大臣フーシェ
「今、〝彼〟が立たなければもう一生立てないだろう。眠れる獅子か、腑抜けた猫か、それを確かめる一石二鳥といきましょう」
外務大臣タレイラン
「まあいい、万が一の場合でも恨まれるのは君だからね」
警察大臣フーシェ
「ふん、相変わらず性格が悪い。
ところでパーティの席に潜り込んできたネズミ達と接触していたそうだが?」
外務大臣タレイラン
「ふふふ、無粋な君が主催したパーティの割には華があったよ。
特にパリで噂の聖魔女ジャンヌダルクは、素晴らしく美しかった。やはり真の美女は、変装しても優美さは隠しようがないものだな」
警察大臣フーシェ
「ふん、生臭坊主め、その場で刺されればよかったものを」
外務大臣タレイラン
「あれだけの美女に殺されるなら本望だがね。
しかし王妃に忠誠を尽くしながら〝彼〟の目覚めを待つか。君は噂通りの〝革命のカメレオン〟だね。〝彼〟が立ったら、その色に染まるつもりなのだろう?」
警察大臣フーシェ
「共和派の私は、王妃様とは本質的に相いれぬからな、保険は必要だ。
そういう君はどうするつもりかね?」
外務大臣タレイラン
「大使としてロシアに向かうことにするよ。かの地で、祖国の行く末を見守ろうと思う」
警察大臣
「ふん、高みの見物のもりかね? 帰ってきたときに外相の椅子がなくなっているかもな」
外務大臣タレイラン
「君の方こそ、いつまでも色を変えて生き残れると思わないことだな」
【王子の自室】
マリー王妃
「王子よ、まだ眠っていなかったのですか?」
金髪の虚ろな目の少年
「・・・・・・・」
マリー王妃
「貴方はいずれ、この国の国王、いえ、フランスとオーストリアの未来を担う人物になるのです。そのことを、肝に銘じなければなりません」
金髪の虚ろな目の少年
「・・・お、かあ、さま・・・」
マリー王妃
「運命の王子よ。
愚かな母が救えなくとも──
無力な父に見放されても──
貴方には私がいます。何も心配することはありません。
ささ、もう寝る時間です。おやすみなさい」