Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【第三身分解放同盟のアジト(ジェネットの酒場)】
ジェネット
「───というわけで、パリのどこかに血液と宝石を用いた魔術工房があるはずです。そこを占領、もしくは破壊することができれば、この状況は打破できるはずです」
シェイエス
「うむ・・・パリは広いが、協力者に探すように依頼してみよう」
ジェネット
「もうひとつ、やはり同志ロベスピエールはパリのどこかに監禁されているのは確かです。探し出し、一刻も早く救出すべきです! ロベスピエールさえ戻れば、勝ち目はあります」
シェイエス
「ロベスピエール? あいつはダメだ!」
ジェネット
「そのようなことを言っている場合ではありません!」
シェイエス
「だって怖いものは怖いんだもの。ロベスピエール怖い」(ガクガクブルブル)
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・少なくとも、〝革命のモグラ〟のアンタよりは頼りになりそうね」
シェイエス
「モグラと言うでない!」
<ダヴィンチちゃん>
『しかたのない革命の指導者だね』
カペー店長
「まあ戦力になりそうな大物はほとんどフーシェに逮捕されてしまったからな。
大物で逮捕されていないのは、サン=ジェストくらいだし」
シェイエス
「ひいい!! あいつも怖い!!」
<ダヴィンチちゃん>
『サン=ジェスト。ロベスピエールの懐刀にして、〝革命の死の天使〟と言われた人物だね』
クウニー
「まあサン=ジェストは頭が切れるだけでなくて、絶世の美男子ときてるからな。目立つはずなんだが、よほど上手く潜伏しているらしい。あるいはパリから離れているか」
ジェネット
「・・・・・・」
マシュ
「それほど優れた方達なら、味方になってほしいという気持ちはわかりますが・・・」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「ちょっと、その男にこだわりすぎじゃないの?」
ジェネット
「私が同志ロベスピエールの救出を求めるのには、彼の手腕以外にも理由があるのです」
マシュ
「それはなぜですか?」
ジェネット
「同志ロベスピエールには第二身分の〝魔導〟が効かない特性を持っていたからです」
<ダヴィンチちゃん>
『・・・ほう』
ジェネット
「理由はわかりませんが、ロベスピエールは、魔導に対抗する手段を知っていたようです。そのため、彼は魔導ではなく鉄の鎖で拘束され、連行されてしまいました」
<ダヴィンチちゃん>
『ふむ、フランス革命の歴史的リーダーだった彼に魔導の耐性があった・・・確かに興味深い』
コウモリ
(バサバサバサと部屋に侵入)
シェイエス
「なんでこんな町中にコウモリが? どこから入ってきた?」
カリー・ド・マルシェ(コウモリが変化)
「じゃじゃ~ん。華麗なる貴族、カリー・ド・マルシェ登場! カレーなだけに華麗、なんちゃって」
シェイエス
「コウモリが角刈りの怪人に変化した!? ひいい、怖い!」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「あんた、何しに来たの? 引き続きヴェルサイユに潜入しておくって話だったわよね?」
立香
「コウモリに変化できるんだ。まるで吸血鬼だね」
マシュ
「先輩。カリーさんは吸血鬼ですよ」
カリー・ド・マルシェ
「つれないわね、もう。ビッグニュースをつかんだから、コウモリに化けて急いで飛んできたっていうのに」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「で、そのビッグニュースって何?」
カリー・ド・マルシェ
「まず1つ目が、政府が新しい血税をパリ市民に課したわ。それも国王ではなくマリー王妃の名でね」
カペー店長
「!! 王妃の命令でだと?」
ジェネット
「それは、パリ市民も激昂するだろう。市民に蜂起を呼びかけるチャンスです」
カリー・ド・マルシェ
「もう一つ、ニュースがあるわ。
公寵姫ローズが、逮捕されたわ」
マシュ
「えっ!?」
クウニー
「──なん、だと!?」
カリー・ド・マルシェ
「表向きは王妃暗殺を企て、王妃の座を狙ったというものだから、裁判になったら間違いなく死刑ね」
クウニー
「馬鹿な! あの女は浪費家で無節操だが、分別はわきまえている。王妃の座を狙うなど、ありえない!」
ジェネット
「ちっ、新たな税に対する民衆へのガス抜き、というわけですか」
シェイエス
「市民の羨望と憎悪を一心に受けていた公寵姫を処刑して、鎮静化を計る。マリー王妃、流石に老獪な政治手腕だな」
カペー店長
「そんな・・・信じられん・・・
王妃が、彼女の名でそんな命令を・・・」
ミシェル
「そうか? 王妃が公寵姫を切り捨てること自体は、よくある話だと思うが?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「いいえ、言われてみれば確かにあの女らしくないわね」
マシュ
「はい。私もそう思います。マリーさんとは思えません」
クウニー
「どういうことだ? 王妃をよく知っているみたいな口ぶりだな」
マシュ
「知っているというか、なんというか・・・」
<ダヴィンチちゃん>
『マリー王妃の人格の一面を知っているからね。彼女は確かに自由奔放な性格だったけど、愛情も憎悪も正面から受け止める人物だった。その結果、市民の怒りを一身に受けてしまったけど』
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「少なくとも、憎悪を誰かに転嫁することはしないわね。たとえどんな形で現界していても、そこは変わらないはずよ」
マシュ
「はい、断言できます」
カペー店長
「・・・・・・」
ジェネット
「どちらにせよ、新たな血税による市民の不満を逸らされるのはまずい。我々としてはなんとかして阻止したいが・・・」
シェイエス
「しかし、我々がローズ公寵姫を救出すれば、市民の不満は我々に向けられる恐れがある。〝なぜ市民の味方のはずの第三身分同盟が贅沢三昧の公寵姫を救出するのだ?!〟となるからね」
カペー店長
「すまない。カルデアの君たちに個人的な頼みがある。
公寵姫ローズを、救い出してほしい」
クウニー
「!? カペー、店長?」
カペー
「彼女が冤罪なのは間違いない。何とかして救い出すべきだ。この通りだ」
クウニー
「お、俺からも頼む。ローズを、あいつを助けてやってくれ!」
シェイエス
「確かに第三市民同盟ではなく、カルデアの君たちなら、万が一関与がバレても市民の支持を失わずに済むが」
ジェネット
「加えて、ローズは公寵姫としてヴェルサイユの中枢にいた人物です。何らかの情報を聞き出せるかもしれません」
マシュ
「先輩、どうしましょう?」
立香
「助けよう」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・まあそういうと思っていたわ。で、具体的にはどうするの?」
クウニー
「作戦は俺に立てさせてくれ。そういうのは得意だ。
ミシェル、樽を一つ用意してくれ。あと樽いっぱいの火薬もだ」
ミシェル
「了解!」
クウニー
「決行は翌朝早朝、馬車でローズがヴェルサイユからパリの牢獄に移送されるところを狙う。場所は、パリのサン・二ケーズ通りだ」