Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン   作:華原晋

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理想の血塗られた右腕

【テンプル塔最上階】

 

拷問官A

「次、火炎魔術による焼却処刑開始」

 

ロベスピエール

「・・・全ての人間は、法の下に平等であるべきだ。第二身分が市民を殺しても免責されるなど、あってはならぬことだ。それはキリスト教の教義にも、理性の光にも反することだ」

 

拷問官B

「火炎魔導による処刑執行

 ───効果認められず」

 

ロベスピエール

「貧しい市民から税を搾り取り、豊かな貴族たちは非課税の特権を有する、貧しい子供が飢え、貴族が食べきれないほどの富を有している。誰が見ても間違っていることは明白だ」

 

拷問官A

「次、電撃魔導による処刑執行」

 

ロベスピエール

「度量衡は統一されなければならない。国内で尺度の単位が異なるなど、悪徳商人が利するだけだ。地球の大きさを基準とした〝メートル法〟を導入して国内の単位を統一すれば、いずれ世界中の市民がこの単位を使用する様になり、発祥国である祖国フランスの利益は計り知れない」

 

拷問官B

「───ダメです。効果、ありません」

 

拷問官A

「次、斬撃魔導による処刑執行」

 

ロベスピエール

「〝気球〟と呼ばれる機械がある。空気より軽いヘリウムを利用して、船を空に浮かせるのだ。これを軍事的に転用すれば、空から敵の陣容を偵察することができる。世界初の航空部隊というわけだ」

 

拷問官B

「───空飛ぶ船? そんなことが可能なのか?」

 

拷問官A

「貴様、それを使って征服戦争でもするつもりか?」

 

ロベスピエール

「私は侵略戦争を肯定しない。無用な戦争は、市民の負担となるからだ。だが市民による正当な政府が、外敵からの侵略を受けたならば、あらゆる手段をもってしてそれを撃退しよう」

 

拷問官A

「ふん、まがい事を! 次、重力魔導による圧殺処刑!」

 

ロベスピエール

「教会への十分の一税は廃止されなければならない。聖職者が、信仰を口実に貧しい市民から過酷な税を取り立てるなど、言語道断で許されざる所業だ」

 

拷問官B

「・・・教会への税が不要だというのか? 信仰を否定するのか?」

 

ロベスピエール

「私は信仰は否定しない。だがそれは、個人の内なる内面に秘されるものだ。教会の寄付も奉仕も自由に認められるべきだが、強制される税は違う」

 

拷問官A

「そいつの言葉に耳を傾けるな! 次、冷却魔導による凍結処刑!」

 

拷問官B

「・・・はい」

 

ロベスピエール

「市民の税負担が軽くなれば、彼らに教育を受けさせることができる。そして国家は学校を設立し、国民に等しく教育を受けさせるべきだ」

 

拷問官B

「教育? 俺達の子供は教育を受けられるのか?!」

 

ロベスピエール

「貴族や聖職者達の財産に課税すれば、そのくらいの資金を集めるのは造作もないことだ。教育を受けた若者達は、自由に職業を選択し、この国の経済や文化を更に発展させるだろう」

 

拷問官A

「黙れ! 反逆者が、黙れと言っているのが、聞こえないのか!!」

 

ロベスピエール

「ぐふっ!!!」

 

拷問官B

「先輩、この男はあくまで〝魔導〟で殺すようにとの命令です。手を出してはいけません!」

 

拷問官A

「はあはあ・・・わかっている。

 ふん、さっさと処刑すればいいものを、〝魔導〟に耐性を持つこの男を、わざわざ魔導で処刑しろなどと、面倒な命令なもんだ」

 

ロベスピエール

「・・・君はなぜ王妃がそのような命令を発したか、考えたことがあるかね?」

 

拷問官A

「なんだと?」

 

ロベスピエール

「〝魔導〟、第二身分と呼ばれる人々のみが使える神秘の力。それが何なのか、そしてなぜ私には効果がないのか? そしてなぜ王妃は魔導で私を屈服させたがっているか、疑問に思ったことはないかね?」

 

拷問官A

「黙れ黙れ黙れ黙れ!!!! 革命家気取りのテロリストが! 魔導によるものであれ、この俺の拳によるものであれ、お前の死刑は決定事項なのだ」

 

ロベスピエール

「ゴホゴホっ・・・ならばその手で今すぐ私を絞め殺すがよい」

 

拷問官A

「何?!」

 

ロベスピエール

「それは私の、そして市民の勝利でもある。なぜなら〝魔導〟なるものの権威が、幻想に過ぎないことを君たち自身が認めたという事になるのだからだ」

 

拷問官A

「どちらにしろ貴様は死刑だ、死刑なのだ!」

 

ロベスピエール

「ちなみに私故人としては死刑制度には反対の立場だ。死刑は国家による殺人だからね。

だが、市民のために必要ならいくらでも残酷となろう。

────なぜなら〝恐怖なき美徳〟は無力だからだ」

 

拷問官A

「ぐっ・・・」

 

拷問官B

(鉄の信念。そして獄中にあって、なんという恐しい目をする男。これが〝理想の血塗られた右腕〟と呼ばれた男、マクシミリアン・ロベスピエールか・・・)

 

拷問官A

「な、なら俺がこの場で殺してやる。なあに、上には〝魔導〟で処刑したと報告すればいいだけの話だ」

 

???

「───そのようなこと、わたくしは命じてはおりません」

 

拷問官B

「!?」

 

拷問官A

「え! あなた様がなぜここに?」

 

???

「貴方たちはその男を残してさがりなさい。フーシェの報告によると、じきにここに客人が来るとの事ですから、わたくし自らがもてなすといたしましょう」

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