Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【テンプル塔近く】
マシュ
「見回りの衛兵は去りました。確かにただの教会の警備としては、厳重すぎます」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「にしても堅牢な作りね。本当に教会?」
ジェネット
「無駄話は止めてください。
カペー店長、鍵はまだ開きませんか?」
カペー店長
「問題ないよ。このタイプの鍵なら開けられる・・・
──開いたぞ」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「鍵屋って本当に便利ね、いい泥棒になれそう」
ジェネット
「よし、急いで塔の中に入るぞ!」
【テンプル塔内部】
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「ずいぶんと古臭い建物ね」
マシュ
「手入れはされているみたいですが、建物自体は随分と昔に建てられたもののようですね」
カペー店長
「そうだろうね。何せブルボン王家の歴史より古い、700年も前に建造されたものだからね」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「私の時代より前じゃない、驚いたわね」
カペー店長
「この塔を建造した者達の名は〝テンプル騎士団〟。十字軍の遠征で名を上げ、国王を圧倒する富と、法皇を凌駕する情報網によってヨーロッパに君臨した者達だ」
カペー店長
「だが〝おごれるものも久しからず〟というのかな、その力を警戒した時のフランス王が教会と協力し、彼らを異端尋問にかけたうえで財産を没収したのだ」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「私の時と同じじゃない! まったく王様って連中は!」
カペー店長
「・・・そうだね。そういう意味で、ここに〝収監〟されるというのは、運命的なものを感じる」
マシュ
(カペー店長、なんだか、ずいぶんと悲しそうな眼をされています)
<ダヴィンチちゃん>
『しかしこの内装、ある種の魔術的な技術を念頭に建造されているね』
カペー店長
「ありえる話だ。テンプル騎士団達は、古来より続く〝魔術〟を秘匿してきた人々であるとされている。そして彼らの空前の繁栄の源となったのは、十字軍遠征でエルサレムのソロモン神殿より発掘した〝聖なる杯〟だと言われているからね」
マシュ
「聖杯!?」
立香
「聖杯が、かつてこの塔にあったの!?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「ちょっと待ちなさいよ。その〝聖杯〟はいまどこにあるのよ?」
カペー店長
「国王との裏取引で聖堂教会の第八秘蹟会が回収したとも、魔術協会との抗争で破壊されたとも言われているが、何しろ古い話だからね、真相のほどはわからないよ。
王族に伝えられているのは、テンプル騎士団から没収した財産が、フランス絶対王権の礎となったという事実だけだ」
<ダヴィンチちゃん>
「かつて何らかの〝聖杯〟がここにあったのなら、この時代のここに〝聖杯〟が現界した可能性は高いね」
ジェネット
「無駄話はやめてください、急げ!」
カペー店長
「そうだね、先を急ごう」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・ねえ立香、あのカペー店長って何者? ただの鍵屋にしては、おかしくない?」
マシュ
「確かに。王宮の晩餐会に出席する貴族と知り合いだったりしますし」
<ダヴィンチちゃん>
『魔術協会や聖堂教会の存在を知っているとは、その知識も教養も、只者じゃないね・・・鍵職人としての技術は一流だが』
ジェネット
「無駄話はやめてください
最上階だ。ドアを開けると同時に、一斉に侵入します!」