Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【タンプル塔最上階】
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「薄暗くて不衛生な部屋ね。こんなところに人間なんているの?」
マシュ
「待ってください、そこに誰か繋がれています!」
ジェネット
「ロ、ロベスピエール!」
ロベスピエール
「やあ、久しぶりだね、我が同志よ・・・その姿もなかなか似合っているよ」
ジェネット
「酷い怪我だ。それにこんなに痩せこけて・・・」
ロベスピエール
「落ち着き給え、我が同志。この傷は一つとして〝魔導〟によるものではない。それに栄養状態がよくないのは、パリの市民達と同じだからね」
???
「そう。この男の精神は最後まで、〝魔導〟の権威を受け付けなかった」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「貴女は!?」
その場に立っていたのは、その場の誰もが思わず息をのむほどの、この上なく美しい女性だった。
薄暗く陰湿な塔の中にあって、黄金の様に輝くような金髪と、陶器のように透き通るような白い肌
清楚だが地味に堕ちず───
華麗だが派手に至らず───
完璧な調和の取れたドレスと髪飾りは、この女性本来の美しさを、よりいっそう引き立てていた
だが単に美しいだけでない。その空気は、水が張り付くような峻厳さも併せ持っていた。
マシュ
「まさか───王妃マリー・アントワネット!?」
王妃マリー・アントワネット?
「予定時刻ピッタリにここに現れるとは、さすがはフーシェ警察大臣、といったところかしら」
立香
「本物の、マリー?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「・・・いいえ、違うわ。貴女はマリー・アントワネットじゃない。貴女の威厳は、王妃というより女王のもの」
マシュ
「はい、外見はとても良く似ていますが、やはり違います」
王妃マリー・アントワネット?
「ほう、あの愚かな娘の事を知っているとでもいうの?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「そうよ。実物を見て確信したわ。貴女はマリーじゃない。何者?」
ロベスピエール
「それを見破るとは、君達も只者ではないね」
ジェネット
「ロベスピエール、どういうことだ? この王妃は偽物だというのか? 偽の王族という事か?」
ロベスピエール
「その問いは半分は正解で、半分は不正解だ。
マリーはマリーでも、マリー・テレジーン。ドイツ語ではマリア・テレジア。ハプスブルク家当主にしてオーストリア帝国皇帝だ」
マシュ
「マリア・テレジア!?」
<ダヴィンチちゃん>
『本名マリア・テレジア・フォン・エスターライヒ。オーストリア帝国全盛期の皇帝にして、唯一の女帝。そしてマリー・アントワネットの実母でもある』
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「マリーの母親・・・どうりで似ているわけね」
マリア・テレジア
「なるほど、フーシェの言う通り、〝カルデア〟の貴方たちは魔術にも秀でているようですね。
───ならば、真の神秘の深淵さもまた、理解できるはず」
マシュ
「マリア・テレジアの魔力、上昇していきます!」
<ダヴィンチちゃん>
『何だこの濃密な魔力は!? 観測器が異常値を出しているぞ!?』
<ダヴィンチちゃん>
『観測不能、EX領域の魔力!? おかしい、あらゆる魔術系統に類似しているが、適合するものは無い。
まさに魔術の領域外にある〝神秘〟? 信じられない、これは、まさか───』
マリア・テレジアの元に集約される、おぞましいほど濃密な魔力。
全員が息をのみ、ただただその驚異に目を見開く
気づくべきだったのか? いや、認めるべきだったと言うのか?
第三身分たる市民が一般人、
第二身分たる貴族が魔導士なら、
第一身分たる王族である彼女は───
───〝魔法使い〟───
であると言うことを