Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【翌朝 コンコルド広場】
マシュ(市民に変装中)
(ここがコンコルド広場)
<ダヴィンチちゃん>
(史実でも、多くの王族や革命家達が処刑された場所だね)
市民A
「今日処刑されるのは国王を名乗る偽物だってよ」
市民B
「とんでもない奴だな」
市民C
「王様の名を騙り、贅沢してたんだろうな」
市民
「どうせ大した奴じゃないさ」
市民D
「パンが値上がりしたのも、きっとそいつのせいだ! さっさと殺せ」
マシュ(市民に変装中)
「──くっ」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「みんな好き勝手いっちゃってるわね」
マシュ
「・・・はい」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)変装中
「フン、あの男に何の罪があるってのよ。それにこの民衆の熱気、いったい何なのよ!」
ギロチンマニアの市民
「お嬢ちゃんはこういう場所は初めてみたいだな。なら教えてやるよ。
ギロチンの前に、その人間の真価がわかるのさ。立派に振舞っている人間が、命乞いしたり、勇敢に振舞っている男が、小便もらしたり、逆に気弱そうな乙女が堂々と処刑されたりな」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「聞いてないわよ、だまってなさい! 今度私に処刑のレクチャーをしたら、ぶっ倒すから」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「民衆って本当に馬鹿じゃないの? 権威に屈し、自分では何も考えず、貴族が行う処刑を楽しむなんて、本当に救いようがないわ」
<ダヴィンチちゃん>
(我慢して、みんな。ルイを助け出すまでの辛抱だ。
ん? 来たみたいだぞ)
市民E
「出てきやがった!」
市民F
「ひゃほー! さっさと殺せ!」
市民G
「犯罪者に死を!」
ルイ16世
「・・・・・・」
市民
「なんかしゃべれー!」
市民
「目を開けろ! 寝てんじゃねーか?」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「もう我慢できないわ。行くわよ!」
マシュ
「はい!」
<ダヴィンチちゃん>
『ちょっと待って、様子が変だ!』
市民
「目を開けろ偽物!」
市民
「そうだ、偽王! 目を開けて、なんかしゃべれ!」
群衆の間から湧き起る無数のヤジ。
それに答えるかのように、ルイ16世はゆっくりと眼を開き、
──その一瞬だけ、まるで時が止まったかのような静寂が訪れた──
堂々たる体格と、威風溢れる立ち振る舞い、
そして凛善と輝く澄み切った瞳は、その場の誰もが予想だにしていない、王者の風格を兼ね揃えたものだった。
ルイ16世
「私は──」
ルイ16世
「私は罪無くして死ぬ」
民衆
「・・・・・・」
ルイ16世
「だが、例えそうなったとしても、私は誰も恨まない。私の血をもって、諸君らの血が流れぬように、私は祈りを捧げる」
ルイ16世
「それが、国王たる私の使命だからだ」
民衆
「ザワザワ」
民衆
「こ、これは?」
民衆
「まさか、本物の国王陛下?」
民衆
「そんなバカな?」
民衆
「・・・俺は昔、国王のお姿を拝謁したことがあるが、そっくりだ」
民衆
「国王のパリ視察の時の話か? それなら俺も知っている。アンリ4世以来の国王の市民視察だと、話題になったものだ」
市民
「俺も軍港の視察に来られた時に、お姿を拝見したぞ。水夫の境遇について、質問された」
市民
「俺はヴェルサイユ宮殿でジャガイモ畑の手入れを命令されたぞ。あと芋もくれた。あの芋のおかげで、家族は冬を越せたんだ」
市民
「本当か? ジャガイモとか家畜の食い物だろう?」
市民
「いや、国王もジャガイモを食されているらしいぞ」
民衆
「あの王は本物じゃないのか?」
民衆
「馬鹿な、王妃が本物の国王を処刑するわけないだろう?」
民衆
「だが俺達第三身分には確認のしようがないぞ」
民衆
「しかし、あんな立派な人が、国王以外にいるか?」
ロベスピエール
「──彼が本物であることは、私が保証しよう」
市民
「貴方はまさか!?」
市民
「ロベスピエール議員!?」