Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン   作:華原晋

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決戦前夜

【パリのとある酒場】

 

ミシェル

「おお、セント=ジェネット。どうしてあなたはサン=ジェストなの?」

 

クウニー

「飲みすぎだぞミシェル。せっかくパリ革命政府成立の打ち上げをしようと言っているのに」

 

ミシェル

「あんなに可愛い娘が、男。それも〝死の大天使〟サン=ジェストだなんて・・・

 うおおおおん!」

 

クウニー

「しかしジェネットは貴族の情報を収集するため、屋敷に頻繁に呼ばれていたみたいだが、どう対応していたのだろう?」

 

ミシェル

「しりたくもねーよ、そんなこと! ああ、我が愛しのジェネットは死んだ!」

 

クウニー

「愛した美少女が、美少年革命家だった。小説の題材としてはイマイチだな」

 

ミシェル

「あのオカマ野郎! 男なのに口紅なんかつけやがって!」

 

クウニー

「ご婦人が男装して革命に参加する例ならテロワーニュ女氏とか何名かいるが、逆は聞いたことが無いな」

 

ミシェル

「ん、男装の麗人!?」

 

クウニー

「どうした?」

 

ミシェル

「そうか、わかったぞ。

セント=ジェネットこそ真の姿で、サン=ジェストは男装の姿、つまりサン=ジェストは男装の麗人」

 

クウニー

「その発想はなかった」

 

ミシェル

「そうだ。そうに違いない。あんなにかわいい娘が、男なわけがない。

 うおおおおお! 燃・え・て・き・た!」

 

兵士達

「ここにおられましたか、ミシェルの旦那」

 

ミシェル

「おお、お前はバスチーユの時に俺の指揮下いた連中じゃないか、どうした?」

 

兵士達

「革命政府が兵士たちの選挙で将校を選出させているのはご存じでしょう?

 兵士たちの選挙でミシェルの旦那が騎兵旅団長に選出されました。階級も大佐です」

 

ミシェル

「まじで? 俺が将校? しかも騎兵旅団長?! ヒャッハー! もう樽屋は廃業だ!」

 

クウニー

「選挙で将校を選ぶとは、革命家達に軍才は無いな。

 とはいえミシェルが騎兵将校か、これはよい人事だ」

 

ミシェル

「やったぜ! おいお前ら、今日はオレのおごりだ。楽しんでいけ」

 

兵士

「ありがとうございます。ごちそうになります」

 

兵士

「さすがミシェル大佐!」

 

ミシェル

「がははは! 嫁さんはジェネットちゃんで決定だし、人生バラ色だ!」

 

クウニー

「単純で、幸せな奴だ。

ん、また誰か来たな」

 

急使

「ここにおられましたか、クウニー様にミシェル大佐。革命政府のサン=ジェスト様とシェイエス様がお呼びです」

 

クウニー

「俺をか?」

 

ミシェル

「おう、さっそくジェネットちゃんが俺をお呼びか!」

 

クウニー

「嫌な予感がするな・・・」

 

 

【臨時政府官邸執務室旧チュイルニー宮殿謁見の間】

 

臨時政府副首班サン=ジェスト

「よく来てくれた、クウニー、ミシェル大佐。それにカルデアの諸君」

 

クウニー

「まあ、来てやったぜ」

 

立香

「呼ばれたから来ました」

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「ヴェルサイユ攻略のための軍隊を編成するまで待機しろ、って言っていたけど、どうしたのよ?」

 

サン=ジェスト

「ヴェルサイユ攻略どころではない。急報が入った。

 ヴェルダン要塞を奪われた」

 

臨時政府首班シェイエス

「ひいいいい、ヴェルダン要塞を奪われただって?」

 

クウニー

「なんだと!? ヴェルダン要塞はパリ防衛の要。

あそこは革命政府が真っ先に抑えるべきだと進言したはずだが?」

 

サン=ジェスト

「ああ、確かに我々が押さえた。だが、瞬く間に陥落したのだ。

 大元帥ナポレオン率いる大陸軍によって」

 

クウニー

「!?」

 

シェイエス

「待ってくれ、大陸軍は遠くプロシアだろう? こんな短期間に戻ってこれるはずが・・・」

 

クウニー

「いや、大陸軍ならこの機動は可能だ。そうか、ヴェルダン要塞が落ちたか」

 

シェイエス

「ヴェルダン要塞からパリの間には要塞は無い。

終わりだ! 大陸軍にパリごと焼き払われ終わりだ!!」

 

クウニー

「──────」

 

クウニー

「───ヴァルミーだ」

 

サン=ジェスト

「ヴァルミー? パリ近郊のヴァルミー村の事か?」

 

クウニー

「ああ、あそこは小高い丘になっていて、周りは湿地帯だ。丘に砲兵を置いて、防衛線を引く。パリを守るにはそれしかない」

 

サン=ジェスト

「わかった、それで行こう。

 ミシェル大佐、至急騎兵を率い、ヴァルミー村を先に抑えるんだ。後続が来るまで村を維持してくれ」

 

ミシェル

「了解した、ジェネットちゃん! 終わったらデートしよう!」

 

サン=ジェスト

「・・・」

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「は? 男同士でデート? アイツ何言ってるのよ」

 

サン=ジェスト

「クウニー、君にも頼みがある」

 

クウニー

「なんだ?」

 

サン=ジェスト

「革命軍の参謀長を引き受けてほしい!」

 

クウニー

「なんだと!? 俺が、参謀長?」

 

サン=ジェスト

「バスチーユ襲撃の際の君の働きは見事だった。その才能を、役立ててはくれないだろうか?」

 

クウニー

「・・・・・・」

 

クウニー

「・・・悪いが他をあたってくれ。参謀は、柄じゃない」

 

サン=ジェスト

「では、騎兵指揮官はどうだ? ミシェルの上官、将軍職を約束しよう」

 

クウニー

「・・・俺は、乗馬が苦手だ。馬が、怖くてね」

 

サン=ジェスト

「そんな・・・」

 

クウニー

「すまんが他をあたってくれ」

 

サン=ジェスト

「くっ・・・」

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「私たちはどうするの? ヴェルサイユに攻め込むどころじゃなさそうだけど?」

 

サン=ジェスト

「君たちも、ヴァルミーに行ってほしい。あそこが決戦の地となる」

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「まあ、しかたないわね」

 

立香

「行こう、ヴァルミーに」

 

マシュ

「はい!」

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