Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン   作:華原晋

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クウニーとローズ

【臨時政府官邸廊下】

 

ローズ

「ちょっと待ってよクウニー」

 

クウニー

「ローズ、いたのか」

 

ローズ

「参謀長の椅子、どうして蹴ったの? また逃げるつもり?」

 

クウニー

「盗み聞きしていたのか」

 

ローズ

「質問に答えて、クウニー! 貴方には軍隊しかないはずよ? それとも三流の小説家で終わるつもり?」

 

クウニー

「ふん、新婚で俺を裏切った癖に、厳しいことをいうな。まだ女房気取りなのか?」

 

ローズ

「私は貴方を裏切ったわ。でも先に私を裏切ったのは貴方よ!」

 

クウニー

「遠征中に愛人をつくって遊んでいたのは君だろう? 裏切ったのは君だ」

 

ローズ

「いいえ、あなたよ。貴方は自分自身を、運命を裏切ったのよ。私はただの口実」

 

クウニー

「・・・・・・」

 

ローズ

「昔の貴方は尊大で傲慢で自信家で、風采の上がらない貧乏軍人のくせに目だけはギラギラひかってて、底知れぬ可能性を感じさせた男だったわ。

 私は貴方の可能性に賭けたの。私を〝女王以上の存在〟にしてくれる男と見込んでね」

 

クウニー

「昔、君が受けた占い師の予言か? 君を〝女王以上の存在〟にしてくれるというとかいう」

 

ローズ

「そうよ。貴方に賭けた私を、貴方は裏切った。死んだ目をしたただの負け犬になって、帰ってきたの」

 

クウニー

「・・・それで、今度は国王の公寵姫になったのか」

 

ローズ

「ええ、公寵姫は〝女王以上の存在〟だもの。もっともルイ16世は不在で、あたしはただのガス抜きのための人形だったけどね」

 

クウニー

「フン、野心家なことだ。だったら今度は大元帥ナポレオンとやらの愛人にでもなったらどうだ?」

 

ローズ

「バカ言わないで!

 あと言っとくけど、私も革命軍に志願したから」

 

クウニー

「なんだと?」

 

ローズ

「革命政府のお偉方に顔を売るチャンスだからね」

 

クウニー

「馬鹿な? ヴァルミーの戦いは負けるぞ!? あれは勝てない戦いだ」

 

ローズ

「軍に志願でもしないと元公寵姫である私が、パリで生きていく場所なんてないの」

 

クウニー

「・・・ならばローズ、俺と一緒に逃げよう! パリから逃げればなんとでもなる!」

 

ローズ

「嫌よ。負け犬の貴方との貧乏逃亡生活なんてまっぴらよ!」

 

クウニー

「くっ・・・」

 

ローズ

「可哀そうな人。負け犬の貴方は、いつまでもくすぶっているがいいわ

 さよなら、もう会うこともないでしょうけど」

 

クウニー

「・・・まて! 俺も軍に志願する」

 

ローズ

「クウニー!」

 

クウニー

「ただし、砲兵指揮官だ。その権限で、君を砲兵部隊に配属する。軍隊に所属するなら、上官の命令には従え!」

 

ローズ

「クウニー、貴方が参加するならきっと勝てるわ!」

 

クウニー

「フン、俺一人で〝奇蹟〟が起こるなら苦労はない。だがやれるだけの事はやってみよう」


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