Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン 作:華原晋
【パリ最終防衛線バルミー】
革命軍参謀
「味方正面、押されています。すでにヴァルミー丘の付近まで敵先方が襲来中」
サン=ジェスト
「司令部より歩兵一個連隊を増援に送る。持ちこたえるんだ」
革命軍参謀
「第二師団より急報、師団長が戦死したとの模様!」
シェイエス
「りょ、旅団長に継がせろ!」
革命軍参謀
「第7旅団長は旅団ごと包囲されつつあります!」
クウニー
「第三師団に送るはずだった一個連隊を第二師団にまわせ! 正面はおとりだ」
シェイエス
「し、しかし・・・」
クウニー
「第三師団長は優秀だ。独力で持ちこたえる。増援の代わりに砲兵支援をくれてやる」
シェイエス
「わ、わかった」
サン=ジェスト
「聞こえるか大陸軍の兵士達よ! 同胞に銃を向けるのをやめろ! 革命に参加するんだ!」
王陸軍兵士
「──────」
サン=ジェスト
「ダメだ、まるで効果がない」
シェイエス
「大陸軍の将兵は、ナポレオン個人に忠誠を誓っている。説得は不可能だ!」
クウニー
「・・・・・・」
ジャンヌ・ダルク(オルタ)
「あきらめないで、男でしょう!?」
サン=ジェスト
「敵の砲撃だ! 分散しろ、固まっていると砲撃の餌食だぞ!」
クウニー
「ダメだ。方陣を維持しろ! この砲撃は準備砲撃だ、すぐに敵騎兵が突撃してくるぞ! 砲撃は、こっちの砲撃で黙らせる!」
ミシェル
「敵騎兵は俺が迎撃する、騎兵部隊はオレに続け」
騎兵
「おおおおおお!!」
参謀
「右翼、崩壊寸前! 左翼も包囲されつつあります!」
サン=ジェスト
「さすが名将ナポレオン率いる大陸軍、悔しいが見事な指揮だ」
クウニー
「・・・確かに優れた指揮だ。だが、指揮官は誰だ?」
伝令
「敵騎兵撃退に成功、しかしミシェル大佐負傷!」
クウニー
「なんだと!」
クウニー
「───くっつ、シェイエス指令、撤退だ。もう戦線を維持できない」
シェイエス
「・・・・・・」
クウニー
「シェイエス司令! 我々の負けだ! 戦線が崩壊する前に、パリに撤退するんだ」
サン=ジェスト
「まだだ。まだ負けたわけではない」
シェイエス司令
「・・・そうだ。まだ、負けてない」
クウニー
「なんだと!?」
ローズ
「あきらめないで! 奇跡は、必ず起こるわ。それは私たちの手で呼び起こすもの」
クウニー
「ローズ!」
クウニー
「何を言っているんだ? この戦いに勝つのは不可能だ! 撤退するべきだ!」
サン=ジェスト
「革命を守れ! 共和国を守るんだ。諸君らの仲間と家族を、侵略者から守るんだ」
兵士
「国民万歳!」
兵士
「革命万歳! 祖国万歳!」
クウニー
「崩壊してもおかしくない戦況。なのになぜ誰も逃げ出さない?」
クウニー
「俺がおかしいのか? おかしいのはこいつらなのか?」
クウニー
「なんだこの空気は? なんだこの奇妙な時間は? 俺だけが時代から隔離されたような・・・
───いや、俺はこの瞬間を知っている!」
──英雄ってのは、行いによって生まれるものではない──
──そいつを待ち望んだ民衆によって生み出されるもんだ──
クウニー
「彼らが待ち望んでいるのは、奇蹟を起こすという〝英雄〟
不可能を可能にする男!?」
クウニー
「──今が、運命の刻!?」
クウニー
「再び訪れたのか、この俺に?」
クウニーの頬を、戦場の乾いた風が駆け抜けた。