Fate Grand Order 絶対魔導王政ブルボン   作:華原晋

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運命の皇子

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「こいつは驚いた・・・」

 

マシュ

「はい。てっきり宮殿で戦う準備をしていたと思っていましたが・・・」

 

<ダヴィンチちゃん>

『この豪奢な装い、整然とした宮中、データにある即位式と同じ装いだ。

 本当に国王の就任式を行うつもりみたいだ』

 

王大陸軍ナポレオン大元帥

「・・・・・・」

 

マシュ

「あれは・・・」

 

立香

「大元帥ナポレオン。いや、偽のナポレオン」

 

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「久しぶりだな、ダヴー」

 

ダヴー元帥 (偽ナポレオン大元帥)

「はい。お久しぶりです、皇帝」

 

<ダヴィンチちゃん>

『ルイ=二コラ・ダヴー。ナポレオンの忠臣にして、生涯無敗を誇った大陸軍最強の元帥、通称〝不敗のダヴー〟彼が偽ナポレオンの正体だったのか』

 

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「お前には聞きたいことがあるが、後にしてやる。

 王妃はどこにいる?」

 

ダヴー元帥

「ご案内します」

 

ダヴー元帥

「王妃殿下、招待客のご一行をお連れしました」

 

マリア・テレジア

「客人たちよ、よく来てくれました」

 

マリア・テレジア

「そして大元帥。仮初の君主とはいえ、今までよく私に忠誠を尽くしてくれました」

 

ダヴー元帥

「もったいないお言葉です。しかし、私は敗れました。敗戦の責任は、すべて私にあります」

 

マリア・テレジア

「いいえ、貴方は任務を全うしました。

 貴方のおかげで、戴冠式の準備が整ったのですから」

 

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「戴冠式ねえ、誰が王になろうとも、すでにこの国の主権は国民にある。無駄なことだ」

 

マリア・テレジア

「───共和国の皇帝にして、軍神マルスの眷属ナポレオン・ボナパルトよ。

 民衆が自らの意志で銃を持ち、国家の〝主権〟を、民衆が行使するようになれば、それがいかなる悲劇と殺戮をもたらすか、貴方なら理解できるはずです」

 

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「───否定はしない。それが、〝新しい時代〟だ」

 

マリア・テレジア

「幼子たる臣民達よ。あなた方が主権を得るにはまだ幼い。子供達が主権という武器を持てば、行く先は大いなる悲劇だけなのです」

 

マリア・テレジア

「貴方達に与えた主権を、絶対君主の名において回収します」

 

共和国皇帝ナポレオン・

ボナパルト

「オーストリア人であるアンタがこの国の国王に即位するのか? なら話は早い。主権が王であれ国民であれ、アンタはフランス国民にとってはただの侵略者にすぎないからな」

 

マリア・テレジア

「私ではありません。

 この国の国王にふさわしい人物は、〝彼〟ただ一人」

 

そうつぶやくと、自らの後ろ、玉座に腰かけていた金髪碧眼の幼子に王冠をかぶせ

恭しく敬礼した。

 

マリア・テレジア

「貴方こそ、この国の王、ルイ17世」

 

<ダヴィンチちゃん>

『ルイ17世・・・ルイ16世とマリー・アントワネットの息子、伝承ではルイ16世処刑後に幽閉されていたテンプル塔の中で、マリー・アントワネット達によって国王に就任したという悲劇の王子』

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「あの少年が?」

 

<ダヴィンチちゃん>

『両親が処刑された後、革命派によって徹底的に虐待され、獄中で病死したとされている。まさにフランス革命の暗部の象徴と言える少年』

 

マシュ

「くっ・・・」

 

マリア・テレジア

「魔導の権威は敗れ、偽りの大陸軍は梟雄ナポレオンに撃破されました

 結局は力を持った軍人が台頭する。あの忌むべき我が宿敵と同じ」

 

マリア・テレジア

「しかし、私たちのはこの宮殿宝具、ヴェルサイユ宮殿がある」

 

マリア・テレジア

「愛しい我が孫ルイよ。

無力な父に見捨てられ

 愚かな母が救えなくても

 ───貴方には、この祖母がいる」

 

マリア・テレジア

「ブルボンとハプスブルクの血を引く、最も高貴な王子よ

ヨーロッパに平和をもたらすはずだった運命の王子よ

今こそ、ヴィーナスの加護の元に太陽王の地位を継ぐのです」

 

<ダヴィンチちゃん>

『魔力増大! これは、歴代のブルボン王朝の霊基? それだけじゃない、ハプスブルク家の霊基も確認!』

 

マリア・テレジア

「来なさい軍神マルスの眷族達よ。

ハプスブルク家ヴィーナスの加護と、太陽王アポロンの威光を知りなさい!」

 

<ダヴィンチちゃん>

『ルイ17世の霊基解析───クラス〝アヴァンジャー〟』

 

ルイ17世

「──朕は、国家なり・・・」

 

少年は虚ろな瞳のまま、かつて絶対者として君臨した、太陽王の言葉を紡ぐ。

 

共和国皇帝ナポレオン・ボナパルト

「来るぞ! 全員戦闘準備」

 

ジャンヌ・ダルク(オルタ)

「これが最終決戦よ!


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