新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

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チャプター2『戦え! ゲキゾウくん!!』

チャプター2『戦え! ゲキゾウくん!!』

 

降魔『業火』登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すみれから、特命宣伝部長への就任と絡繰(からくり)宣伝人形『大帝国ゲキゾウ』こと『ゲキゾウくん』を託された誠十郎は………

 

早速宣伝を行うべく、帝劇の玄関前を訪れていた。

 

 

 

 

 

帝劇・玄関前………

 

「よし。じゃあ………宣伝の仕事、始めるか」

 

『しっかりやれよ、“宣伝部長”』

 

ゼロの言葉を聞きながら、誠十郎はゲキゾウくんの変身ボタンを押した。

 

「パオォォォーン!」

 

すると、誠十郎の姿は一瞬にしてゲキゾウくんに変わる。

 

余りの早変わりに、道行く人々は誰1人として誠十郎が変身した事に気付かなかった。

 

「ゲキゾウくんの参上だぁ!(よし、変身完了だ)」

 

『しかし、ホントにコレ如何なってんだ?』

 

神崎重工驚異のメカニズムであるゲキゾウくんに、ゼロは驚きっ放しである。

 

「皆~、大帝国劇場をよろしくだゾウ~!」

 

「おっ? 何だこりゃ?」

 

「わあ~! ゲキゾウくんだぁ!」

 

「はあ~、良く出来てるね~」

 

突然現れた着ぐるみに、人々は興味深げに足を止めて視線を向けている。

 

(よし、良いぞ。注目度は抜群だな)

 

注目を集めている事に満足そうにするゲキゾウくん(誠十郎)。

 

「………不審な声。若しかして、狼藉者?」

 

と其処へ、そんな台詞が聞こえたかと思うとゲキゾウくん(誠十郎)の前に、何の前触れも無く1人の少女が現れた!

 

「パオォォォーン!?(な、何だっ!?)」

 

困惑しながらも、ゲキゾウくんのキャラは壊さない誠十郎。

 

「ぱおんとか、変な声が聞こえた。もしかして、コレの声?」

 

其れは、黄色のフリルが施された派手なエプロンドレスに身を包んだ少女だった。

 

袖口が異様に大きく、手を覆い隠してしまっており、所謂“萌え袖”となっている。

 

「と言うか、コレは何? ゲキゾウくんの着ぐるみ人形?」

 

興味深そうにゲキゾウくんを観察して来る謎の少女。

 

(お客さんじゃ無い様だな。ひょっとすると………)

 

客では無い様子の少女の様子を見て、ゲキゾウくん(誠十郎)は“或る可能性”に思い至る。

 

「この『望月 あざみ』の目を盗んで着ぐるみを着るなんて、中々やる………」

 

ゲキゾウくん(誠十郎)を人差し指で指しながら、謎の少女………『望月 あざみ』はそう言う。

 

(『望月 あざみ』………そうか、この()が4人目の花組隊員か)

 

『オイオイ、こんな小さい子供まで戦場に駆り出すのか?』

 

推測が当たり、納得が行った様子になる誠十郎に対し、ゼロは明らかに“子供”なあざみが戦場に出る事に困惑を隠せない。

 

「………怪しい。お前、一体何者だ?」

 

とあざみは、ゲキゾウくんの正体を怪しみ出す。

 

「パ、パオォォォーン! ゲキゾウくんだゾウ!」

 

ゲキゾウくんになり切り、回避しようとする誠十郎だったが………

 

「………誤魔化す積り?」

 

そんなゲキゾウくんを、あざみはジト目で睨み付けると、その大きな袖口からクナイを出現させて突き付けた!

 

(いいっ!?)

 

『成程………相当“出来る”みてぇだな』

 

たじろぐ誠十郎に対し、余裕な様子のゼロ。

 

(ゼロ! 呑気に観察してないで、助けてくれっ!!)

 

『しょうが無えな。一寸変わ………』

 

と、そんなゼロに誠十郎が助けを求めた瞬間………

 

キシャアアアアアアッ!!

 

「「『!?』」」

 

空から奇怪な咆哮が聞こえて来て、見上げると………

 

グルルルルルッ………

 

1匹の降魔『業火』が、唸りを上げて浮遊していた。

 

「こ、降魔だぁっ!!」

 

「キャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!!」

 

その姿を見た人々が慌てて逃げ出す。

 

キシャアアアアアアッ!!

 

と、背を向けて逃げ出す人々を格好の獲物だと思ったのか、狙いを定めて一気に急降下してくる降魔『業火』

 

「! いけないっ!!」

 

其れを見たあざみは、近くの街灯に向かって跳躍!

 

街灯に足を掛けたかと思うと、思いっ切り蹴って三角飛びをし、降魔『業火』の側面を取る!

 

「ハッ!!」

 

そして腕を振ったかと思うと、多数のクナイを投擲した!!

 

キシャアアアアアアッ!?

 

身体の左半分にクナイが突き刺さり、降魔『業火』はバランスを崩して墜落。

 

地面に叩き付けられる。

 

「…………」

 

その次の瞬間、あざみは焙烙火矢の様な爆弾を投げ付けていた。

 

爆弾の爆発に包まれる降魔『業火』

 

「ニン」

 

その爆発を背に、着地を決めるあざみ。

 

(! 凄い! 何て動きだ!!)

 

あざみの人間離れした動きに感嘆する誠十郎。

 

と………

 

『代われ、誠十郎!』

 

(えっ!? ゼロ!?)

 

突如、ゼロが強引に誠十郎の身体の主導権を取った!

 

次の瞬間!!

 

キシャアアアアアアッ!!

 

爆発の中から、未だ生きていた降魔『業火』が飛び出す!!

 

「えっ!?」

 

仕留め切ったと思っていたあずみは、反応が遅れる!

 

キシャアアアアアアッ!!

 

そんなあずみに、大きな口を開けて襲い掛かろうとする降魔『業火』。

 

しかし!!

 

「オリャアアアアァァァァァーーーーーーッ!!」

 

(すんで)のところで、ゲキゾウくん(ゼロ)が降魔『業火』に飛び蹴りを入れた!

 

「!? ええっ!?」

 

まさかの光景に、思わず目が点になるあざみ。

 

「フンッ!!」

 

其れを気にも留めず、ゲキゾウくん(ゼロ)は降魔『業火』の首を脇で抱える様に捕まえる。

 

「ゲキゾウハリケーンッ!!」

 

そして、“ウルトラハリケーン”ならぬゲキゾウハリケーンで投げ飛ばす!

 

「セエエヤァッ!!」

 

空中で身動きが取れなくなった降魔『業火』に向かって、“大帝国劇場の時計台”をモチーフにした槍を、『ウルトラゼロランス』の様に投げ付ける!!

 

キシャアアアアアアッ!?

 

“ゲキゾウくんランス”に貫かれた降魔『業火』は、空中で爆発四散した。

 

「よっしゃあっ!」

 

「凄い………ゲキゾウくん………やっぱり只者じゃない………一体誰?」

 

降魔『業火』を蹴散らしたゲキゾウくん(ゼロ)に、あずみはやや戸惑いつつも再度尋ねる。

 

「………フフフ。大帝国劇場の宣伝役とは、“世を忍ぶ仮の姿”」

 

(ゼ、ゼロ………?)

 

何やらノリノリで始めたゼロに、誠十郎は戸惑うしかない。

 

「しかして、その実体は!………地球の平和を守る為! 遠い銀河の彼方からやって来た、ゲキゾウマンだゾウ!!」

 

ポーズを決めながらあざみにそう言い放つゲキゾウくん(ゼロ)。

 

「ゲキゾウマン………?」

 

(何だソレは!? そんなので納得………)

 

ゼロの、恐らく“自分の事”をモチーフにしただろう設定を聞いて、誠十郎が呆れた様子を見せたが………

 

「凄い! ゲキゾウくんは宇宙人だったんだ!!」

 

あざみは、目を輝かせてゲキゾウくんを見遣る。

 

(って、信じてるし!?)

 

「へへへ、皆には内緒だぜ。ゲキゾウマンとの約束だゾウ!」

 

「うん!」

 

唖然となる誠十郎を尻目に、ゲキゾウくん(ゼロ)はちゃっかりとあざみに“釘を刺す”事に成功する。

 

「では、さらばだゾウ!!」

 

「ありがとう、ゲキゾウくん!」

 

「ありがとう~!」

 

「カッコ良かったよ~!」

 

ゲキゾウくん(ゼロ)が走り去ると、あざみを始め、子供達が手を振って見送る。

 

その後、大帝国劇場を訪れる客は増加したが………

 

その中に、花組では無く“ゲキゾウくん目当て”で訪れる人が多数居て、帝劇の一同が困惑する事になるのはまた別の話である………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇内・玄関ホールの物陰………

 

「ふう………バレずに済んだか」

 

念の為、物陰でゲキゾウくんの変身を解いた誠十郎が、やれやれと言った具合に呟く。

 

『中々面白かったなぁ』

 

「“面白かった”じゃない。あざみくんに宇宙人だなんて言い出した時は、如何なるかと思ったぞ」

 

『ワリィ、ワリィ。ついな』

 

「ったく………だけど、あざみくんか………何だか色々と()()子だったな」

 

まるで、忍者の様な振る舞いをしていたあざみの事を思い出し、誠十郎はそんな感想を抱くのだった。

 

「あ、神山さん。此方でしたか」

 

と其処へ、カオルが姿を見せた。

 

「あ、カオルさん。何ですか?」

 

「イデさんからの伝言で、“格納庫に来て欲しい”との事です」

 

誠十郎が尋ねると、カオルはイデから預かった言伝を伝える。

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

「確かにお伝えしました。では、私は仕事が有りますので」

 

伝言を伝え終えると、カオルは仕事へと戻って行く。

 

「イデさんが………何だろうな?」

 

『さあな。ま、行ってみりゃ分かるだろう』

 

「そうだな………」

 

ゼロとそう言い合うと、誠十郎は格納庫へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇地下・格納庫………

 

エレベーターを使って格納庫へ着くと、前回受領した誠十郎の無限の他に、さくら達にも受領され、ズラリと並んだ無限を見ている令士の姿が飛び込んで来る。

 

「よう。ちゃんと仕事してるか?」

 

「ブラブラしてるヤツが言う台詞か。何の用だ?」

 

その令士に声を掛けると、逆にそう問われる誠十郎。

 

「いや、イデさんから呼ばれたんだけどな。(ついで)に機体の整備状況も聞いておきたいんだが………」

 

「そっちは心配無用だ。無限と一緒に、予備パーツと資材もたんまり送られて来たからな。もう、“整備不足で碌に動けない”なんて事は先ず無いぜ」

 

誠十郎がそう言うと、令士は心配は要らないと返す。

 

「そうか。じゃあ、お前は今暇なのか?」

 

「まあ、そうだな。既に今日の作業は終わってるしな」

 

「良し。じゃあ、舞台装置を先に見てくれ。古い設備のままじゃ、公演も思う様に出来ないからな」

 

「はいはい、分かったよ。片付けだけ終わらせたら、舞台に取り掛かる」

 

「頼むぞ。其れで、イデさんは………」

 

「やあ、神山くん。待ってたよ」

 

と其処で、奥の無限が並んでいた場所から、イデが姿を現す。

 

「イデさん」

 

「一寸コッチまで来てくれるかな? 司馬くんは、早く舞台の方を見てあげなさい」

 

「分かりました、先生」

 

イデに促され、令士は片付けを始める。

 

そして、誠十郎はイデに連れられて、無限が並んでいる場所へと移動する。

 

(あのガラガラだった格納庫が狭く感じる様になるとはな………)

 

並ぶ無限を見て、誠十郎は感慨深そうにする。

 

と、やがてイデは“誠十郎の無限”の前で立ち止まった。

 

「実は、君の無限に()()()()()を取り付けておいたんだ」

 

「えっ? 俺の無限にですか?」

 

「うん。きっと()()()()()だろうからね」

 

自分の無限に()()“特別な装置”が取り付けられたと言う事に、誠十郎は怪訝な顔をするが、イデは人の好さそうな笑みを浮かべて誠十郎の無限のハッチを開ける。

 

「コンソールの下に新しいスイッチが有るのが分かるかい?」

 

「コレですか?」

 

イデがそう言ったのを聞いて、誠十郎がコックピットを覗き込むと、確かに前回乗った時には無かったスイッチが有るのを認める。

 

「入れてごらん」

 

「ハイ」

 

促されるままに、そのスイッチを入れる誠十郎。

 

すると、“乗り込んでもいない”のに無限が起動した。

 

「! コ、コレはっ!?」

 

「『自動操縦装置』さ」

 

「『自動操縦装置』!? つまり、“無人で無限を動かせる”って事ですか!?」

 

「そう言う事」

 

驚く誠十郎に、イデはあっけらかんとそう言って見せる。

 

降魔側は、嘗ては『脇侍』と呼ばれた物を初めとして現在の傀儡機兵の様に無人機を多用しているが、人類側は人が乗り込む霊子甲冑や霊子戦闘機を主力としている。

 

嘗て亜米利加のダグラス・スチュワート社が、対降魔用・無人自動操縦型霊子甲冑『ヤフキエル』なるモノを開発したが、その正体は“降魔そのもの”であった。

 

そう言った経緯や技術的困難さも有り、無人の霊子兵器は今だに開発されていない。

 

だがイデは、事も無げに其れをやってのけたのだ。

 

「其れから『遠隔操縦装置』も付けてある。自動操縦装置がダメな時には、“帝劇からコントロールする”事も出来る。まあ流石に、どっちの場合も戦闘は無理だけどね」

 

「何でこんな装置を?」

 

「“()には必要だろう”………『ウルトラマンくん』」

 

「!?」

 

『ほう………』

 

突如イデからそう言われ、誠十郎は驚愕するが、ゼロは感心した様に呟く。

 

「な、何を………!?」

 

「隠さなくて良いよ。すみれさんから“事情”は聞いているんだよ。この装置は()()()()()取り付けたのさ」

 

誤魔化そうとした誠十郎だったが、其れを遮ってイデはそう言葉を続けた。

 

「コレで、君が“ウルトラマンとして”戦わなければならなくなった時、“神山くんが()()になる”という状況を誤魔化せるだろう」

 

「………イデさんは、ウルトラマンを………ゼロの事を信じてくれているんですか?」

 

イデを見据え、そう問い掛ける誠十郎。

 

「ああ、信じているよ。何と言うか………“初めて逢った”気がしないんだ。まるで“ずっと昔から知っていた”様な感じがしてね」

 

まるで、“懐かしい友人に久しぶりに逢った”かの様に語るイデ。

 

誠十郎には、イデの姿が一瞬………

 

『オレンジ色で流星のマークをあしらった制服』の姿になった様に見えた。

 

「さて。当然だけど、この装置の存在は皆には内緒だ。司馬くんを初めとした整備班の皆には、“僕の新発明のテスト”だと説明してあるから」

 

「イデさん………ありがとうございます」

 

其処で誠十郎は、イデに向かって深々と頭を下げる。

 

「ハハハ、気にしなくて良いよ。その代わり、“帝都と地球の平和”は任せたよ」

 

「ハイ!」

 

相変わらず人の好さそうな笑みを浮かべるイデに、誠十郎は勇ましく返事を返すのだった。

 

その後も2、3話をすると、誠十郎は格納庫を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、誠十郎は帝劇内の見回りを行い………

 

演技の練習をするのに音楽室を使わせて欲しい、と言うアナスタシアの陳情を聞き………

 

中庭に居た初穂と、コレからの対降魔部隊としての花組の躍進を誓い合った後、1階ロビーで迷子の世話をし………

 

アナスタシア加入記念に新商品を考えるこまちに、紅白饅頭を推したり………

 

楽屋に在った“花組13ヵ条”を見ていたら、稽古の汗を拭きに来たさくらと鉢合わせしそうになったり(ゼロが慌ててウルティメイトイージスを装着させてテレポートさせ、事無きを得た)した。

 

その後部屋へと戻ると、溜まっていた仕事を片付け始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

早速ゲキゾウくんでの宣伝活動を始める誠十郎とゼロ。
そんな中で、最後の花組隊員『望月あざみ』と出会います。
ゲキゾウくんを怪しむあざみでしたが、そこへ降魔が出現。
あざみが撃退したかに思えましたが、トドメを刺し損なってしまった為、ピンチに………
しかしそこで、ボン太くんもといゲキゾウくん(ゼロ)が活躍!
見事に降魔を撃破します。

早速ボン太くんみたいな事をやってくれました。
最後のメンバーであるあざみとも会合。
今回は顔見世ですので、ちゃんとした挨拶は次回になります。


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