チャプター11『勝利のポーズ、決め!』
ミカサ記念公園………
「あ! ゼロさんです!!」
ミカサや華撃団艦隊を着水させ、ミカサ記念公園に集まっていた華撃団メンバーの中で、月面から帰って来たスピリットゼロの姿を認めたクラリスが声を挙げる。
「ゼロ!」
「流石だね、ゼロ」
『また助けられたな』
変身を解除したリク、ミライ、エクスデバイザーのエックスもそう声を挙げる。
「フッ!」
ミカサ記念公園の上空に来ると、その場に浮かぶスピリットゼロ。
「ゼロ!」
「おう、初穂。片付いたぜ」
「お疲れ様………」
「漸く終わったのね………」
初穂が声を掛け、スピリットゼロがそう返すと、あざみとアナスタシアも感慨深そうに呟く。
「親父達は?」
「他のウルトラマンさん達と一緒にもう帰られました。光の国をそう長くは留守に出来ないって」
ウルトラセブン達の姿が見えなかったのでスピリットゼロが尋ねると、クラリスが答える。
「何だよ、折角来たってに………」
『ゼロさん、お父さんとゆっくり出来なくて寂しいんですか?』
「! バッ! 違うっての!!」
『ハハハ、何だかんだ言ってたが、やっぱり親父さんの事、尊敬してるんだな』
「誠十郎! お前まで!!」
「「「「「「「「「「ハハハハハハッ!!」」」」」」」」」」
天宮 さくらと誠十郎にからかわれるゼロを見て、華撃団メンバーは笑い声を挙げる。
と、そこで………
スピリットゼロの身体が光を放ち始める。
「!? うおっ!?」
『『!?』』
ゼロに誠十郎と天宮 さくらが驚いていると、その姿が通常のゼロの状態に戻り、無限と試製桜武に乗った誠十郎と天宮 さくらが地面に着地し、ティガがゼロの隣に浮遊した状態となった。
「戻ったのか?」
「そうみたいです………」
無限と試製桜武から降りた誠十郎と天宮 さくらが、浮かんでいるゼロとティガを見上げながらそう言い合う。
「………お前は一体?」
ゼロが未だ正体が不明のティガに問い掛けた瞬間、今度はティガの身体が光を放ち始め、小さくなり、誠十郎達が居る地上へと降りて行く。
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
華撃団メンバーが驚いている中、光の中から現れたのは………
「さくら………大きくなったわね」
『天宮 ひなた』だった!!
「!? お母さん!?」
「!!」
驚愕する天宮 さくらの前に、誠十郎が庇う様に躍り出る。
アゴナが見せた幻影の事があり、また偽者だと考えたのだ。
「ひ、ひなたっ!!」
とそこへ、左腕を三角巾で首から吊っている鉄幹が現れる。
「! お父さん!」
「あなた………」
天宮 さくらが驚いていると、ひなたは鉄幹の前に歩み寄る。
「ひなた………」
ひなたに向かって、無事な右腕を伸ばす鉄幹。
「…………」
ひなたはニッコリと微笑んで佇んでいた………
………かと思いきや!
眼前まで来た鉄幹の右手を音も無くキャッチ!
「へっ?………」
そして鉄幹が間抜けた声を挙げた瞬間………
綺麗な『アームロック』が決まっていた!!
「!? があああああああっ!?」
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」
鉄幹の悲鳴が響き、突然アームロックを決めたひなたに驚きを示す華撃団メンバー。
「あなた………私はさくらの未来を守る為に帝剣を作るを認めたのよ………なのに、如何してそのさくらを新しい帝剣にしようなんてしたの?」
「!? ど、如何してそれを!?」
「全部見てたからよ! 『帝剣の中』から!!」
笑顔は消え、般若の様な形相でアームロックを更に締め上げるひなた。
「グアアアアアアァァァァァァァッ!? お、折れるううううううぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーっ!?」
「人間には215本も骨が有るのよ。1本くらい大丈夫よ」
「いや、もう既に左腕が折れてるんだが!?」
と、鉄幹が涙目で抗議したところ………
「フンッ!?」
「!? ギャアアアアアアァァァァァァァーーーーーーーーッ!?」
今度は蠍固めを食らわせ始めるひなた。
「あなた………先ず最初に私に言わなきゃいけない事が有るんじゃないの?」
「す、スマン、ひなた! 私が悪かったぁっ!! 許してくれぇっ!!」
「謝るのが遅いっ!!」
そこから更に弓矢固めに移行する。
「ノオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!?」
折れてる腕の痛みと合わさり、気絶寸前の鉄幹。
「………アレは本物のひなたさんだな」
「ハイ、間違いありません………」
幼少期に観た夫婦喧嘩の様子を思い出した誠十郎と天宮 さくらが、引き攣った顔でそう言い合う。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
ゼロを含めた他の一同も、目の前の光景に如何して良いか分からず唖然としている。
「あ、あの、ひなたさん? 色々と説明して欲しいのですけど………?」
とそこで、誠十郎が恐る恐ると言った様子でひなたに説明を求めた。
「アラ、そうだったわね。ゴメンなさいね」
「ノオオオオオオォォォォォォォーーーーーーーーッ!?」
温和な顔に戻りながらも、鉄幹にコブラツイスタをお見舞いし続けるひなた。
「う~ん、簡単に言うと………実は私、死んでなかったの」
「!? ええっ!?」
「ど、如何言う事ですか!?」
あっけらかんと告げられた真実に、天宮 さくらと誠十郎は仰天の声を挙げる。
「それはね………」
そしてひなたは語り始めた。
帝剣を作った際に起きた事と、天宮家の秘密を………
10年前………
降魔大戦の最中、アゴナの策略により、降魔皇を封印する為の神器『帝剣』を作る事を決めた天宮夫妻。
ひなたも当初は、それしかないと考え、自らの命を帝剣に捧げる事を覚悟した。
しかし、ココでアゴナも知らなかった事が起こった………
天宮家は何と………
ネオフロンティアスペースに存在した『超古代文明人』の子孫だったのだ!
ガタノゾーアやギジュラ、闇の巨人達など数々の脅威に晒された末に滅亡した超古代文明だったが………
超古代文明人は滅亡したワケではなく、『GUTS』隊長の『イルマ・メグミ』、そして嘗てティガであった『マドカ・ダイゴ』はその子孫である。
その生き延びた超古代文明人の中には、外宇宙や別次元に新天地を求めて旅立って行った者達も居た。
そして、この太正世界の地球へと辿り着いた1人が、天宮家のご先祖様である。
絶界の力とは、超古代文明人が持つ超能力の一端だったのだ。
その超古代文明人の記憶と完全な力が、ひなたが帝剣の為に命を捧げた瞬間に覚醒。
帝剣に命を捧げるのではなく、一体化する事で、彼女は帝剣の中で生き延びていたのである。
しかし、外の様子を知る事は出来ても、自らアクションを起こす事は出来なかったので、それを伝える事が出来なかった。
だが、娘とその幼馴染が絶体絶命の危機に陥ったのを目撃した瞬間、ひなたは助けたいと強く願い、その想いが絶界の力で次元を超えてティガを召喚。
光となって一体化した事により、帝剣との一体化の解除に成功し、こうして復活出来たのだ。
「………と言うワケなの」
「そ、そんな事が………」
(超古代文明人………聞いた事はあったが、まさかこの世界にもその生き残りが居たとはな)
一通り満足したのか、白目を剥いて気絶している鉄幹を放したひなたが説明を終えると、誠十郎が驚きを露わにし、ゼロもそう思案する。
「お母さん………」
「さくら、ごめんなさいね。色々と迷惑掛けたみたいで………でも、また会えて嬉しいわ」
「! お母さん!!」
とそこで、感極まったのか涙を浮かべながらひなたに抱き着く天宮 さくら。
「お母さん! お母さん!」
「アラアラ、まだまだ甘えん坊ね」
泣きながらひなたを抱き締める天宮 さくらとそんな彼女を笑いながら優しく抱き締め返すひなた。
「さくら………」
「グスッ………良かったなぁ、さくら」
「うう、本当です………」
そんな天宮 さくらの姿を見て優しく微笑む誠十郎と、感動の涙を流している初穂とクラリス。
「さくら、嬉しそう………」
「奇跡の再会だもの、当然よ」
家族に関しては複雑な事情のあるあざみとアナスタシアも、自分の事の様に喜んでいる。
「さくら、良かった………」
「ま、めでたしめでたしだな」
ユイも涙ぐんでおり、シャオロンも素っ気ない風を装いながらも、目尻に涙を浮かべている。
「グスッ、何だかコッチまで泣けてきちゃった」
「正に奇跡だね………」
ランスロットも貰い泣きしており、アーサーは笑みを浮かべている。
「うおおおおおおおっ! 私は今、猛烈に感動しているううううううぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーっ!!」
「五月蠅いわよ、ラウラ! エリスも何か言ってやって!」
相変わらずのオーバーリアクションを見せるラウラにマルガレーテが辟易しながらエリスにそう言ったが………
「ううう! あううう!」
当のエリスは号泣と言った良い程の涙を流して感動していた。
「…………」
そんな2人の姿に、マルガレーテはそっと視線を逸らしたのだった………
そして、奇跡の再会は、もう1つあった………
その新生帝国華撃団に一同から少し離れた場所にて………
「大神………」
「皆………」
「米田さん、かえでさん、帝国華撃団、並び巴里華撃団………只今、全員帰還致しました」
米田とかえでに向かって敬礼する大神。
「同じく、紐育華撃団。全員帰還です」
その隣に立って居た新次郎も大神に続いて敬礼する。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
そして、背後に控えていた帝国・巴里・紐育華撃団の面々も一斉に敬礼する。
「皆………おかえりなさい」
「全く、10年以上も待たせやがって………」
感慨深く言うかえでの隣で、米田が愚痴の様に呟きながらも笑みを浮かべている。
「大尉………」
とそこで、すみれが大神の前に立つ。
「すみれくん………俺達が居ない間、帝都を守ってくれてありがとう。君が残ってくれていて良かったよ」
「ああ、大尉!!」
大神の言葉で感極まったのか、そのまま大神に抱き着くすみれ。
「す、すみれくん!?」
「ああ!? 何やってるんですか、すみれさん!!」
「お前! ドサクサに紛れて!!」
大神が狼狽すると、真宮寺 さくらとカンナを筆頭に、初代帝国華撃団と巴里華撃団の面々が詰め寄って来る。
「良いじゃありませんか。皆さんはずっと大尉と一緒でしたけど、私からしたら10年ぶりなのですから」
「それとコレとは話が別だ!」
「人は皆平等だと神様も言ってました! だから、すみれさんだけは駄目です!」
そう返すすみれだったが、グリシーヌが納得が行かんと言い放ち、エリカがやや頓珍漢な台詞を放つ。
「お兄ちゃん!」
「隊長!」
「大神さん!」
「イチロー!」
「いいっ!? み、皆!! 待ってくれーっ!!」
そのまま大神が、アッと言う間に初代帝国華撃団と巴里華撃団の面々に揉みくちゃにされるのだった。
「一郎叔父、大変そうだな………」
(((((新次郎(大河、シンジロー)も同じだよ(だろう、ですよ))))))
その光景を見て苦笑いで呟く新次郎だったが、紐育華撃団の面々からは心の中でそう突っ込まれていた。
「この光景………懐かしいぜ」
「ええ、いつもの華撃団の光景ですね………」
そんな光景に、米田とかえでは懐かしそうな笑みを浮かべるのだった。
「………大尉」
と、そこで………
すみれが真面目な顔になったかと思うと、大神に向かって敬礼する。
「!」
「現時刻を持って、帝国華撃団司令並びに、帝国歌劇団支配人の座をお返し致しますわ」
軽く驚く大神に向かってそう言うすみれ。
「………ありがとう。改めてお礼を言うよ。今までありがとう」
それに対し大神は答礼し、改めて自分達無き後、帝劇と帝国華撃団を守り続けてくれていたすみれに感謝を告げる。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
騒いでいた他の華撃団メンバーも、先程の喧騒が嘘の様に大神と同じく答礼した。
「すみれさん!」
とそこへ、誠十郎を筆頭に新生帝国華撃団や三国華撃団の面々がやって来る。
「神山くん………」
「すみれくん、彼が?」
「ハイ、大尉。現帝国華撃団の隊長………神山 誠十郎少尉ですわ」
「そうか、彼が………」
そこで大神は、誠十郎の前に歩み出た。
「!(この人が初代帝国華撃団の隊長………大神 一郎大尉)」
伝説の隊長を前に、緊張を隠せずに居る誠十郎。
「改めて自己紹介させて貰うよ。俺は初代帝国華撃団の隊長 大神 一郎だ」
「は、初めまして、大尉………神山 誠十郎です」
「階級は気にしないでくれ」
やや萎縮している誠十郎にそう言いながら、その目を見やる大神。
「………成程。流石すみれくんだ。良い隊長を見つけたみたいだね」
「ふふふ、彼を引き抜くのは正直苦労しましたわ」
すみれの方を振り返って大神はそう言う。
「神山くん。良くやってくれた。君達のお陰で帝都を………いや、地球を守る事が出来た」
「いえ、俺はそんな………只ガムシャラにやっただけです。花組の皆やゼロ達が居なければ、俺は何も出来ませんでした」
「そんな事を言うもんじゃないぞ。君は間違い無くこの地球を救ったんだ。流石は花組の隊長だ」
「! ありがとうございます!!」
大神に向かって敬礼する誠十郎。
大神のその言葉は、何ものにも勝る賞賛だった。
「………アラ?」
とそこで、真宮寺 さくらが誠十郎の背後に控えていた新生帝国華撃団の面々の中に居た天宮 さくら。
「! し、真宮寺 さくらさん………」
漸く会えて憧れの人に気付かれ固まる天宮 さくら。
「…………」
そんな天宮 さくらの姿を見ると、真宮寺 さくらは笑みを浮かべ歩み寄った。
「!!」
「やっぱりあの時の子だったのね。確か、貴方もさくらって言うのよね?」
「ハ、ハイ! 天宮 さくらです! わ、私! ずっと! ずっと真宮寺 さくらさんに憧れてて! それで帝国華撃団に!!」
やや早口になりながらそう言う天宮 さくら。
「そうだったの………ありがとう。私達に代わって帝都を守ってくれて」
「そ、そんな! わ、私なんて………」
「ふふ………」
ワタワタとしている天宮 さくらの様子に、真宮寺 さくらは笑みを零したかと思うと、アゴナに捕らわれていたせいか、髪がボサボサ気味になっているのに気付く。
「………天宮 さくらちゃん。ちょっと後ろを向いて貰えるかしら?」
「えっ? こ、こうですか?」
突然の真宮寺 さくらの言葉に、天宮 さくらは困惑しつつも言う通りにする。
すると真宮寺 さくらは、特徴であるポニーテールにしていた髪に結んでいたリボンを解くと、天宮 さくらの髪を手櫛で軽く整え、自分のリボンを巻いてポニーテールに纏めた。
「!? し、真宮寺さんっ!?」
「私からのプレゼントよ………」
驚く天宮 さくらに、真宮寺 さくらは悪戯っ子の様に笑ってそう言う。
「そ、そんな! コレは真宮寺さんの………」
「良いの。今の貴方には、十分相応しいわ」
「!!」
真宮寺 さくらにそう言われて、天宮 さくらは感極まり、涙が零れそうになる。
「!!………ありがとうございます!」
しかし、泣いてはいけないと強い気持ちで堪え、真宮寺 さくらに心からのお礼を言う。
「…………」
それを聞いて、真宮寺 さくらは満足そうな笑みを浮かべるのだった。
「オイ、お前等。折角なんだ。いつもの『アレ』………やろうぜ」
とそこで、浮かんでいたゼロが静かに降り立って来て、一同にそう呼び掛けた。
「! ああ、そうだな」
「ああ、『アレ』かい!」
「『アレ』もしっかり受け継がれてるんですね」
それを受けた誠十郎、大神、新次郎が『アレ』に察して言う。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
他の一同も、全員分かっている様子を見せていた。
「じゃあ、行くぞ! せーの………」
「「「「「「「「「「勝利のポーズ、決めっ!」」」」」」」」」」
「イエイッ!!」
巨大化状態のままのゼロを背後に、初代帝国華撃団・巴里・紐育華撃団、そして新生帝国華撃団と三国華撃団のメンバー………
更に、リク、ペガ、ミライ、大地を含めた全員で、勝利のポーズを決めたのだった………
つづく
新話、投稿させて頂きました。
予想されている方もいらっしゃいましたが、ティガの正体は………
天宮 ひなたでした。
以前、活動報告での意見で、ひなたさんを蘇生して欲しいと言う意見がありまして、
確かに完璧なハッピーエンドにする為には、ひなたさんにも生きていて欲しいなと思いまして。
只、死者の蘇生はタブー感が強いので、実は死んでいなかったと言う流れにしようと思い考えたところ………
ティガの超古代文明の事を思い出し、そこから今回の展開を思いつきました。
これならティガを登場させる事も出来るので行けると。
感動の再会を果たして天宮親子とすみれさん達と大神さん達。
いよいよ次回は最終回!
平和になった太正世界。
それは、ゼロ達との別れを意味します………
では、ご意見・ご感想をお待ちしております。