新サクラ大戦・光   作:宇宙刑事ブルーノア

18 / 112
チャプター9『ウルトラのデート』

チャプター9『ウルトラのデート』

 

上級降魔『朧』

 

宇宙恐竜 ゼットン

 

宇宙ロボット キングジョー

 

策略宇宙人 ペダン星人

 

合体合成獣 ペダニウムゼットン登場

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・上空………

 

「凄い………帝都の灯りがあんなに小さく………」

 

眼下に広がる帝都の灯りが、余りに小さく見える事に感嘆の声を漏らすクラリス。

 

「どうだ? 気持ち良いだろ?」

 

其れを聞いたゼロがそう返す。

 

今、クラリスは人間サイズのゼロの背に乗り、帝都の夜空を飛んでいた。

 

「は、ハイ………あの………ウルトラマンゼロさん」

 

「ゼロで良いぜ。何だよ?」

 

「その………如何して、私なんかを………えっと………デートに?」

 

「“カワイ子ちゃん”をデートに誘うのに理由が要るのか?」

 

「!? ふええっ!?」

 

ゼロにそう返され、クラリスは赤面する。

 

「さてと、あんまりのんびりしてるワケにも行かねえし………ちょっと飛ばすぜ!」

 

「! キャアッ!」

 

と、不意にゼロがスピードを上げると、クラリスは思わずゼロの背にしがみ付いてしまう。

 

(………温かい)

 

その背からは、まるで“太陽の光を浴びている”様な優しい温かさが伝わって来るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し飛んで………

 

2人がやって来たのは、帝都郊外の自然が広がる場所だった。

 

「確か………あの辺りだったか?」

 

ゼロはキョロキョロと森を見回していたかと思うと、その一角目掛けて降下した。

 

「あ~、もうちょっと先だったか………」

 

降りてから、場所が違った事に気付くゼロ。

 

「あの、ゼロさん。一体何処へ行く積りなんですか?」

 

クラリスは、ゼロの背から降りるとそう問い掛ける。

 

「まあまあ、良いから良いから。ほら行くぜ」

 

しかしゼロは、その質問には答えず、クラリスの手を取ると森の中へと歩き出す。

 

「あ、ちょっと………」

 

戸惑いながらも連れて行かれるままのクラリス。

 

(ゼロさんって、結構強引………)

 

そんなゼロの態度に呆れる。

 

(けど………こんなのも良いかも?)

 

しかし、不思議とそう思えてしまう。

 

ゼロの持つ雰囲気の為せる技だろうか?………

 

 

 

 

 

そしてまた少し歩いたかと思うと………

 

「お! 有った有った!」

 

「わあ! コレは………」

 

2人が辿り着いたのは、森の中の少し開けた場所で、一面に白い花が咲き誇っていた。

 

其処には、木々に遮られていた月の光も届いており、まるで真っ白な“舞台”の様だった。

 

「凄い………! あ!」

 

思わず近付こうとしたクラリスだったが、その手前には川が在り、足を止める。

 

川は、膝辺りまでの深さが在る。

 

「よっと」

 

「!? キャッ!?」

 

其処で何と!

 

ゼロはクラリスを“お姫様抱っこ”で抱き上げる。

 

「ゼゼゼゼ、ゼロさんっ!?」

 

「ハハハハハッ」

 

真っ赤になるクラリスの事を気にもせず、ゼロはお姫様抱っこをしたまま笑って川を渡る。

 

渡り終えると、クラリスを花畑の中へと降ろす。

 

「………綺麗」

 

花畑の中に佇み、そう呟くクラリス。

 

その光景はまるで絵画を思わせる。

 

「クラリス」

 

「えっ?」

 

と、背後から呼ばれて振り返ると、ゼロが『何か』をクラリスの髪に挿した。

 

其れは、咲いていた白い花の一輪だった。

 

「お~、似合う似合う」

 

「! はうう~………」

 

さっきから恥ずかしくなる事を連発してくるゼロに、とうとうクラリスは頭が茹で上がってしまい、その場に正座で座り込む。

 

すると………

 

「ちょいとゴメンよ」

 

「!?!?」

 

何とゼロが寝転がり、両手を後ろで組んだ頭を、クラリスの膝の上に乗せた。

 

所謂、『膝枕』である。

 

「へえ~、こりゃ良いもんだな」

 

「…………」

 

呑気にそう言うゼロに、クラリスは只々真っ赤になって縮こまるだけだった。

 

(タイガの親父さんがしたって言うデートの仕方をやってみたが、結構良い感じだな)

 

「ゼ、ゼロさんって………こういう事、慣れてるんですか?」

 

と、漸く落ち着きを取り戻して来たらしきクラリスが、ゼロにそう尋ねる。

 

「そういうワケじゃねえけどよ………元気出たか?」

 

「えっ? あ………ゼロさん、知ってたんですか?」

 

「“ウルトラマンには何でもお見通し”よ」

 

膝枕されたまま、クラリスの顔をビッと指差して言うゼロ。

 

「…………」

 

再び表情に影の差すクラリス。

 

まだ自分の持つ力に思う処が有る様だ。

 

「なあ、クラリス。俺の事を如何思う?」

 

「えっ?………!? ええっ!?」

 

しかし、ゼロの不意な問い掛けにまたも赤面する。

 

「“怪獣や宇宙人を倒せる()()()()()()()()”を如何思う?」

 

「あ、“そう言う意味”ですか………」

 

ゼロの質問の意図が分かり、クラリスはガッカリした様な安心したような様な複雑な気持ちになる。

 

「………凄いと思います。私達じゃ手に負えない様な怪獣や宇宙人を倒す事が出来たり、街を直したりする力は正に神秘です」

 

「お前の力だって相当だと思うぜ。今日、キングジョーを………あの“デカいロボット”を倒したんだろ?」

 

「………私の力は所詮“破壊の力”です。ゼロさんみたいな“()()が使う力”とは違うんです」

 

暗い表情のまま、自分の掌を見遣るクラリス。

 

「よっと」

 

と其処で、ゼロが身体を起こす。

 

「俺達ウルトラマンは、()()()この力を手に入れたワケじゃない」

 

「えっ?」

 

「力を得たのは………“偶然”だった」

 

ゼロは、ウルトラマン達が『如何やって力を手に入れた』のか語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼロの故郷………M78星雲ウルトラの星・光の国の人々は、遥かな昔は“人間と同じ姿”をしていた。

 

或る日、太陽が爆発し、ウルトラの星は死の星となったが、人工太陽『プラズマスパーク』を開発し、再び光を取り戻す。

 

しかし、プラズマスパークの光に含まれる放射線『ディファレーター光線』を浴びた結果、ウルトラの星の人々は超人………

 

『ウルトラマン』へとなる力を得た。

 

そして、ウルトラ一族が誕生した後………

 

全宇宙の征服を目論む『暗黒宇宙大皇帝 エンペラ星人』が率いる怪獣軍団が光の国を襲撃。

 

激戦の末にコレを退けたウルトラ一族は、宇宙には様々な悪が存在しており、力を得た自分達には“平和を守る使命”が有る、と考え『宇宙警備隊』を設立。

 

其れ以来、日夜地球を始めとした全宇宙の平和を守っているのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………って言うのが、俺達がウルトラマンになった経緯(いきさつ)だ」

 

「そうだったんですか………でも、私利私欲の為でなく、平和を守る為に使おうって思ったのなら立派じゃないですか。やっぱり、私のは只の破壊の力………」

 

「ウルトラマンの中にも、()()()()()()が居る」

 

「えっ?」

 

「其奴の名は『ベリアル』………『ウルトラマンベリアル』。俺にとっても因縁の相手だった奴だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウルトラマンベリアル』………

 

ウルトラマンに生まれながら、悪の道に走った者である。

 

元は宇宙警備隊の大隊長『ウルトラの父』こと『ウルトラマンケン』の親友であったが………

 

エンペラ星人の圧倒的な力に魅せられ、ウルトラの父が順調に出世していった事への嫉妬から………

 

ウルトラの星の命であるプラズマスパークの心臓………『プラズマコア』を奪おうとしたが、強力なパワーを制御し切れず失敗。

 

その後、ウルトラの星を追放された彼は、『究極生命体 レイブラッド星人』の亡霊と出会い、怪獣を操る『レイオニクス』の力と『ギガバトルナイザー』を得る。

 

そして、光の国へ復讐に来たが、ウルトラマンキングによって宇宙牢獄へ投獄される。

 

だが、後に脱走し、倒されては蘇り、幾度と無くゼロやウルトラ戦士達と激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1度は別の宇宙を完全に破壊した事もある。ま、キング爺さんのお陰でギリギリ何とかなったがな」

 

「………今、そのウルトラマンは?」

 

「………死んだよ。最後は自分の息子に倒されてな」

 

ゼロの脳裏にベリアルの息子………『ウルトラマンジード』の事が過る。

 

「息子さんに………」

 

「実を言うとな………俺も、ベリアルと同じ事をしようとしたんだ。プラズマコアの力を手に入れようとな」

 

「!? ええっ!?」

 

信じられないと言う表情になるクラリス。

 

(すんで)の所で親父(セブン)に止められたけどな。今思い返すと、何て馬鹿な事をしようとしたんだ?って思うぜ………“黒歴史”だな」

 

頭を掻きながら、忌々し気に呟くゼロ。

 

「クラリス。力に()()は無い。只“其処に在る”だけだ………要は、“使う奴の()()()”次第だ。“破壊によって助けられる”事も有る」

 

「でも………」

 

「仮に、お前が何かを間違ったとしても、親父が俺を止めてくれたみたいに、お前にも“止めてくれる仲間達”が居るだろう?」

 

「…………!」

 

ゼロの言葉に、クラリスの脳裏に誠十郎とさくら達(花組)の姿が過る。

 

「ま、そんな心配は要らねえと思うけどな」

 

「如何してですか?」

 

「お前が“優しい心”を持ってるからだ。俺が保証する」

 

「ゼロさん………」

 

「お前の一族が破壊の為に力を使って来たってんなら………その歴史を()()()()()()()()!!」

 

拳を握って力説するゼロ。

 

「…………」

 

クラリスは、己の両手を見遣る。

 

その手にまた、『ウルトラの星』の温もりが蘇る。

 

「………ありがとう、ゼロさん」

 

そして、クラリスは屈託無い笑顔を見せた。

 

「へへっ、漸くホントの笑顔が見れたな」

 

そんなクラリスの顔を見て、満足そうに頷くゼロ。

 

「ゼロさん………良かったら、もっとゼロさんの話、聞かせてくれませんか?」

 

「おう、良いぜ。そうだな………やっぱり最初は、さっき言ったベリアルとの戦いからか?」

 

そしてクラリスは、ゼロが語る武勇伝を聞き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・クラリスの部屋………

 

暫くゼロの話を聞いた後、漸く帝劇へと戻って来た2人。

 

「気を付けろよ」

 

「あ、ハイ」

 

出て行った時と同じ様に、窓から部屋へと入るクラリス。

 

「其れじゃ、頑張れよ。良い脚本が書けるといいな」

 

「ふふふ、期待してて下さい」

 

窓の外で浮遊するゼロに、クラリスは微笑みながらそう返す。

 

「ハハ、じゃあな………デヤッ!」

 

ゼロは上昇すると、帝都の夜空の中へと消えて行った。

 

「………素敵なデートをありがとう、ゼロさん」

 

その姿を見えなくなるまで見送り、そう呟くクラリス。

 

そして窓を閉めると、机の上に広げっ放しだった原稿用紙を見遣る。

 

「…………」

 

クラリスは椅子に座ると、直ぐ様原稿用紙にペンを走らせ始める。

 

「私の力は、破壊の力……でも、そうなるか如何かは()()()………この力を物語を生み出す『創造の力』にだって出来る」

 

既に時刻は深夜を回っているが、クラリスは全く衰えずにペンを走らせて行く。

 

「例え間違っても………隊長が、皆が止めてくれる………だから信じよう。隊長が、皆が………そしてゼロさんが信じてくれた私を………今だけでも!」

 

時間も気にならない程に、今のクラリスは情熱に溢れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、翌日………

 

『クラリスの奴、書けたのか?』

 

「其れを今から確かめに行くんだろう?」

 

クラリスの様子を見に、部屋へと向かっている誠十郎(+ゼロ)。

 

「って言うか、ゼロ。昨日の()()は無いだろう。人を無理矢理変身させた挙句、デートだなんて………」

 

『良いじゃねえか。お前だってクラリスとデートしたんだろ? だったら、()()クラリスとデートしたって何の問題もねえだろ?』

 

「お前なぁ………ハア~、もう良い」

 

あっけらかんとした態度を取るゼロに、誠十郎は諦めた様に溜息を吐く。

 

やがてクラリスの部屋の前に着くと、ドアをノックした。

 

「は、はい!」

 

「神山だけど………今、大丈夫かな?」

 

「はい、どうぞ」

 

クラリスに許可され、部屋の中へと入る誠十郎。

 

「神山さん………」

 

誠十郎を迎える、目の下にやや隈を作ったクラリスが出迎える。

 

「クラリス………まさか寝てないのか?」

 

「あははは………何だかやる気が漲っちゃって………つい」

 

苦笑いしながらそう言うクラリス。

 

『オイオイ、女の子が徹夜だなんて、感心しないぜ』

 

「頼んだ俺が言うのも何だが、君は女優なんだから、無理はしないようにしてくれ」

 

ゼロの言葉に、誠十郎はやんわりながらクラリスを注意する。

 

「すみません………」

 

「其れで、その脚本の方は?」

 

「ハイ。後は最後の台詞だけです」

 

「何だ、其れじゃもう終わった様なものじゃないか」

 

クラリスの脚本が、もう出来上がったも同然だと思い、笑みを浮かべる誠十郎。

 

「いいえ。これが1番()()で、そして1番()()()んですよ。どんな言葉が………心の奥に、残るんでしょうか………」

 

しかし、クラリスは其処が1番難しいと語る。

 

とその時!!

 

帝劇内にサイレンが鳴り響いた!

 

「!!」

 

「! 敵襲かっ!!」

 

『チイッ! こんな時に!』

 

「クラリス、行くぞ!」

 

「ハイ!」

 

ゼロが愚痴る様に言う中、誠十郎とクラリスは直ぐ様作戦司令室へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝劇・地下………

 

作戦司令室………

 

戦闘服に着替えた花組が到着すると、モニターには帝都を闊歩する傀儡機兵の姿が映し出されていた。

 

「降魔の出現を確認! 傀儡機兵が次々に現れているとの事です!」

 

カオルが現在の様子を報告する。

 

「民衆の避難は?」

 

「警察と協力して実行中や!」

 

「陸軍も協力してくれている。万が一、怪獣や星人が現れた場合に備え、遠方のエリアに居る人々にも避難して貰っている」

 

すみれの問いに、こまちとサコミズがそう返す。

 

「分かりました。急いで頂戴ね………司馬くん、イデさん。機体の整備状況は?」

 

「勿論、全て完了してますよ、すみれさん!」

 

「万事抜かり無しです!」

 

続いて無限の事を令士とイデに尋ねると、2人からは頼もしい返事が返って来る。

 

「流石ですわね………神山くん、花組の出番よ。無限で出撃して頂戴」

 

「はっ! 皆、無限での実戦は初めてとなるが、演習通りにやれば問題無い。気負わず、何時も通りにやってくれ」

 

すみれに気を付けをしながら返事をすると、初の無限での出撃となる花組の面々にそう言う誠十郎。

 

「…………」

 

しかし、クラリスだけがやや俯いている。

 

「? クラリス? どうかしたのか?」

 

「! い、いえ。すみません。大丈夫です」

 

「…………」

 

直ぐに取り繕うクラリスだったが、誠十郎はその姿に一抹の不安を感じる。

 

『クラリス………』

 

ゼロも不安そうな様子を見せる。

 

「さて、其れじゃあ誠十郎。お前の戦い振り、久し振りに見せて貰うぜ」

 

と其処で、令士が誠十郎にそう言って来る。

 

「ああ、任せろ。よし、行くぞ、皆! 帝国華撃団・花組、出撃せよ!」

 

「「「「了解っ!!」」」」

 

そして誠十郎の号令に、さくら達が勇ましく返事を返す。

 

「…………」

 

しかし、クラリスだけが無言のままだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・浅草………

 

帝劇・花やしき支部………

 

場所が離れている為、花組は帝劇から『弾丸列車 轟雷号』で浅草支部まで移動した後、翔鯨丸に乗り込んでの出撃となった。

 

『4th gate open! 4th gate open!』

 

花組が搭乗した翔鯨丸が、発進ゲートの位置へと移動する。

 

『Be quick! Be quick!』

 

浅草仲見世商店街に偽装された地上甲板が跳ね橋の様に展開。

 

ハッチが解放される。

 

『Pull the throttle! Pull the throttle! 10 seconds before! 10 seconds before!』

 

翔鯨丸のエンジンが始動する。

 

『All out! All out! Pull the throttle! All right Let’s go!』

 

そして作業員の退避が完了すると、固定器具(ガントリーロック)が外れ、翔鯨丸は空へと舞い上がった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帝都・降魔の出現地点………

 

翔鯨丸は程無く、降魔の出現地点へと到着した!

 

「其処までです!」

 

さくらの声で破壊活動を行っていた傀儡機兵達が動きを止め、上空を見上げる。

 

其処へ、翔鯨丸から6機の無限が投下され、着地を決める。

 

「「「「「「帝国華撃団! 参上っ!!」」」」」」

 

そして傀儡機兵達を前に、雄々しく名乗りを挙げたのだった。

 

「来たか………帝国華撃団」

 

その様子を、高い建物の上から見下ろしている人影が在った。

 

あの仮面の男だ。

 

その名は『朧』。

 

『夜叉』と同じく、人の姿をした上級降魔だ。

 

朧の眼下で、花組の無限が次々に傀儡機兵達を蹴散らして行く。

 

誠十郎機とさくら機の剣戟で細切れにされる傀儡機兵・侍達。

 

巨大なハンマーを持った初穂機は、自ら独楽の様に回転して野槌を纏めてブッ飛ばす。

 

あざみ機はトリッキーな動きで撹乱しつつ、隙を突いて手裏剣やクナイ、爆弾を投擲し、針鼠や黒焦げにした金鋸を格闘戦で仕留めて行っている。

 

アナスタシア機は左手の拳銃を乱射して、飛行している業火を撃ち落として行き、纏まって襲って来た際には右手の番傘型のライフルからレーザーを発射して薙ぎ払う。

 

初めての機体にも関わらず、皆順調に戦果を挙げている。

 

そんな中………

 

クラリス機の戦果だけが芳しくない………

 

出現させた魔法陣から魔導弾を次々に放っているが、威力が足りないのか撃ち漏らしが出ており、他のメンバーがフォローに入っている。

 

「其れじゃあ1つ、パーッと行こうかねえ。ヒヒッ、ハハハハハハッ! 魔幻空間、展開!」

 

そんなクラリス機の様子を見て、朧は楽しそうな笑いを零したかと思うと、夜叉と同じ様に魔幻空間を展開させた!

 

「!? コレはっ!?」

 

「あの時と同じ!?」

 

誠十郎とさくらが驚きの声を挙げる中、周辺の光景が激変する。

 

しかし、夜叉の時の様な絡繰りが犇めく空間では無く、所々に不気味に発光する結晶の様な物が生えた岩山の様な空間だった。

 

「前と景色が違うぞ?」

 

「恐らく、今回魔幻空間を作っているのは別の上級降魔なんだろう」

 

初穂の言葉に、誠十郎がそう推測する。

 

「ようこそぉ、帝国華撃団の諸君。オレ様の魔幻空間へご招待、ってね」

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

と其処へ、上空から声が聞こえて来て一同が見上げると、其処には空中に浮遊する朧の姿が在った。

 

「お前がこの空間を作り出した降魔か!?」

 

「お前なんて呼び方するなよ………オレ様は『朧』。朧様と呼べよ」

 

誠十郎の声に、朧は少し怒った様にそう返す。

 

「朧………何故この空間を作る! 貴様の目的は何だ!?」

 

「目的? “人を苦しめて殺す”のに………何か理由って要るのか?」

 

「な、何だと!!」

 

『下衆野郎め………』

 

朧の言葉に、ゼロも嫌悪感を露わにする。

 

「貴様! 人の命を何だと思っている!?」

 

「そんなの………オレの“エサ”だろ? 違うのか? オレの『オモチャ』かなあ?」

 

「き、貴様ぁっ!!」

 

「吠えるなよ。今()()()()()からよぉ………魔の力持ちて来たれ! 『傀儡機兵・荒吐』!!」

 

朧がそう唱えると、人型の上半身に蜘蛛の様な下半身をした傀儡機兵………『荒吐』が現れた!!

 

その荒吐に乗り込もうとする朧。

 

「おっと、忘れるところだったぜ………『コイツ』も試すんだったな」

 

と其処で、思い出したかの様に服の内側から『あの人形』を取り出す。

 

『! アレは!………まさか『スパークドールズ』!?』

 

その人形………『スパークドールズ』を見たゼロが驚きの声を挙げる。

 

「『スパークドールズ』? ゼロ、何だソレは?」

 

ゼロの驚きの声を聴いた誠十郎は、一旦通信を切ってからゼロに問い質す。

 

『嘗て『ダークスパークウォーズ』と言う戦いで『ダークルギエル』と言う闇の支配者が『ダークスパーク』と言う道具で、ウルトラマンや怪獣達を人形に変えた事があった。若しアレが、()()()スパークドールズだとすると………しかも『アレ』は!!』

 

「ほらよ!」

 

とゼロが説明していると、朧はスパークドールズを無造作に放り、妖力を注ぎ込んだ!!

 

スパークドールズが怪し気な光に包まれたかと思うと………

 

忽ち元の怪獣の姿となった!!

 

「こ………コイツは!? 何て威圧感だ………」

 

その怪獣から、途轍も無い“威圧感”を感じる誠十郎。

 

『当然だ。奴は、1度()()()()()()()()()()()()()()怪獣だ』

 

「なっ!? ウルトラマンを倒した!?」

 

ゼロの言葉に、誠十郎は驚愕の声を挙げる。

 

 

 

 

 

そう………

 

その怪獣は黒と白の体色で、黄色い発光器官を持ち………

 

カミキリムシの様な甲羅と、目や口の無い顔に角の様な触角が生えている………

 

嘗て『初代ウルトラマン』を1度は倒した事の有る最強の怪獣………

 

『宇宙恐竜 ゼットン』だった!!

 

 

 

 

 

ゼットーン………ピポポポポポポポ………

 

唸りの様な声と電子音を響かせて佇んでいるゼットン。

 

「う………」

 

「な、何だ、コイツ………?」

 

「この怪獣………凄く不気味………」

 

「まるで悪魔ね………」

 

さくら・初穂・あざみ・アナスタシアも、ゼットンから発せられる威圧感に、尻込みする様な様子を見せる。

 

「…………」

 

しかしクラリスだけは、“何か”を感じ取った様な表情でゼットンを見ていた。

 

「ヒャハハハハッ! 伝わって来るぜぇ! お前達の恐怖がよおっ!! さあ、ゼットン! 其奴等を………」

 

荒吐に乗り込み、その様子を見た朧が楽しそうに笑いながら、ゼットンを帝国華撃団に嗾けようとした正にその瞬間!!

 

突如魔幻空間の結界を突き破り、上空から飛来した物が複数有った!!

 

「!? 何っ!?」

 

「今度は何だっ!?」

 

朧と誠十郎が驚きの声を挙げると、飛来した物体は次々と合体!

 

グワァシ………グワァシ………

 

キングジョーが姿を現した!!

 

「! アレは昨日のっ!?」

 

「ほう? 霊力とやらの反応が有ったので来てみれば………コレは丁度良い事になっているな」

 

誠十郎がそう言った瞬間、外部スピーカーでペダン星人・クザの声が響く。

 

「何だテメェはっ!!」

 

「私はペダン星人・クザ。早速だがそちらの怪獣を貰い受けようか」

 

朧が怒鳴ると、ペダン星人・クザはそう返し、キングジョーがゼットンの方を向く。

 

「ああ? バカかテメェは! やるワケ無えだろうがっ!!」

 

「その怪獣は、君の様な()()()()には勿体無い。我々が“有効に活用”してあげよう」

 

「テメェッ!!」

 

下等生物扱いされた朧が憤慨するが、次の瞬間!

 

「『B因子システム』、作動」

 

『!? 何っ!?』

 

其れを無視して発せられたペダン星人・クザの台詞に、今度はゼロが驚愕した。

 

 

 

 

 

『B因子』………

 

其れは即ち『ベリアル因子』………

 

ウルトラマンベリアルの遺伝子だった!

 

 

 

 

 

キングジョーから怪し気な紫色の光が発せられ、やがて同色の光の粒が泡の様に湧き出す。

 

そしてその大量の光の粒が、まるで生き物の様に動いてゼットンを包み込むと、キングジョーの元へと引き寄せる!!

 

「!? なあっ!?」

 

朧が驚きの声を挙げた瞬間、引き寄せられたゼットンが、キングジョーの中へと入り込む様に吸収されて行く。

 

やがて、怪し気な光の輝きが一際増したかと思うと弾け………

 

其処には、ゼットンとキングジョーが合体した怪獣………

 

『合体合成獣 ペダニウムゼットン』が佇んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく




新話、投稿させて頂きました。

ゼロとデートするクラリス。
タイガの父親………即ち『タロウ』がしたデートを参考にしたと言っていますが、声優ネタです。
詳しくは『マジンガーZ』の第38話『謎のロボットミネルバX』をご覧下さい。

漸く立ち直ったクラリスですが、そこへお約束の様に敵襲。
上級降魔『朧』が出現。
前回で持っていたのはやはりスパークドールズ。
しかもよりによってあの強豪中の強豪『宇宙恐竜 ゼットン』

只でさえ大変な敵だったと言うのに、そこへペダン星人がキングジョー2号機で乱入。
前回言っていたチブル星人から買ったと言うのは、タイガで登場したB因子………
ベリアル因子です。
それを使って何と!!
『ペダニウムゼットン』を誕生させてしまいます!!
もう滅茶苦茶です!!

果たして花組とゼロは如何戦うのか?
そして不調な様子のクラリスは?

では、ご意見・ご感想をお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。